Re. 海竜のヒーローアカデミア 作:willtexture
せっかくの土日なので連続投稿にします。
外は雨風がひどくて何もする気が起きなかったので
ちなみに苗字が海道から海藤に代わっています。
違っていたら誤字報告をお願いします。
第1話 雄英高校入試試験
世界の総人口の約8割が超常能力『個性』を持つに至った超人社会。
────そんな世の中に生まれた存在。
『ヒーロー』と『ヴィラン』
個性を悪用する犯罪者…………
それを──敵、『ヴィラン』という。
それとは反対に個性を発揮してそれらの『ヴィラン』を取り締まり人々を護り、救う存在。
それを人々は『ヒーロー』と呼ぶ。
『架空』は『現実』に
これは俺が最高の『ヒーロー』になるまでの物語だ。
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俺、海藤悠雷は目覚まし代わりのスマホのアラームで目を覚ました。
目覚まし時計と違って誤って落としてしまっても壊れないから便利だ。
昨夜、閉めていたはずのカーテンから朝日が入り、その眩しさに目を細めた。
しっかりと閉めたはずだが、記憶違いだろうか?
ここには誰もいないんだからこんなこと考えていても意味ないか。
今日は俺にとって、否。
俺と同年代のヒーローを目指す少年少女にとって、とても大切な日だ。
そのために今日は朝に弱いが早めの準備を心がけるべく
いつもよりも早めの6時に起床したが、ホントに何故カーテンが空いているのだろうか?
まさか、ポルターガイストか?
非現実的な存在だと言いたいが、この超常社会だと否定できないな。
きっと閉め忘れたのだと思い、身体を解しながら顔を洗いに洗面台に向かう。
何故か、コーヒーの匂いがキッチンの方から漂ってくるが気のせいだろう。
流石に夜遅くにカフェインを取るわけにはいかないから
昨日は4時に飲んだのが最後だ。
その後はしっかりと部屋の換気をしたはずだ。
もしかしたら…………いや、気の所為であって欲しい。
顔を洗い、歯を磨いて母親譲りの蒼い髪を整え、着古したシャツとズボンを脱ぐ。
お気に入りの奴だが、そろそろ新しいものを買った方が良いだろうな。
いくらなんでもヨレヨレ過ぎるし、今度いいやつを見繕ってもらおう。
まだ時間よりもかなり早いかもしれないが、中学校の制服に着替える。
ダラダラとしているよりもこちらの方がいいだろう。
そして、意を決してリビングへと向かう。
「おはよう。よく眠れた?はい、コーヒー入れて置いたよ。悠雷甘いの好きだったでしょ?」
「ありがとうございます。ですがなんでいるんです?
ここ関東ですよ?兄さんの事務所は関東にありませんよね?」
「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない。
せっかく入れてあげたコーヒーが冷めちゃうじゃないか」
「俺は猫舌なんですよ?知ってますよね?わざとですか?」
「そう怖い顔しない」
「今日受験日なんですけど」
「そ、だから来たの。可愛い弟の激励にね」
「そうですか、ありがとうございます。おかえりください」
「釣れないねぇ。まぁ座ってよ」
「はぁ」
「俺から言うことは1つ、頑張りなよ。
自由に自分のしたいようにしなよ。先生の言うこと守って楽にやんな」
「普段の生活見てると兄さんの助言は不安です」
「えー?そんなに俺の信用ない?」
「ないです。兄さんは楽に生きすぎです。
部屋が汚くても楽でイイじゃないで済ませている人ですよ?」
「ダメ?」
「ダメです。やろうと思えば出来るんですからやるか、やってくれる彼女でも作ってください」
「自分の好きにヤらせてくれる彼女を求めるなんて…………悠雷も思春期だもんね」
「言ってません。ストレスで鱗の調子が悪くなるじゃないですか
今日来るなら来るって連絡くらいください。
自宅なのに朝から警戒しないといけなかったじゃないですか」
「ごめんごめん」
「はぁ、疲れた」
「疲れるの早いね。怠けすぎじゃない?」
「朝弱いんですよ。知ってて言ってます?」
「じゃ、お詫びに今日の夜焼肉行こっか。悠雷の合格祝いでね」
「受かる前提ですか…………嬉しいですけど、落ちたら恥ずかしいじゃないですか」
「当たり前じゃん。悠雷は俺の自慢の義弟で、俺が仕込んだんだよ?」
「恥ずかしいことをサラッと言わないでください」
「んじゃ、そういうことで今晩また会おう!時間は連絡するから!!」
「ええ、また」
相変わらず自由な兄だよ。普通は連絡も無しに6時に来ないでしょ。
もう少し遅く来てくれたら良かったのにあのテンションは嫌いでないが朝はやめてほしい。
ん?LINEだ。誰からだ?
