Re. 海竜のヒーローアカデミア   作:willtexture

22 / 32
職場体験一日目です。


第16話 職場体験・その壱

 コードネームことヒーローネームを決めた日から一週間が過ぎた。

 二つの違いって何があるんだろうか?かっこよさの違いかな?

 コードネームと聞くと、どこぞの組織のエージェントみたいだよね。

 

 そして、ついにこの日が…………職場体験の日がやって来たぁ!!

 と言っても何度も行ったことあるし?

 職場体験というよりも家族の職場に行く感覚に近い。

 まぁ、楽しみで気が付いたら朝になっていたんだけどね。

 

 インターンで来ているねじれちゃんはもとより、

 サイドキックであるスモーキーさんやベルベットさんとも旧知の仲だ。

 といっても事務的な事でしか話す事は無いけれどもね。

 サイドキックの二人とはせいぜいが仕事仲間といった関係かな。

 どうしても人との関係の取り方に悩んでしまうんだよね。

 事務所には何度か夏休みに行ったことが記憶に新しい。

 ランキング上位に入っていながらも少数精鋭を地でいくというように

 サイドキックの二人もとても優秀だ。

 

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

 

「はーい!!」

 

「伸ばすな「はい」だ芦戸。くれぐれも失礼のないように!!じゃあ行け!!」

 

 相澤先生のありがたい言葉を聞いた後に蜘蛛の子を散らすように移動を始める。

 みんな眠そうにしてたし、きっと楽しみ過ぎるんだよね。

 一部例外はいるけど…………目をそんなにギラギラさしていて乾かないのか?

 こんどいい目薬でも渡してあげよう。

 

「楽しみだな!!海藤はリューキュウ事務所だったよな。

 終わったらどんなことしたか教えてくれよ?」

 

「ああ、上鳴のも教えてくれよ?じゃあ、また一週間後にな」

 

 皆と別れて一人で新幹線に乗り込む。

 俺には電車の切符が買えないとか、電気を付けていないと寝ることが出来ないとか

 実は私服が「本日のシェフ」とかという落ちはない。

 そういえば緑谷の私服って絶妙にダサいよね。

 個性が出ていると言える服装だけれど、

 オールマイトのTシャツしか持っていないと思っていた。

 流石にこれは偏見が過ぎるかね。

 なんていう下らないことを考えていると気が付いたら目的の駅についていた。

 

「雄英高校から来ました。海藤悠雷です。しばらくの間、よろしくお願いします」

 

「そんなに畏まらないでもいいのに。まぁ、よく来たわね。

 他の事務所ではなく、ここを選んでくれて嬉しいわ」

 

「流石に職場体験の最初くらいはしっかりと畏まらないとダメでしょう。

 しばらくの間、よろしくね。姉さん」

 

「ええ。それで何を重点的にやりたい?」

 

「やっぱり竜化したときの立ち回りが苦手なので、それを克服したいです」

 

「向上心があるのはいい事ね。先ずは荷物を置いてきなさい。ロッカーはいつもの場所ね。

 荷物をしまって準備が終わったらパトロールに行く予定よ。

 何か質問はある?職場体験だからと言って特別なことはするつもりはないからないと思うけど」

 

「ええ、ありません。すぐに準備してきます」

 

 事務所の奥にある男性用のロッカールームに入って

 普段から俺が使っているロッカーに荷物をしまう。

 普段から使っているといっても使ったのはたったの8回だ。

 サイドキックが少ないからこそ出来ることだ。

 兄さんの事務所だとそう都合よくはいかない。

 兄さんの部屋に置くっていう変化位だけど

 

 家族がヒーローというのはこういう点で便利だ。

 警察との連携なんかやいろいろな事へのノウハウなんかも教えてくれるしね。

 ヒーローコスチュームをきてスマホを持って外に出る。

 ちなみにだけれど事務所にはスモーキーさんが居た。

 ねじれちゃんとベルベットさんはパトロール中なのかな?

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

「わかりました」

 

 街に出ると普段よりも多くの視線を頂戴する。

 この視線は体育祭が終わったあとのものと同質の興味を持った視線だ。

 毎年恒例の職場体験だものな。

 普段見かけないヒーローコスチュームをきた子供がいればそれはヒーローの卵だからな。

 そりゃ好奇心の籠もった視線をいただくわけだ。

 

「やっぱり気付いたわね」

 

「ここまで普段と違うと気付くでしょうよ。

 これが噂に聞く雄英名物ですか…………張本人となると疲れますね」

 

「でもファンにはしっかりと対応してあげないと駄目よ?

