冷凍室から出て、皆の話し声(怒号)が聞こえる方に向かう。
よしっ、カーマと話してたら元気出た。ちょっとブルーになっちゃってたけどもう大丈夫。……うん大丈夫。とりあえず皆とちゃんと話してみよう。カーマの言っていたとおり、僕が考えすぎていただけかも知れないし、僕はアプローチだと思っていた行為も認識が違うだけで、実際はただの挨拶みたいなものかも知れないし。……挨拶で体液盛られても困るけど……まぁたぶん大丈夫いけるいける。世界は広い、挨拶で体液を盛る文化だってあるさ、きっと。
と考えていたときだった。
ドンッ!!!!!!!!!!!
と、まるで金ぴかの鎧を着た人間を壁にめり込ませたような大きな音と振動が響いた。
急いで皆の元へと向かう。
「どうしたの!?なにがあった!?」
そう叫ぶとそこには、
──ドン引きしている皆と
──いつもの三倍ぐらい冷たい表情をしているエルキドゥと
──鎖で縛られているくろひーと
──壁に埋まって壁尻の体勢になっているギルがいた
??????????えっ、なんで?なんで、壁尻?どこへの需要?えっ、これドゥがやったの?カルデアの壁って小競り合いでいっつも壊れるから、修理するダヴィンチちゃんがキレてAランク以下の宝具を無効化するレベルで強化されたはずなんだけど。ギルの完璧な肉体を武器にドゥの怪力で殴れば壁尻余裕ですか、そうですか。ところで、壁に埋まって壁尻って頭痛で頭が痛いみたいだよね──
「ゲフッッッッッ」
「ちょっ、マスターが吐血したぞ!医務室行って医者呼んでくる!」
そう言って我先にと医務室に駆ける良い人たち。あぁ、待ってくれ。カルデアの
「マスター」
「何メドゥーサ」
「今吐いた血をもらってもよろしいでしょうか」
ほら、こういうのばっか残ってる。後ろで沖田さんがマスターと喀血キャラがおそろいになったとか喜んでるけど人の心ないのか。
「頼むから空気読んで」
「承知しました、皆がいないところでもう一度伺います」
朗報、メドゥーサは話聞いてくれる。今なんとかなればそれでええんや。
「さてマスター、分かったよ」
「何も分からん」
ああ~、ついにドゥがしゃべり始めちゃった。もう触れたくなかったのに。もういいよ、そのまんまほっとこうよ、たぶんオブジェとして良い感じだと思うよその壁尻ギル。僕は男の尻とか見たくないけど。
「そうだね、一から説明しよう。マスターはほとんどの女性サーヴァントと一部の男性サーヴァントの様子がおかしいことに気づいているよね」
「うん」
現状二番目の胃痛の原因だしね。一番目は何かって?そこの金ぴかだよ
「どうやら話を聞く限り、その原因はギルにあるようなんだ」
えっマジで?じゃあ僕の胃痛の原因って大半がギルじゃねぇか。
「僕がカルデアに来る前だけど、こんなことがあったらしい」
回想シーン入りまーす。
「ギルえもーん!!!!」
戻りまーす。
「えっ、ちょっとまって。誰これ」
「誰って、黒髭だよ。彼も関係しているらしい」
ああ、それであいつさっきから鎖でぐるぐる巻きにされてんのか。
「やっと拙者の話になったでござるか!マスター!助けて欲しいでござる~!」
「ごめん、もう話の腰折らないから続けてくれる?」
「了解だ」
「スルー?スルー?でござるか?おーい、マスター……返事がないただの屍のようだ。これはもしや拙者ついに透明人間になったのでござろうか。よっしゃ女風呂のぞき放題でござる!デュフフフフ、そうと決まればさっそくすっぽんっぽんになりましてと。あぁー!脱ごうとしたら急に鎖の締め付けがー!痛いでござるー!あっ、でもこれはこれで……」
回想シーン入りまーす。
「ギルえもーん!!!!」
「なんだ下郎、我は今カルデアにあるジャンプを一気読みするのに忙しい」
「広告ページまで読んでるってめっちゃ暇ですやん。そんなことよりマスターとその周りが鈍感系主人公のハーレムみたいでイライラするでござる~!なんか道具出してー!」
「はっ、くだらん……が、まぁよいか。──人の理性を外し、本能に忠実にさせる神代の媚薬だ。あと一歩が踏み出せん臆病者どもにはちょうど良かろう」
