原神ふれんず!   作:コトバノ

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まずは謝罪、前回の更新からすごい間が空いてしまいまして申し訳ない……でも皆様、少し考えてみてください。途中に挟みました2月は、他の月より1ヶ月が短いですよね?そう考えると、前話からそこまで時間は経ってないように思えてきませんか?……きません?きませんかぁー……。

 茶番はともかく、感想、評価、ありがとうございます、励みになってます!そしてアンケート参加もありがとうございました!いやぁ、誰が1番になるかはまったく予想がつかなかったのですが……驚きの結果でしたね!またやりたいと考えているので、その時はよろです!




第12話 騎士団本部 『ウソ、ツカナイ』

 

 

 

 

 

 

 ぐるりと巡る、1階ギャラリーに、広々とした地下フロア。

 

 天井からは煌びやかなシャンデリアが吊り下げられ、壁には等間隔にキャンドルたちが掛けられている。

 

 それらに照らされるのは、1階と地下、どちらにも所狭し置かれた本棚にぎっしりと詰められた本の数々。床には、本棚に入り切らずに直積みされたものたちも見受けられた。

 

 ……はいっ、というわけでね!どーもどもっ、現場のユヅルです!只今わたくしがおりますのは、先ほど丁寧に描写させていただきました空間、騎士団本部の図書館!の、入ってすぐのギャラリー部分ですね!漂い香る、紙とインクの匂いが、食欲を誘いま……あっ、これはただ単に2食抜いてるからか。うっかりうっかり。

 

 と、ゲダツさまよろしくうっかり屋さんをかましたところで、レポートは一旦ストップ。上手く言えてた?上手く言えてた?とカメラマン(いない)やらマネージャー(いない)やらに問いかけつつ、今後の予定についてに思考を切り替える。

 

 うーん、そうさねぇ……ジンの談から考えるに、とりあえず夕方くらいまでは出歩かない方がいいだろうから、その間の時間潰しになりそうな本をいくつか探しに行きたいところだけれども……その前に。

 

 「──一応図書館の人に挨拶しといた方がいいよね」

 

 右向け右っと方向転換、記憶にあるゲームでの受付の場所へと向かう。

 

 結構長時間ここに居ることになるだろうし、やっぱり一言くらいはあった方がいいもんね。それにそれに、図書館の人──司書ちゃんとも会ってみたいし。

 

 もっとも、その司書ちゃんがどんな人物であるかはいつだかに回顧したので、今回は割愛させてもらうが……まぁ、とてもえちえちな人だよってことを覚えておいてもらえれば充分だ。

 

 ……と、そんなことを考えて歩いている内に、受付に到着。

 

 目に入るのは、花瓶にポットにティーカップ、封の切られていない手紙に、開かれたままの大本などなど、様々な物が散乱しまくっているカウンターテーブル。

 しかし、そこに人の姿はなかった。

 

 ありゃりゃ、残念……お出かけかな?それとも本の整理中とか?うーん……ま、会えないもんは仕方ないか。大人しく本を探しに……ん?図書館ルール……?

 

 ──視界の端、飛び込んできたのは、先の開かれた大本。そこにはつらつらと文字が並んでいて。

 

 ……うわ、あったなーそんなの。たしか、図書館では騒がない、とかだったよね。あと飲食禁止とかだっけ?ヤバいヤバい、原作ゲームではそんなのガン無視して、好き勝手に暴れ回ってたから、全く覚えてないわ……。でももうそういうわけにはいかないだろうし……うん、しっかり読んで覚えるとしよう。ええと……?

 

▼▼▼

 

 図書館ルール・Ver.7──以前もルールをたくさん作ったけど、効果は見られなかった。今回は必要でないルールを全てなしにしてみた。図書館を利用する者は以下のルールだけ覚えてちょうだいね。

 

 1.図書館の中は静かに。

 2.図書館の所有物を壊さない。

 3.借りたものはちゃんと期間内に返す。

 

 ルールを破ったらどうなるかみんな分かってると思うから、ここは割愛させてもらうわ。以上、みんなで楽しく図書館を使いましょう。

 

▼▼▼

 

 ……へむへむ、そういえばこんなのだったね……うん、でもこのルールなら守れそうだ。3番のには、ちょっと不安を感じないでもないけど、まぁ多分大丈夫……で…………むむ……?……今、なんか違和感が……んー…………うんっ、まぁいっか!そんなことよりも本探し、本探しだ!