『今、電話出来る?』
『ええ、出来ますよ。掛けますね』
LINEに返信して、通話のボタンに指を掛ける。
今の時刻はだいたい6時半。
この時間ならば、きっと起きてあるであろうと思って連絡してきたんだろうな。
「おはようございます。姉さん」
「ええ、おはよう悠雷」
「わざわざ忙しいのに電話ありがとうございます」
「別に謝ることじゃないわ。可愛い義弟のためだもの。後でホークスには厳しく言っておくわ」
「言っても兄さんは聞く耳を持ちませんよ。聞いたらそれはニセモノですから」
「それもそうね。今日は雄英の受験日でしょ?頑張ってね」
「はい。頑張ってきます」
「じゃあ、また今度ね」
「ええ、さようなら」
2人に激励してもらったし頑張らないとな。
そういえば、今日の夜焼肉行くのを伝えてなかったな。
まぁ、兄さんが伝えておいてくれるはずだし問題ないかな。
せっかく、兄さんが入れてくれたコーヒーを冷める前に飲んでおこっと
…………残念なことに冷めてる。せっかく兄さんが入れてくれたのに…………
その後、しばらく放心状態だったが、
受験日であることを思い出し急いで朝ごはんの準備を始めた。
と言っても昨日全部仕込んでおいたから問題ない。
ゆっくりといこう…………半分くらい減ってるんだけどな
食べたなら食べたで一言くらい言ってもらいたかったな。
ん?LINEだ。兄さんから
謝罪のメールか、コンビニで買ったサンドイッチが冷蔵庫に入っているとのこと
ご丁寧にてへぺろのポーズを撮った写真付きだ。
…………ネットにあげてみようかな?流石にダメか。
朝ご飯を食べきり、食器を洗うと筆記試験の最終確認をしておく。
受験票や筆記用具を持つと戸締りを確認して家を出る。
「…………行って来ます」
部屋に反響する自分の声を聴きながらドアを閉めて歩を進める。
歩いて20分程の場所に、その学校が存在する。
【雄英高等学校】
──通称雄英と呼ばれる全国で一番の人気を誇るヒーロー科の高校だ。
いまや、数多く存在するヒーローのナンバーワンヒーローオールマイト。
そのオールマイトを筆頭とするエンデヴァーやベストジーニストなどの
プロヒーロー達を世に送り出してきたのがこの雄英だ。
その倍率は何と驚異の300倍である。
ここは世の中のヒーローを目指す受験生達が集まる場所だ。
だからなのだろう。
ここのヒーロー科を受験する者たちはみな纏う空気が違う。
受かったとしても落ちたとしても大きな一歩となる門。
受けるだけでも称賛される程の試験を前にして、まるで、戦場に向かう兵士のそれである。
「──行こうか」
俺は自分に言い聞かせるようにして、その門をくぐった。
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悠雷は筆記試験を終えて、実技試験の説明が行われる講義室に向かっていた。
悠雷の学力はかなり高い上に幼いころより公安の皆さんの手で英才教育を受けており
それに加えて雄英に通う先輩と通っていた大先輩にしごかれていたので心配はしていない。
唯一、筆記について心配があったとしたら
兄さんの満足の行く点数を取る事が出来なかった場合たっぷりと弄られるくらいか
尊敬できる兄だが、自由過ぎるので度々振り回させる。
稀にヒーローとしての仕事をほっぽっているのではないかと疑うこともある。
今日の朝も家に来ていたし、姉さんと比較すると余計に疑わしい。
そんなことを考えながら歩を進める。
筆記試験を終え、後は実技試験を残すのみ、
この結果で合格が決まると言っても過言ではない為、自然と気合が入る。
講義室に着き、説明が始まるのを待つ。
周りにほかの受験生が座り始め、講義室のドアが閉まると説明が始まる。
『今日は俺のライブにようこそぉ!!!』
広大な講義室。そこで説明がされるのだが、その第一声がこれである。
ボイスヒーロープレゼントマイクが名に恥じない声を講義室全体に響かせる。
ドアが閉められたのはうるさいからという理由でないと信じたい。
プレゼントマイクの空気を読んでいるのかよくわからない
発言にに応じる程、ノリのいい生徒はいないようだが…………
──前言撤回。俺の隣に座っている耳にプラグがある黒髪の少女。
応じたいが、周りに合わせているために黙っているのか、身体をプルプルさせている。
何この子、メチャクチャかわいいな。天使かよ。
周りを見るとやはり顔面偏差値が高い。
ヒーローやるなら人気も必要だからな。そういう事だろう。
流石に中学校で顔面偏差値の低い人を弾いているとか
そういった暗黙の了解とかないよね?
