Re. 海竜のヒーローアカデミア 作:willtexture
新しく朝が来た!!遂に職場体験は6日目を迎えた。
今日は兄さんの事務所がある九州に行ってチームアップだ。
そのため新幹線に乗っての移動中となっている。
「ねえねえ知ってる?中国地方は柑橘類系が特産物で多いんだって!!」
「そうなんですか?」
「うん!!日本なしやもも、ぶどうにレモン!美味しい物がたくさんあるよ!!」
「帰りに幾つか買って帰りましょうか。
ねじれと悠雷もクラスの人に何か買っていったらどうかしら?」
「それじゃあ、レモンでも買って帰ろうっと!!」
「果物は嵩張るからお菓子でも買う事にします」
「お金は私が払うから気にしないでいいわ」
「「はーい!!」」
そんな会話を楽しんでいるといつの間にか九州に着いていた。
ねじれちゃんはレモンを買うことに決めたそうだが、なぜにレモン?
わかんねえだろ?おれもわかんねえ。
何故か酸っぱいものを口にして落ち込む天喰先輩の姿が脳裏に浮かんだぜ。
ここまでは新幹線での移動となっていたが、目的の駅に着いたので
ここからは車で行くことになっていて兄さんのサイドキックが車を手配しているらしい。
待ち合わせの時間よりも少し早めの時間に着いたのでまだ来ていないようだ。
「まだ時間に余裕もあるからそこの売店でなにか買いましょう。
朝食べてから少し時間も経ったし、軽い物なら食べれるかしら?」
「ねえねえリューキュウ!!特大ジャンボパフェだって!!
あの大きさなのに崩れていないなんて不思議だね!!」
「確かにそうね。どうやってバランスを取っているのかしら?」
「これが匠の技ってやつか…………食べきれるかな?」
「食べるならこれにしようよ!!」
「まぁ、記念にという点ならいいのかも知れないのだけれど食べきれるかしら?」
「どうでしょうか?三人でもこの量は流石に厳しいんじゃないでしょうか」
「ねえねえ知ってる?甘いものは別腹なんだよ?」
「なにそれ女の子って不思議」
「三人でならいけるかもしれないから物は試しで食べてみましょうか」
「わかりました」
「私買ってくるねぇ!!」
「早ッ!!」
という感じの会話があったあと、俺たち三人は席に座ってパフェを待っている。
軽食に何かしらを買うという話だったはずなんだけれどなんで甘未を食べようとしているのか?
美味しそうだから何も問題ないけど、不思議だね。
「見た目に反して甘さは控えめになってますね」
「流石にこの量の甘ったるいものを食べれる人は少ないからじゃないかしら?」
「うちのクラスに一人いけそうな奴がいますけどね」
「その人の胃袋ってどうなっているんだろうね?不思議だね!」
「ねじれちゃんの胃袋も大概です」
「女の子にそんな事言わないの悠雷」
「すいません」
「もう私怒ったんだからね?」
「ねじれ、頬に生クリームが付いてるわよ」
そういった姉さんが頬についていた生クリームを人差し指で掬って食べる。
姉さんの女性人気が高いのもこういった仕草によるものだったりする。
しっかりと録画できたのであとでTwitterに挙げておこう。
「それにしても多いですねコレ」
「三人じゃ少し厳しいわ。迎えに来たサイドキックに頼めないかしら?」
「流石にダメでしょう。お金を払ったんだから責任もって食べないと」
「それに来るのはサイドキックじゃなくてホークス本人だろうしね」
「ですね。兄さんがこの機会を逃すわけありません。
という訳で兄さん…………コレを食べるの手伝ってくれませんか?」
「さっきと言っていることが矛盾しているよ?食べるのは全然いいけど。
それとよく気が付いたね。気配を完全に絶っていたんだけど…………」
「姉さんの瞳に兄さんが写っていたので気が付けました」
「あちゃ~ミスったな」
「ホークスが来たことだし、さっさと食べてしまいましょう。
やるべき事はまだまだ沢山あるのだからね」
「「「はーい!!」」」
その後、四人で頑張って食べた。
店に来ていた人たちにホークスがいると騒がれて、リューキュウもいるとなったのは別の話。
ファンの人に揉みくちゃにされたとだけ言っておこう。
そして遂にやって来ました!!ナンバー3ホークスの事務所に!!
