イタコと方相氏にこの町は酷ですわ!!   作:鳩胸な鴨

7 / 13
久々にヤツが帰ってくる…!

スマブラもキングダムハーツもやってないけど、ソラ参戦おめでとう。


東北きりたん、教師を連れて参上

「この町の犯罪率って、ずば抜けて高いのって、先生であれば知ってますよね?」

「ええ。それを君に教えたのも僕ですし。正確な数値も言えますよ」

 

米花町にて。

ポアロに入った客の中で、異彩を放つ二人組が、他愛のない会話を交わす。

一人は、先生と呼ばれるメガネの男性。もう一人は、その生徒と思われる、小学五年生くらいの女子。

男性はコーヒーを嗜みながら、女子はレモンティーとケーキをちびちびと減らしながら、机の上の問題集を進める。

 

「先生。犯罪率の増加って、何故起きるんですかね」

「タガが外れてる…とでも言うのですかね。

犯罪は多発すれば、その分ハードルが低くなりますから。

学生と言う名のバカどもの万引きとか、実にいい例でしょう?」

「あー…。成る程、わかりました」

 

ポアロでバイトをしている榎本梓は、教師の口の悪さに目を白黒させた。

教師にあるまじき口の悪さである。

男性はそれを気にせず、淡々と授業を続ける。

 

「人間の破滅は死ではありません。『悪人』と認識されることです。

炎上した芸能人は、『悪人』の如く語られるでしょう?」

「ですね。まぁ、悪いことしてるんだから、当たり前でしょうけど」

 

包丁の髪飾りが印象的な女の子が相槌を打ち、ケーキを頬張る。

安室透という探偵見習いの同僚がこの場に居れば、真っ先に絡んでいそうな組み合わせである。

彼は先週、過労で入院しているのだが。

二人の談笑を聞きながら、梓は追加注文されたハムサンドを運ぶ。

 

「お待たせしました、ハムサンドです」

「ああ、すみません。ノートを退けますね」

 

人当たりの良さそうな青年だ。

とても口悪く学生を罵ったとは思えない、柔らかな口調に、優しげな雰囲気。

しかし、彼女は知らない。目の前の男が、教育委員会どころか、教師界隈で毛嫌いされている、超弩級の問題児であることを。

教育者としては優秀なのだ。ただ、生徒の成長のためになりふり構わないだけで。

梓は教師に一礼すると、そのまま業務へと戻って行った。

 

「こんにちはー」

「あっ、イタコさん」

 

と。そこへ、すっかり常連となったイタコが訪れる。

梓は彼女に駆け寄ると、そのまま席へ案内しようとした。

 

「あ、今日は待ち合わせですの」

「待ち合わせ…というと、あちらのお客様ですか?」

「ええ」

 

梓が視線を向けた先には、ノートを広げ、面倒くさそうに勉学に励む小学生と、それを見守る教師がいる。

梓がそちらへと案内すると、小学生が表情を明るくした。

 

「あ、タコ姉様。お元気そうですね。私はこのクソ教師に引率されてて不調です」

「どうも、イタコさん。このクソガキの引率役です。生意気盛りで虫唾が走ってます」

「…その捻くれた言い方、どうにかなりませんの?」

「「ならない」」

 

どうやら、イタコの知り合いだったらしい。

礼儀正しく、その立ち振る舞いすら流麗なイタコと、捻くれた物言いしかしない二人。

この間にどのような関係があるのだろうか。好奇心を抱いた梓は、三人の会話に聞き耳を立てた。

 

「きりちゃん、今日呼び出したのはどう言うわけですの?」

「生存確認です。無差別殺人とかテロとかが雨霰のように巻き起こる魔窟で、霊に関することしか能のないタコ姉様が生きてるかどうか、ずん姉様と心配してました」

「し、失礼ですわね!?料理洗濯掃除はできますわよ!!」

 

どうやら近しい仲らしい。

梓は知らないが、イタコと少女は姉妹である。正確に言えば、三姉妹の末妹。

少女の名前は東北きりたん。東北姉妹の末席を汚す、反抗期真っ盛りのクソガキである。

クソガキの御多分に洩れず、無駄に饒舌な口でイタコの欠点を挙げていく。

 

「私服はその着物とあのダッッッッ…サい服しかレパートリーがない、料理のレパートリーはべちゃべちゃな炒め物だけ、掃除は掃除機かけるだけ、洗濯はアイちゃんが洗濯機用意してくれてんのにスマホ以外の機械を知らない機械音痴なせいで操作がわからなくてコインランドリー、それに…」

