原神ふれんず!   作:コトバノ

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 お久しブリ金魚っ!

 前回の投稿から間が空いちゃったのは申し訳ねぇです……!いやぁ、色々(やりたいゲーム観たい映画や読みたい漫画、小説が)あってね……。えへっ!

 あとあと、感想評価ありがたいですうれぴっぴです……!

 


第11話 騎士団本部 『瞬間、ジャンピング土下座』

  

 突き抜けるように澄んだ青空の下。

 

 ナーロッパ風のモンドの街の、至るところから喧騒が聞こえてくる。

 

 客引きをする露店商に、陽気に騒ぐ酔っ払い、詩を紡ぐ吟遊詩人に、ペチャクチャお喋りをするマダムたち……。

 

 その、いかにも平和で長閑といった街の様子は、正に『風と牧歌の城』と呼ぶに相応しく、人々を穏やかな気持ちにさせてくれる。

 

 そんな街で生まれ育ったからだろうか、モンド人にはおおらかな気性の良い人が多い。……いや、逆か?そんな人が多いから、モンドは平和なのかな?うーん、そこんとこどうなんだろう。ちょっと気になるね。ははっ。

 

 

 

 まぁ僕の心中は穏やかとは程遠いけどなぁッ!ちくしょうッ──!

 

▼▼▼

 

 遠くの方に飛ばしていた思考を現実に戻せば、暖かく僕を出迎えてくれるなんとも散々な状況。

 

 ただ今僕は、逃げられないようにと数人の騎士に四方を囲まれながら街中を歩いていた。そんでもって、更にその後ろからも騎士たちがぞろぞろと続いている次第。なにこれ大名行列???参勤交代でもしてるの???どうせなら借金交代してほしい。まぁもう借金なんて気にしている場合じゃないんだけどねっ!捕まってるし!捕まってるし!お先真っ暗で草生える。一体私、これからどうなっちゃうの~?…………いやほんとどうなっちゃうの?

 

 方向からして、騎士団本部に連れて行かれているのは間違いないだろうけど……気になるのはむしろそれからのこと。騎士団に着いた後に、何をされるかだよね。はたしてモンドの法整備がどうなっているのかは知らないけれど、普通に考えれば、モンドの至宝とまで言われている『天空のライアー』を盗んだ人間に与えられる罰はまず軽くないはず。なんなら最悪死刑もありえるかもしれないわけで。

 

 ……あばばばばばおわっ、終わっばばばばばばばばばっ!!(精神崩壊)

 

 ……いやいやいやいや落ち着け落ち着け落ち着け……落ち着けって!あれだよ、そもそも僕は泥棒なんてしていないんだ、刑罰なんか受けるはずがない!ないんだ!ただアリバイがなくて犯人の特徴と似通う点があって騎士団からの信用がないだけなんだ!だからきっと──きっと……うん。きっとあかんわこれ。もう駄目。次回、ユヅ之内死す!!デュエルスタンバイ!だわ。終わった……。

 

 ──と、ごめん ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ ↲ さよなら少女よろしく虚ろ目になって、街を歩くこと暫し。

 

 レンガ造りの大きな建物──騎士団本部が見えてきた。

 入り口に立っていた守衛たちは、騎士にドナドナされている僕を見て、またかといった風に顔を呆れさせ──その後ろに更に居並ぶ大量の騎士たちを見て、今度はギョッと顔を歪めさせる。うん、だよね。そうなるよね、ふつー。絶対こんないらないもんね。

 

 そうして、何か聞きたそうな守衛たちの脇を通って僕は騎士たちと本部のホールへと入場し──。

 

 

 

 「──皆、ご苦労様。報告は聞いている。彼の──ユヅルの身柄は、とりあえず私が預かるが……構わないな?」

 

 

 

 ──そんな僕らを、ジンが待ち構えていた。

 

▼▼▼

 

 「はっ」だの「了解しました」だの「かしこまりました」だの、それぞれがバラバラの──しかし了承の意を示す返事をして、騎士たちがその場を立ち去り。ついでに人払いでもかけられたのか、部屋部屋(へやべや)の前で番をしていた騎士も姿を消して。

 

