Re. 海竜のヒーローアカデミア   作:willtexture

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ワクチンを打って寝込んで
ヒロアカの映画を見てなんやかんやでリメイクすることにしました。


感想と評価をよろしくお願いします。


プロローグ
第0話 海藤悠雷:オリジン


 初めて僕がその背中を見たのは確か…………テレビの中だった気がする。

 自らの命を賭けて人々を護るその姿に

 凶悪な犯罪者たるヴィランを圧倒的な力でねじ伏せ捕えるその勇姿に

 自らの意思を、己の正義を貫くその姿勢に

 幾度も困難に襲われようとも歯を食いしばって立ち上がる。

 

 その姿を一度も己の目で見ることはなく、

 創作ではないのかと心のどこかで疑いながらもその存在に…………

 

 

 ──僕は憧れた。

 

 

 僕は両親と共になんてことのない普通の街に暮らしていた。

 オールマイトやエンデヴァーなどのトップヒーローの事務所がある訳でもなく、

 本当に大した特産も有名人もいないありふれた街だ。

 特色があるとすればその街には心霊スポットが多かったくらいかな。

 なんでも過去に死神と呼ばれた存在がいたらしい。

 超常と呼ばれる時代の前に活躍した暗殺者に殺された亡霊が彷徨っているとかね。

 これは僕が生まれたころにはもう完全に都市伝説みたいな扱いだったけどね。

 学生たちが夏休みに肝試しと言ってよく山に登っていたりしてたな。

 

 僕の父親は僕が幼い頃はとても優しかった。

 幼稚園の友達だった彼らに羨ましがられたほどに。

 父親は道端で困っている人には必ず声をかけ、手を差し伸べるほどだった。

 その姿は自ら人を助ける僕のヒーローとしての理想だった。

 いつかこのような大人になりたいと心の底から思っていた。

 僕の母親はとても美しかった。

 結婚して子供を産み数年が立っても、色々な年代の男性からプロポーズを受ける程に

 母親にはマナーや社会のルール…………処世術を学んだ。

 

 とても裕福とは言えなかったが、幸せに暮らしていた。

 父親の個性である電気操作と母親の個性である液体操作を受け継ぎ、

 さらに突然変異とも言うべき個性である竜化を発現した僕は

 幼稚園時代は周りの子供達のリーダー的な存在となった。

 幼稚園では個性がヒーロー向きというだけで余程性格に難がない限りは人気者になれた。

 憧れのヒーローらしく振舞えているって言う事が一つのステータスだったから

 俺は与えられた役回りを全力でこなした。

 常に自分だけが演劇を続けているようで嫌になるときもあったが、

 それでも僕はみんなの期待にこたえたかった。

 

 僕の個性で可能なことは電気及び液体の操作と

 当時で既に体長1~2メートルに達するシーサーペントのような姿へと変化することだった。

 竜化した時には現存する水生生物の大半を凌駕する体格と

 頭部後方に伸びる巨大な角、美しく光る外殻、そして背中に並ぶ赤色の突起物が特徴的だった。

 水中では諸刃の剣となるべきである電気への耐性を得て、

 尚且つ、周囲の液体を操ることが出来た僕の個性は研究者によって『海竜』と命名された。

 水中においてその戦闘力は脅威になると確信され、

 その個性に興味を抱いた研究者達によって様々な方法で研究が行われた。

 

 この世でその存在がありとあらゆる文献を探しても一切確認することが出来ない生物だったが

 研究によって確認できたその生態には既に発見された生物との類似点があった。

 竜化した状態では水中での生活に特化しており、

 肺呼吸だが一息で半日は潜水できるほどに脅威的な肺活量。

 また、水中で口を開けても海水が流れ込まないように、喉の骨で蓋をする構造となっている。

 この時点で哺乳類とも爬虫類とも違う生物という事が判明した。

 類似点はあれど、根本的なところに違いがあった。

 強靭な後ろ足と尻尾を利用した遊泳速度は驚くほど速く

 その巨体と俊敏性も相まって、

 繰り出される突進は自身よりも大きな岩を容易く破壊できるほどだった。

 歯は陸上に生息していた肉食の恐竜や海に生息していた首長竜などと似た形状をしていたが

 水生生物が進化の過程で獲得した硬い皮膚や甲殻。

 厚い脂肪を貫くためかより長く鋭い形状をしていた。

 しかもその血は未発見の成分が含まれており、更に研究者の興味を引いた。

 