 乱暴な対応をして炎上したヒーローもいるんだから」

 

「姉さんの実体験ですか?」

 

「私の 先 輩 の体験よ。同じ轍は踏まないようにね」

 

 揶揄おうと思って姉さんのって聞いたら少し低めの声で言われちゃったぜ。

 これ以上は危険が危ないから大人しくしておこう。

 

「わかりました」

 

 そのまま姉さんと街を歩いていくが、この街はやはり静かでいい街だ。

 雄英の周辺は活気があるからその分犯罪も多い。

 オールマイトがいても尚、犯罪が完全には無くならないからな。

 その点、この街ではあまり大きな犯罪が無い。

 そのためにチームアップ要請を受けてすぐに動くことが出来るのだ。

 ヒーロー殺しの件に関わることが出来れば

 飯田が復習しようとしている場合に止めることが出来るのにな。

 こればっかりはボヤいても仕方がないな。

 ん?あそこいるのは小学生か?なんであんなところにいるんだろうか?

 校外学習でもこれから行くのだろうか?

 

「さて、ラギアクルス。早速ファンサービスの時間よ。

 実は雄英生が職場体験に来ていたら一目でいいから見てみたいという子供たちが多くてね」

 

「それで授業が行われている時間にこんなところにいるんですか…………

 学校に行けばよかったのでは?どの道ファンサービスするんですから」

 

「あら、今度はそうしましょうか。

 一応、気を使ってあまり時間を取らない様にしたのに」

 

「お気遣いいただきありがとうございます。

 ええ、感謝の念と共にファンサービスに取り組ませていただこうと思います」

 

「相変わらずの面倒くさがりね。

 まぁ、いいわ。任せた仕事はしっかりとこなしてくれているしね。

 いきましょう。彼らの時間を取るわけにはいかないわ」

 

「はい」

 

 こちらの事をキラキラした目で見てくる小学生の一団に近づいていく。

 一応、補足しておくとここは市役所の近くにある広場である。

 そう、広場である…………遊具どころかベンチすら無いんだけどこここ

 

「こんにちは岡本先生。こちらがうちの事務所に体験に来た海藤悠雷。

 ヒーロー名『ラギアクルス』です」

 

「岡本先生よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしくお願いします。

 リューキュウさん子供たちのお願いを聞いてくださりありがとうございます」

 

「いえ。こういったこともヒーローの責務の一つですからね。

 ラギアクルスは子供たちの相手をお願いね。

 “個性”の使用は竜化以外なら許可するわ。子供たちの要望に可能な限り答えてあげてね」

 

「うす」

 

 姉さんの言葉通りに受け取ると部分的な竜化までは披露していいと

 子供たちが求めることをよくわかっていらっしゃる。

 ひとつ問題があるとするならば、流石に37人は多くないか?

 ヒーローショーの時のことが思い出されてしまうぞ。

 

「リューキュウ事務所に職場体験できた“ラギアクルス”だ。よろしくね」

 

 やっぱり第一印象って大事だよな。

 しっかりと外之の笑顔を作って対応する。

 

「雄英体育祭で優勝した人だ!!」

「すげぇ、ホンモノだ!!」

「ねぇ、あの竜みたいな姿になってよ!!」

「ハッ!!俺の方がすげェんだからな!!」

「あの二人の女の子のどっちが本命なのですか!?」

「ヒーローになるにはどうすればいいんですか!!」

 

 最近の小学生はみんなこんな感じなのか?

 俺は聖徳太子ではないんだぞ?うちのクラスだと障子が出来そうではあるが

 というか、爆豪もどきがいなかったか?

 小さい子が憧れた人を真似するのはよくある事だから珍しくないけれど

 先生にはこれから先の教育を気を付けて欲しいです。

 

「えっと、あの姿にはここではなれないかな。それに関してはごめんね。

 手とか尻尾位なら今でもなれるよ」

 

 そういいながら部分的な竜化をする。

 爆豪戦で披露目することになった鱗と甲殻付きの完全版で

 

「カッコイイ!!ねぇ触ってもいい?」

 

「いいよ」

 

 そういうと半分以上が群がってくる。

 爪を触ってくる人や鱗を剝がそうとしてくる人。

 尻尾にしがみついてくる人もいる…………サービスで尻尾で持ち上げてやろう。

 だが、残念だったな小僧。俺の鱗は簡単には剝がれないぜ。

 剝がすことが出来たとしてもお前にやる事は無いけどな。

 意地汚いって?剝がされるのは痛いんだよ。ホントに

 

「おい、無視するな!!」

 

「ん?」

 

 そっちの方を見てみると爆豪もどき君がいた。

 オリジナルのように自尊心が非常に高いようだな。

 俺に無視というかスルーされて傷ついたみたいだ。

 もう、すこし涙目になっている…………なんか、可愛い。

 

「お前、俺と勝負しろ!!」

 

「勝負?」

 

「優勝したお前よりも強かったら俺が雄英で一番すごい!!」

 

 なんかスゲー滅茶苦茶な理論を展開しているんだけど…………手遅れなのでは?