 だだっ広いホールに、僕とジンの二人だけが残される。

 

 ……うーん……これは……どうなんだ……?助かった……のか?……いや、結局捕まったままだから、何も状況は変わっていないか。ただ相手が大勢から1人に代わっただけ。参っちゃうなぁ、もう。

 

 ──や、でも待てよ?たしかに状況は変わってないかもだけど、これはこれでチャンスなのでは?なんてったってジンは代理団長、騎士団のトップ。彼女に僕が冤罪だということをうまく伝えられれば、まず重刑はなくなる……というか普通に放免されるはず。なるほどここが正念場、おふざけ厳禁で真面目にいこう……!

 

 そんな具合に決心を固めていると。

 

 「──さて、ユヅル。君が『天空のライアー』を盗んだという件についてなのだが……」

 

 いきなり核心に迫るジンの発言。

 

 お前ってほんとせっかちだよな……って違う!おふざけ厳禁ってさっき言ったでしょ、もう!

 

 ……ともあれ、唐突だけれどいい機会だ。ここいらで、 腹の底から大声での人さし指までつきつけての異議あり!をかまして無罪をゲットするとしよう。

 

 「そのことなんだけどさ、ジン。信じられないかもしれないけど、それは──」

 「いや、大丈夫だ。言わずとも分かっている。すまないユヅル、こちらの不手際で君を巻き込んでしまって」

 「──冤罪で…………え、知ってたの?」

 

 さても驚くべきジンの言葉。そしてその口振りからしておそらくは、僕の無罪を知っているようで。

 

 「ああ。とある筋から、『天空のライアー』を盗んだ人物が君ではないという情報が入っていてな」

 「ちょっ……何だよぉおもおおお、またかよぉおぉぉおおおお!!いやまたっていうのは嘘だけどさぁっ、騎士団の皆にはちゃんと伝えといてよぉっ!」

 「すまない……なにぶん情報を得たのが、君を捕らえたとの報告を受けた後だったものでな……」

 

 平身低頭、申し訳なさそうに彼女が告げてくる。

 

 むむむ……それならしょうがないかな。疑いが晴れただけでも御の字だし。

 

 それにそもそもの話、ジンが悪いわけでもないのだ。責めるのもお門違いというもの。騎士団のみんなも、俺は俺の職務を全うする!をしただけだ。じゃあ問題を起こした蛍ちゃんたちが悪いのかというと、僕は蛍ちゃんのやることなすこと全肯定人間なので、そういう結論にもならない。ならばいったい誰のせいなのか。正解は……ピンポンっ!ファデュイのせいや!……うん、いやまぁ割とガチでそう。この『天空のライアー』の件然り、原作で起こる大事件の大半は、あらかたファデュイのせいだったし。

 

 「──あ。ところでなんだけど、さっき言ってたとある筋って、誰とか教えてもらえたりする?」

 

 ふとした思いつきから、そうジンに問いかける。

 

 いったい誰が僕の無実を証言してくれたのかは知らないが、ある種の命の恩人であることは確か。大したものは持っていないが、それでも一言お礼は言っておこうと思っての行動だ。

 

 だがしかし、その質問に答えたのは、対面に立つジンではなく──。

 

 「──それは僕だ」

 

 ──その彼女の背後、いつの間にやら現れた青年だった。

 

 燃えるような赤い長髪を後ろで結び、同じく赤の瞳は切れ長。黒を基調とした服に身を包んだ彼は、ともすれば貴公子のようだった。

 

 そんな彼の登場はジンにとっても驚きだったのか、少々戸惑っているみたく。

 

 「──ディルック……いったいどうしてここに?君には執務室で待っていてくれと言ったはずだが……」

 「なに、僕もそこの彼に用件があってな」

 

 交わされる会話……ってちょい待ち、なんとなんと、ディルックとな?うーん、こいつぁびっくらポンだぜ……。

 

 ──ディルック・ラグヴィンド。

 

 火の元素と大剣を以て敵を殲滅する彼も、プレイアブルキャラの一人だ。

 

 性格はクールで生真面目。大抵のことを卒なくこなせる優秀さも兼ね備えている。ちなみに僕の性格はフールで不真面目。

 

