Fate/Apocrypha -IF- ~黒衣の死神~   作:あるふぃ@ship10

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#2「vs赤のランサー」

―全ての令呪をもって命じます。黒のアサシンに、この生において至上の戦いを与えんことを。

 

 

今回の聖杯戦争での活動は、戦うことに生きがいを見出してきた黒のアサシンにとって、苦痛でしかなかった。

人間から強制的に魔力を奪い取る吸精の呪、『魂喰い』。

アサシンにとってそれは、生き残り続けるための最終手段であり、本来望まない行動だった。

だがそれでも、マスターである六導玲霞には何も言わずにいた。

彼女が魔術師の素質ではない以上、仕方のないことだと彼女自身理解していた。

だからこそ何も言わず、魂喰いという方法を提案し、実行してきた。

しかしマスターとして彼女とつながっていたからなのか、はたまた彼女がアサシンの心中を見抜いていたのか、死の間際、これまでの戦いにおける謝罪と、感謝を込めた最後の命令を下した。

 

「ごめんなさいね■■■。このような形で、貴方と別れてしまうなんて...そして何より、貴方には辛いことばかりさせてしまった.....貴方は本来、人を殺めることを望まない人。でも私が魔術師ではないばかりに、これまで多くの人に手をかけさせてしまった。そしてありがとう。今まで何一つ不満を言わず、私に付いてきてくれた。だからせめて、残された魔力が尽きるまでの間、貴方には幸福であって欲しいの.....■■■、貴方との旅、とても楽しかったわ......―――」

 

 

 

 

 

令呪によって導かれた場所で、私は空中庭園の奥へと進む一人のホムンクルスと黒のライダーと、彼らの行く手を阻む赤のランサーを見た。

その状況を見てすぐに確信した。

ここが私の全てをぶつける場所だと。

そして私は、彼らの間に立ち入り、二人を先へ向かわせ、私は赤のランサーと交戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな戦闘音が鳴り響く。

武器が何度もぶつかり合う音。

地面を強く蹴る音。

創り出された魔力の槍が何本も地面に突き刺さる音。

鎌から放たれる魔力の斬撃が空間を切り裂く音。

激しい戦闘を繰り広げている両者だったが、アサシンとランサーは一度距離を取る。

 

「まさか、この聖杯戦争に俺とここまでやり合うサーヴァントがいるとはな。どこの英霊かは知らぬが、なかなかやるようだ。」

 

「...何度か打ち合って分かった。お前、神性を持っているだろう?私がお前と打ち合えてるのは、そのおかげだ。」

 

「なるほど...神殺しの異名か。その特性を持つのはかの影の王国の女王だけだと思っていたが...」

 

「私はイレギュラーで召喚されたサーヴァント。サーヴァントとしての知識は召喚された際に持っていたが、英霊の座にいたわけではない。この能力がその人だけだという認識は、間違っていないさ。」

 

「英霊の座にはない...そうか、別次元からの来訪者というわけか。そのような者と戦える機会は滅多にない。だが状況が状況だ、これ以上お前に時間をかけている場合ではない。すまないが、そろそろ決着を付けさせてもらうぞ、黒のアサシン。」

 

「残念だ。私はもう少し、戦っていたいのだがな、赤のランサー。」

 

ランサーは地面を強く蹴り、アサシンに向かって飛び込む。

パワーにおいて遥かに上回るランサーを、スピードで補うアサシン。

一撃一撃が周囲を破壊する程のランサーの攻撃に対し、アサシンは瞬間移動でかわしながら、ランサーの死角に入り攻撃を打ち込む。

しかしランサーは歴戦の英霊。

死角からの攻撃を、彼は槍で軽くいなす。

 

(死角からの攻撃ですら全て防がれる...それにあの鎧......かなり厄介だな。)

 

日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)

物理・概念を問わずあらゆる敵対干渉を削減する無敵の鎧。

黒のランサーの放つ杭を何千と受けても、かすり傷程度しか受けなかった。

これがあるかぎり、ランサーへのダメージは十分の一しか届かないとされ、鎧を纏ったランサーが損傷を受けたことは皆無に等しい。

だがアサシンにとって、鎧がどれだけ最強であろうと、それを貫く手段があることは、本人が一番よく分かっていた。

 

(『あれ』なら確実にダメージが通るだろうが.....)