「ようこそお三方!!それじゃあ早速着替えてパトロールと行きましょうか!!」
「「おー!!」」
「事前の電話で決めた通りでいいのよね?」
「勿論!!常闇くんのこと暫く任せましたよ」
「任されました」
「ねじれちゃんはうちのサイドキックとお願いね」
「は~い!!」
「悠雷は勿論、俺と一緒に行くからほら急いで!!時間は有限、リトライは無限!!」
「時間あってのリトライでしょう。それじゃあ着替えてきます」
サイドキックの人に連れられてロッカールームに向かう。
以前来た時よりもサイドキックの人数が増えている。流石、ナンバー3の事務所だ。
ロッカールームの中にはちょうど常闇が居た。
久しぶりに話してみたいと思っていたからちょうどいいな。
「常闇、久しぶり!!」
「む?悠雷か。久しいな」
「これまでの職場体験どんな感じだった?楽しかったか?」
「今日は普段よりもえらくハイテンションだな…………
俺はホークスに指名されたが彼に全くと言っていいほどついて行く事が出来なかった。
自分の無力さを感じると同時に他の皆…………
特にヒーロー殺しと対面した緑谷や轟、飯田…………
彼らに置いて行かれてしまったのではないかという焦りも感じている」
「やっぱりそうだよな。あの三人が得た経験値は他と比べても別格だと思う。
移動速度という点で考えるなら姉さ…………リューキュウに相談してみたらどうだ?」
「リューキュウにか?」
「ああ。リューキュウは個性発同時にどのように動けばいいのかと昔考えていたらしくてな。
その結果として動きをできるだけ最小限に抑えて無駄をなくすという点を鍛えたそうだ。
無駄なロスが無くなれば結果として動きも早くなるからな」
「なるほどな。無駄を省く…………立ち回りの最適化か」
「後は…………そうだな。ダークシャドウに投げてもらうとかはどうだ?
ダークシャドウのパワーとスピードなら抱えて貰っているだけでかなりの速度になるだろう?」
「ダークシャドウに抱えてもらうか…………その発想はなかった。
悠雷に言われた点を踏まえて今回のパトロールに臨ましてもらおう」
「それじゃあ、そろそろ行こうか」
「ああ」
コスチュームを纏った常闇と共にロッカールームを出る。
ヤオモモ然り、常闇も各々の悩みを持ってそれと戦っている。
今の俺に出来る事は個性を伸ばし、体術を学んで選択肢を増やす事だ。
これが出来ないという欠点が見つかるまではそれらに尽力しよう。
「お待たせしました」
「それじゃあ、悠雷…………いいや、ラギアクルス」
「はい」
「パトロールに出発だ!!悠雷には俺よりも早くヴィランを捕まえてもらいます」
「マジですか」
「マジです。この辺りは犯罪発生率がわりと高めだからね、頑張って!!」
「頑張ります」
空を飛んでいく兄さんを追う形で建物の上を跳んでいく。
以前から判り切っていたことだが、移動速度が違い過ぎる。
本当に『速すぎる男』という異名は伊達じゃない。
少しでも目を離したらその瞬間には遥か先に移動している。
俺が兄さんより早くヴィランを捕まえるには起こることを予測していかないと間に合わない。
常に周囲にアンテナを張って異変が起きたらすぐに動く!!
そうでもしないと兄さんの移動に追いつくことすらできない。
「強盗だぁ──!!」「怪我人もいるぞ!!」「誰かヒーローを呼んできてくれ!!」
「ヴィランか!!」
最初にやるべきは状況の把握!!建物から飛び降りながら周囲の状況を把握しろ!!
店の中には何人かの人が蹲って倒れている…………出血者が5名。
強盗を働いたヴィランは実行犯が二人と逃走経路用のトラックに一人いる。
先に逃走経路を遮断して逃げ場を無くす!!
「おい、てめーら早くしろ!!ヒーローが来ちまうだろ!!」
「悪いが、もう来てる。少し眠ってろ」
首に手刀を入れて気絶させる。これで逃走経路は遮断完了。
残すは実行犯なんだけど…………もう既に兄さんが縛り上げていた。
怪我人がいるから救急車を呼んでおくことにしよう。
「惜しいねラギアクルス。この前よりも判断力が向上してるけど俺の方が一手早かった」
「俺が遅れたのは一手どころじゃないでしょう。
『剛翼』をこっちに飛ばしていればこいつも兄さんが倒してました」
「そこまで解っているならいるなら反省会はいらなそうだね」
「まだ反省があった方がいいですよ。
出来ていたのに追い付けなかったのは精神的に辛いです」
「そんな事ないよ。今後は個性伸ばしを重点的に行おうか」
「個性伸ばし?」
「個性は筋繊維と同じで鍛えれば伸びるし、鍛えなければ衰えていく。
ヒーローの個性が一般の人よりも優れているのはそういった理由があるのさ」
「そうだったんですか?」
「そうなんだよね。だから鍛えていけば………」
「個性は強くなるから兄さんに追いつけると?」
「そういう事さ。明日は個性伸ばしを行おっかな。
さて、ヴィランを縛り終わったからサイドキックが来るまで怪我人の応急処置しよっか」
「はい」
個性伸ばしか………いままで聞いたこともなかったな。
公安の人がヴィランが強くなるのを危惧して情報規制をしたのかな?