「ストップ。イタコさん死んでる」

 

既にイタコは机に突っ伏し、さめざめと泣いていた。

 

「だって、だって…、事件がたくさん起きるんですもの…」

「言い訳になってませんし、実家でも同じ生活してましたよね?」

「きりちゃんがいじめる…」

 

流石にかわいそうになってきた。

と。そこへ退院したばかりの安室が、久々にいい笑顔で入ってきた。

 

「久しぶりです、梓さん」

「安室さん、もう大丈夫なんですか?」

「ええ。医者からの太鼓判付きです。今日からまた、バリバリ働きますよ」

 

東北イタコがこの町に来てからと言うもの、心霊現象や殺人事件は、明らかに減少している。仕事に追われなくなる日もそう遠くはないかもしれない。

今が山場だ、と、退院したばかりの体に鞭を打ち、更衣室へ入ろうとする。

と。足を止め、教師の方へと目を向けた。

 

「あ゛」

「……………ども。元気そうで」

 

たった今、元気じゃなくなりました。

脂汗を滲ませ、いつ以来か、引き攣った顔を浮かべる安室。

思い出すのは、地元での苦い思い出。

一瞬でも醜態を見せれば、即座に骨の髄まで利用されるという、あの恐怖。

目の前にいたのは、黒の組織に属するバーボンにも、公安の降谷にも、ポアロでバイトする安室にとっても最大の天敵であった。

 

「あれ?またもや知り合いですか?」

「え、えっと、あの、その、近所に住んでたお兄さんで…」

「あ。どうも。そこの優男の面倒見てた者です。顔に似合わずタラシでしょ、彼」

「あ、え?た、タラ…?」

「女タラシ」

「ああ…」

「なんですかその納得したような頷き方ねぇちょっと???」

 

失敬な。タラシじゃない。

ただ、相手の情報を引き出しやすい話し方をしているだけなのだ。

とは、口が裂けても言えない。

安室は心底憎悪を込めた顔で、教師を睨みつける。

しかし、その憎悪などどこ吹く風と、コーヒーを飲み干し、おかわりを頼む彼。

ああそうだ。こういう男だった。

相手の恨みつらみをものともせず、害を為そうものなら、言葉と人脈のみで相手をその気も起きない程に叩きのめす男。

 

黒の組織の中でも話題に上がるほどであり、その話術を見込んだ幹部の一人が勧誘するもあっさり断られたらしい。

 

始末しようと動けば、ボディーガードとして同行していた、明らかに人間を辞めている紫髪の少女が片手でブチのめし。

社会的に殺そうとすれば、包丁の髪飾りの少女により、組織の人間がホームレスにすらなれない流浪者と化し。

暗殺しようとすれば、同居している白髪の少女がはんぺんで弾丸を全て止め。

なりふり構わず誘拐して殺そうとすれば、たまたまそこに訪れていた金髪の少女が、練習がてら弾き語りするだけで感動のあまり戦意喪失し、自首する者が続出した。

 

黒の組織の中では、「VOICE」という名で知られた謎の秘密結社の首魁…というのが、教師に対する共通認識であった。

言葉を巧みに使う教師がトップなら、声という単語を組織名にするのも頷ける。

 

安室は治ったと思った頭痛が再発し、頭を抱えた。

 

「こんにちはー」

「あ、阿笠さん、いらっしゃーい」

 

これまた最悪なタイミングで来やがる!!

阿笠博士と少年探偵団、そして自分が最も憎み、最も毛嫌いする男…沖矢昴が、変わらぬ笑みを浮かべていた。

阿笠博士ときりたんは、互いの姿を視認すると、「あ」と声を漏らした。

 

「琴葉博士の教え子さんじゃったかな?

この間の学会で会ったじゃろ?」

「覚えてますよ、阿笠博士。どうも、ウチのエビフライみたいに脳細胞を高温の油に潜らせたようなバカがお世話になってます」

「これまた手厳しいのう、お師匠さんじゃろうて」

「事実なんで」

 

東北きりたんは、その家系としては珍しい、科学に傾倒した人間だった。

気まぐれで有名な科学者を首ったけにした、妖艶なる童女。言葉巧みにその科学者に弟子入りし、科学に命すらも捧げた。その結果と言うべきか、遂には師たる女性のゴーストライター紛いのことまで出来る様になった。

性格こそ最悪の極みではあるが、人を引き込む話術は、恩師譲りのもの。

彼女を幼少期から見守ってきたイタコ曰く、「恩師共々、言霊使いの中でも、史上類を見ない口の巧さですわ」とのこと。

 

