イタコと方相氏にこの町は酷ですわ!!   作:鳩胸な鴨

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タイトルがバグってるのにはきちんと理由があります


呪ン黒No.亡イto目悪

「はぁア!?あんなヤバイのほっといたってのか!?業者の奴ら何考えてたんだ!?」

「地下深くに眠ってたんで、気づかなかっただけですよー」

 

海路で水族館に向かう最中。

あの後、赤井と5回も熱い接吻を交わし、盛大にゲロを吐いた安室が、エチケット袋を結びながら叫ぶ。

一方で、赤井は何のことか分かっておらず、疑問を顔に浮かべながら、これまた自分の吐いたモノが入ったエチケット袋を結んでいた。

 

「バーボン、その、ヤバいのというのは?」

「FBIのお前は信じないだろうが、霊障だよ!それもただの霊障じゃない!!下手すりゃ国一つ簡単に吹き飛ばすバケモノだ!!」

「国一つ!?そんな規模までいくのか!?」

「………あれ?知ってる?」

 

よもや霊障を知ってるとは微塵も思っていなかった安室。

彼が疑問を浮かべていると、ミリアルがひょっこりと顔を出して説明を始めた。

 

「この方、先日がしゃどくろに取り憑かれてまして。我らがクトゥルフ、ずん子さんに祓ってもらったんですよ」

「…………初めてお前に心の底から同情した」

「思い出させないでくれ暫く枝豆みたいな色が見れなくなったんだから」

 

因みに、公安に入れば、嫌でもこの一時的なトラウマは植え付けられることになる。安室も初遭遇時には、暫く枝豆が見れなかった。

 

「…公安には?」

「今から言って動いてもらうのって、観覧車爆破に間に合います?」

「え?かん…、えっ?何?」

「言ってませんでしたっけ?

リニューアルしたばっかの観覧車、あれの主軸部分に爆弾仕掛けられてんですよ。

アンタらが追ってる奴ら特製の。夜になると『ボンっ』ですよ」

「お前らホント情報量を鈍器にするのも面倒ごと秘匿するのも大好きだなただでさえいろんなことで忙しい公安のおまわりさん怒っちゃうぞえェ!!??」

 

もう既にキレてる。

まるでハルクのように、鼻息を荒くして拳を振り上げる安室を、赤井がなんとか羽交い締めにして押さえ込んだ。

 

「ば、爆弾を仕掛けたのは…、おい落ち着けっ、…もしかしなくても、うぉおっ!?…ジンか!?」

「離せ!!一発殴らせろ!!」

「ああ、そんな名前してましたねぇ、あのキザ男。あと、そのゴリラは抑えといて下さいよー」

「煽るな!!」

 

ゴリラ呼ばわりされた安室は、更に激しく怒り狂いながら、赤井を振り解こうとする。

一頻り暴れて冷静になったのか、息を切らしながら、安室は呆れたようにため息をついた。

 

「……ってか、アンドロイドだろお前ら。テロリストの名前くらい覚えとけよ…。ホント、どこまでもあの性悪にそっくりだな」

「ちょっと待てバーボン今なんて言った?」

「あ、私たちアンドロイドなんですよ。ほーら、でゅらはーん」

「わ゜ーーーーーーーっ!?!?!?」

「わっ、安室さんより声大きーい」

 

ミリアルが再び首を取ると、赤井はその声でそんな甲高い悲鳴が出るのかと疑問に思うほどの声を上げる。

人を揶揄うのが好きな気質のようだ。

安室は先程の首チョンパで慣れたのか、淡々と話を続けた。

 

「で?俺たちに何をしろと?」

「ぶっちゃけますと、黒の組織が機関銃搭載したオスプレイ持ち出してくるんで、落として下さい」

「あ、霊障関連じゃないのか。ホッとした」

「そのあと確定で巻き込まれますけどね」

「嫌だーーーーッ!!!今すぐここから降ろせーーーーッ!!!!」

 

涙を流しながら半狂乱になる安室。誰が好き好んで捌か玖の霊障なんぞ相手にするか。

赤井は赤井で、「お、オスプレイ?」と、黒の組織の大胆な手口に、目を丸くしていた。

 

「バーボン、その、オスプレイの方にもっと驚きを…」

「あのバカどもが持ち出す兵器より何百倍もマシだボケェ!!」

「君もう少し落ち着きなかったか!?」

「落ち着いてられるか俺たち国一つ吹き飛ばすバケモノと戦うんだぞ!?」

 

赤井は即座に脳内にて、国一つ滅ぼすバケモノとの戦闘をシミュレーションし、全てを悟った表情を浮かべた。

 