 

「真の英雄は眼で殺す――」

 

突如、ランサーの目が光り、強力な光線が放たれる。

 

「っ!?」

 

ランサーの視線を追うように走る光線は、放った箇所で大爆発が起き、アサシンの周囲の瓦礫を粉微塵に吹き飛ばす。

大爆発が起きた黒煙の中から、アサシンはランサーに向けて素早く飛び掛かる。

再びお互いの武器がぶつかり合う。

ランサーはすぐさま大きく後ろへ飛び、空中からアサシンに向けて槍を投げるように構える。

 

「『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』!」

 

放たれた槍は巨大な炎を纏い、アサシンへと向かって放たれる。

 

「『亡霊よ、魂を喰らえ(ソウル・プレデター)』!」

 

光の粒子によって巨大化した鎌を振ると、放たれた斬撃は炎槍と激しくぶつかり合い、爆発が起きる。

直後、アサシンは爆発によって起きた黒煙から飛び出し、ランサーよりさらに上空に飛ぶ。

そしてランサーへ向けて、鎌を振り斬撃を飛ばす。

ランサーは自身に向かって飛んでくる斬撃を、無敵の鎧で防ぐ。

 

「これでは決め手にならんか。」

 

空中で斬撃を受けたランサーは、大きく吹き飛び地面へ着地する。

 

「見事だ。お前の戦闘に対する能力と気迫は称賛に値する。どうやらお前を仕留めるには、今のままでは不足らしい...」

 

ランサーの胸に埋め込まれた宝石のようなものが赤く強く光る。

 

「.....」

 

アサシンは鎌を強く握り直す。

 

「故に、俺はお前を打ち倒すための、絶対破壊の一撃が必要だ!」

 

「っ!!」

 

ランサーの言葉が終わると同時に、彼の鎧と胸の宝石が激しく燃え上がり、頭上に巨大な槍が出現する。

そして辺り一帯に激しい炎が燃え盛り、アサシン諸共広範囲を取り囲む。

 

「我が名はカルナ。黒のアサシンを名乗る者よ、その名を聞きたい。」

 

「.......■■■。■■■・■■■■■■だ。」

 

「良い名だ。では、この第二の生において最大最強の我が好敵手に、最上の敬意をもって、この一撃を捧げよう!」

 

「......」

 

しばらくカルナを見つめたシエルは、にやりと笑うと大きく深呼吸をする。

 

「来い!!」

 

カルナの一撃を迎え撃たんと、■■■も鎌を大きく構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神々の王の慈悲を知れ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時は満ち、(つい)を迎える。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶滅とは是、この一刺。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより先は、生の終着点。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「焼き尽くせ──『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!!」

「死せよ──『命刈り取る死神の鎌(グリム・リーパー)』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お互いの全身全霊を賭けた宝具がぶつかり合う。

しかし、威力、範囲において遥かに上回るカルナの宝具との差は歴然であり、■■■の宝具は次第に押されていく。

 

(さすがに分が悪いな.....だが...!!!)

 

そして、マグマのように燃え盛る炎は地面に衝突し、大規模な爆発が起きる。

勝負は決したと思ったのもつかの間、カルナの背後に炎を纏い、今にも燃え尽きそうな■■■が現れる。

 

「........!!!」

 

「なにっ!?」

 

魔力を一気に消費した反動と、ほぼ消えかけの魔力に気付きづらかったからか、カルナの反応が少し遅れる。

 

 

彼女の宝具、『命刈り取る死神の鎌(グリム・リーパー)』は一撃必殺の宝具ではなく、絶対必中の宝具。

宝具を放つと同時に、「相手を絶命させる」という結果に基づき■■■は自身の意識に関係なく動く。

それは、彼女自身の霊基が完全に消失するまで有効となっている。

 

 

最大の宝具を撃つため鎧を犠牲にしたカルナに身を守る術は無く、■■■の振りかざした鎌はカルナの心臓を的確に貫く。

 

「.......なるほど........『相手の命を刈る』という結果を先に作り、『鎌を振るう』という原因が作られる.......因果逆転の宝具か.........」

 

突き刺さった鎌は粒子となって消え、カルナはその場で膝をつく。

 

「.......」

 

「.....気は済んだか?.....黒のアサシン。」

 

「.....あぁ。全てを出し尽くした。文字通りこの身、この命尽きるまで戦った...令呪に導かれた戦場だったとはいえ、これほどに満足のできる戦いは、今までなかったかもしれないな。」

 

「それは俺もだ。これほどまでの強者と巡り合い、戦えたこと、嬉しく思う。」

 

「......次また戦うことがあれば、決着を付けよう、カルナ。」

 

(そしてありがとう、玲霞。お前との旅、全てが苦痛だったわけではない。魂喰いこそしていたが、お前と過ごしたこれまで、まるで親友である彼女と共に戦場を駆けているような、そんな気分だった。雰囲気が似ているからだろうか....私はそれだけで、十分だったというのに......)

 

そして、■■■は燃え上がる炎と共に粒子となって、その場から姿を消した。

 

「そうだな...だが俺としては、次は肩を並べ、共に同じ敵を見て戦いたいものだな、■■■。」

 

そうしてカルナは、フッと笑いながら、■■■と同じように、光の粒子となって消えていった。

 

 




本編でまだ本名が明かされていないので、その部分は全て「■」で伏せられてる。
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