あてくし今日呪術廻戦の映画観てきたんですけど……もうね、ヤバかったです。乙骨くんがね、トレンドに入るのも納得のかっこよさでもうほんと……。
あとあと、例のごとく評価感想お気になどよろです。めっちゃ書こって気になるので。
優しい風に頬を撫でられ、僕は目を覚ます。
寝起きのぼやけた視界。
最初に飛び込んできたのは、
なるほど道理で身体が固いわけだと得心しつつも立ち上がり、ぐいっと大きく伸びをして身体をほぐす。んあぁぁ……待って身体めっちゃパキパキ言うんだけど大丈夫これ?
自らの身体に一抹の不安を覚えながらも、とりあえずは地面にあった酒瓶たちと、立ち上がったことで落ちた布を拾い上げてお片付け。
……そういえばこの布って何だろう?多分酒瓶は僕が飲んだやつだろうと思うけど……。というかそもそも、なんで僕はこんな所で寝てたんだ?えーと確か昨日は……ああそうだ、ウェンティの詩を聞いたんだったっけ。あれね、風魔龍の詩。いやー、凄かったわぁ……なんかこう、うまく言えないんだけど……心に響くって言うのかな?演奏が終わった後も、感動して少しの間動けなかったし。
そっからウェンティに話しかけられて、ようやく動けるようになった僕は、そのまま二言三言ウェンティと言葉を交わし、蛍ちゃんたちの姿が見えたところでフェードアウト。『蛍ちゃんとパイモンちゃんが、ウェンティと広場で会話をする』という原作に変に介入したことで、モンドが滅びちゃいました──なんてことになったら、目もあてられないからね。そこら辺は今後も注意していきたいところ。
で、そうして手持ちぶさたになった僕は、当然のごとく『エンジェルズシェア』へ、突撃お酒と昼ごはんをかまし、騒ぎ過ぎたせいで酒瓶数本とともに店を追い出される羽目に。そんでもって、その頃にはもう外は夜になっていたので、酒を飲みながらも晩ごはんをとるべく路地裏を通って『鹿狩り』へ向かい──途中で眠くなったので、近くに落ちてた布にくるまり就寝。そして今に至る──という感じか。ふむふむなるへそ。
……うん、もしかして僕、結構な駄目人間なのでは???
……いやいやいやいやいやいやいやね、そんなことはないとは思ってるよ?だって君、品行方正質実剛健を地で行く僕だよ?そんな僕が駄目人間なはずは、普通に考えたらあるわけないからね。質実剛健の意味あんまり知らないけど。
でもでも、今の僕を向こうの世界基準で考えたら、昼から働きもせずに居酒屋で酒を飲んで騒いで、店を追い出されても路上で酒を飲んで、挙げ句の果てにはそこで寝出す酔っ払いなわけで……。
……ちょ、ちょっとお酒を制限した方がいいかも……。
と、そんな決意をしてると、お腹からぐぅーっと可愛らしい音が。
そういや昨日の夜も、結局ご飯を食べなかったんだっけ……そりゃお腹も鳴るわけだ。
そうして1人納得をした僕は、例の大きな布を綺麗に畳んで元の場所に戻し、酒瓶たちを持って、昨日の晩ごはん兼今日の朝食をとるべく『鹿狩り』へと向かう。
もはや見慣れた景色を見せるモンドの街並みの中、歩を進め──。
──違和感に気付く。
景色は別段いつも通りだし、街を行き交う人々もいつも通りなのだが……何やら僕に向けられる視線が少しおかしいのだ。
普段はどこか、街中で腹踊りをしている奴を見るような目で見られるのだが、今日は違う。街中で裸踊りをしている奴を見るような目で見られているのだ。これは実におかしいことだ。うーん、最近はあまり変なことをしていないはずなのに……。
不穏な気配を感じながらも、『鹿狩り』の姿が見えたことで、少し気が緩む。
相談は基本的にいつも『鹿狩り』で受けているため、ある種のホームのように感じるからだ。カープに対するマツダスタジアム的な。
そんなこんなで、贅沢なご飯でもとって一息をつこうと受付に向かうと。
西風騎士と思われる数人が、何やら物々しい雰囲気でそこにたむろしていた。
……むむむ……何かあったのかな……?原作のストーリーだと、こんなシーンはなかったはずだけど……。とりあえず……うん、受付から少し離れた所にいるあの人に話しかけてみるか。
「──ねね、騎士の人。なにかあったの?」
「ん?ああ、なんでも昨夜、西風教会に保管されている『天空のライアー』を、昨夜泥棒二人が盗んでいったらしくてな。その内の一人と思われる人物がこの近くで仕事をしているそうで、張り込んでいるんだ──」
そうして騎士の話を聞きつつも、一人心の中で納得の声をあげる。
今のこの状況は、原作では存在していたが、しかして原作をプレイしていた僕が知らないのは当然だ。なぜなら原神というゲームのストーリーは、基本的に主人公視点で進んでいくからだ。
今回の騒ぎも、主人公視点で見ると随分と変わったものとなる。そもそもこの泥棒二人の正体というのは、その主人公の蛍ちゃんと、つい最近会った吟遊詩人のウェンティなのだ。なんでも、今モンドを襲っている風魔龍にコンタクトをとるには、『天空のライアー』が必要だったとのこと。で、西風教会の人と交渉するも上手くいかず、最終的に蛍ちゃんが押し入って盗もうとしたんだけど……。あと一歩のところで、なんと『ファデュイ』の工作員に盗まれてしまうんだよね。
そして、保管されていたはずの『天空のライアー』が消えていて、しかもその場所で蛍ちゃんが立ち竦んでいるというのを騎士の一人が発見したことで、蛍ちゃんが。また、教会の外で蛍ちゃんを待ち、逃亡の手助けをしたウェンティも、泥棒として追われることとなってしまったわけだ。
──といっても、監視カメラがそこかしこにあった現代ならともかく、そんなもののないこの世界では、指名手配はザルだったけどね。たしか金髪と緑色の二人組とか言われてたっけ。そんなん帽子被ったり服脱いだらもう分からんやろ。
……おっと、話が逸れたね。まぁ、つまるところ、この世界で主人公ではない僕では、ある程度の情報を集めないと何が起こっているのかもロクに分からないのだ。
「──とまぁそんなわけで、昨夜からここに居座らせてもらっているんだ、が……」
「……え、どしたの?」
そんなことを考えていると、今までペラペラと喋っていた騎士が突然黙り込み、そしてこちらをじっと見つめてきた。
……え、ほんとに何……?