 そんな彼は、かつては西風騎士団の一員であったが、とある事件を機に脱退。現在はモンド最大の酒造──アカツキワイナリーのオーナーに落ち着いている。その繋がりで、ときどき『エンジェルズシェア』でバーテンダーをしていることもあるらしい。最も、実際に彼がバーテンダーをしている姿を僕はまだ見たことはないが。

 

 ──さてさて、そんなナイスガイである彼だが……ここで疑問。どうして彼が騎士団本部に?といったものだったり、ジンとどういう関係?といったものも、資産ってどのくらいあるの?ってのもある。が、それら諸々の疑問の中でも、今特に気になるのは、彼の言う僕への用件というやつだ。

 

 さっきも言ったが、僕は酒場で彼に会ったことはないし、ついでにそれ以外でも会ったことはない。つまるところ、今回が初めましてなわけだが……。そんな相手への用件とは、はてさてなんなのだろう……?

 

 「──さて、そういうわけで君に話があるわけだが……その前に、君の用件を聞くとしよう。言ってみるといい」

 「あ、うん……と言っても、そこまで深い話があるわけじゃないけどね。ただ直接お礼が言いたかっただけで」

 「お礼……?」

 「そうそう。おかげさまで、なんとか捕まらずに済んだからね。というわけで、どうもありがとう!」

 

 居住まいを正し、ディルックに向けて元気よくそう告げると。

 

 「……別に君を助けるためにジンに情報を渡したわけじゃない。結果的にそうなっただけだ。だから君が、僕に感謝する必要はない」

 「それでも、ね?」

 「……まぁ、どう捉えるかは君の自由だ。それについて僕がとやかく言う気はない。それよりもだ」

 

 返ってくるのはなんとも素っ気ない対応。ちょっとちょっと、そんな冷たくされると、ゾクゾクしてきちゃうでしょ……?

 

 なんて具合に、脳内でふざけている僕に、彼が口を開き。

 

 「──無駄話をする気はないから、単刀直入に言うが……いい加減、君がウチの酒場に──エンジェルズシェアに滞納している代金を支払ってもらいたいのだが」

 「ごめんなさいっ!!!!!!」

 

 瞬間、ジャンピング土下座。

 

 床のタイルと、向けられている視線の冷たさを感じながら、弁解を始める。

 

 「いや違うんだよ、払う気はあるんです!ただ溜まってる分をチマチマ払うのは面倒だから、まとまったお金が入ったらにしようって、そう考えてるだけで……だからちょっとだけ!ちょっとだけ待ってください!1年くらい!」

 「ちょっとが長すぎだ。それに君のその考えなどでは、1年待ったとしても到底払ってもらえるとは思えないな」

 「うっ……」

 

 言葉に詰まる。だってだって、ワイトもそう思いますもん……まとまったお金が入ってくる未来が見えないし、なんなら入ってきたとしても七三の割合で使っちゃいそうだし。なんだこのクズ。

 

 「……ところで君。エンジェルズシェアによく行くのならば、パットンは知っているな?」

 「う、うん……えっ、パットンって、エンジェルズシェアの入り口で呼び込みとかをしているあのパットンだよね?それなら知ってるけど……」

 「そのパットンだが……実は彼は、先代のオーナーが大事にしていた特製ワインを割ったおかげで、あそこで後50年ほどは飲まず食わず休まずで働かなくてはいけないことになっている。……この意味が分かるな?」

 「分かりました!分かりたくなかったけど分かっちゃいました!オメーもそうなるぜって話ですね!?借金奴隷は勘弁してくださいごめんなさいっ!」

 「別に必ずしもそうなるわけじゃない。今から……そうだな、10日以内に支払ってもらえれば、それで構わない。利子も不要だ」

 「え、無理ぽ…………へへっ、旦那ぁ、その10日っていう期限、もぉぉう少し伸ばしてもらうことってできやせんかね?1年とは言いやせんので、せめて2ヶ月くらい……どうにかきっちり耳揃えて用意しやすんで、お願いしますよぉぉ……あっ、どうです?お肩凝ってたりしませんか?お揉みしましょうか?へへっ、任せてくだせぇよ旦那ぁ~!」

 「君、程度の低いチンピラの真似が異様に上手いな……」

 

 そうして、媚びつ、へつらいつ、へりくだりつ、なんとかディルックから譲歩を引き出そうとしていたときだった。

 

 「──2人とも、少し良いだろうか?君たちに提案があるのだが……」

 

 僕らのやりとりを黙って聞いていたジンが、言う。

 

 ……しかし提案、しかもこのタイミングで……?