 

 感じた違和感もなんのその。小さいことは気にするなのワカチコ精神で、元の目的へ戻る。

 

 どんな本を読もうかな……うーん……うん、そうだね、まずはこっちの──テイワットの常識が分かる本とかを読みたいね。何せここは異世界、日本で問題なかったことがこっちでもそうとは限らないし。そこら辺をきちんとして、もう2度と騎士団のお世話にならないようにしていきたいところ。……もう2度とはちょっと厳しいかも、なんか後6度くらいはお世話になる気がする。

 

 ──なんて具合に、未来に思いを馳せつつ階下へ。

 

 広大な空間に居並ぶ本棚とテーブルの間を縫い縫い、それらしき本を探していると。

 

 棚を数個挟んだ向こう。聞こえてくるは、ペラリペラリと紙のめくれる音に、微かな息遣い……むむっ、これはもしや、そこに司書ちゃんがいるのでは……?

 

 期待を胸に、音の方へ向かってみれば。

 

 「──思想、哲学、心理をロマンの一部にする詩、スメールの難しい著作と全く違う……」

 

 片方の手に本を持ち、もう片方の手を顎にあて、意味わからんことをぶつぶつと呟く眼鏡の男性が、そこに立っていた。 

 

 鼻下にはカイゼル髭を携えており、纏う服は、お高そうなコートにマフラーといった、異国情緒溢れる代物。

 

 ──んあー、人違いだったかー……残念残念。多分あの人は……サイードさん、だよね。草の国、スメールから来た学者さんの。うーむ、初めましての人だし話しかけてみたいところだけど……忙しそうだし、邪魔しないでおこう。

 

 そうして珍しく気遣いをみせた僕は、サイードさんが居た区画から立ち去って、新しい区画で本探しを再開し──奥の方の棚の裏で、再び紙のめくられる音。加えてやはり、微かな息遣いも……もしやもやしや、今度こそ司書ちゃんが居るのでは?

 

 期待を胸に、その棚の裏に回り込んでみれば。

 

 「──Ye ika gusha mosi!Yo mimi beru si!?」

 

 両手で大きな本を広げ、何やら奇声を発しているちみっ子が、そこに立っていた。

 

 花弁のヘアピンと、後ろに流した三つ編みおさげが特徴的な、可愛らしい少女……というか、幼女だ。

 

 「Celi dada , mimi nunu!」

 

 ……可愛らしい幼女だ。

 

 「Ye dada!mosi mita!」

 

 ……可愛いらしい、幼女…………可愛らし……い……幼……女……?

 

 「Du ya zido dala──!」

 

 …………うん…………無理っ!一応この娘も初めましての相手だけどさ……話しかけるの無理だわ!や、あれでしょ!?この娘エラ・マスクちゃんでしょ!?ヒルチャール語学研究家の!原作から彼女が悪い娘じゃないってのは分かってるけど……いやっ、さしもの僕でもちょっと厳しいわ!素面の彼女だったら話しかけられたかもだけど……今のエラ・マスクちゃん、最早怖いし!不気味だし!

 

 ──そうして、未だ混乱と恐怖のうちにありながらも彼女の居た区画を立ち去り、新しい区画。気持ちを切り替えられぬままにいくばくか歩いていると──進行方向の棚の脇から、三度目の、紙のめくられる音。

 

 ……はぁ……はいはいはいはい、もういいって……あれっしょ?どーせまた、司書ちゃんじゃないんでしょ?流石にもう分かるよ……。

 

 浮かぶのは投げやりな考え。とはいえ音の聞こえてきた場所は、通り道の近くで。まぁそこまで手間でもないし……と、顔だけひょっこり出して覗いてみれば。

 

 「──困ったわ……また返却期限を過ぎてる本があるじゃない……」

 

 頬に手を当て、物憂げな溜め息を漏らす美女──すなわち司書のリサちゃんが、そこにはいた。

 

 ……ん……?……司書のリサちゃんが、そこにはいた……?……いやっ…………はぁッ!?ちょまっちょっタイムタイムタイム!!トゥアァァァイムッッ!!

