Fate/Apocrypha -IF- ~黒衣の死神~ 作:あるふぃ@ship10
「そろそろ移動しましょうか」
私のマスターである六導玲霞がこちらへ話しかける。
「....いや、また魔術師が来たようだ。」
「あら、そうなの?それじゃあ、ここでの最後の魔力供給にする?」
「そうだな...だが今回、玲霞は見に来ない方が良さそうだ。傍にサーヴァントが付いている。」
「分かったわ。それじゃあ、直ぐにここを経てるよう準備しておくわね。」
「あぁ、そうしてくれ。」
そう言い、私は部屋の窓を開け飛び出し、身に纏う服を変えながら、闇夜に紛れた。
「...ん?」
赤のセイバーが異変に気付くと同時に、彼らの周囲に霧が立ち込める。
「おい、なんか妙じゃねぇか?」
武器を取り出しながら、セイバーは魔術師に問いかける。
「この霧は......っ!?」
魔術師は手で口を抑えながら膝をつき、大きく咳き込む。
「マスター!?」
咳き込む魔術師に対し、セイバーが心配する。
「毒だ!!吸うなセイバー!」
セイバーに状況を話しながら、マスターは着込んでいたジャケットを脱ぎ、霧を吸わないように口を抑える。
「こんなのが効くかよ!!それより...」
セイバーはマスターに肩を貸し、立ち上がらせる。
「あぁ...ともかくこの霧から逃げるぞ!」
「引っ張るぞ!ついてこい!」
なおもせき込むマスターを抱え、セイバーは急ぎ、霧が漂う場所を抜け出す。
「よし、抜けた...」
しばらく霧の中を進み、2人はようやく霧の漂う場所を抜ける。
セイバーのマスターは口を抑えていたジャケットを外し、大きく深呼吸をする。
「はぁぁ.....おい、これから―――」
「っ!?」
セイバーは咄嗟に足払いをし、マスターを転ばせ、マスターの背後に突如現れた人影に対し武器を振るう。
驚くアサシンに対し、セイバーは剣を振り上げる。
アサシンはその剣を得物でなんとか弾き、後方へ飛ぶ。
「生憎と、こいつは俺のマスターでね。」
「確実に首を跳ねたはずなんだがな...邪魔をしてくれるとは、ひどいことをする。」
「なぁにがひどいだ!魂喰いをやってるてめぇなんぞに言われたかねぇなぁ!」
「はぁ.....」
アサシンはため息をつきながら、手で頭をかく。
「私だってやりたくてやってるわけではないんだが...な!!」
最後の言葉を放つと同時に、アサシンはセイバーに向けて暗器を投げ飛ばす。
セイバーは手に持った剣で暗器をはじく。
直後、アサシンは後ろに飛び、そのまま霧の中へと消えた。
「ここで待ってろ!マスター!」
霧の中へ消えたアサシンを追うため、セイバーも霧の中へ踏み込んでいった。
霧で視界が悪い中、死角から放たれる暗器をセイバーは軽く剣でいなす。
「なかなかやるじゃないか。」
「はっ!!...舐めんなよ、アサシン風情が!!」
そう言うと、セイバーは兜を着脱し、剣に赤い稲妻を纏わせる。
「赤雷よ!!!」
「っ!?」
セイバーが剣を掲げると、その刀身を中心に赤く激しい雷が走り、周囲の霧が晴れていく。
「霧が.....」
「終わりだアサシン!今のうちに思う存分泣き叫べ!首を跳ねられりゃ、悲鳴も上げられなくなるってもんだ!」
掲げた剣の切っ先をアサシンへ向けながら、セイバーは言う。
「....ふふ.....あはははは!!!.....面白いことを言う....」
一際大きく笑うと、アサシンの瞳が澄んだ水色から血のような赤へと変わる。
「ではもう少し楽しませてくれ!!!赤のセイバー!!!!」
「ならば後悔しろ!!!黒のアサシン!!!!」
2人同時に前へ飛び出し、ぶつかり合うかと思われた瞬間。
「「っ!?」」
2人の間に矢が一本射られ、地面に刺さると同時に大きな爆発が起きる。
ドーンという大きな爆発音と共に、周囲が煙幕で覆われる。
「成功ですか?」
「いえ、残念ながら。」
弓を構えていた男は、その先で起きた状況を淡々と傍の女性へ伝える。
「セイバーは躱しきりました。やはり、最優と評されるだけのことはある。」
「アサシンの方は?」
「アサシンも仕留められませんでした。ですが、撤退を決めたようです。賢明な判断ですね。」