 

 僕と、同じくディルックも、やや訝しみつつ、とりあえず続きを促せば。

 

 「そこまで難しいものではない。提案というのはその、ユヅルがディルックの酒場に滞納しているという代金を、我々騎士団が払おうというものなのだが……どうだろうか?」

 

 ……………………………………え……???……………いやっ…………え???

 

 「──ちょちょいちょいちょいちょちょちょいちょい、ジンったら急に何言ってるの?え、あれなの?もしかして僕のこと、好きなの?おいおい照れるぜべいべー、けどいくら僕のことが好きだったとしても、流石に騎士団のお金を使うのはダメでしょ。あと好きになる相手は選んだ方がいいよ?」

 「それを自分で言ってしまうのか……安心してくれ、別に君に恋愛感情を抱いているからこのような提案をしていたわけではない。いうなれば……そうだな、罪滅ぼしのようなものだ」

 「──なるほど、慰謝料代わりか」

 

 すると、納得したようなディルックの呟き。

 

 あ、なるほどねー……そういや僕、今日騎士団から冤罪かまされてたんだったわ。そしてたしかに、今はその償いのできるチャンス。流石というべきか、騎士団代理団長。好機を逃さないね……婚期は逃してそうだけど。ふふっ。

 

 「──ついでと言ってはなんだが、騎士団が君に貸していた分のモラの返済義務もなくそう。最も、この程度で君にかけた迷惑の埋め合わせになるとは思っていないが……」

 

 続けてジンの口から紡がれる魅惑の言葉。

 

 ……えっ?いや、そしたら僕、借金ゼロになれるんだけど……いいんですか?ちょっ、いいんですか?……あの、婚期逃してそうとか言ってすいませんでした。

 

 「それで2人とも。返答を聞いてもいいだろうか?」

 「……僕は構わない」

 「……僕も構わない」

 「真似をするな、君に払わせるぞ?」

 「ああああああごめんなさいごめんなさいっ!是非ともジンの提案の通りにしてもらいますようよろしくお願いしますぅ!!」

 「フン……」

 

 不機嫌そうに鼻を鳴らすディルック。ふえぇ、怖いよぅ……。

 

 「……とりあえず話はまとまったようだな。それではディルック、君は先に執務室に戻っていてくれ。支払いの件と……あの話(・・・)の続きもしたい」

 「ああ、了解した」 

 「よろしく頼む。……それとユヅル。申し訳ないが、君にはもう少しここに居てほしい」

 「……?──あぁ、僕のことが好きだから、傍に居てほしいってこと?」

 「違う。……まだ、街のみんなの、君への誤解が解けていないからだ。今から騎士団を通して、君が冤罪だということをみんなに伝えるつもりだが……全員に伝わるまでには、やはり時間がかかるだろう。問題を起こさないためにも、君にはここに居てほしいのだ」

 「あ、そゆことね……おけおけ了解で……え待って、ホールからも動いたら駄目な感じ?」

 「いや、騎士団の敷地にいる分には問題ない」

 

 その答えに、僕はほいほいかしこまりっと、テキトーに了承して、話合閉幕(わごうへいまく)皆々解散(みなみなかいさん)

 

 ジンはホールの外へと繋がる扉へ。

 

 ディルックは執務室の扉へと向かい。

 

 僕は、執務室とは反対の扉──図書館の扉へと、歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 次話に出てきてほしいキャラのアンケートです。いったい誰になるのか……まったく予想がつかない!

 

次話に出てきてほしいキャラは誰!?

  • 西風騎士団の図書館司書
  • 薔薇の魔女
  • おば──お姉さん……
  • 純水精霊戦お助けキャラ
  • 登りボイスえちえちお姉さん
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