学会に頻繁に見学に来るような童女を覚えない方が、余程難しいだろう。

阿笠博士も名前こそ知らぬものの、彼女の卓越した話術と、その科学力は認めていた。

…まぁ、話術は教師の足元にも及ばないのだが。

 

「ねぇねぇ、お兄さんだぁれ?」

「32ですから、お兄さんって歳じゃありませんよ。小学校の先生です」

 

怖いもの知らずの子供たちが、わらわらとイタコと向かい合う教師に群がる。

側から見たら、好き合ってる同士に見えるのだろうか。

恋愛について学び始めたばかりの歩美が、少しばかり頬を赤らめ、イタコに耳打ちした。

 

「ねぇ、イタコさんとお兄さんって、付き合ってるの?」

「いやコイツ既婚者ですわよ」

「ファーーーーッッッ!?!?」

「安室さん!?なんてアクロバティックなコケ方してるんですか安室さん!?!?」

 

10回はバク転してすっ転んだ安室に、梓が心配そうに叫ぶ。

既婚者?え?あの性格悪いオブザワールド堂々の一位のあの男が?自分にはまだ彼女すら出来てないのに?

国も恋人と言ったら初彼女にドン引きされた挙句、こっ酷くフラれたという黒歴史を持つ安室は、ショックのあまり放心しかけていた。

が。かなり必死に笑いを堪えてる沖矢を見つけ、「笑うな貴様ァ!!」と内心でボロクソに罵りながら、即座に立ち直る。

 

「いやはや、すみません。貴方、そんな人らしい慌て方出来るんですね」

「コイツ隠すのが上手いだけで、結構感情豊かですよ」

 

殴りたい。できれば二人ともデンプシーロールで三時間は殴り続けたい。

ジークンドーの達人たる沖矢…もとい赤井秀一は無理だろうが、なんの武術も納めていない教師になら余裕でかませる。

引き攣った顔で、阿笠博士らを席へと案内する安室。

と。子供たちは教師ときりたんが気になるのか、「ここで食べていい?」と教師に聞いてきた。

 

「…まぁ、いいですよ。この際ですから、多少なりとも授業をしてあげますよ」

「「「えー!?」」」

「授業と言っても、そんなに難しくありませんよ。夢を叶える条件を教えるだけです」

 

コナンは「ンなこと出来んのか?」と訝しげだったが、生徒らは好奇心が勝ったのか、席へと座った。

沖矢と安室は目を合わせ、アイコンタクトで会話を交わす。

 

(コイツは「VOICE」の首魁だな?)

(ああ)

(…面白い。噂の話術を拝聴させてもらうとしよう)

(………この性悪は、俺たちと考え方そのものが違う。あんまり参考にならないと思うぞ)

 

子供たちが席につくと共に、教師の纏う雰囲気が変わる。

まるで、教壇に立つ名門教師のような、立ち振る舞いだけで生徒らを叩き上げる威圧感。

シガレットチョコを口に咥えた彼は、光彦に問いかけた。

 

「君。夢を叶える人間って、どんな特徴があると思いますか?」

「え?えっと…、兎に角、すっごく頑張ったと思い、ます…」

「それは人間として生きるにあたって絶対条件です。努力して当然。

そこらへんのバイトとか、フリーターとか、日々を貪るだけの無職すらも。

夢を叶えてない人間も、何かしらの積み重ねがあるものです」

 

追い詰めるような問答ではなく、言い聞かせ、納得させるような口調だ。

教師は元太に目を向け、同じ質問をした。

 

「えーっと、天才!」

「大不正解。能力が高いだけで方向性の決まってないバカを天才とは呼びません。

シャーロック・ホームズも、暇さえあれば自己研磨に勤しんでいたと聞きます。それはひとえに、『探偵』として、謎を解くための力を蓄えるため。

…天才という言葉は存在しません。ただ、方向性の定まった努力をして、結果を出した人間を各業界でそう言ってるだけのことです」

「んっと、えっと…」

「……要するに、何を頑張るのか決めてから死ぬほど頑張って、何かできた人間のことを天才というのです」

 

小学一年生には難しかったな、と呟き、二本目のシガレットチョコを取り出す。

続いて歩美にも同じ質問をした。

 

「えっと…、んーっと…、何を頑張るか決めた人?」

「………正解です。ただし、自分の言葉で言わないのはいただけません。

自分で考えることが出来ない人だと思われてしまいます」

「はぁい」

 

教師はコーヒーで口の中に残ったシガレットチョコを流した。

 