「いや~拙者としては人の恋路に手を出すのは憚られますが……なんかヤバめな雰囲気がプンプンしておりますからな、マスター殿には勇気を出してもらって早いとこ本命を決めていただかないと……、って、おぉ~さすが英雄王殿でござるなぁ。じゃ、さっそくそいつを……」
「貴様ごときにやるわけがなかろう」
「へっ?」
「我が約束したのは道具を出すことだけだ。ほれっ、出してやったぞ」
「うわーん!小学生みたいなこと言う金ぴかに虐められたー!オカンに言いつけてやるー!」
「ふんっ、帰ったか。……しかし、フム」
戻りまーす。
「……なるほど。使ったのか!?盛ったのか!?皆がおかしくなったのテメェのせいか!ギ~~~ル~~~!」
「フハハハハハ!黙れ雑種!愉悦がそこに待っているというのに飛び込まぬ王がいるわけ無かろう!」
「ギル?」
「すまんかった、雑種」
うわ、ドゥ怖。
「という訳らしいんだ。一応ギルも反省しているみたいだから許してあげてくれないかな。もちろん、罰は甘んじて受けさせるよ」
「あぁうん、皆がおかしくなった原因が分かったわけだし、それでいいよ。じゃあギル。とっとと解毒剤出して皆戻して」
「……それは出来ぬ」
「あん?お前フェルグス叔父貴の部屋に設置してやってもいいんだぞ?」
「違うわ!したくても我には出来ん!解毒剤なら当の昔に飲ませてある!最近呼ばれた者どもには盛ってすらおらん!薬なしの素の状態でアレということだ!」
「???????はっ???????」
何言ってんのこいつ?素でアレ?そんなバカな話があるわけ無いでしょう、hahahahaha、なぁ皆!
「?話がよく分かりませんが我が夫は我が夫でしょう?」
「恋人は恋人だよね?」
「天子様は天子様ですよ?」
「ヒヒン!私は呂布!」
う~ん、これは狂化EX。あとなんか変なの混ざってる。
「おう、マスター。アスクレピオス連れてきたぜ」
「顔色が酷い……医務室に行くぞマスター」
あぁ、医務室組が戻ってきたのね。……でもなぁ、いまさら身体を治したところでなぁ。
「あの……つまり、ギルガメッシュさんの媚薬で先輩の好きな人が分かるということでしょうか」
「僕を医務室に連れてけぇぇぇぇぇ!!!!!!早くしろ!どうなっても知らんぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
─
診察の結果、即医務室に缶詰&面会謝絶。胃に穴が開いていることが分かった、北斗七星の形に7つの穴が。あと一つ穴が出来てしまえば手遅れだったらしい。
原因は考えるまでもなくストレス。急に7つもあいた理由は、食事のたびに盛られていた薬物のなかに症状を無理矢理抑える薬があったそうだが、その効力を越えるほどにストレスが溜まったからだそうだ。
状況を鑑みて、僕への対処ではなく、サーヴァント達への意識改革が行われることになった。皆に事情を聞くと、初期のサーヴァント達が前々からアタックしたかったところにギルの媚薬でたがが外れ、後続のサーヴァントがそれを見て「あっ、そういうことしても良いんだ」と思いアタックする、さらにそれを見て初期のサーヴァント達が焦るという流れが出来てしまったので、途中で解毒したとこで意味が無かったと。最初のきっかけ作ったギルの所為やん。
そのため、皆のアプローチが重荷になっていること、一人の時間が欲しいことを伝えると危うく騒動になりかけたがシェイクスピアが「会えない時間が二人の絆を強くする」とかなんとか言ったら全員おとなしく帰った。
──これからどうなるのだろうか。これ以上悪くなるとも思えないが、良くなるとも思えない。
コンッコンッ
ノックの音がする。誰だろう?
「どうぞ」
「やあ、マスター。見舞いに来たよ。見舞い品のメロンは食べちゃったけど」
「何しに来たねん、オベロン」
「アイスならあるけど、いる?……ああ、これは食べても大丈夫なやつさ。その証拠に、ナイチンゲールとかも飛び込んでこないだろう?」
「じゃあ一つもらうよ」
「……おいしいかい?」
「……うん」
書き切った!元々コメディの予定のものが気づいたら鬱々しいものに勝手に変化していたのでそれを私が納得できるようにするのが大変でした。
次の一話は正真正銘私が書きたかったから書いただけのものです。この話のメインとは関わりありません。