 

 慌てて僕は、出した顔を引っ込め──同時に両手でTの字を作ってタイム要請。貰った時間で心を落ち着かせる。

 

 ──ビックリしたぁ……!まだ心の準備も出来てないのに、めっちゃ急に出て来るじゃん!ちょっと何、リサちゃんはオーバーレイ広告か何かですか?誤タップ狙ってるんですか?おいおいその手は桑名の焼きハマグ……いや、よく考えたらリサちゃんは元から居ただけだから、オーバーレイ広告じゃなくてただのバナー広告か……うーむ、それなら厄介度は下がるが……しかして右上の×ボタンが押しにくいのなんの……もうちょいデカくしてくれてもよくない?

 

 と、広告への不満をたれていたところで、ようやくリサちゃんが広告じゃないことに気付いて、ペシンと額を叩いてあちゃーと一本取られたポーズ。

 

 そこまでしてようやく落ち着きを取り戻した僕は再び顔を棚の脇からひょっこりさせて、今度はリサちゃんの観察を始める。

 

 本棚を眺めるのは綺麗な翠緑の瞳。やや癖のかかった長い髪は、薔薇のシュシュで束ねられ、前に下ろされている。とんがり帽子に紫ベースのおしゃれな洋服を纏っており、それを押し上げる豊かな胸と、スリットから覗く薄いタイツに包まれた脚は、大人の色気を感じさせるもので……うん、全然変な意味じゃないんだけど、踏まれてみたいね。もっと言えば、椅子になりたい。あ、全然変な意味じゃないんだけどね?

 

 ──すると、突然。

 

 邪なことを考えていた気配が伝わってしまったのか、リサちゃんが不意にこちらを見やって。

 

 目と目が合う。

 

 「──あら?見ない顔の人ね……どちら様かしら?そんな所で覗いてないで、こっちに来なさいな」

 「はぁい……やー、別に覗き見するつもりはなかったんだけどね?ただ話しかけるタイミングを図ってただけで……や、マジでマジで。あれだよ?全然ね、居たのがバレてなかったのを良いことに、じっくりと舐めるような視線を君に送ったりとか、してないからね?イエス、ユヅル、ショウジキモノ。ウソ、ツカナイ」

 「してたのね……」

 

 隠れる間もなくリサちゃんに見つかった僕は、その彼女からのお招きを受け。スタスタと彼女の近くへ進み、向かい合う……といっても、身長差故に彼女はやや見上げる姿勢になっているが。

 

 ……あ、でもあれね。リサちゃん、あとジンにも言えるが、2人とも女性にしては結構身長高めだよね……僕より低いっていっても、僕の身長は割りと高めだし。テイワットに来てから出会った僕よりも背の高い人って、ガイアとかディルックくらいかな?

 

 などといったことを考えていると。

 

 「──けどあなた、ユヅルという名前にその金の髪……もしかして、ジンやアンバーちゃんの言っていたお(とぼ)けさんかしら?」

 

 リサちゃんが問いかけてきて。

 

 「お、お惚けさん……?や、多分それで合ってると思うけど……え、何、僕そんな風に言われてんの?」

 「ふふっ、安心してちょうだい?2人の話を聞いて、わたくしが勝手にそう呼んでいるだけだから」

 「あ、そうなんだ……ならちょっと安心……いやでもお惚けさんはやめてほしいかも」

 「あら残念……それじゃあ、ユヅルちゃん、はどうかしら?」

 「それならおっけー。……あ、ところでそういう君は、リサちゃんで合ってるよね?図書館司書の」

 「ええ、そうよ。よろしくお願いするわね、ユヅルちゃん」

 「うん、よろしく」

 

 一通り挨拶が済んで、フリータイム。何を聞こうか、好きな男性のタイプ?それとも年齢でも聞こうかしらん?と思っていると──それよりも早く、リサちゃんが言葉を紡ぐ。

 

 「──でも、少し意外だわ。あなたがこんな場所にいるなんて。聞いていた話だと、本を読むなんてことよりもお酒を飲むことの方がずっと好きみたいだったもの」

 「おいよいよいリサちゃん、それは勘違いってものさ。こう見えて僕は、なかなかに読書家なんだからね?いやまぁお酒と本、どっちが好きかって聞かれたらそりゃお酒だけど……騎士団本部(ここ)でお酒を飲むわけにもいかないだろうし」