 電気操作も勿論可能だが、竜化した僕は海中での大規模な放電行動をとることができた。

 発現のメカニズムは研究者によってある程度解明された。

 体表付近にある筋肉を高速で収縮させることで体内に存在する発電細胞を活性化させ発電。

 その電気を背中に存在する突起物『背電殻』に蓄電することが確認された。

 また、背電殻に電力が最大限まで貯められると背電殻から非常に美しい蒼い光を放つ。

 その光は捕食対象にとって恐怖を与えるものであり、

 実験ではシャチやイルカなどの賢い頭脳を持つ水生生物がそれを見ただけで従ったという。

 陸上においても父親から受け継いだ電気操作と桁外れた身体能力。

 母親の液体操作も使うことができた僕は将来有望なヒーロー候補とされた。

 液体操作についてはどんなに頑張ってもゼロから液体を生み出すことは出来なかったし

 操作することができても陸上においては大したスピードで動かすことができないため

 戦闘では使うことがなく、主に水中での水流操作に使われた。

 訓練の結果により、スピードは遅いが鉄位なら切れるほどになった。

 練習に付き合ってくれた研究者の皆さんには頭が上がらない。

 今、あの研究者たちは何を研究しているのだろうか?

 既に50を超える人が多かったが、彼らの研究意欲がその程度で止まるとは思えない。

 

 プロヒーローとして十分すぎるほどに活躍出来る個性に加えて

 母親譲りの美貌と蒼髪を持った俺は周囲の人に羨ましがられる存在だった。

 

 ──だが、この世の中はバランスを取るように出来ているらしい。

 幸せの天秤が傾くようにして立て続けに不幸が僕の家族を襲った。

 

 僕の周囲で事故などが多く起きるようになった。

 理由は街で活躍していたプロヒーローが引退したことただそれだけだった。

 しかし、僕の周囲で起こった事件には何故か他のヒーローが間に合わず、何人かの人も死んだ。

 引退したヒーローが諫めようとしてくれたが、効果はなかった。

 それどころか、そのヒーローすらも事故に巻き込まれて亡くなった。

 悪意は伝染し、僕の周りには不幸が訪れるとされた。

 その結果、僕は友達だった彼らに死神の再来だと冥界からの使いだと言われた。

 全てが偽りで固められた関係だからこそあんな簡単に壊れてしまったのかもな。

 本音で語り合うことが出来ていたら…………いや、もう終わったことだ。

 

 そして、僕が5歳の頃に父親の会社が倒産した。

 理由は外的要因であり、ほかの会社との競争に負けてだけで

 父親に何の責任もなかったが大人たちは死神のせいだと父親を責め立てた。

 

「お前の子のせいだ」「あの子さえいなければこうならなかった」

「あんな子を育ててしまったお前を会社に入れたことが最大にして唯一の汚点だよ」と

 

 それから、幸せだった家庭が崩れていくのには時間がかからなかった。

 母親は罵倒と憐憫の視線に耐えながらお金を稼ぐ為に働きに出て、家を留守にする事が増えた。

 父親は就活を始めていたが、上手くいかず酒に溺れた。

 優しかったが故に他人の悪意にあまり触れることがなかったらしい。

 美人な母親を娶っていながら無職となり、生まれた一人息子は不幸を運ぶ冥界からの使い

 そんな父親を僻んでいた男達と倒産した会社の奴らの悪意が向くのは当然の事だった。

 真面目で、優しかった父親は酒と周囲の環境によって容易に壊れた。

 

 父親は昼夜問わずに酒を飲むようになり、

 就活をすることもやめて毎日のように僕に暴力を振るう様になった。

 

「お前さえいなければ、俺は幸せに暮らせていたんだ!!」と

 

 母親はそれでも父親を愛していたようで離婚をすることは無く、

 自分の時間とその身をを削って働き続けた。

 今なら分かるが母親がいなければ僕は間違いなくヴィランになっていただろう。

 それほど母親の存在は大きかった。

 母は食事は取れない日もあり、どんどんやせ細っていった。

 それでも僕のことを常に気にかけてくれた、そんな母親だった。

 

 それからしばらくして僕が6歳になる直前に父親が犯罪に手を染めてヒーローに捕まった。

 捕まった後、独房の中で舌を嚙み自殺したそうだ。

 …………父親の遺体を僕と母親が見ることはなかった。

 今、思えば牢の中で恨みを持った誰かに消されてしまったのかもな。

 もう墓参りすらする事は無いだろうから気にはしてはいないが

 

