Re. 海竜のヒーローアカデミア 作:willtexture
『上を行く者には更なる受難を!!
雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!!
予選通過1位の海藤悠雷くん!!持ちPOINT1000万!!!』
さあて、どうしようか?
1000万という死刑宣告にも等しいポイント数。
騎馬戦である以上、組む相手によっては敗北は避けられない。
これは仲間を組むためのコミュニケーション力や団結力などを問う種目なのか。
オールマイトやエンデヴァーなどをはじめとする一部の超一流のヒーローならば
一人ですべてをこなすことが出来るが、俺たちはそうもいかないからな。
『制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり
騎手はそのポイントが表示されたハチマキを装着!!
終了までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競い合うのよ!!
取ったハチマキは首から上に巻くこと。とりまくればとりまくるほど管理が大変になるわよ!!
そして、重要なのはハチマキを取られても
また、騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!!』
「てことは…………」
「42名からなる騎馬10~12組がずっとフィールドにいるわけか…………?」
「シンド☆」
「放電して一気に崩してやろうかと思っていたがそれもダメか。
電力を消費して一時的な足止めだとコスパが悪いな。竜化でもするのが最善かね?」
「考えることが相変わらずえげつないね。この前、否定してたけどやっぱりドS?」
「それほどでもあるが、断じてドSではない。多少はSかも知れないがな」
「いったんポイント取られて身軽になっちゃうのもアリだね」
「それは全体のポイントの分かれ方を見ないと判断しかねるわ三奈ちゃん」
『個性発動アリの残虐ファイト!!でも…………あくまで騎馬戦!!
悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!!一発退場とします!!
それじゃ、これより15分チーム決めの交渉タイムスタートよ!!』
「「「「「15分!!?」」」」」
俺の場合、ポイント数は関係ない。
俺の保有している1000万以外をすべて獲ることが出来たとしても
ルール上一位は取ることが出来ないのだからな。
初期ポイントを取られないことと保険として幾つかのポイントを手に入れれば問題ない。
ならば、最優先で声をかけるべきは…………
「響香、上鳴、俺と組んでくれないか?」
「いいの?ウチでよければ」
「俺なんかでいいのか?俺、この競技だとほかの人巻き込むぞ?
海藤なら他にもいろんな個性のやつを誘えるだろ?」
「なぜそんなに上鳴がマイナス思考でいるかは分からないが、
俺は最善だと判断したメンバーを集めようとしているだけだ。
周りを巻き込む点についても俺がお前の雷に指向性を持たせるから大丈夫だ」
「分かった!!よろしくな海藤!!」
「よろしくね」
「二人とも随分とあっさり受けてくれるのな。
周りの奴ら全員に狙われるから断られるかもと考えていた」
「だって、悠雷なら確実に本選に連れて行ってくれるでしょ?
それを抜きにしても一番仲のいいアンタと組む方がいいし」
「耳郎の言うとおりだ!!それにお前には訓練を見てもらった借りがあるからな。
ここで今までの借りを清算さしてもらうぜ!!」
「そうか…………別に恩を売るために誘った訳ではないんだけど、まぁ、ありがとな。
あとは出来れば梅雨ちゃんを誘いたいんだが…………無理そうだな」
「梅雨ちゃんは悠雷に挑むって言ってたよ」
「障子もそういっていたな」
「マジか、ほかのところも組み始めたからなぁ…………どうしよう。
常闇も緑谷たちのところと話しているしな」
常闇とは入学式があるはずだった日以来、話せてないんだよね。
それがより明確になったのは体育祭前の特訓に参加した後だ。
なんか、少し避けられているような気もしなくはないからな。
体育祭の後辺りでなんとか話しかけたいものだ。
いや、ほんとになんで避けられているのか………それだけが疑問だ。
「三人じゃダメなの?このメンツならというか悠雷一人でも余裕だと思うんだけど
むしろウチ等は足手まといじゃない?そんな気しかしないんだけど」
