サーヴァントがヤンデレですが僕は元気です   作:一人の人

2 / 4
私は考えました。マスターを癒やすにはどうすれば良いかと。

というわけで行ってこい!益獣!

※カーマ視点です。


カーマとアイス

 カルデアでの日々は誰かが喧嘩して騒がしいか誰も一言もしゃべらないかの二択です。

 

 でも今日は、珍しく喧嘩していないのに騒がしい日でした。何でもマスターが行方不明になったそうで、皆が探し回っています。よくもあれだけ四六時中つきまとっているのに見失うことが出来るものですねぇ。

 ……訂正、喧嘩していないと表現しましたけど、もうすでに喧嘩しだしました。お前はマスターの居場所を知っているのではないかという魔女裁判が始まってます。

 馬鹿馬鹿しい。知っているのならばあそこまで血相を変えて探したりしないでしょうに。巻き込まれるのもいやなので私は冷凍室にアイスを盗みに行くことにします。

 

 冷凍室には人の気配がなく電気も付いていません。聞こえてくる怒号によると、こちらに人が来そうな様子はありません。これは絶好のアイス日和です♥

 

「ふんふんふーん♪出っておいでー♥そこにいるのはわかっているんですよー?私のアイスちゃーん♥」

 

 鼻歌交じりにアイスを探していると冷凍室の片隅からガタッと音が鳴りました。そんなバカな!?この部屋には誰もいなかったはず!?

 

「うううぇぇぇえぇぇぇ!?!?!??ちっ違いますよー!?私はアイスを盗んだりしてませんよー?これは……そう!あの赤い弓兵にアイスを取ってこいって言われてですね!いやー私はそんなパシリみたいなことしたくないんですけど、カーマちゃんしかいないって頼み込まれてですねぇ!それで仕方なく……」

 

「……なんだカーマか」

 

「……そう!それに私は愛の神カーマですからね!だから人が困ってたら助けていけなくちゃいけないんですよ!いやーつらいわー愛の神つらいわー。だから私は本当にいやだったんですけど、あそこまで言われちゃ断るのも悪いですし、だから本当に仕方なくいやいや取りに来て……ってマスターさんじゃないですか。何してるんですかこんなところで」

 

 音がしたところにいたのは縮こまったマスターさんでした。よくよく見るとマスターさんを中心に人払いの結界が張ってあります。おそらく張ったのはマスターさんでしょうが、なかなか良く出来ていて、私が気づかなかったのも無理はありません。誰もいないと思って本気で探していませんでしたし。決してアイスに目がくらんで気が抜けていたわけではありません!

 

「で、本当何やってるんですかこんなところで。皆のところに行かなくていいんですか?マスターさんのこと探してましたよ?」

 

「……まぁ……ちょっと……一人になりたくて」

 

「あぁ、マスターさんいっつも誰かと一緒ですし、そういうときもあるでしょうね。……ところでスプーン持ってたりしません?」

 

「えっ……いや、ないけど」

 

「えー、使えなーい」

 

 目的のアイスは見つかりましたがスプーンがありません。何か代わりになるものがないかと近くを探しますとアイスを球状にすくい取るやつがありました。……これでいいでしょう。一口サイズの小さいやつを一つ借りることにします。

 

 それとアイスをもってマスターさんの隣に座ります。

 

「……何で隣に座るの?」

 

「いえ?人払いの結界があるので、それを利用させてもらうだけです。気にしないでください」

 

「……そっか」

 

 アイスをすくい取り、それを口の中に放り込みます。うん、甘くておいしい。暑い炎天下の中で食べるアイスもいいですが、この冷凍室で隠れて食べるのもなかなか乙なものです。黙々と食べているとあっという間に食べ終わってしまったのでもう一箱食べることにします。

 

「……何が悪かったのかな」

 

「はい?」

 

 アイスに舌鼓を打っているとマスターさんが唐突にそんなことを言ってきました。

 

「僕は結構頑張ってきたと思うんだ。いきなりよくわからないところに連れてこられて。よくわからないけど世界がヤバいってことだけはわかっちゃって。しかも、なんとか出来るのは自分だけだなんて言われてさ。だから、頑張ってきたんだよ。僕は魔術が使えるわけでもない、何か凄いことが出来るわけでもない。だから自分に出来ることを。なんでこうなっちゃったんだろうね?どうすれば良かったんだろうね。何で僕だけが生き残ってしま……」

 

「はい、あーん」

 

「……?」

 

「いいから、口開けてください。あーん」

 

「あー、うむ」

 

「どうです?」

 

「甘くて……おいしいです」

 

「でしょう?ごちゃごちゃと難しいこと考えてる暇があったらおいしいもの食べてだらだらしてればいいんですよ」

 

「でも……僕のせいで皆おかしくなってるんだし、それに僕が出来ることぐらいはしないと」

 

「いえ、あの人たちの頭がおかしいのは多分元からです。あと、マスターさんが何かする必要あります?ほらっ、あーん」

 

「え……むぐっ」

 

「私としてはとっとと堕落してほしいんですけど。ええそうです、頑張りすぎなんですよ、見ててなんか腹が立つぐらいに」

 

「……(アイスおいしいけど、冷凍室で食べると寒いな)」

 

「あなたは本来なーんにもする必要はないんですよ?せいぜい私たちの後ろでふんぞり返ってればいいんです。それなのに勝手に色々背負って、潰れそうになって……バカなんですか?」

 

「……」

 

「なんか言ったらどうなんです?」

 

「えっ、……ああ、うん。……そうだね、難しく考えすぎてたのかも知れない……うん……きっとそうだ」

 

「そうですよ、あなたはいるだけでいいんです。なーんにも考える必要は無いんです……そう、私たちの、私の言うことを聞いていればいいんですよ。……さしあたっては、この散らばったアイスの箱から片づけましょうか、いえべつにあの弓兵に怒られるのが怖いというわけじゃないですし、久しぶりに二人きりでマスターさんといるのに緊張してしまってつい食べ過ぎたというわけでもないですよ?というか、マスターさんもアイスを食べたので同罪になると言いますか、あれがこれでこうなるのでとりあえず……」

 

「ありがとうカーマ、元気出た」

 

「えっ……あぁ、はい……どういたしまして?」

 

「じゃあ、皆のとこに戻るよ。心配かけちゃっただろうし」

 

「いえその前にアイスを片付けるのを……」

 

「じゃあね、カーマ。また今度一緒にお話ししよう」

 

「マスターさーん!?!?!?」

 

 そうしてマスターさんは冷凍室から出て行きました。

 

 仕方が無いので、一人で証拠隠滅をしようとしていると、

 

 ドンッ!!!!!!!!!!!

 

 っと大きな音とともに部屋が揺れて、積んであった冷凍食品類の一角がドミノのように倒れていきます。……えっ、これも私が片付けるんですか?

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。