 何をしたのか当時は知らされることはなかったが、

 後に個性を使い、父親に悪意を向けた男達を殺したという事を知った。

 その後、母親は父親の死に場所であるこの街にいたくなかったのか

 自分と僕へ向けられる悪意を考慮してか、とある田舎にあった実家に帰った。

 母の実家は小さな島にあり、ヒーロー事務所が存在しない程に犯罪のない島だった。

 島に住んでいる人は皆、とても親切だった。

 島の長的な存在だった祖父の娘と孫だったからというのもあっただろうが

 その島で俺は6歳まで平和な一時を謳歌した。

 あの街では死神とも冥界からの使いとも

 散々なことを言われていたがこの島では事件なんて起こらなかった。

 

 祖父母の住む家に僕と母は住むことになった。

 そこでようやく母親は重圧から解放され、

 父親が勤めていた会社が倒産してから初めて心からの笑みを浮かべた気がした。

 その島での温かい家族や住民に囲まれた生活は

 心と身体への多大な負荷に耐え続けていた母のことを優しく癒やしていった。

 

 僕の祖母の個性は細胞の活性化という利便性の高い個性。

 B型以外には効果が薄くなるという欠点もあったが、自分に使う分には何も問題はなかった。

 祖父は母親の個性の元である水流操作で

 やってみたところ祖母の個性も使えた僕は2人に個性の扱いについて学んだ。

 僕が周りの人を不幸にしてしまうのならば

 その不幸よりも多くの幸運を運んでかき消してしまえばいいと母は笑っていった。

 僕が生まれてから辛い事もたくさんあったが、私は今幸せだと言ってくれた。

 

 その言葉を胸に僕は2人の教えを受け個性の扱い方への理解を深めた。

 祖母の個性の細胞の活性化は僕の発電のスピードを飛躍的に向上させ、

 その発電量と蓄電量も大幅に増えた。

 また、もともとあった再生能力が強化されて

 片腕が欠損するような怪我なら瞬く間に治せるようになった。

 竜化した時の身体が特殊だったのか、詳しいことはわからないんだけどね。

 ただ、残念なことに祖母のように他の人の治療は出来なかったけれども

 

 あの島での生活はとても平和で幸せなものだった。

 島が小さい分住民たちの結束がとても強く

 祖父はこの島にいるやつ全員が家族だと口癖のように言っていた。

 それからしばらくの月日が経ち、僕の7歳の誕生日を一週間前に控えた日

 この島の近くに都市の方で暴れていたヴィランが逃走しているという知らせが来た。

 ヴィランの名前まではテレビの情報だけでは知りえることはなかったが、

 ありとあらゆるウイルスを操る個性ということは知ることができた。

 祖父はヒーローのいないこの島にそいつが来るのではと恐れて

 島の家族に避難するように呼びかけた。

 流石の統率力で祖父は家族を纏めると島を出ようとした。

 

 ──しかし、全てが遅かった。

 

 そのヴィランは既に島に来ていて僕たち家族は既にウイルスに感染していた。

 ヴィランは僕たちを感染させ人質にするつもりだったらしい。

 この島の近くには既にヒーローが来ているらしくかなり慌てていた。

 僕たちのことを人質にするために比較的弱いウイルスに僕たちは感染した。

 

 しかし、そのヴィランが慌てていたために個性を完全に制御できているわけではなく

 一部には強力な感染症などが混じっていた。

 

 最悪なことに、その一人が僕だった。

 僕が感染したのは狂犬病というものだった。

 僕に感染したウイルスは僕の体の中で急速に進化し、全く別のウイルスになった。

 そのウイルスは後に『狂竜ウイルス』と名づけられ島にいた全ての生物に感染した。

 感染した生物は好戦的な気質というべきかとにかく他の生物に襲い掛かった。

 そして、一定時間が経過すると例外なく死に至った。

 ヴィランがその後どうなったのか知らないが、感染したことは間違いないはずだ。

 感染した島の人たちは克服することができずに肉親同士で争い、バタバタと死んでいった。

 僕は祖母と母のおかげで何とか九死に一生を得た。

 個性の影響もあり生命力は強い方だったが、幼い僕はそれだけでは耐えることができなかった。

 祖母が個性を使って僕の抗体を活性化させ、

 母は巧みに僕の体内の液体を操作しウイルスに侵された血液を体外に排出してくれた。

 海にドライヤーを当てるような微々たる抵抗だったが何とか僕は生き残った。

 

 

「悠雷…………必ずあなたの夢を叶えてね…………」

 

 

 それが、死にゆく母の最後の言葉だった。

 

 

 ──その日…………とある田舎の島に住んでいた生物は一人の少年を残して全滅した。

 

 