「別にそんなことないぞ。俺が4人が言ったのは今後を考えてだ。
一位が3人って先生に迷惑かけるじゃん?残りの枠をどうしようとかそうゆうので
なんかこれから先、若干のトラブルに相澤先生を
巻き込む気がするから少しでも印象を良くしておきたい。
弁明しておくと、迷惑かけるのは俺の兄と姉ね」
「悠雷が先生を困らせるっていうのは想像つかないけど…………一位前提なんだ」
「そのくらいの心づもりがないと爆豪とかに勝てないからね」
「………………なぁ、今いいか?」
今声かけてきたのは普通科の「心操人使」だったかな
確か、個性は『洗脳』で問いかけに応じることで発動するし、
こちらが解除するには一定値以上のダメージを追う必要があったはず
こちらに洗脳をかけてくる必要はないと思うが、念のために手に傷を入れておくか。
本当に個性の情報などの個人情報を教えてくれたミッドナイト先生には頭が上がらないな。
一応、言っておくが正式な取引だ。
以前俺が撮って送った更衣室での着替え写真の対価でもらいました。
連絡先を教える対価のはずだったが、おつりがくるという事でもらった。
本当にラッキーだったな………反省文を書いた価値はあった。
「ん?確かお前は宣戦布告しに来た普通科の生徒だったか?」
心操くんとは面識があるわけではないし、初対面の体でいこう。
相手方に一方的に知られているとか軽いトラウマになりそう。
さっきこっそりと付けた手の傷なんかはバレたかもしれないな。
結構不自然な動きだったし。
「そうだ。もしよければでいい、俺をチームに加えてくれないか?」
「別に構わないが、名前は?」
「心操、心操人使だ。個性は『洗脳』
洗脳する意思をもって掛けた問いかけに応じると対象を洗脳できる。
洗脳された相手は簡単な命令なら従うけど、ダメージを受けると解除される」
「普通に強くね?」
「うん。対人戦においてはすごく強い個性だと思う」
「随分とあっさり話すんだな。隠しておいた方が本選で有利に立ち回れたんじゃないか?
もしくは、俺たちのことを洗脳して利用するとか」
「あれだけ目立った動きをしていたお前を洗脳するのは得策とは言いずらい。
それに、俺が声かけた瞬間に手に傷入れてたよな?
お前、俺の個性をあらかじめ知っていたんだろう?」
ありゃ、出来れば調べていたことは隠しておきたかったんだよな。
なんか、ストーカー行為してたみたいだし、そこまで不快に思ってなさそうだしいいけど
女子にやったら通報ものだな。ヒーローの卵が刑務所入りとか冗談でも笑えない。
正直言って、女子相手にストーカーとか普段の峰田以下じゃないか?
「宣戦布告しに来た時に警戒対象としてな。傷をつけたのはあくまでも念のためだ」
「………………いくら傷を入れているとはいえ警戒しないのか?
俺みたいなヴィラン向けの個性を持っており相手にはふつう警戒するだろ」
「心操の目は罪を犯したことのあるヤツの目じゃないからな。
それに、ヒーロー科に入ろうと足搔いている奴にそんなこと考えても無駄だろ」
「そういうこと、ウチ等は悠雷の事を信頼している。
だから、ヴィラン向けとかそういうのは気にしないでいいよ。ウチ等は同じチームの仲間でしょ?」
「そんなネガティブなこと考えてないで楽しんでいこうぜ!!
せっかくのアピールチャンスなんだからさ!!」
「…………そうか、よろしく」
「こちらこそよろしくな。作戦は俺が開幕──
無事にメンバーを決めた俺が作戦を伝えているとあっという間に15分が過ぎていた。
ここにいる奴の個性はすべて把握している。
相澤先生は個人情報だからと教えてくれなかったがミッドナイト先生がいてくれてよかった。
あの人青春っぽいのが好きなんだよな。かなり、いや結構チョロかった。
間違いなく爆豪は開幕のほうから仕掛けてくるだろうな。あとは緑谷かな?
轟は時間が減ってきたところか、漁夫の利を狙ってくるだろう。
B組は性格がつかめないから断言はできないが、宣戦布告しに来た切島みたいな奴か?
まあ、ヒーロー科である以上全員狙ってくるんだろうがな。
────最も俺が警戒するべきは皆が連携して狙ってくること
堅実にポイントを稼いで確実に本選に行こう。
俺のことを信じてくれた三人のためにもな。
▼▼▼
『15分経ったわ。それじゃあそろそろ始めるわよ」
「ここにいるほとんどの連中がA組ばかりに注目している…………何でだ?
そして鉄哲が言った通りA組連中も調子づいている………………おかしいよね…………
彼らと僕らの違いは?会敵しただけだぜ?
