Re. 海竜のヒーローアカデミア 作:willtexture
表現がうまく伝わらなかったら感想で聞いてくれればと思います。
普通に三連休だと思っていたんだよなぁ......
山岳ゾーンにて
ウチはあの黒いヤツの霧に包まれてこの山岳ゾーンに飛ばされた。
ここに飛ばされたのはウチとヤオモモだった。
多分だけど、霧に包まれたときに近くにいた人と纏めて飛ばされたみたい。
こんなことなら悠雷の隣にでも立っているべきだった。
でも、一人じゃないのは嬉しい。
ヤオモモは一番仲の良い女子だし、頭もいいからとても頼りになる。
「耳郎さん!!無事ですか?」
「うん、無事だよ!!ここにはヤオモモとウチだけみたいだね」
こちらに向かってきたヤオモモと状況の確認をしていると辺りをヴィランに囲まれてしまった。
敵に数を知るために、索敵をしようとすると上からの叫び声をあげて誰かが落ちてきた。
ヴィランかと思って警戒したけれど幸いなことに上鳴だった。
「うわぁぁぁ!!」
「もう1人追加だね。ほら上鳴!さっさと立つ!!」
こんな時だからこそ、上鳴がいて良かったと思う。
ウチとヤオモモだけだと正直言って制圧力が足りないからね。
ただ、上鳴にそのまま放電させるとウチ等も巻き込まれるから使いどころに困る。
そこはヤオモモが妙案を思いついてくれるのを祈るしかない。
ウチにはそんなことできないし…………悔しいけど。
「ああ、良かった他にも人がいて、って囲まれてる!!」
「耳郎さん、これをお使いください!!」
「ありがとうヤオモモ!!」
ヤオモモが作ってくれた剣を構えてヴィランと相対する。
周りを索敵してみたが、相手側の数は軽く30を超えている。
軽くあたりを見ただけでも既に包囲が完成しているのがわかる。
これは正面突破は厳しいかもしれない。
でも、この前の戦闘訓練と同じで救援待ちは得策じゃないかもね。
相手はオールマイトを殺す心づもりで来ているんだからこの場に留まるのではなく
他の人と…………出来れば広場に行って合流するのが一番だ。
広場には相澤先生がいるはずだし、他の人達もそう考えるはずだ。
「うぅわ!!!」
「っ!!」
「コエ──!!マジ!!今見えた!!三途の川見えたマジ!!
なんなんだよこいつらは!!どうなってんだよ!!?」
「そういうの後にしよ」
「今はこの数をどう切り抜けるかですわ」
「つーか、あんた電気男じゃん。悠雷みたいにバリバリっとやっちゃいなよ」
「あのな!!戦闘訓練の時見たろ?電気を纏うだけだ俺は!!
身体強化の仕方は教わったけどまだ未完成で出来ないから!!
放電したら2人のこと巻き込んじゃうの!!あれだ!!轟と一緒よ!?
助け呼ぼうにも特製電子変換無線今ジャミングヤベぇしさ
いいか!?2人とも!!今俺は頼りになんねー!!頼りにしてるぜ!!」
「男のくせにウダウダと…………悠雷を見習って行ってこい!!行け!!人間スタンガン!!」
「マジかバカ!!」
ウチが蹴とばした上鳴がヴィランに抱き着く形で密着する。
後先考えずに蹴っ飛ばしたけど、相手がカウンターとかしてこなくてよかった。
この事は絶対に黙っておこう。
「あ、通用するわコレ、俺強え!!2人とも俺を頼れ!!」
「軽いなオイ…………」
あっさりと自分の意見を変えた上鳴に呆れているとそれを隙と見たヴィランが突っ込んできた。
ヤバい、反応が遅れた!!