「夢を叶えるには、まず何を頑張るか決めること。それを決めるためには、仮初でもいいので、夢を決めることです。

具体的な方向性は、夢が決まってから。

夢は移ろいでもいいです。頑張ることを知ることから、人は夢への道を歩み始めるのですから」

 

コナンは教師の語る授業に、すっかり聞き入っていた。

生粋のシャーロキアンであるコナンにとって、シャーロック・ホームズを褒められることは、自身のことのように嬉しいものだ。

そうでなくとも、教師の言葉には、有無を言わせぬ迫力があった。

コナンが真実の探求者ならば、教師は理想への導き手。

 

「ま、何はともあれ、大前提として自分の意思を持つことが最優先ですけどね。

借り物ばかりの言葉ほど、虚しいものはありませんから」

 

ぱっ、と雰囲気が霧散する。

成る程。話術というよりは、教育術。

生徒たちを完全に支配下に置く立ち振る舞い、生徒たちの自主性を伸ばす問いかけ、そして、「夢を叶える最低条件」だけを伝え、全ての答えを言わない姿勢。

引き込む術もさることながら、不完全な答えで相手を満足させるのが上手い。

赤井はその授業に、ごくり、と唾を飲み込んだ。

 

(……まさか、ボウヤまで誤魔化してしまうとは)

 

第三者であるからこそわかった、授業に込められた意味。

最低限の答えしか出していないというのに、満足げな生徒たちは気づかない。

洞察力に優れたコナンでさえも、授業を振り返らなければ気づかないだろう。

成る程。組織が欲しがるわけだ。

 

「……相変わらず、言霊の使い方が巧いですわね」

「僕に霊能はありませんよ」

「知ってますわ」

 

イタコが呆れ気味にため息を吐く。

教師はというと、戯けたように肩をすくめた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「東北きりたんです。ヘンテコな名前とかのたまってみろ泣かすぞガキども」

「こら、悪態つかないの」

 

イタコの末妹は、問題児だった。

第一声がコレなのだ。問題児だと知らしめるには、十分すぎるインパクトがある。

小学五年生というだけあって、自身より背丈の高い少女…それにしても小学五年生にしては低いが…を見上げる。

その顔は見るからに不機嫌で、心底年下を相手にしたくない、と言った様子だった。

 

「ごめんなさい、この子ったら両親の悪いところを引き継いで…」

「タコ姉様も酔ったら私と同じくらい口悪いじゃないですか」

「あなたは素面でやる上に完全に煽り目的だからタチが悪いですわ!!いつか憑かれますわよ!!」

「姉妹全員憑かれてますよ。知ってるじゃないですか」

「そうでしたわ!!」

 

姉妹喧嘩を繰り広げる二人に、コナンは引き攣った笑みを浮かべる。

ああ言えばこう言うの典型的なタイプだな、と思いつつ、探偵の逃れえぬ性か、きりたんの情報を引き出そうとする。

 

「どこの学校に通ってるの?」

「クソ田舎」

「……えぇっと」

「クソオブザクソなド田舎です」

 

すごくアバウトに答えられた。

詳しい学校名を聞こうとするも、「地方の公立小の名前なんて知っても意味ないでしょ」と突っぱねられた。まぁ、確かに。地域に属する公立小学校の名前を知っても、「じゃあなんだって言うんだ」と言われれば、言葉に詰まる。

 

「なんで休みの日なのに先生といたの?」

「保護者役が欲しくて頼んだら来てくれました。授業っていう余計なオプション付きでしたけど」

「他のご家族には頼まなかったのかい?」

「こんな魔窟に誰が好き好んで行きますか。

春の季語に爆発、道を歩けば殺人がポンポン起きるわ、バーサステロ組織みたいなカーチェイスが普通に巻き起こるわ、水鉄砲感覚で拳銃やらライフルやらが撃ち込まれるわ…。

私と先生だって用事がなけりゃ、死んでも願い下げですよ」

「「うぐぅっ」」

 

コナンと沖矢が呻き声を上げた。

思い当たる節があり過ぎたのだ。爆発や殺人事件が巻き起こるのは不可抗力として、後半二つに至っては沖矢もコナンも、この場にいない安室も、ガッツリ関わっている。というか、何回かやらかしている。

きりたんはそれだけ言うと、スマホを取り出し、何処かへと電話をかけた。

 

「……もしもし、ずん姉様?」

『もしもし、きりたん?