ヒーロー科B組が予選で何故、中間位に甘んじたか調子づいたA組に知らしめてやろう皆」
『さぁ、起きろイレイザー!!
15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!』
「…………なかなか面白い組が揃ったな」
『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!』
「最後に勝って笑おうな。皆行くよ」
「おお!!」「うん!!」「ああ」
耳郎チーム トータル10000355ポイント
耳郎 115ポイント 海藤 10000000ポイント
心操 75ポイント 上鳴 95ポイント
爆豪チーム トータル680ポイント
爆豪 205ポイント 切島 165ポイント
芦戸 110ポイント 瀬呂 160ポイント
轟チーム トータル650ポイント
轟 200ポイント 飯田 185ポイント
八百万 130ポイント 砂糖 135ポイント
緑谷チーム トータル495ポイント
緑谷 190ポイント 常闇 170ポイント
麗日 120ポイント 発目 10ポイント
鉄哲チーム トータル655ポイント
鉄哲 125ポイント 塩崎 195ポイント
骨抜 180ポイント 泡瀬 150ポイント
葉隠チーム トータル265ポイント
葉隠 65ポイント 尾白 155ポイント
庄田 40ポイント 青山 5ポイント
峰田チーム トータル365ポイント
峰田 90ポイント 障子 140ポイント
蛙吹 145ポイント
物間チーム トータル285ポイント
物間 30ポイント 回原 105ポイント
円場 100ポイント 黒色 55ポイント
拳藤チーム トータル200ポイント
拳藤 70ポイント 柳 80ポイント
小森 40ポイント 取蔭 20ポイント
小大チーム トータル145ポイント
小大 50ポイント 凡戸 85ポイント
吹出 15ポイント
鱗チーム トータル105ポイント
鱗 45ポイント 宍田 60ポイント
鎌切チーム トータル60ポイント
鎌切 35ポイント 角取 25ポイント
『よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!
いくぜ!!!残虐バトルロイアルカウントダウン!!』
「鉄哲、恨みっこなしだぞ」
「おう!!」
『3!!!』 「狙いは…………」
『2!!!』 「一つ」
『1…………!!START!!!』
「実質1000万の争奪戦だ!!」
「はっはっは!!海藤くんいっただくよ──!!」
「さっそく、二組来たよ!!」
「それじゃあ、作戦通りにお披露目と行こうか…………」
『おっとォ!?耳郎チーム動かない?
仁王立ちだ!!何か作戦でもあるのかぁ?ってアレは──ッ!!!』
『GUAAAAAAAAAA!!』
猛々しい咆哮を挙げながら、悠雷は海竜の姿へと変身する。
その姿に観客席のヒーローたちの視線が一気に集まる。
USJで負った傷がまだ少しだけ薄っすらと残っていたようだが、それがいい味してる。
こんな最高の舞台で披露できるならかっこいい方がいいしな。
『海藤最初から全力だぁ!!!』
「はぁ!?変身した!?」
「やっぱり使ってきたね!!」
「悠雷!!こっちは大丈夫。動いていいよ!!」
「ってなんか沈んでね!!?」
『問題ないから、あまり上で騒がないでくれ』
「この状態でも喋れるのか」
試合前の15分じゃ時間が足りなくて、互いの個性の詳細まで知ることはできなかったんだよな。
何故、俺は竜化を使うのにもかかわらず、
竜化した状態で喋ることができることを伝えなかったのだろうか?
まぁ、いいや。別に大した違うがあるわけでもないし。
『海藤、沈むもそれを歯牙にかけることなく、相手の騎馬に突っこんでいく!!