「ふざけてんなよガキィ!!!」
「ぐああ!?」
「!?」
「アミ!?」
それ等をヤオモモが創った網やらで無力化する。
ダメだね敵の前で油断するなんて、まだまだ敵は残っている。
最後まで気を抜かずにやろう。
せっかくヒーローらしくヴィランとの戦闘ができる機会に恵まれたんだから
こちらに向かってくるヴィランを剣で牽制して、心音で攻撃する。
この前の戦闘訓練で言われたことだけど、やっぱり威力が足りない。
このままではジリ貧だ。
「お二人とも真剣に!!!」
「ごめん。実際いい案だと思ったんだけど…………にしても上鳴あんた…………
コスチュームに指向性の補助くらい書いとけっつ──の!!」
「出来た!!」
「へっ!?」
「大きなものを創造るのは時間がかかってしまいますの」
「シート!?」
「盾のつもりか?」
「厚さ100mmの絶縁体シートです。上鳴さん」
「──なるほど、これなら俺は…………クソ強え!!」
「「「「「ぐああ!!!」」」」」
「さて…………他の方々が心配…………合流を急ぎましょう」
「つか服が超パンクに…………発育の暴力…………」
上鳴の放った雷の影響か、ヤオモモのコスチュームが破ける。
にしても同年代なのにどうしてここまでの差ができるんだろうか?
アレか?食生活なのか?
金持ちなヤオモモは小さい頃からいいもの食べていたからなの?
別にウチは裕福って訳でもないし、貧乏でもない普通の家。
ヤオモモほどいいものは食べていないけれどそれなりのものは食べているはず。
やっぱり遺伝子なのか?もう大きくならないのかな…………
「また創りますわ」
あそこまで大きいと人目に晒しても何も寂しくないんだろうな。
やっぱり羨ましい。
女子としてこの悩みは誰でも持つものだと思う。
「ウェーイ!!」
「何があった!?」
放電したからあほになったのかな?
悠雷もこんな感じになったりするのかな?今度聞いてみよう。
基本的に落ち着いた雰囲気を纏っている悠雷が
こんな感じになるのは正直言って想像がつかないけど一度でいいから見てみたいな。
それと一応、周囲の索敵をしておこうかな。
勝ったと思った瞬間が1番隙が生じるって言ってたし、先日の戦闘訓練の反省を生かさないと
「ん?待って1人まだ動いてる!!上鳴後ろ!!」
「お任せを!!」
「ナイスヤオモモ!!」
ヤオモモが創った網が上鳴に迫っていたヴィランを退ける。
ここで上鳴を人質に取られなくて良かった。
でも、どうやってあの放電を回避したんだろうか?
「チッ、ソイツを人質にするつもりだったのによくもやってくれたなぁ!!」
「アンタ、あの放電をどうやって回避したの?」
「土に潜って回避したんだよ。
ここに来た高校生を甚振るだけって聞いていたのに全然話が違うじゃねーか!!」
「ベラベラと喋るけど、ウチだけを見ていていいの?」
「あ?」
「耳郎さん!!時間稼ぎありがとうございます!!」
ウチがヴィランに話しかけて時間を稼いでいる間にヤオモモに大砲を作ってもらった。
こんな簡単な手口に引っかかるとは思ってなかったから少し拍子抜けしたかもしれない。
もう1度索敵してみたけど、もう山岳ゾーンに敵はいないみたい。
「ここにはもう敵はいないみたい。広場の方に向かって相澤先生達と合流しよう!!」
「その案に賛成ですわ!!行きましょう!!」
「ウェーイ!!」
ウチ等は苦戦したが何とかヴィランを撃破した。
ほかの人たちもきっと大丈夫だよね?
▼▼▼
同時刻、水難ゾーンにて
俺は黒い奴の霧に包まれてどこかに飛ばされた。
…………ここは水難ゾーンか?
ここに飛ばされたのは緑谷と峰田、梅雨ちゃんか。
梅雨ちゃんが緑谷のところに向かったのが見えたから俺は峰田を助けるか。
ついでに近くのヴィランを蹴り飛ばしていこう。
「峰田。動くなよ、持ちにくいからな」
峰田を担いで船の方に向かう。
梅雨ちゃんも予想通りそっちに向かっているようだ。
相手の個性が分からない以上、ここで様子見する方がいい。
俺の全力の場合、間違いなく水中にいるもの全てを巻き込んでしまうからな。
味方も巻き込んでしまう可能性がある以上、今は使うべきではないだろう。
「海藤君!?」
「海藤ちゃんもここだったのね」
「峰田の事も忘れてやるなよ」
「…………出来る事なら助けてもらうのは女の子が良かった…………」
「こんな状態に関わらずその姿勢を貫いているのは尊敬の意を向けるが、
それとこれとは話が別だ。取り敢えず落とすぞ」
「何でもないです!!その手を放してください!!」
「カリキュラムが割れていた…………!!