『オーケー!!オーケー!!──緊張しているんだな!!!』
誰も応えることが無かったが、そこはラジオ番組をやっているプレゼントマイク。
お構いなしに話を続けていく。
正直なところよくメンタルが持つと思う。
この人数に無視されたらついつい引きこもりになっちゃいそう。
でも、無視されているだけましなのか?
卵とか石とか投げられたりするよりはマシな部類だと思う。
ここにいる人が聞いたら、同情の視線を浴びせられそうな
自身の過去を思い起こしながらプレゼントマイクの説明を聞く。
『この後は事前に渡した入試要項通りだ!!──持ち込み自由の模擬市街地演習!!!』
俺は、手元にある入試要項に目を向けた。
そこには制限時間は10分間で演習場にいる1~3ポイントの仮想敵を行動不能にして
ポイントを稼ぐ事が受験生の目的だと書かれていた。
謂わば、市街地戦を想定している実技試験。口では何とでも言えるだろう。
──目に見えるような結果を見せてみろというのだろうか?
しかしながら、ヒーローの本質は人助けのはずだ。
そこらへんは今回の試験では確認しないのだろうか?
そこら辺は先輩方は教えてくれなかった。
言うことに従っていれば必ず合格できるし気にしなくていいんじゃないとは兄の弁である。
カンニングみたいなことしたくないから教えてくれなくてよかったけど
俺が思考を巡らせていると、プレゼントマイクに質問する声が聞こえた。
「質問よろしいでしょうか!!プリントに記載されている4種類の仮想敵についてです!!
──これに関する説明がなく、もし誤載ならばこれは恥ずべき痴態!!
どういうことか説明を求めます!!」
────呆れるほど真面目な奴だが凄いな。
受験先の教師に向かって、痴態だなんて指摘するなんて…………
クソみたいに真面目な奴か、ただの馬鹿だが恐らく前者だろうな。
下手したら気に入らないとかいう理由とかで落とされかねない。
数多くのヒーローを輩出した名門校であるからそれはないだろうけどね。
──しかし、その受験生の行動は悠雷の予想のさらに斜め上を行く。
突如として振り返ると、後ろの受験生を指差し、注意を始めたのだ。
「ついでにそこの君!!──そう縮れ髪の君だ!!
さっきからボソボソと気が散るじゃないか!!物見遊山ならば立ち去りたまえ!!」
これはもう…………軽い公開処刑だな。
合格した後もこれはついてまわりそうだな。
隣の同じ制服を着ている奴も他人のように振舞っているし
『オーケーオーケー!!
そこの受験生、ナイスなお便りサンキュー!!説明しちまうと、この四体目は──』
──0ポイントのお邪魔虫だ。
この四種類目の仮想敵は得点ゼロで、しかも倒すことはほぼ不可能ときた。
文字通りにお邪魔虫であるらしいが避けるべき相手だとは思わない。
──ヒーローの本質は人助け。
この実技試験では0ポイントに対しての対応を見ているのではないか?
勿論、筆記試験や実技試験の結果も見るが、
こいつへの対応の仕方で追加点のようなものが存在するのだろうか?
凶悪なヴィランが現れた際に人々がとる行動は
無謀にも戦いを挑むかパニックを起こして逃げ回るこの2つだ。
兄に人助けのノウハウを叩き込まれたために特に心配はされていなかったのだろう。
休日はサイドキックに混ざって避難誘導なんかもしてたし
仮免を持っていない中学生にさせる事じゃないんだよな…………
「──面白いな。アクシデントは付き物って訳か?」
俺はプレゼントマイクの説明への疑問点を頭にしまい込む。
口には出さないが兄に感謝の念を伝えるとパンフレットをカバンにしまい込む。
これはとりあえず記念品として大切に保管しておこう。
そして、プレゼントマイクは説明を終えると手を叩いて己へと注目を集める。
『それじゃ俺からは以上だが…………最後にリスナーの皆に我が校の教訓プレゼント!!