 爆豪もどきではなくて劣化した幼少期の爆豪だ。

 緑谷から聞いた限りではもっとちゃんと?していた。

 ここはひとつ、人生の先輩として軽く締めてやらないとな。

 

「あ、荒滝くん。すこしこっちに来てくれる?」

 

「うるせえクソババア!!」

 

 文句言いながらも先生の方に走っていった。

 そして、姉さんと話しているんだけど…………頬が染まっている。

 なんだ、そういう事なのかよ。

 あの子の想いが届くことを祈っているよ。

 

「ヒーローになるには何をした方が良いの?」

 

「ヒーローになるにはだっけ?君の個性は何かな?」

 

「えっとね『段剣尾』!!剣が生えた尻尾を生やすことが出来るの!!」

 

 なるほど…………なんか尾白君が可哀そうになってきた。

 剣の切れ味は“個性”が成長することによって良くなっていくだろうから考えないでよい。

 一応、高学年だから体力トレーニング位なら教えても問題ないだろう。

 無理はしないように言い聞かせるのも忘れずに

 

「だったら先ずは体力をつけていくところからかな。

 どんなヒーローになるにしても体力はあって損はしないからさ。

 毎日この街を一周するとか簡単なことから始めてみるといいよ」

 

「うん!!ありがとうヒーローのお兄ちゃん!!」

 

 なんだこの子…………笑顔が尊い。

 やっぱり子供の笑顔ってとてもいいものだと思いませんか?

 なんか滅茶苦茶睨まれているんだけど…………俺何かやらかしたのか?

 この女の子はあの男の子のことが好きなのだろうか?

 だから俺になついている姿を見て嫉妬しているとかか?

 男にも嫉妬するとか可愛いかよ…………すこしヤンデレになりそうな気はする。

 

「どうかしたか?」

 

「…………あの二人のうちどっちが本命か聞いてない」

 

 そっちの方だったのかよ。

 小学生といえど、恋愛にはしっかりと興味があるんだろう。

 そのことを聞いた女の子たちが俺の答えに耳を澄ませている。

 ここはなんと答えるべきだろうか?いや、有耶無耶にしよう。

 

「君はどっちだと思う?」

 

「…………多分だけど、サイドテールの人だと思う。

 身体を掴まれて連れていかれるときになされるままだったから。

 イヤホンの人の事が好きだったら抵抗するはず」

 

 こいつ…………やり手だ。

 しっかりと人の事を見ているな。

 これは誤魔化すよりも他の人を生贄にささげた方が良いのではないか?

 

「その話、お姉ちゃんにも聞かせて欲しいな~」

 

「姉さん!?」

 

 馬鹿な、いつの間に背後に立っているんだ!?

 気配なんて感じることが出来なかったぞ?

 普段の状態ならばいざ知らず、今は個性発動中だ。

 これが、ドラグーンヒーロー“リューキュウ”の力とでも言うのか。

 

「ほらほら。早く言っちゃいなよ。言ってしまえば楽になるんだからさ」

 

 これは…………詰んだな。

 二人のうちどちらがいいとかそんなことは考えたことがない。

 恋愛感情を抱いているのかすら怪しい。

 しいて言うならば『仲の良い女友達』

 ちょっとヴィランでも出てくれないかな?

 

「悠雷、行くわよ!!」

 

 突然、姉さんが道路の方に走り出す。

 身体に電気を流して身体強化を施して姉さんに追いつく。

 

「ヴィランだぁ!!人を轢こうとしているぞ!!」

 

 その声に反応してそちらの方を見ると、トラックが

 とあるカップルに突っ込んで行こうとしているのが見えた。

 車を運転しているのが一人と屋根の上から銃を乱射しているのが一人。

 幸いにしてまだ事件は起きていない。

 

「ラギアクルスは車を止めて、私は外のヴィランを」

 

「了解」

 

 姉さんが個性を発動して車の上のヴィランを拘束する。

 その間に回り込んで車を受け止める。

 本当に危ない…………会話に集中しすぎて轢き逃げ事件を阻止できなかったかも知れない。

 

「ラギアクルス。会話をしながらも周囲の警戒を怠らない様にね。

 でも、その後の行動は問題ないわ。次、頑張りましょう」

 

「うす」

 

 はぁ…………なんか自信なくすなぁ…………

 その後は元通りに笑顔を絶やすことなく、子供たちと戯れて別れた。

 今回の職場体験でヒーローの立ち回りを学ばないとな。

 うん。これから頑張ろう!!

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 

 岡本先生

 

 リューキュウ事務所の近所にある小学校の教頭先生。

 個性は『思考加速』

 正直言って、これから先に出番はない。

 

 

 爆豪っぽい言動の少年(性は荒滝、名はまだない)

 

 リューキュウに一目惚れした。

 なんかの本で荒っぽい男はモテると読んで(それなら苦労しない)

 そんな言動になった………想いが届くといいね。

 

 

 個性『断剣尾』の少年(名前未定)

 

 ヒーロー志望の少年。

 個性はあれだよ、あれ。モンハンやったことがあればわかるはず

 再登場はもしかしたらあるかもしれない。

 

 

 




次回は二日目ですね。ねじれちゃんも登場予定です。
感想と評価をよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。