 

 そう言うと、リサちゃんは僕の言葉に何か引っかかるところでもあったのか、小首を傾げて。

 

 「あら……?その言い方だと、まるでユヅルちゃんは騎士団から出られないみたいに聞こえるわね……ふふっ、何か仕出かしたのかしら?」

 「ああ、いやぁ、それがさぁ?なんか騎士団に、僕が『天空のライアー』を盗んだ奴だって勘違いされて、さっきまで追いかけ回されてちゃってたんだよねー」

 「まぁ、そうな……え???ま、待ってちょうだい、あなた今、なんて言ったのかしら……?」

 「え?……ああ、大丈夫、もう捕まってるから!」

 「何も大丈夫じゃないわね!?」

 「おぉ、ナイスツッコミ。まぁでも、大丈夫なのは嘘じゃないよ?捕まったのはほんとだけど、ちゃんと誤解は解けてるから」

 「…………はぁ……まったく、あまりお姉さんをからかうものじゃないわよ?」

 

 溜め息を吐いて、めっと注意をしてくるリサちゃん。そんな彼女に手刀を立て、ごめんごっと謝罪しつつ話を続ける。

 

 「──だけども、僕が冤罪だったっていうの、まだ街の皆や騎士たちにはうまく伝わってないかもだから、迂闊に外に出れないんだよね……だからさ、夕方くらいまで図書館に居させてもらっても、いいかな?」

 「ええ、それくらいなら構わないわ。……ただ、もし本を汚したり、騒がしくしたりした場合には、それ相応の措置を取らせてもらうけど……ふふっ、もちろんユヅルちゃんは、そんなことはしないわよね?」

 

 ね?と同意を求めるようにリサちゃんが笑いかけてくる……が、しかし、明らかに目の奥が笑ってませんね、はい。ので、ガクガクと頷いて肯定を示しておく。

 

 うへぇ、こわぁ……狩人の目ぇ、してたんですけどぉ……。

 

 そうして戦々恐々としつつも、絶対本を大切にしよ、絶対騒がんとこ、と決心したときだった。

 

 ──辺り一面に響き渡る、ぐぅーっというキューティーな音。

 

 はたしてそれは、僕のお腹から聞こえてきたもので。

 

 「──待って待ってごめんなさいっ!めっちゃ響いたねごめんなさい!騒がしくして、ごめんなさい!でもお腹鳴るのは仕方なくない!?だって昨日からご飯食べてないんだよ!?そんでもって、外に出られてないから腹ごしらえも出来てないんだよ!?仕方がないでしょ!だから僕は悪くないっ、悪いのはこの世界だっ!!」

 「いえ、別にそこまで怯えなくても……というかどちらかというと、今あなたが叫んでる声の方が、よっぽど騒がしいわよ?あと、責任転嫁のスケールが無駄に大きいわね……」

 

 と、呆れた様子のリサちゃんは、尚も許しを乞うべく言い募ろうとする僕を制止すると。

 

 「──丁度わたくしも、お昼がまだでもあるし……それに、時計のようにお腹を何回も鳴らされても困るもの、わたくしが何か振る舞って差し上げるわ」

 

 しょうがないにゃーといった風に、そう提案してくれる。

 

 そして、その提案に「え、いいの?」と戸惑う僕に、リサちゃんは(とど)めとばかりに。

 

 「──ふふっ、特別よ?」

 

 ウインクとともにそんな言葉を送ってきて。

 

 瞬間、僕はリサちゃんのドラマティックウルトラ恋奴隷となった。

 

 ──いやもぉこれリサちゃんしか勝たんでしょッッ──!!!!!!!!

 

▼▼▼

 

 ──その夜。モンド一角の酒場にて。

 

 とある旅人とその仲間に、騎士団の代理団長と酒造組合のオーナー、そして正体不明の吟遊詩人という、ごった雑のメンバーによって、モンドの行方を誘う密会が行われていたのだが……そのことを知っているのは、夜闇を撫でる風だけだった。

 

 

 

 

 

 

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