「……俺たちが待っている泥棒はな」
「うん」
「金髪なんだ」
「う、うん」
「それでな、そいつに似た人物がここらで仕事──『相談屋』をやっているらしいんだ」
すごい嫌な予感がしてきた。
「なんでも聞けば、最近モンドにやってきた人物で、時たま奇行に走るそうでな……」
ヤバい、冷や汗が止まらない。
「──名前をユヅルっていうらしいんだが……」
「……」
「……お前、名前は?」
「……ゴ、ゴンザレス田中です」
「ユヅルだろお前ッ、泥棒発見ンンンッ!!」
「田中ですぅぅぅッ!!」
いや指名手配ほんとにザルすぎぃぃぃッ!!
▼▼▼
「──ちょっ、おぇ……ヤバい、ほんま吐きそう……」
少し時間が経ち。
西風騎士団の追っ手数名をなんとか振り切った僕は、えずきながらもコソコソと家陰に身を潜めていた。
辺りに人の姿はなく、聞こえるのは自らの荒い息遣いのみ。
うぅ……なんかテイワットに来てからというもの、全力ダッシュをしまくってる気がするよ……つらたんぴーや。ちなみに僕は、パンピーや。なんつって。は?
……とと、そんな馬鹿なことよりも先に、今後について考えないと。
うーん……とりあえずは僕が無実だってことを証明すれば、追われることはなくなるだろうと思うけど……え、事件が起きたのって昨夜でしょ?アリバイないんだけど。回想で分かった通り、頭まですっぽり布を被って路地裏で寝てたから、目撃者とか絶対居ないんだけど。え、詰み???
……いや、結論を出すのは少し早計では?目撃者が居なかったとしても、真犯人が見つかれば、暫定犯人の僕が無実だということを証明できるはず。そして原作知識から、僕は真犯人を知っている。その真犯人とは──蛍ちゃんとウェンティ!彼女たちだ!…………うん、詰みでは???さっき原作に変に介入しちゃ駄目だって言ったばかりじゃん……。彼女らの行動の邪魔になるようなことなんて、尚更しちゃ駄目でしょ……。
更にもっと細かく言えば、真真犯人に『ファデュイ』が控えているわけだけど……それを証明する証拠を彼らが残してるはずもないだろうし、彼らと争う度胸も僕にあるはずはなし。うん……やっぱり詰みでは???何、詰み将棋でもやってんのこれ?3三桂、同金、2二金で詰みだよ勘弁してよっ!
……しっかし、こう考えてみると、本当にもう手立てがないね……。日頃の行いが良ければ、或いは最初の問答のときにこちらの話を聞いてもらえてたかもしれなかったけど……。なんで街灯でポールダンスなんかしようとしたんだよ、僕。馬鹿じゃないの?そんなんだから怪しい人物だと思われるんだよ。もうほんと馬鹿。あほ。ハゲ。いやハゲとらんわ。
などと、過去の自分に文句をたれていると。
「──そっちには居たか!?」
「いや、見つからなかった!けれどまだそう遠くは行っていないはずだ!」
「門番にも金髪の人物は通さないように伝えてきたぞ!これで奴はもう、モンドから出られない!」
「でかしたぞ!」
聞こえてくる騎士たちの会話。
路地裏から少しだけ顔を覗かせると、数人の騎士たちがすぐ近くに集まって話し合いをしている様子で。
うん……あの、この状況からでも入れる保険はあるんですか???……えっ、ありませんって?だろうね!なんか僕、モンドから出られないようにされたらしいし!更にもう手の届く距離に騎士がめっちゃたむろしてるし!今の僕、四隅をボムで囲まれたボンバーマンなみに詰んでるわ!!草っ!!
……や、ってか草生やしてる場合じゃないよ、なんか僕の隠れてる方に近づいて来てるし──ああぁぁぁぁぁもうっ、こうなったら一か八かだっ!!
僕はザッと勢いよく彼らの前に飛び出すと、自分がイメージする一番の騎士っぽい顔をつくりながら、適当な方向を指差して──。
「奴はあっちに逃げたぞ!追えッ!」
「「「「……」」」」
──そう叫ぶと、一瞬の間。
「……一応聞こうか。何をしてるんだ?」
「……あっちに逃げたぞ!追えッ!」
「いやだから、何をして」
「あっちに逃げたぞ!追えッ!」
「……」
「あっちに逃げ──」
「捕らえるぞッ!」
「「「はっ!!」」」
やっぱり無理がありました ^ ^ 。
今回の話読み直してみたらプレイアブルキャラ1人も出てきとらんくて草。