単純に考えれば、先日のマスコミ乱入は情報を得るために奴らが仕組んだってことだ。
轟君が言ったように虎視眈々と…………準備を進めてきたんだ」
「でもよでもよ!!オールマイトを殺すなんてできっこねえさ!!
オールマイトが来たらあんな奴らケチョンケチョンだぜ!!」
「峰田ちゃん…………殺せる算段が整っているから連中こんな無茶してるんじゃないの?
そこまでできるっていう連中に私たち嬲り殺すって言われたのよ?
オールマイトが来るまで持ちこたえれるのかしら?
オールマイトが来たとして無事で済むのかしら?」
「…………!?みみみ緑谷ぁ!!海藤も黙ってないで何か言ってくれよ!!」
俺たちがこれからどう動くかを話していると水中からヴィランが顔をのぞかせる。
「んのヤロォ!!殺してやる!!」
「大漁だぁぁぁ────!!!」
「奴らにオールマイトを殺せる算段があるなら
僕らが今…………すべきことは戦って阻止すること!!」
さて、この後どうしようか?
脳が剥き出しの奴と腕を付けた奴、それとさっきのワープの奴はヤバいな
ここにいるヴィランを見て確信したが、相澤先生だけでは対処出来ない可能性が非常に高い。
ここにいるのはどれもチンピラ程度だ。
こいつらから一切死臭がしないから、それ程の驚異ではない。
ここからはなるべく早く戻った方がいいだろう。
『散らして嬲り殺す』と言っていたからな。
単騎撃破をされる事が1番最悪な状況だ、それだけは避けたいな。
幸いにしてここは水難ゾーン。
水深も十分あるし、個性をフルに使って速攻で向かわして貰おう。
「梅雨ちゃん、2人を連れて先に広場に向かってくれ、俺は一暴れしてくる」
「何が戦うだよバカかよぉ!!
オールマイトブッ倒せる奴らかもしれねー奴らなんだろ!?
矛盾が生じてんだよ海藤!!
雄英ヒーローが助けに来てくれるまで大人しくが得策に決まってらい!!」
「あいつらは正直言って危険分子たり得ない」
「でも、海藤君1人だと危険だよ!!ここはみんなで力を合わせて…………」
「俺の個性のフルパワーだと、この船も一緒に巻き込んでしまう。
みんなが先に向かってくれたら俺も安心して戦える」
「海藤君…………」
「わかったわ。気を付けてね」
「辞めとけよ海藤!!無茶だよ!!いくらお前が強くてもひとりじゃ無理だって!!」
「ヒーローは不可能を可能にするのが仕事だろ?ならPlus ultra!!限界を超えていこう」
そう言って俺は水に飛び込みながら個性を発動させる。
水中に着いた頃には俺の身体は本来の姿に、海竜の姿になっていた。
頭部後方に伸びる巨大な角、美しく蒼く光る外殻。
この世界にはいかなる伝承すら存在しない大海の王がそこにいた。
『GUAAAAAAAAAA!!!』
「なんなんだよ、このバケモノ!」
「嘘だろ、勝てっこないって!!」
バケモノね…………そう言われても仕方がないか。
まあ、ここに来てしまった自分を恨むといいさ。
俺は大きな円を描くようにして、泳ぐ。
個性を使い水流を操り、大きな渦を形成する。
その渦にヴィラン達は巻き込まれていき、当たりを幻想的な蒼い雷が飛び交う。
その光が収まった頃にはヴィランは全員気を失っていた。
「すげぇ…………」
「これが海藤君の個性…………」
「圧倒的ね…………」
水中だからか電気系の個性を持っている奴もいないようだ。
電気系の個性を持つものならばこの雷を耐える可能性があるからな。
だが、居ない以上ここにとどまる必要はもうないな。
広場に向かい、相澤先生と合流するのが最善だろう。
『お前ら乗れ、相澤先生のいる広場に向かうぞ』
俺は梅雨ちゃんに掴まり、空を跳んでいた3人を乗せると
相澤先生がヴィランと戦っている広場に泳いで行った。
▼▼▼
広場では相澤先生が一人で大勢のヴィランを相手取っていた。
そして、ついに敵の首領と思われるヴィランが動いた。
「23秒」
「本命か」
「24秒、20秒」
「ちっ!!」
ヴィランを捕らえようと捕縛武器を投擲するが、相澤先生の捕縛武器がヴィランに摑まれる。
「17秒…………動き回るのでわかりずらいけど、髪が下がる瞬間がある。
一アクション終わるごとだ。そしてその間隔はだんだん短くなっている。
無理をするなよイレイザーヘッド」
顔面に膝蹴りを入れるが、膝をつかまれ手で腕に触れられる。
「────っ!!」(腕が崩された!?)
