「おい、起きろ。」
「もうちょっと・・・」
「早くしろよ、先生もうちょいでこっちくるぞ。」
窓から差し込む光が実に気持ちいい。やはり春は寝るのに最高だ。未だに覚めない眠気に襲われていた俺の頭を突然担任が叩く。
「SHRだからといって寝るんじゃない、結城狼牙!」
「あ、はい、すいません。」
周りからクスクスと笑い声が聞こえる。寝るんじゃなかった。俺は後悔したがどうにもならない。俺は、さっきから起こしてくれていた佐藤光の足を蹴っ飛ばした。
「痛いな!八つ当たりすんじゃねえ!」
「光、うるさいぞ!静かにしろ!」
「え、いや、その、すいません・・・」
光は軽くうなだれる。あとでジュースでも買ってやろう。そんなことを考えていると担任の神妙な声が耳に入った。
「みんな、この話はちゃんと聞いてくれ。知っている生徒も多いだろうが実は最近この校舎の裏にある山で行方不明者があとを絶たない。みんな裏山には近づかないようにしてくれ。」
行方不明者、か。俺は宙を見上げ過去に起こった事件を思い出していた。
俺には昔、一人の幼馴染がいた。名前は獅郎。家族を早くに亡くし、施設だ暮らしていた俺にとって唯一の友達だった。信じられないかもしれないがあいつは宇宙人だった。俺たち二人はずっと幸せに暮らしていたがある日それは突然終わった。緑色の体をした仮面男に連れ去られてしまったんだ。俺はあの時何もすることが出来なかった。俺に力があればあいつを救えたかもしれない。あの時の俺を俺は許すことができない。
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それから何時間か経った深夜11時。俺はバイトしているコンビ二から家に帰っていた。俺の借りてるアパートまでもう少しで着く。そんなとき、一人の少女が倒れているのを見つけた。
「おい、大丈夫か!しっかりしろ!」
ひどい怪我だ。早く病院に・・・っ!
少女の腕が俺の手を掴んだ。
「逃げて・・・」
「え・・・?」
「早く逃げて!」
少女が叫ぶ。
「逃がしませんよ。」
「「っ!!!??」」
俺たちが声がした方を向くとそこには異形の怪人が立っていた。
「ひっっっ!な、なんだよあいつ!」
「あの怪人はブラスト。地球人の視点から見た異星人が変身した姿です。」
「ブラスト・・・。」
喋っている俺たちに突っ込んでくるブラスト。
少女を抱きかかえながらぎりぎり躱す。
「なぜ私を置いていかないのですか?」
「は?」
「あのブラストは私を狙っています。私を置いていけば必ず助かるでしょう。なのにどうしてここを離れようとしないんですか?」
自分の体が震えているのが分かる。確かにここで逃げたほうが得策だ。これ以上彼女から離れないのは自殺行為だ。そんなことはわかってる。だが、それでも体が動こうとしない。目の前で傷ついている人を助けたいという思いが頭に強く浮かぶ。
「自殺行為だったとしても・・・。それでも俺はっ!目の前の人を守るっ!」
俺は彼女を後ろに下ろし、ブラストに立ちふさがる。
ブラストが激高し、おれのほうに突撃してくる。ブラストの拳がおれに激突する瞬間、俺はまばゆい光に包まれた。
「ここは・・・。」
「ここは、あなたの精神世界です。」
俺の疑問に答えたのはさっきの彼女だった。
「私の力を使ってあなたの精神世界に入らせてもらいました。」
「そんなことできるのか・・・」
「ここでは一秒が5分ほどの長さに入っているので、この間に攻撃されることはありません。また、ここで行われる変身は現実世界とリンクしています。」
「変身?」
次の瞬間彼女は鍵のような物に変化した。
「うそだろ・・・。人が鍵になった?」
「腰に巻いてあるベルトのスロットに私を差し込んでください。」
「えっと、これか!」
『Burning Wolf!』
ベルトから音声がなり、音声が鳴る。
『Set on!』
「変身!」
後ろに現れた真紅の狼が俺に喰らいつき、血しぶきのように赤い光が辺り一面に散る。体全体にメタリックな装甲を纏う。仮面の瞳が赤く輝き、ベルトから音声が流れる。
『仮面ライダーファング バーニングウルフ!
Burning fangs crush everything!』
ブラストの拳を受け止め、数メートルまで蹴り飛ばし、アイテムと化している彼女に声を掛ける。
「サポート頼むぜ、ええっと、」
「サラです。」
「OK、サラ!俺たちの可能性を見せてやろうぜ!」
「はい、マイマスター!」
仮面の下に敵の全ての情報が提示される。
「相手はゴリラブラストか・・・。単純な殴り合いじゃ不利そうだ。電気を操るのも厄介だな。サラ、武器を作ったりできるか?」
「2分ほどお待ちください。」
「了解。じゃあ、俺はゴリラ相手に時間稼ぎしますか!」
自分の拳に炎を纏い、同じく拳に雷を纏ったゴリラブラスト殴り合いを始める。若干押されてはいるが、手応えはある。
「負けるわけにはいかねえ!」
俺の意思に答えるように炎の威力が倍増し、ゴリラブラストを吹き飛ばした。
「マスター、武器の準備が出来ました。転送いたします。」
「了解!」
俺の手に赤い剣が握られる。
「行くぜ!」
ゴリラブラストの拳を交わしながら切り裂き、一機に優勢になる。
「このまま畳み掛けましょう。」
「おう、必殺技だな!」
レバーを三回回し、足にエネルギーをこめ、ジャンプする。これで決める!
エネルギーで作られた狼とともにブラストに蹴りを入れた。
「フレアマキシマム!」
俺の蹴りがブラストを貫き、ブラストは爆散した。
俺が変身を解除するとアイテムになっていたサラももとの姿に戻った。
「サラ、一体君は何者なんだ・・・。」
普通の人間はアイテムになったりしない。俺の予想が正しければ・・・。
「大方予想通りです。私は惑星エデンから来た宇宙人といったところでしょうか。」