──かの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った』
──真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者だと。
『Plus Ultra!!──それでは皆…………』
──よい受難を。
▼▼▼
説明後、A~Gの七か所の試験会場に別れた受験生達は、
それぞれジャージなどの動きやすい服装に着替えて待機していた。
雑談、準備運動、深呼吸等々。
受験生達がそれぞれ行動する中、悠雷は目を閉じ瞑想しながら発電を行っていた。
いろんなことを思考しながらなので瞑想ではないかもしれないが
実技試験の相手である仮想敵はロボット。
電気という効果的な手段があるのにそれを利用しない手はない。
街中では基本的に竜化をしない。
下手な場所で竜化を使えば、街を壊してしまい損害賠償がヤバい。
姉さんは一時期それが原因で頭を抱えることがあった。
うっかりで億に届く賠償金だもんな…………
今回の実技試験でかかる工事費用を考えると頭が痛くなってくる。
壊してしまっても払うのは俺じゃないんだけどね。
どうしても姉さんの持っていた請求書がどうしても頭をよぎる。
最近デビューした巨大化するヒーローの事務所はよく赤字にならないよな。
デビューして以降、結構な頻度で街を壊しているのに
『ハイ!!!スタァァァァァトッ!!!』
「は?」
『どうしたぁー!?実戦にカウントダウンなんて存在しないんだよ!ほら、走れ走れ!!!』
プレゼントマイクの言葉を聞いて動き出す受験生達。
悠雷は彼らの先を行くために、全身の末梢神経に電気を流して身体を強化する。
この技は兄の飛行スピードに追い付くために編み出したものだ。
これを使えば、新幹線まではいけないが高速道路を走る車なら追い抜ける。
だいたい最高速度で90キロほどだな。
これを習得したとき。本当にオールマイトは人間か疑ったことがある。
走り出しながら、自らの体の一部を竜化させる。
背の先には刃物のように長い爪が生えてくる。
手足は堅く、あらゆる攻撃に耐性を持つ鱗が生えてくる。
この鱗が優れたものだと知ったとき、兄さんに何枚か剝ぎ取られたっけ
あのナイフは痛かったな。
再生は出来るけど痛くないわけじゃないんだからもう少し優しくしてもらいたかった。
最大硬度の鱗もあっさりと剝ぎ取られたからな。
ちなみに姉さんには剝がれる前に自分から渡した。
開始前に蓄電していた電気を爪に纏わせて
本能に近い感覚で仮想敵の位置を確認するとその場所に向かう。
雷を纏った爪は、攻撃しようと目の前に現れた2ポイントの仮想敵をたやすく切り裂いた。
そして、悠雷はさらなるポイントを求めて、
受験生が多い入口付近から離れてより多くの仮想敵が存在する市街地の奥へと向かった。
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「これで、だいたい60ほどかな?これだけ倒せば大丈夫だろうか?」
俺が、市街地の奥に向かってから7分程がたったころ。
俺は既に数十体の仮想敵を倒し、60ポイントを集め終わっていた。
単純な電気を飛ばすだけの攻撃や
携帯している水筒の水を利用した水刃を試すことができて満足していた。
流石に人に使ってやり過ぎるわけにいかないので威力調整ができてよかった。
知り合いは普通の人間という部類には収まらないからな。
これくらいならば、練習の相手に丁度いい。
どうせならば、習った武術も試そうと
仮想敵の位置を電気を探る用量で探り仮想敵のもとに向かうと
講義室で隣に座っていた黒髪の少女が、仮想敵に襲われてピンチな場面に遭遇した。
悠雷は、瞬間的に体に流す電気の出力を上げてその仮想敵を破壊した。
動きに緩急を付けるとより効果的とは兄の教えである。
ロボット相手では大した意味はないけどかっこいいからやった。
いずれオールマイトのスピードを超えたいものだ。
でもそのためには新幹線のスピードをまずは超えないといけないんだよなぁ…………
「大丈夫か?」
「ありがとう。助けてくれて」
「見たところ足を挫いているようだが歩けるか?無理ならば入口まで送っていこうか?」
「大丈夫。入口までなら歩いて行けるから」
「そうか。まあ、入口までは護衛しよう。
後で入り口に着くまでにまでに怪我をしたとか聞きたくないからな」
「ごめんね。試験の途中なのに」
「問題ない。既に60ポイントを稼いでいるからな、落ちることはないだろう」
「60!!?この短時間で60ってアンタ凄いね」
「それほどでもあるな」
「そこは謙遜するところじゃないの?」
「謙遜すると俺に教えてくれた人に失礼だからな。それにヒーローの本分は人助けだ。
今助けられていることを申し訳なく思う事は無いぞ?