まぁ、そこのところは一学生が考える事ではないからどうでも良いかな。
強盗が入った店の店内で血を流して蹲った怪我人たちの応急処置を始める。
怪我の要因はヴィランが放った個性と思われる棘と割れたガラスによるものだ。
刺さったところから紫色の痣と思わしきものが広がっている。
これは…………毒だろうか?何の毒なのか分からない以上手を出すのは危険だ。
毒を喰らった人の処置は兄さんに指示を仰ぐか救急車の到着を待つとしよう。
先にガラスの破片で怪我をした人の処置をやってしまおう。
「ヒーローさんやわしらは大丈夫なんじゃろうか?」
「大丈夫ですよ。個性による一時的なもので病院で治療を受ければ治癒します。
救急車を既に呼んでいますので必ず助かりますよ」
「そうなのか…………若いのにしっかりとしたヒーローじゃのう」
「ありがとうございます」
「ラギアクルス、サイドキックが到着したからパトロールの続きに向かうよ」
「はい」
解っていたことだが、ああいった毒などに対して俺は何もする事が出来ない。
熱することや冷やすことで症状を抑えることのできる毒も存在する。
しかし、専門的な知識を持ってないため誤った治療を施して悪化させてしまうかもしれない。
ここも今後の課題だな…………ヤオモモの自信を取り戻すのにも使えるかもだし。
さっき言っていた欠点の話は個性関係だからね?
そこは個性伸ばしで改善できればいいんだけどね。
「ラギアクルス、この先にある交差点で事故があっと通報があった。
サイドキックたちから逃げようとしたヴィランが引き起こしたそうだ。
ヴィランは一般人を人質に取っている、二人のうちの片方の制圧を任せたい」
「了解しました」
「俺がトラックの方をしとめる。道路に立って居る方を任せたよ」
「はい!」
道路に立って居るヴィランは人質にナイフを突きつけている。
人質の救出がこの場合の最善手となるため電撃は使うことが出来ない。
先にナイフを回収して人質を解放することにしよう。
「おいお前ら!!こいつの命が惜しければ大人しくしてろ!!」
「くっ!!ホークスさんはまだか!?」「救援を呼んだ!!観念しろ!!」
見た感じ応援を呼んだのはあの人たちなのかな?
まぁ、今はそんなことどうでも良いかな…………この位置からなら届くな。
電柱からヴィランの元へ死角を弧を描くように跳ぶ。
死角からナイフを持っている手を掴んでナイフを取り上げる。
それを見て後退ったヴィランに尻尾を巻き付けることで動きを封じる。
その後に電気を流して気絶させる。
「こんな感じでいいですか?」
「それで大丈夫だよ。君たちこいつらを縛っておいてくれるかな?」
「「「はい!!」」」
「ラギアクルスそろそろ事務所に戻ろうか」
「わかりました」
兄さんと一緒に事務所に戻るとダークシャドウに抱えられながら移動している常闇を見つけた。
姉さんやサイドキックの皆さんはニコニコしながら見ているが、かなりカオスだ。
多分だけれど、自分の個性をどうやって活用するか悩んでいる常闇の事を
弟なり息子みたいだと思っているんじゃないかな?
だとしてもダークシャドウに袋のような感じで持ち上げられている姿は見たくない。
「…………常闇パトロールどうだったんだ?まさかその姿でやったのか?」
「そうだ。悠雷のアドバイスを元にやってみた。
見てくれはともかく、機動力は大幅に改善されたぞ」
「それが完成形なのか?」
「完成系という訳ではないが、物は試しという事でだな」
「ダークシャドウをその身に纏うという感じには出来ないのか?」
「…………纏うか。面白いな…………試してみることにしよう」
姉さんたちはこのやり取りを面白そうに見ているが、絶対に改善点を指摘して無いだろ。
戦闘に関して何の知識のない人間でも流石にわかる欠点だ。
「纏うという感じならダークシャドウの腕に身体を抱え込ませる形をとってもいいかもね」
「成程…………御助言感謝する」
「もっと早くアドバイスしてあげればよかったのに…………」
「教えてもらうだけじゃ本人の成長には繋がらないわ」
「くっ、確かに…………」
「常闇くんも教えて貰うだけじゃなく、うちの悠雷に改善点があったら厳しく言ってあげてね」
「心得ました」
「それじゃあ中に入って今後の動きについての確認だ」
「「はい!」」
事務所の中にある会議室にて今後の動きを聴く。
毎度疑問に思うのだが、こんなに大きい事務所である必要はあるのだろうか?
事務所はそのヒーローの象徴となるから必要なのか…………ミルコやイレイザーヘッドは?