「………家族に遺書をしたためる時間をくれ」

「最期だからって無駄にキザなこと書いて生きてたら末代まで笑い話にしてやりますよ」

「………とんでもなく捻くれてるな」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

「なんだよ、アイツら!!」

「警備員さんに言って、捕まえてもらいましょう!!」

 

その頃。

日が沈み始め、逢魔時になりつつあるこの時間、一行は謎の集団に追われていた。

黒ずくめ…と言うわけではないものの、確実に息のかかった者たちだろう。統率の取れた動きで、じわじわと一行を追い詰める手際は、相当慣れてるとしか思えない。

しかも、ご丁寧にサイレンサー付きの銃を懐に持ったのをチラ見せしてくる始末。世界一嬉しくないチラ見せである。

流石の元太たちでも、その作為に気付いたようで、警戒心を露わにしながら警備員を頼ることを主張した。

 

「残念ながら無理なんだよねぇ。

追ってきてるのに、その『警備員さん』も含まれてる」

「嘘!?なんで!?」

「……このお姉さんと何か関係があるんじゃない?例えば、元はテロリストの仲間とか」

 

コナンが言うと、少年探偵団の三人が詰め寄り、怒鳴りつけた。

 

「そんなわけありませんよ!!お姉さんはすっごーく!!優しい人じゃないですか!!」

「俺を助けてくれたんだぞ!?テロリストがそんなことするかよ!?」

「そうだよ!!コナンくん、どうしてそんな酷いこと言うの!?」

「例えだって、例え…」

 

歴然とした事実なのだが、ソレを主張しても彼女らは納得しないだろう。

アイは否定することなく、「もしくは狙われる立場なのかもよ?」と付け足した。嘘はついてない。

子供たちはその言葉に、すっかり義憤に駆られたのか、「逆にこらしめてやる」と息巻いていた。

 

「……で、どうするんじゃ?」

「別に何もしなくてもいいんだけどね。

どのみち、観覧車に近づきたかったんだ。逆手に取ってやろうじゃない」

「え?爆弾は…」

 

爆弾は既に、ゆかりが対処してるはず。

だというのに、観覧車に近づく理由があるのだろうか。

コナンがそう問おうとすると、言葉を遮ってアイがついなを指差した。

 

「狙いは爆弾じゃなくて、霊障対策の結界。探偵くんは体験したことあるよね?

広くなるほど空間をしっかり把握しないといけないから、ついなちゃんを観覧車に乗せなきゃいけなかったんだ」

「ほんまやったら飛び回って確認しとるんやけど、流石に目立つしなぁ」

「……あれ?前はお札…」

「本格的なのは流石に無理や。簡単な防壁程度に考えてもろたらええ」

 

本当に、なにもかも計算済みなのか。

敵に回せば恐ろしいな、とどこか他人行儀に思いながら、誘導されるがままに観覧車へと向かう。

こちらが思い通りに動いていることに、奴らがほくそ笑むのが見えたが、まさか踊らされているとは、微塵も思っていないだろう。

と。日が沈み始め、暗くなり始めたのと同時に、会場のライトアップが始まった。

 

「お、ライトアップ。キレーやのう…」

「ライトアップ…ねぇ」

「……なるほどな」

 

アイとコナンは、横目でライトアップを見ながら、子供たちと戯れている女性に目を向けた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「処理、終わりましたよ。見張りが居たので、軽くのしときました。どうします?」

『取り敢えず、ふん縛ってどっかに放置だね。いやぁ、俺がその場にいたら早かったんだろうけど…』

 

キリキリと駆動音が響く暗闇の中。

人の形をした兎が如き歪な影が、虚空と会話を交わす。

虚空から聞こえる男の声は、起伏こそあるものの、どうしても薄っぺらく感じるような、そんな声であった。

 

『ゆかり嬢、お嬢に傷一つ付いてないだろうな?』

「ついなちゃんがいるんですから、そんなめくじら立てる必要ありませんって。

それに、多少の擦り傷はさせた方がいいですよ。免疫不全になります」

 

つい最近、ネットで身につけたばかりの知識をひけらかす少女ことゆかり。

ソレに対し、通話の向こう側の人間…タカハシは、ため息を吐いた。

 

『銃創や火傷が「多少の傷」で済むのか。初めて聞いた』

「……アイちゃんがこんなチンケな爆弾や、あの幼稚な機関銃で怪我するタマでもないでしょうに」

『お嬢は頭がいいだけだ。

俺たちみたいな使える駒が居ないと、身を守ることも出来ないんだよ』

 