何かしらの事で返したいというのであれば困っているときに助けてもらいたいがな」
「奉仕活動じゃないんだっけ?それはそれ、これはこれだ」
そんな会話をしているうちに、入口に着く。
やっぱりこの会場は異様に広い。
緊急時の避難場所としても利用するからという部分はあるだろうが
本当にどれほどのお金がかかっているのだろう…………
「本当にありがとう。貴重な試験の時間を割いて貰って」
「どういたしまして。余計なお節介がヒーローの仕事だろ?当然のことだ」
助けた黒髪の少女と別れて再び市街地にやって来た。
辺りの電気を操り、周りの様子を探ってみると地下に大きなロボットがあることが分かった。
これが0ポイントの仮想敵か?予想よりもデカいな。
その地点に行こうとすると、突如として地面が割れて中から巨大な仮想敵が出て来た。
「これが、0ポイントの仮想敵か。目で見ると感知した時よりも大きく感じるな」
0ポイントが、その巨大な体格でビルをなぎ倒しながら進んでいた。
1~3ポイントの仮想敵とは規模が違う。
歩くだけでビルに亀裂が走り、衝撃が生じる。まさに歩く災害。
受験生達は皆、這う這うの体で逃げ出しており
挑みにかかったものも数秒で逃げる者たちに加わる。
──だが、俺の中に恐怖はなかった。
それよりも0ポイントを破壊したいと『海竜』の本能が訴えていた。
それに、自分の姉の方がよほど怖い。
怒らせてはいけない人は世の中に存在するものだ。
「…………確か、校訓はPlus Ultraだったか?
さらに向こうへ。この素晴らしい試練に感謝するとしよう」
俺は両手に爪を身体に鱗を生やして0ポイントに突っ込んだ。
甲殻やら尻尾なども追加できるが、この程度の相手ならば必要ないだろう。
予想以上に強かったら、使えばいいだけの話だし。
幸いなことに周りの人は全員が逃げているために巻き込んでしまう危険性はない。
やるなら思いっきりやろう…………そう、受験勉強のストレスを解消するために
それからは蹂躙という言葉が相応しい状況となった。
悠雷は周囲の足場そして、0ポイントの体を使い
強化した四肢での高速移動で0ポイントを翻弄し無数の攻撃を刻み込んでいた。
「この程度ならば、部分竜化の完全版ですらする必要を感じないな…………そろそろ締めに入ろう」
悠雷は0ポイントを踏みつけ、大きく跳躍した。
空中から爪の一点に雷を収束させて放った一撃が、0ポイントに炸裂し粉砕した。
機械である以上、関節などを攻撃していけば簡単に崩すことができる。
この雷の威力ならば、攻撃回数を減らしてもよかった気がするな。
悠雷が地面に着地するのと同時に実技試験の終了を知らせる
プレゼントマイクの声が辺り一面に響き渡った。
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──その試験の様子を、巨大なモニターで雄英の試験官達が見ていた。
「救助活動ポイント0で2位とはなあ!!」
「『仮想敵』は標的を捕捉し襲い掛かってくる。
後半皆が鈍ってくる中、派手な個性で寄せ付け迎撃し続けた。タスネスの賜物だ」
別の画面では巨大な0ポイントが拳の一振りで破壊される映像が流される。
それを成し遂げた少年は情けなく落ちていったが、女子生徒の個性によって事なきを得た。
「Year!!またやりやがった!!今年は本当に豊作だな!!!」
「うん。まさか0Pが一日に二体も壊されるなんてね」
雄英の試験官であるとともにプロヒーローでもある者達。
そんな彼等が見ている映像には二人の少年が映っていた。
一人はオドオドした様子ばかりの緑髪の少年。
──だが、その少年は0ポイントへと飛び出すとそのまま、文字通りぶっ飛ばしたのだ。
「しかし、まさか敵Pが0…………救助活動ポイントだけで合格とはな」
「倍率300倍…………全員がライバルだ。
──だからといって、それが助けない理由にはならん。
そんな奴らは、ヒーローになる資格もない」
雄英側が受験生達に知らせていないもう一つの採点基準が存在する。
────それが、【救助活動ポイント】
よんで字の通り、救助活動に対しての追加得点である。しかも審査制。
緑髪の少年──緑谷 出久の成績は敵Pが0だったが、救助活動は60ポイントを獲得。
結果、総合順位は全体の第9位。
「ずっと典型的な不合格者の動きだったけれど、最後のは痺れたわねぇ」
「本当に大した奴だぜ!!何度もYEAH!!って叫んじまった!!