土地神様から連絡があったの。今から言う特徴の人と一緒にいるなら、教えてくれる?』

 

いつもの優しげな口調とは違う、重々しい雰囲気の声。

きりたんは少し疑問に思いながら、その特徴をおうむ返しにする。

 

「…外見と中身が伴ってないガキと、面の皮が物理的に厚い糸目?」

『ものすごく捻くれた言い方だけど、そんな感じかな。

そんな特徴の人って知ってるかどうか、イタコ姉様に聞いてもらいたいんだけど…』

 

と、きりたんは背後にいるコナンと沖矢を見やる。

きりたんは科学に傾倒しているとはいえ、その出は長らく跋扈する魑魅魍魎に対抗する術を編み出してきた名家。

コナンの中身と外見が一致しないことも、沖矢の面の皮が物理的に厚いことも難なく見破っていた。

指摘しなかったのは、単にすごく面倒そうと思ったからである。

 

「三人とも一緒に居ますけど……」

『今すぐイタコ姉様諸共引きずってでも連れてきなさい!!』

「わっ…、珍しい。なんでそんなに慌ててるんですか?」

『だって……』

 

────その二人、とんでもない怪異引き連れてますよ!!

 

その声が聞こえたのか、イタコは思わずコナンと沖矢を見やる。

一部だけ荼枳尼天の目を解放し、二人を見たことで、初めて気づいた。

 

「………あの、お二人。ご遺体を粗末にしたこととかありませんわよね?」

「え?………あ゛」

「失礼な。ありませんよ」

 

沖矢は呆れながら、首を横に振る。

実はと言うと、二人ともやらかしている。というのも、沖矢…もとい赤井が黒の組織にFBIとしての正体がバレ、始末されかけたのだ。

コナンの機転で、なんとか死を偽装できたものの、その際に恐怖のあまり自害した組織の一人の遺体を利用している。

 

その結果。遺体の利用に反応し、怒り狂った悪霊につられるように寄せられたのだろう。

悍ましい姿の怪異が、コナンと沖矢を殺そうと今か今かと手をこまねいている姿が、きりたんとイタコには見えていた。

 

「……阿笠博士、ちょっと、元太たち連れて、先帰っててくれる?」

「ど、どうしたんじゃ?」

「ちょーっと、二人と話があるから。ね?」

 

ガタガタと震えながら、コナンが阿笠博士たちをなんとか帰らせる。

沖矢はと言うと、その様子に訝しげに眉を顰めた。

 

「あの調子だと三日で死にますよね、アレ」

「…条件からして、ウチじゃなきゃ無理ですわね」

「…………何か、企んでいるのですか?」

「沖矢さん頼む雰囲気でなんとなく察してくれ」

 

悲報。沖矢はそういった話題に疎かった。

しかし、あれこれ説明している暇はない。というより、説明すれば存在を認知された影響で育つのが早くなり、二秒で殺される。

イタコは沖矢の肩を強く掴み、地の底から響くような声で詰め寄った。

 

「私の実家に来てくださいまし!!」

「…………………はい???」

「タコ姉様、それじゃ変な意味に捉えられますよ」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「な、なんだこのずんだの山…」

「イタコさんの妹さんが送ってきたんだって。食べきれないから消費してほしいって頼まれたからもらったの。

お父さん、暫くはずんだ餅がおやつね」

「………蘭。暫くってどの間?」

「1ヶ月」

「え?」

「1ヶ月」




水奈瀬コウ…学生時代、安室さんを顎で使ってた人。安室さんが初彼女に「国も俺の恋人さ」と言ってドン引きされた場面を動画に収め、黒歴史流出を防ぐためという名目で、好き勝手にこき使ってた。尚、普通に学校中に広めた。諸伏は腹抱えてゲラゲラ笑った。

東北きりたん…イタコさんの妹。クソガキ。年下の子供に絡まれるのが1番嫌い。包丁の髪飾りはファッションと言い張っているが、実は兵器が内蔵されている。全くと言っていいほど霊能力者としての力を磨いてないので、見えるだけで祓えない。

沖矢昴…次回の被害者。ずん子さんがずんだもん経由で土地神からの連絡を受けてなければ、多分ろくでもない目に遭ってた。
安室のアクロバティックすっ転びに内心爆笑してた。

東北ずん子…本名東北純子。ずんだもんという弓になる相棒がいる。ずんだアローで破魔の仕事をこなしながら、女子高生を謳歌してる。引っ越して暫くしたので、差し入れにずんだを50キロほど送りつけた。毛利家、阿笠家のおやつは1ヶ月はずんだまみれになった。

ついなちゃん…世良真純、鈴木園子とスイパラに行っていた。ケーキおいちい。沖矢のことは知らない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。