「ま、そーですね」と返し、ゆかりは地面に転がった『爆弾のカケラ』をつまみ上げる。

観覧車にある爆弾は止まっていない。寧ろ、『既に爆発している』。

ゆかりが手にした、火薬の香りがするカケラが、何よりの証拠であった。

 

「オプションどうします?アイちゃんに指示もらってますよね?」

『オスプレイはFBIと公安にやるってさ。

ゆかり嬢は、霊障に備えてシステムのアップデート。データは茜嬢に貰ってる』

「好きですねぇ、手柄押し付けるの」

『お嬢の優しさだよ』

 

その優しさとやらで、公安にもFBIにも多大な迷惑をかけることになるのだが。

今更か、と思いつつ、ゆかりはその場に座り込んだ。

 

「で、タカハシ。あの享楽主義のアンドロイドは何処ほっつき歩いてんです?

どーせ今回も野次馬してるんでしょ?」

「野次馬じゃなくて、見学者。

オレはまだ未完成なんだ。いろんなものを見て回ることに意味があるのさ」

 

と。本来ここに居ないはずの男の声が、ゆかりの頭上から響いた。

ゆかりが視線を向けた先には、白と黒のコントラストが激しい風貌の青年。

青年は胡散臭い笑みを浮かべ、ゆかりの目前に降り立つ。

 

「……だからといって、爆弾を放置するのはどうなんですか?

私が来なかったら、観覧車がドンキーコングもびっくりなことになったと思いますよ」

「オレじゃどうにも出来なかったんだよ。

アイちゃんもオレがここに居ることには気づいてたみたいだけど…、なんの指示も出してこなかったあたり、今回ばっかりはオレが役に立たないのを分かってたんだろうね」

 

男…アベルーニは言うと肩をすくめた。

彼はミリアル、アリアルの後続機として開発されたアンドロイドである。

自由人ながらも比較的素直に育った姉二人と違い、こちらは捻くれ方が嫌過ぎる男性陣によって教育を受けたことにより、愉快犯じみた享楽主義者として完成している。

彼はゆかりを素通りし、その奥に倒れていた男の眼前で止まる。

男から見上げたその顔は、悪魔の笑みのように美しく、また悍ましいものだった。

 

「……はっ。あなたは指示を出さなくても動くから、ほっといたんでしょうに」

 

ゆかりが言うとともに、アベルーニの顔が男を覗き込んだ。

全てを見透かすような、透き通った瞳。口元に浮かべる笑みが、三日月を描く。

男は恐怖のままに声を漏らし、叫んだ。

 

「な、なんなんだ…?

い、いっい…っ、一体…全体っ、何なんだよお…おお、お前らはァァア!?!?」

 

二人の悪魔は、淡々と告げた。

 

「「ただの生徒」」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

煌々と輝く星を塗り潰すように、ライトアップが天を照らす。

共に照らされるのは、正装のついな。ゆらり、ゆらり、と揺らめく鬼気を身にまとう彼女は、不安定にも程があるゴンドラの上で舞い、祝詞を紡ぐ。

コナンたちはソレを見上げ、ついなの中学生らしからぬ神秘性に、感嘆の息を吐いた。

 

「あの舞に意味はあるの?」

「結界は神様の力を借りる儀式らしいからね。札がない場合、ああやって、自分と神の境界を曖昧にする必要があるんだって。

アイは神子生まれじゃないから、その感覚はよく分からないけど」

「芸能の起源か。…今でもその意味あるんだな、アレ」

 

芸能の起源。現代は娯楽として浸透した舞踏の類は、元は神や精霊と交信するため、自ら「狂う」手段として用いられたのが始まりだと言う。

ついなが今、舞を行なっているのも、忘我の果てに神と一体となるため。

これだけ大きい空間を、札も無しに囲うのならば、舞は必須と言えた。

 

「危なくないかー!?ついなちゃん、早く降りてこいよー!!」

「落ちちゃダメですよー!?」

 

子供たちは神秘性に美しさを感じながらも、その危うさをよく理解しているようで。

口々に、ついなに早くゴンドラに戻るように、声をかけ続けていた。

落ちても特に問題はないとは思えるのだが、それでもやはり、この高さになるとどうしても不安なのだろう。

少年探偵団らには、「ついなはここで踊る予定があった」と誤魔化しておいたが、流石に無理がありすぎたか。

 

「…結界って、本当にあるのね。

薄らと膜がかかってるのが見えるわ…」

 