「その個性じゃ集団との長期決戦は向いてなくないか?普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?
君が得意なのはあくまで「奇襲からの短期決戦」じゃないか?
それでも真正面から飛び込んできたのは生徒に安心を与えるためか?
かっこいいなあ、かっこいいなあ。ところでヒーロー、本命は俺じゃない。
────対平和の象徴…………怪人脳無」
対オールマイト用の怪人の脳無が
相澤先生を襲う直前に竜化したままの悠雷が突っ込みそれを阻止した。
乗っていた緑谷達は振り下ろされたが
咄嗟に梅雨ちゃんが捕まえ2人を13号先生の元まで連れて行った。
『やらせるわけないだろう?』
「ッ!!なんなんだよコイツ!!」
「海藤か!?」
『相澤先生、こいつは俺が引き受けます!!』
「すまない…………他の奴らは任せろ」
「なんなんだよお前!!そいつは対オールマイト用の怪人だぞ!!
なんで攻撃を受けて平然としているんだよ!!」
『俺の鱗がその程度の攻撃で傷つくわけないだろう!!』
「ふざけるなクソトカゲ!!やれ脳無!!」
脳無の攻撃が悠雷を襲う。
第三者が見れば互いに全く攻撃が効いてないように見えるだろう。
だが、悠雷は内心でかなり焦っていた。
悠雷の身体に生えている鱗と甲殻はかなりの硬度を誇り、大抵の攻撃は受け付けない。
──しかし脳無の打撃はそういかない。
今は耐えることができるがこのまま攻撃を受け続ければ鱗と甲殻は破壊されるどころか
立つことすらままならなくなってしまうだろう。
攻撃自体よりも当たることにより蓄積されるダメージの方が辛い。
自らの細胞を活性化させて治癒力を高めるがこのままでは危ない。
リューキュウのような存在が倒れることは残された者たちに大きなショックを与えてしまう。
大きな力を持つ者は精神的な支柱だ。
だから、今は絶対に倒れるわけにはいかない。
こちらが倒れるまでに相手を倒さなければならない。
相澤先生が皆を安心させるために1人で突っ込んで行ったように
ここでオールマイトが来るまで暴れ回り、皆を鼓舞しなければいけない。
そのため先程から嚙みつきやタックルで攻撃しているが効いているように見えない。
攻撃に対しての耐性が高いのか?それとも、当たったそばから回復しているのか?