味方ならば頼もしいが、相手としては最悪!!まるで水陸両用の戦車だぁ!!!』
『あいつの個性は『海竜』陸上戦よりも水中戦を得意としている。
沈めても寧ろ有利な条件となってしまう。そんな状況に鉄哲の騎馬がどう対処するかが見物だな』
さて、竜化して鉄哲の騎馬に突っ込んだはいいが沈んだ状態を解除されると面倒だ。
出来れば解除される前に接近したいが…………まぁ、無理だな。
このセメントもなかなかに硬い。
個性にある程度は耐えるように考えられているものだからなぁ。
「動きが止まった!!行くよ尾白君!!」
「ナイス、骨抜!!畳みかけるぞ!!」
『沈んだ状態で個性を解除されて埋まってしまった耳郎チーム、一気にピンチかぁ!!?』
『響香、地面を。上鳴は放電開始。心操は周囲の警戒を頼む』
「「「了解!!」」」
響香が心音を地面にぶつけて悠雷が脱出し、上鳴が放電して牽制している間に体勢を立て直す。
しっかりと響香と心操が感電しないように操作もしている。
やっぱり個性の並列操作は大変だな。
兄さんのように操るまではまだまだ道のりは長いようだ。
「爆豪が近づいてきてる!!」
『わかった。接敵する前にあいつらのハチマキを取るぞ」
「さすがの対応やけど、ずいぶんと余裕やな!!」
『上鳴頼む』
「オーケー!!いくぜ前方放電10万ボルト!!」
「心操、葉隠の方お願い。ウチが鉄哲のほうやるから」
「わかった」
響香がプラグを伸ばして上鳴の放電で動きを止められた鉄哲チームのハチマキを取っていく。
心操も俺が巻き付けた尻尾で近づき、葉隠チームのハチマキを取っていく。
そういや、尻尾を攻撃に使うのは何気に初披露な気がする。
入試の時はカメラを通して見ていた先生方しか知らなかっただろうし。
「ちょっと海藤くん!!そんなうまい尻尾の使い方したらダメでしょ!!
自由自在に動く尻尾しか取り柄の無い尾白君の影がもっと薄くなっちゃうでしょ!!」
「落ち込んでいるところに止めさしたね」
『正直言って、尾白には同情しかしないわ』
尾白にはふわふわな毛があるからいいと思うがな。
俺は猫と同等のサイズまでならないと体毛なんて生えないからな。
かわいい物好きの姉さんによく弄られていたのが懐かしいなぁ
なんだかんだ入学してからあってないのか………
体育祭が終わったら会いに行こう。俺も寂しいし
『耳郎チーム。堅実かつ大胆な立ち回りであっという間にハチマキを奪取したあ!!
そこに一年きっての暴れん坊、爆豪が突っこんでいく!!』
「調子乗ってんじゃねえぞクソトカゲ!!」
「悪いけどお断り!!上鳴、心操!!迎撃よろしく!!」
「チッ!!邪魔するんじゃねえ!!」
『おおおおおお!!?騎馬から離れたぞ!?良いのかアレ!!?』
『テクニカルなのでオッケー!!地面に足ついていたらダメだったけど!!」
響香の指示で二人が動き、爆豪の強襲を退ける。
空中で放電を食らうことは避けたかったらしく、大きく回避するが
その隙に響香のプラグが襲い掛かってくる。
爆豪は悪態をつきながら自分の騎馬へと戻っていく。
後ろの方にB組が見えたけれども爆豪なら問題ないだろう。
爆豪とガチでやり合う前にもっとハチマキを集めとかないとな
その後、戦況を確認するべく一旦主戦場から距離を取る。
『すげえな海藤のとこ、圧倒的じゃねぇか!!』
『教師が依怙贔屓するみたいで言いたくないが、すでにあいつは頭一つ抜けてる。
個性の強さはもとより、戦況を的確に判断し下す指示も的確だ。
この騎馬戦においてあいつは一位を獲る上で一番の障害になることはまず間違いない。
来年の競技から騎馬戦は抜くか、要相談だな』
なんか障害とか言われてんだけど、そんなこと言ったらみんなから狙われないか?