灰原がガラス張りのゴンドラの奥を見つめ、常識の瓦解と、新たな神秘への感動を声に込める。

が。阿笠たちには、彼女の見えているものが見えていなかった。

「……何も見えんがのう?」

「え?見えないの、あのちょっと赤い…」

「見える人と見えない人がいるんだよ」

 

メカニズムは本職じゃないとわかんないけどね、と付け足し、ついなの舞の完成を見届けるアイ。

と。コナンがふと、ある違和感に気づく。

 

「……誰も乗ってない…?」

「江戸川くん、どうしたの?」

「周りのゴンドラ見ろ!!今すぐだ!!」

 

コナンが檄を飛ばし、皆が慌てて周囲のゴンドラを確認する。

そう。現在、この観覧車には、自分たちしか搭乗していなかったのだ。

 

「やられた…!!」

「あー…。予想はしてたけど、ここまで露骨にやらかすか…」

 

完全に逃げ場がない。

こんな格好の的に、狙撃が飛んでこないはずもなく。

女性以外の邪魔な人間を始末しようとしたのだろう。ガラスに亀裂が走り、数センチの穴が刻まれる。数秒と待たず、ゴンドラの床にも空いた穴は、紛れもなく銃痕であった。

 

「…アイ狙いか。ついなちゃんが上手く逸らしてくれたね」

 

少年探偵団が絶句する中、アイは何でもないようにロリポップの包紙を開ける。

コナンの見立てでは、飛んできた方向は上。

観覧車の位置関係からして、航空機の類を使っての狙撃だろう。

 

『ただいま、観覧車にて問題が発見されたため、一時停止させていただきます。

ご利用のお客様にはご迷惑をおかけしますが、そのままお待ちください』

「っ…!!何がなんでもここに留める気か、クソっ!!」

 

銃弾が一定間隔で撃ち込まれるゴンドラの中、コナンが叫ぶ。

と。ライトアップの光が重なるのが、傍目に見えた。

 

「ぁがっ…!?」

「お姉さん!?」

「大丈夫か!?どっか撃たれたのか!?」

「こりゃ、まずいね」

 

頭を抱えて苦しむ女性を傍目に、アイは心底面倒そうにため息を吐く。

メールの履歴によって判明したことだが、女性…ことキュラソーは、脳に損傷がある。その損傷によって起きた記憶能力の変質を利用し、特定の色を視認することにより、自在に記憶を引き出す能力を持つ。

つまり、五色重ね合わせた色を見せれば、記憶喪失を簡単に治せるのだ。

組織は彼らを孤立させるだけでなく、キュラソーの記憶を取り戻す算段も立てていたのである。

キュラソーが呻き声をあげる中、子供たちが必死に声をかけ続ける。その悪意がいつ、子供らに牙を剥くかもわからない。

今のうちに縛り上げるべきか、とコナンがサスペンダーを取り出した、その瞬間だった。

 

水族館内の電気が落ちたのは。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

『はっピばあ〜巣DAaaaaY、荒タなSE界!!ハっぴbath、デエぇEee絵イ、@ラ他ナ、悪タ死!!』

 

今、目覚める。




キュラソー…記憶が戻ったけど、月読アイがいる時点で詰んでることに気づく。どのみち裏切るつもりだから別にいいやと開き直る予定。

霊障…あと数十分で地表に出る。それまでにオスプレイ落とさないとお邪魔ギミック有りでの戦闘になるので、倒した方がいい。

安室透…アリアルはそこまで運転スキルが無いので、このあとハイスペックファミリーカーの運転を押し付けられる。自分の愛車よりもスペック良くてヤキモチ妬いた。尚、数日後に自分の愛車が御礼という大義名分として魔改造されることを知らない。

ベルモット…今回の作戦を急ピッチで整えた人。月読アイを発見した際、逃げ場のない場所で灰原やコナン諸共殺すしかないと苦肉の策を選ぶ。それだけ月読アイがヤバいのである。流石ボイロの始祖。

キャンティ…今回の狙撃担当。ついなにも撃ってるが、普通に効いてない。ついなの舞が起こす風圧で悉く弾を逸らされ、御立腹。尚、アイを狙撃したこの時点でVOICEのヤベー奴らに目をつけられている。強く生きろ。

結月ゆかり…爆弾をオリバみたく包んで処理して無傷。生身でも出来るが、火傷が嫌だったのでスーツを着た。

アベルーニ…尋問担当のアンドロイド。話術で言えば、先生とタカハシの下位互換ではあるが、両方の嫌なところを併せ持っているので組織の中でタカハシ諸共無下に扱われてる。そこそこに戦闘も可能だが、姉二人のように全振りではないため、京極真には余裕で負ける。
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