──が、インパクトだったら、総合1位も負けてねぇな!!!」
「──と言うよりも彼は、既に頭一つ抜き出ているよ」
そう言うと、モニターの画面が切り替わり、一人の少年──海藤 悠雷の映像に変わる。
「海藤 悠雷──敵Pが60P、救助活動ポイント32点の総合1位。
救助活動Pは9位に劣るが、それを霞ませるほどの実力だ」
試験官達が見つめる映像。
そこには手足の一部を変化させて仮想敵を薙ぎ倒す悠雷の姿が映っていた。
「手足…………そして尻尾まで変化させ、ここまで扱うのか」
「それだけじゃない、雷撃や水刃などを飛ばすなど芸達者だ」
「そのうえ、武術や体術まで一流ときた」
戦闘能力や学力はは申し分ない。
そのうえ、状況判断能力や、そのスピードも素晴らしい。
教師たちは口々に悠雷の能力や、個性の強さを称賛していた。
「しかも、これで本気ではない点に驚きよね」
「ああ、個性『海竜』リューキュウの個性と似た個性だったよな」
「彼の個性は特殊だからね。まあ、その姿もこの先見ることができるさ」
言葉を話すネズミ──雄英の校長の言葉を最後に教師達はモニターの映像を切り替えた。
▼▼▼▼
おまけ
俺は雄英の実技試験を終えると、
助けた子の怪我が悪化したりしてないか保健室に確認しに行ってから
兄さんとの待ち合わせ場所へと向かった。
その子の名前は本人から聞く事は無かったが、耳郎響香というらしい。
耳郎ってなんか呼びづらいな…………本人に許可がもらえたら響香と呼ぶことにしよう。
一方で兄さんは流石と言うべきか、ファンの人達が群がっている。
普段はこんなとこで見れないもんね。
コアなファン達はわざわざ事務所のある方にまで出向いて
張り込んでいるらしいけど、ソレってストーカーじゃないよな?
たまに兄さんに彼女が出来たら刺されるんじゃないかと心配になる。
…………にしても人多いな。
仮免とか持ってないから許可なしに個性は使えないから強行突破なんてできない。
兄さんが気付くまで待つか、先に行っておくか
いや、先に行ったら拗ねるだろうし待っていようかな。
LINEしとけば多分きっと気付くだろうし。
そこから待つこと約30分ほど。
待ち合わせ時間になっても俺が来ないからか、
ようやくスマホを見たらしくこっちに歩いてきた。
まぁ、あの人混みなら仕方ないけど結構待った。
30分前とかじゃなくて、5分前に来れば良かったかな。
「ごめんね悠雷、待たせちゃって」
「別に大丈夫です。ファンサービスはもういいんですか?」
「2時間以上してたし、もう大丈夫かな。んじゃ行くよ!!」
「はいはい」
2時間も前から先にいたという事には何も言わないからな?
いくらなんでも過保護すぎるのではないか?
ファンサービスが2時間ということはその前からいた可能性も…………
これ以上考えるのは辞めた方が良さそうだ。
「ねえ、ホークスさん!!その人とどんな関係なの!?」
「あ、ソレ私も気になる!!」
「ん?悠雷は俺の義弟だよ。
雄英の受験の帰りに焼肉行く約束してたからねちょっと道開けてね~」
その言葉を聞いてマスコミが兄さんと俺の事を写真に収めようとしてくる。
予想通りだけどもやっぱり面倒臭い。
「やっぱり現地集合にしとけばよかったな…………」
「なんで?」
「なんで入学前から騒がれなきゃ行けないんですか…………
それに俺は色メガネで見られたくないんですよ」
「まぁ、そのうち知られたことだし、さっさと行くよ!!」
その後、仕事終わりの姉さんを拉致って焼肉を食べた。
一応、兄さんは姉さんにも声をかけていたみたい。
店から出た時の写真をマスコミが撮って、ホークスとリューキュウの熱愛発覚か!?
と言ったようにお茶の間を騒がしたのは別の話。
次の日の新聞がホークスとリューキュウの隠し子発覚!?という記事なのは
インパクトがヤバかった。
…………冷や汗も
ホークスとリューキュウの口調がよくわからない......
こんな感じでいいのかね?
リメイクというか書き直すと文字数が増えたっていう不思議。