先生なりの激励とか?会議が増えたことへの嫌がらせか?前者であることを願いたい。
おっと、お客様のご来店だ。
「あれ!?障子一人なのか?」
「待って違う!!中に梅雨ちゃんと峰田がいる!!」
「流石、耳郎ちゃんね。奇襲するつもりが、見破られてしまったわ」
「おい海藤…………俺がモテるための尊い犠牲になってくれ!!」
『普通に嫌なんだが……障子の中にいると厄介だな。
仕方ない、少し予定よりも早いが心操頼んでもいいかな?』
「任せろ」
「悠雷、上からもぎもぎが落ちてくる!!避けて!!」
『ナイス響香。お前らしっかりと捕まっていろよ』
上から落ちてくるもぎもぎを響香の指示に従って避けていく。
常に周りの音を聞いて索敵するっていうことを
僅か二週間足らずである程度ものにした響香は本当にすごいと思う。
響香曰く、曲の中に異音が紛れ込んでいるのを見つけるのは得意だとか。
「チックショー!!なんでそんなに巨体なのに小回り効くんだよ!!」
『死ぬほどに練習したからな』
「いくら死ぬほどとはいえ練習で何とかなるものなのか?」
「でも、耳郎ちゃん。ハチマキががら空きよ」
「させないよ」
心操ががら空きとなった響香の頭を狙った梅雨ちゃんの舌をつかむ。
ここまでは作戦通りなんだが、ここからは相手の動き次第で動きを変えなければいけない。
「触った」
「ケロ?」
心操が舌に触れたとたん梅雨ちゃんの動きが止まる。
心操の個性『洗脳』が発動したのだ。
その様子を見ながら、心操は先程の作戦会議を思い出す。
「作戦は俺が開幕すぐに竜化するから、基本的には迎撃がメインになると思ってくれ
攻撃は響香のプラグか俺が二人の事を尻尾で掴んで行う。
上鳴は放電する際は必ず俺の背中にある突起物『背電殻』に触れてくれ
『背電殻』を通して上鳴の電気を操るから
心操は問いかけによる個性の発動はなしで頼む」
「なんでだ?問いかけをしないと俺の『洗脳』は使えない。
まさかとは思うが、個性を使わずに戦えと?」
「いいや違う。言い方が悪かった。
個性を使うならば、必ず相手の体の一部に触れてからにしてくれ」
「は?どういう意味だ?」
「そのままの意味だよ。そっちのほうが、本選で相手の虚を取りやすくなるだろう?
まぁ、ヤバい状態になったら普通に使ってもらうかもしれないけどな」
「なんでそんなことを?」
「ヒーロー科に入りたいんだろ?」
「だが…………」
「ヒーローの本質は奉仕活動。余計なお世話がヒーローの仕事だろ?」
梅雨ちゃんに個性がかかったことを確信し、心操は笑みを浮かべる。
ヴィラン向けの個性を持っている俺にここまでしてくれる奴はいなかったんだから
その期待にこたえたい。ヒーロー科に入って彼らと一緒に学びたい。
心操は純粋にそう思い、命令を下す。
「峰田の頭にあるハチマキを取って俺に渡せ」
「っちょ待てよ!!女子に迫られるのは嬉しいけど心の準備が!!」
「峰田、馬鹿なこと言ってないでハチマキを守れ!!」
「障子、余所見し過ぎ」
「しまっ」
響香が障子の隙をついて心音を流し込む。
手加減されているとはいえ、この種目中は動くことはできないだろう。
峰田は洗脳された梅雨ちゃんにあっさりとハチマキを取られて舌で拘束された。
女の子に弱いというのは別に悪い事ではないと思うが、流石に弱すぎだろ………
『これは、あとで梅雨ちゃんに謝った方がよさそうだな」
「そうだね、ウチも付き合うよ」
「なんか悪いな」
『気にするな。仕方がなかったってやつだ』
「海藤!!スクリーン見てみろよ!!ヤバいことになってんぞ!!」
『なん…………だと!?』
『やはり狙われまくる一位と猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い!!
現在の保持ポイントはどうなっているのか…………7分経過した現在のランクを見てみよう!!
…………あら!!?A組、耳郎チーム以外パッとしてねえ…………ってか爆豪あれ…………!?』
『爆豪が取られてるだと?』
爆豪が正面戦闘でやられたというのは考えずらい…………というか考えたくもない。
幸いなことに現在進行形で単純だとか煽られているから不意打ちだと思う。
これで爆豪の強襲を受けることが少なくなるだろう。
どこまでが悪質な崩しかわからないからあまり相手をしたくなかった。
本選で戦えることを祈って、ほかの人の相手をしよう。
「悠雷、轟が来たよ」
『さぁ、残り時間半分を切ったぞ!!
B組隆盛の中、果たして──1000万ポイントは誰に首を垂れるのか!!』
「そろそろ奪るぞ」
やはり仕掛けてきたか、想定の範囲内だ。
残り時間半分が経過している現在…………間違いなくほかのところも攻めてくる。
ならば、とるべき最善手は…………
『上鳴、二人を頼む』
「わかった!!」
「ウチ等は大丈夫だから、思いっきりやちゃって!!」
『GUAAAAAAAAAA!!』
特大の咆哮に合わせて、最大出力で雷が放たれる。
上鳴がいなければこの技は使うことができなかった。
自らの背電殻に蓄積された電気をすべて使い果たして使う大技『大放電』
味方すらも巻き込んでしまうからね、使いどころには要注意。
技名がそのままなのは気にするな!!