星の数だけあるもんだからだれを参考にしていけばいいのかいまいちよく分からないや。
これらはおいおい考えていくことにしよう。
「さて、それじゃあ会議を始めまーす」
「今回のチームアップ要請の目的は薬品物を密輸している組織の制圧だったわよね?」
「リューキュウ事務所への要請という事は海か空への逃走経路が想定できるということですか?」
「私達なら空や海から逃走経路の制圧が可能だからね!!」
「そういうこと」
「ヴィランの推定人数は約40人なのね…………かなりの規模になる。
他の事務所へのチームアップ要請はしていないの?」
「警察からの依頼でね。なるべく市民への不安を与えずに解決して欲しいってさ」
「だからうちの事務所へのみの要請という事?」
「雄英生である俺と常闇がいれば違和感を無くせるということですか?」
「それに加えて、俺とリューキュウの間にあるこの前のゴシップを利用させてもらうのさ。
あの記事が出てからあまり時間は経っていないからメディアは騒ぐだろうけど
その分、警察からの依頼は達成しやすくなるという訳」
「基地の場所は?」
「割り出してあるよ」
「それじゃあさっさと終わらしてしまいましょう」
「チームアップミッション開始!!」
「何ですかソレ」
「やってみたかっただけだよ」
サイドキックの方が用意してくれていた車に乗り込む。
兄さんは警察の人と姉さんはねじれちゃんと乗っているため俺は常闇とだ。
さっきからこちらをちらちらと見ているし、記事についての話だろうな。
「悠雷。少しいいか?」
「どうした?」
「さっき言っていたゴシップ記事の事なんだが…………」
「ゴシップがどうかしたのか?」
「あの記事を調べたのだが、あの隠し子という風に書かれていたのは悠雷なのか?」
「そうだよ。隠し子ではなく義理の兄弟だけどね」
「…………そうだったのか」
「言っておくが、積極的に言う訳でもないが隠していないから気に病まなくてもいいぞ」
「…………そうか」
そのまま会話が終わり、無言で移動時間を過ごした。
そして、ヴィランが潜んでいる基地へと到着した。
基地の最上部にはヘリが止まっていて、海に面している部分には船が見える。
船に何人かの見回りがいるところを見る限り、先手必勝で速攻で片を付けるべきだろう。
多分だけど、俺の役割は船の制圧になりそうだな。
「それじゃあ常闇くんと俺で侵入。悠雷は船の制圧。
リューキュウとねじれちゃんはそのサポートをお願いね」
「「「了解しました!!」」」
兄さんと常闇が基地に侵入していったのを確認して、船に向かう。
船の甲板に立って居るヴィランの背後をとって物音を立てないように注意して電気を流す。
…………なんか…………その、やっていることが暗殺者みたいだな。
気にしたら負けかな?己の任務を遂行するとしよう。
船の内部に侵入して進むもヴィランたちは襲われるとは微塵も思っていないのか隙だらけだ。
早めに制圧して基地から逃げてきた輩を拘束する準備でもしておこうかな。
もっとも兄さんがそんなへまをするとは思えないんだけどね。
「と、これでラストかな?」
「ッ!!誰だ貴様は!!」
「ヒーローだよ」
「クソッ!!他の奴らは何をしている!!」
「みんな気絶しているさ…………お前もそうなるよ」
「なんだと?」
道中で拾ったナイフを相手の視界に入るようにしながら接近する。
相手の目の前でナイフを空中に放って相手の意識を逸らす。
そして、その隙に背後から首に手刀を叩き込む。
「こいつで最後…………船はもう動かせはしないだろうし、あいつらを警察に引き渡そう」
「お、悠雷もちょうど終わったんだね」
「中の制圧がもう終わっていたんですね」
「中に入ってすぐに奴らはヘリで逃げ出そうとしたからね。
ヴィラン共に話を聞いたところによると仲介業者の情報も手に入ったから他も捕らえれそう」
「そうですか…………良かったです」
「常闇君も向こうにいるからそっちに向かおうか」
「はい!」
その後は警察にヴィランを引き渡した。
俺は何度も見たことはあったが常闇は初めてだったようで珍しそうに見ていた。
次の日はチームアップを続行して下位組織を壊滅させた。
情報が揃っていたためにスムーズに終わったので兄さんたちと模擬戦を行った。
ヴィラン退治については個人的に少し物足りなさを感じた。
だが、授業では絶対に得ることが出来ない経験だった。
これからの糧にしていこう。
それと個性伸ばしは流石に街中では思い切り出来ないので水操作のみを集中して行った。
職場体験編はこれで最後です。
自分の文章の拙さを実感したのでこれからより精進していきたいと思います。
それと、次回からようやく物語が進みます。