 そのあとのことはよく覚えていない。

 気づいたら波に揺られて、島に近い都市に流れ着いていたらしい。

 どうやら無意識のうちに自分が最も安心できる場所である海に行こうとしていたらしい。

 島の周辺の魚たちが無防備に流される僕を守ってくれていたのだ。

 流れ着いたその島で警察に保護された僕は島で何があったのかを聞かれた。

 あの島に逃げたヴィランによって島の人がどうなったかは伝わっていたらしい。

 なので僕はあの日。島であったことをすべて話した。

 

 どうか…………警察の人が言っていたことが夢であればよかったと思いながら

 

 その後病院で生活を送っていた僕に公安を名乗る組織が接触してきた。

 彼らは僕のように身寄りのなくした子供達へ援助を行っていたようだ。

 彼らにこれから君は何をしたいのかを聞かれたので

 

 自分のような人をこれ以上出さないために、

 昔、なりたいと願った自らの理想を体現するために

『人を護り…………救うことができるヒーロー』になりたいと答えた。

 

 それから、僕は公安の人に保護され

 公安に紹介されたリューキュウというヒーローに師事することになった。

 紹介された当時は独立すらしていないサイドキックの一人だったために

 自らの業務と独立へ向けた準備などとても忙しかったが、良くしてくれた。

 “ドラグーンヒーローリューキュウ”の個性は『ドラゴン』というもので

 その名の通りドラゴンに変身するというものだった。

 似ている個性なので都合がいいと思ったのだろう。

 僕の境遇に哀れんだのか知らないが公安の人も

 リューキュウこと龍子さんも僕にとてもやさしくしてくれた。

 その姿はどことなく母と似ていた。

 もしも姉がいたならばこういう人なんだろうと思った。

 

 それから数年後に公安の人に紹介されたホークスというヒーローも

 僕に個性の使い方や体の使い方を教えてくれるようになった。

 リューキュウは義理の姉、ホークスは義理の兄の様な関係となった。

 戸籍上では何に関係もないが、本当の家族のように感じた。

 まぁ、ホークス…………兄さんにはいろいろと振り回されることになるんだけど

 

 僕は心に負った傷を癒やしながら母の最後の言葉に従い

 僕の夢を叶えることを目標にただひたすらに努力した。

 兄さんからは人助けのノウハウを姉さんからは竜化状態での戦闘について教わった。

 血反吐を吐いたことなんてもう数えることができないが

 もうすぐでヒーローを目指す人にとっての憧れである雄英の入試だ。

 

 ようやく俺はスタートラインに立つことができる。

 

 

 

 ──これは俺が夢を抱き、叶えるまでの物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 海藤悠雷

 

 誕生日は8月1日

 モンハントライの発売日を使わさしていただきました。

 誕生日が耳郎響香と同じとなっていたことにびっくり

 

 好きなことは天体観測と読書そして料理。

 

 天体観測は昔、母と夜空を眺めていたころから好きだった。

 母親がもっとも好きな星は太陽を除く恒星で最も明るいと言われる

『シリウス』と呼ばれる星である。

 読書は一人でも楽しむことができる趣味だからという理由。

 本の世界にいるときだけは自分の孤独さを忘れることが出来る。

 料理は昔、自分の作った料理をおいしいと言ってくれたことがきっかけ。

 今では作ること自体も好きになっている。

 

 好きな食べ物はプリンとアップルパイ。

 二つとも母の得意料理だった。

 プリンは昔ながらの硬めのものが好き。

 

 身長は170センチほどで耳の先端が少しとがっている。

 長めの蒼い髪に赤い目をしている。目は雷を纏うと蒼く光る。

 全体的に肌の色は白い方。

 

 個性『海竜』

 

 前述の通り、現存する水生生物の中で最大級の体格を誇る。

 地上では優れた身体能力と電気を扱い、

 水中では液体操作にて相手の動きを制限しつつ戦うことを得意とする。

『海竜』にもかかわらず、陸上戦が強いとは?

 

 個性にて変身する海竜は研究者によって

『雷光を放つ大渦』という意味の『ラギアクルス』と命名された。

『ラギア』は光を放つ『クルス』は大渦を意味する。

 悠雷が起こした光を放つ大渦を見たことをきっかけにして名付けられた。

 悠雷はこの名前を気に入っており、ヒーロー名とするつもりである。

 

 研究者の意見に未だ成長を続けているという意見があり

 悠雷もまだ個性に成長の余地があるものだと認識している。

 竜化した悠雷から採る事ができる血の成分はいまだ不明である。

 




過去を重くしたいなと思って書き直したら思ったよりも
重くなりすぎたと書き終わってから思いました。

島唯一の生き残りってよく発狂しなかったな。と主人公の精神はかなり強めです。
考えていることが滅茶苦茶なところはあります。仕様です。
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