蓄電されている電気が足りないために攻撃に雷を乗せることはできない。
『…………なんで効いてないんだ!?』
「…………効かないのはショック吸収だからだ。
嚙みつきを食らっても再生するのは超再生の個性も持ってるからだ。
脳無にダメージを与えたいならゆうっくりと肉をえぐり取るとかが効果的だね…………
それをさせてくれるかは別として
対オールマイト用のサンドバックだ。お前に倒せるかな?」
『吸収に超再生なんだろ?個性である以上必ず限界があるよな!!』
悠雷は手を止めることなく攻勢に出る。
他のヴィランは相澤先生が相手してくれるために気にする必要はない。
この死柄木とかいう奴は不安要素だが、今のところ参戦してくる気はないようだ。
「なんでそんなに脳無の攻撃を食らって平気なんだよ!!」
『ただ身体が丈夫にできているだけだ!!』
「ふざけんな!脳無!!そいつをさっさとブチこr…………チッ!!邪魔するな!!」
『響香!?ヤオモモ!?』
「こいつはウチ等で抑えるから!!」
「海藤さんだけに戦わせてられませんわ!!」
「ウェーイ!!」
凄く助かるが上鳴何があった!?
響香とヤオモモがいるならば死柄木を気にする必要ももうない。
全力でこの脳無を倒すことが出来るようになる。
近くの水難ゾーンにある大量の水を水の刃にして四肢を切断する。
『陸上でなら決定打にかける…………だが、水中ならどうだ?』
俺は脳無の胴体に噛み付くと水難ゾーンに引きずり込む。
やはり、こういった敵には陸よりも水中で戦った方が効率がいい。
オールマイトを待つならば陸でもいいんだけども
効率よく戦えるフィールドが有るならば、そこで戦おう。
水の中に引きずり込んだ脳無の胴体に食らいつくと
ワニが獲物を仕留める要領で、身体を回転させる。
いかに再生が出来ようともコイツも生物の枠組みを超えてはいない筈だ。
どうしても生命維持のために呼吸は必要だろ?
脳無は俺の顎から逃れようと足掻いていたが、しばらくすると動かなくなった。
窒息から気絶したらしい…………一応、死んではいないと思う。
「噓だろ?対オールマイト用のサンドバックがやられた!?チートがぁ!!」
「余所見とは余裕だね!!」
「脳無の心配よりもご自分の心配をした方がよろしいと思いますわ!!」
「ッ!!クソガキがぁ!!」
俺は脳無を水中に沈めると死柄木を仕留めるために陸に上がる。
しかし、前に出ようとした俺の前に空気中からヘドロのようなものが湧き出てきた。
明らかに個性の類…………死柄木は手で触れたものを崩壊させ、
黒霧と呼ばれたヴィランはワープの個性の持ち主だ。
ここに来てヴィランの増援か?
しかしなんで今なんだ?脳無がやられて事を知ってなのか?
『あれはなんだ?』
あの個性を使っている奴から悍ましいほどの死臭がする。
本能が警鐘を鳴らしている…………こいつと絶対に関わってはいけないと
「…………先生?」
ヘドロから出てきたのは先程沈めてきた脳無と同じようだが、少し違う。
先程の個体よりもさらに大柄で首からラジオのようなものを下げている。
そのラジオから録音されたであろう音声が流れだした。
『やあ弔、大丈夫かい?』
先生?あいつが今回の主犯じゃないのか?