上鳴がいないと使えないというのは俺一人だとまだまだ電気の量が足りないからだな。
もっと個性を伸ばして一人で連発できるようにならないと
『海藤、咆哮と共に大放電!!巻き込まれた奴らが次々とダウン!!
轟は何とか回避し、海藤との一騎討ちに持ち込んだ!!
この勝負からは目が離せなくなりそうだ!!』
「まぁ、防ぐよな。響香、取られないように少し下がれ
上鳴、響香のフォロー。心操、ヤオモモを狙ってくれ」
「「「了解」」」
幸いなことに上鳴が阿保にならなかった。
これはかなり大きいと思うが、限界も近いだろうから放電はもう使えないな。
「残り6分弱あとは引かねえ。悪いが我慢しろ」
『なんだぁ!?轟も海藤に続いて広範囲攻撃!!』
『海藤の大放電で動きが止まったところを狙ったな。
障害物競走で獲た反省を生かしつつ、一対一に持ち込める場面に持っていった。流石だな』
そこから4分間、一進一退の攻防が繰り広げられた。
轟が凍らせて、悠雷が砕くといった場面が何度か繰り広げられた。
「悠雷、上から緑谷が来る!!避けて!!」
『は?』
空中から突如として緑谷が現れる。
空を飛んでいるのはサポートアイテムか…………これは一本取られたな。
『今まで目立った動きのなかった緑谷チーム!!
二チームの争いに乱入し、あっという間に1000万ポイントを持って行ったぁ!!!』
「ごめん悠雷。油断してて奪られちゃった」
『俺も油断してた。まさかここで仕掛けてくるとは思ってもいなかった。
予備プランでいこう。いけるよな皆』
「「「もちろん!!」」」
予備プランなんて言っているが、ただ単にポイントを集めるだけ
作戦会議をしていた時は大放電を使うつもりだったが、ちょうど氷漬けの獲物がいるからね。
とてもお仕事がはかどりますね。
周りの奴らは泣いて懇願するが、無視して全員分の回収を終わらせる。
『1000万ポイントを奪い、逃走に入る緑谷チーム!!
そして、それを追う轟チーム!!一方の耳郎チームは周りの騎馬に悉く襲い掛かる!!
雷を食らったうえで、氷漬けにされた彼らに黙禱!!
あっという間にハチマキを奪い取ると耳郎チームも緑谷チームを追い始める!!』
追い始めたのはいいが、空を飛んでいる緑谷チームには手が届かない。
響香のプラグも常闇のダークシャドウに防がれてしまう。
やっぱり、兄さんから羽を毟ってきた方がよかったか?
騎馬を作りながらだと、どう頑張ってもあの高度まで行けない…………これは詰んだか?
『残り時間が遂に一分を切った!!
現在のトップは1000万を所持する緑谷チーム!!ハチマキ二本保持!!
この鬼ごっこにも終わりが見えてきたぞ!!
更に!!爆豪が物間からポイントを奪いかえし、緑谷チームを追う!!
そろそろ時間だ!!カウントいくぜエヴィバディセイヘイ!!』
爆豪が加わり、さらに混沌とした戦いが始まる中、試合終了のカウントダウンが始まる。
『TIME UP!!
さっそく、上位4チーム見てみよか!!
一位緑谷チーム!!二位耳郎チーム!!三位爆豪チーム!!四位轟チーム!!
以上4組が最終種目へ…………進出だああ──────────!!
一時間ほど昼休憩を挟んでから午後の部だぜ!!じゃあな!!』
「…………負けた」
「お疲れ様」
「ウェ~~~イ(お疲れ様)」
「海藤、ありがとう。次は本選で」
「ああ、手加減はしないぞ?」
「望むところだ」
予想を超えることがあまりにも多すぎた。
自分の能力を無意識のうちに過信し過ぎていたらしい。
“更に向こうへ”だったか?俺はもっと上に登れるはずだ。
今回の反省を踏まえて午後の部に向かおう。