今回のあいつは切り込み隊長か捨て駒か…………
こんなヤバいやつを送ってくるなら後者は有り得ない。
『この脳無は君に渡した脳無がやられたときに出動するようにしている。
この脳無は先程の脳無よりもより強い体に調整したが、
君に渡した脳無がやられるような状況ならば今の君にはまだ早い。
一度帰ってくるといい、この敗北は無駄にならない。きっと君にのためになる』
ラジオに録音されたであろう音声が再生され、終わるとラジオは自壊した。
ラジオが自壊した直後、新たな脳無が行動を始めた。
その脳無の攻撃は先程の脳無よりも早く重かった。
「死柄木弔。ここは指示に従い撤退しましょう。
与えられた脳無が倒されたこの状況でここに残る意味はありません!!」
「そうだな、ゲームオーバーだ。
クソトカゲ共覚えとけよ…………次は必ず殺す!!」
「あ!!待て!!」
「待ちなさい!!」
俺が脳無に殴られた事で生じた隙をついて死柄木と黒霧は撤退した。
それを響香とヤオモモ、相澤先生が追おうとしたが、既に遅く逃げられてしまった。
俺はというと脳無の攻撃を真面にくらってしまい、大きく吹き飛ばされていた。
この脳無が本命なのではないかと思うくらい、強い。
オールマイトを殺す算段というのは恐らくこれだ。
脳無はヤオモモに狙いを定めたらしく襲いかかったが、
俺も相澤先生も助けに入る事が出来る距離にいない。
絶体絶命と思われたが、そこに大量の氷が襲いかかった。
「轟さん!!」
氷によって怯んだ脳無に空中から爆豪が追撃を与える。
切島の攻撃も命中し、脳無の腕を切り裂いた。
「てめェがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた。
平和の象徴はてめェごときにやらせねえよ」
「スカしてんじゃねえぞ!!大人しく、俺に殺されろやクソが!!」
「お、攻撃当たった!!てかこいつ何なんだよ!!」
「黙ってろクソ髪、こいつがあいつらの切り札なんだろ?クソトカゲ!!」
「は?え、お前って海藤なのか!?」
『そうだが、前見ろ。来るぞ』
襲い掛かってくる脳無の攻撃を俺と切島で防ぎ、轟と爆豪が攻撃する。
轟と爆豪の猛攻も脳無には全く効いているようには見えない。
氷に閉ざされてもその怪力で突破し、爆破も表面的なものでダメージはそこまで入っていない。
脳無の攻撃をから2人を守っているために、俺の鱗はもうボロボロだ。
だが、救援が来るまで倒れる訳にはいかない。
相澤先生のおかげで、脳無の超再生も封じられているのだから相手にも必ず限界がある。
『おい爆豪!!戦闘訓練ときのアレは打てないのか!?』
「黙ってろ!!篭手が壊されて打つとリスクがあるんだよクソが!!」
『轟…………』
「わかってる。俺が動きを止める」
戦闘訓練の時も放った一撃が脳無に直撃した。
しかし…………
「チッ!!無傷かよ…………」
「アレを無傷で耐えるのか…………」
「気を緩めるな!!お前らまだ終わってない!!」
ガードの上からとはいえ爆豪の一撃が効かなかったことによる
俺たちの動揺の隙をつかれて切島が殴り飛ばされる。
「切島!!」
幸いなことに咄嗟に硬化したため怪我は酷くないが、もう戦えないだろう。
俺ももう限界に近く、タンクがいなくなった途端に総崩れになるのは目に見えている。
そんな時、USJの扉が吹き飛ばされた。
そこから出てきたのは──
『もう大丈夫!!何故って?私が来た!!』
「オールマイト!!」
──平和の象徴だった。
『嫌な予感がしてね…………校長の話を振り切りやって来たよ。
来る途中で飯田少年とすれ違って…………何が起きているのかあらまし聞いた。
もう大丈夫!!私が来た!!海藤少年!!後は私に任せたまえ!!』
その言葉を最後に俺の意識は暗転した。
オールマイトが来て、悠雷が意識を失った後
ウチとヤオモモで悠雷のことを担いで13号先生のいる所まで運んだ。
あの脳無っていう怪人相手だとウチに出来ることはない。
せいぜいがオールマイトの邪魔にならないようにするくらい。
相澤先生と協力してオールマイトは脳無を追い詰めていく。
他にいたヴィランはウチとヤオモモが来る前に相澤先生が全員倒したからもういない。
脳無とオールマイトの戦いは圧倒的だった。
目にも止まらないスピードから放たれる攻撃は容赦なく脳無の体を穿ち
オールマイト到着から僅か数分でUSJにいたヴィランは全て制圧された。
相澤先生に13号先生と悠雷が病院に運ばれたけれど、命に別条はないみたい。
それによりUSJで起こった事件は終焉した。
しかし、その時は誰も知らなかった。
この襲撃はのちに起こる大事件の始まりに過ぎなかったのだと…………
二体目の脳無のスペックはUSJ脳無よりも上ですが、
相澤先生のおかげでオールマイトの負担は原作よりも誤差範囲で小さめです。
ただ、緑谷が個性を使うことがありませんでしたので、
まだイメージをつかむことができていないです。