原神ふれんず!   作:コトバノ

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 モンド編の終わりが見えて来ました……!多分この調子なら、今月……こ、ね、年内……年、年度末までには終われそうです!めいびー!


第19話 モンド城 『……え、天使???』

 

 

 

 

 エンジェルズシェア前の、入り組んだ路地。

 

 もうもうと立ち込める白い冷気、その元凶となっているのは、路地を、そして僕とアビスの魔術師を分断するように(そび)える巨大な氷塊だ。

 

 それを辿った先にあるのは、スラリと長い足。そこから氷は噴出していた。

 

 そしてその足の持ち主こそ、浅黒い肌に眼帯、怪しげな笑みが特徴の西風騎士──ガイアだった。

 

 パキンと音を立てて、彼は氷から足を引き抜き。その動作のままに、こちらへと歩みを始める。

 

 やがて傍らにまで近づいた彼は、地べたに尻餅をついてる僕に向かって手を差し出し。

 

 「──よぉユヅル。危な」

 「ガ、ガイアぁぁぁぁッッ!!へいッガイアぁぁぁぁッッ!!」

 「いところだっ」

 「ガイアぁぁぁぁッッ!!うおぉぉぉガイアぁぁぁぁッッ!!」

 「たな……」

 「ガイア、ガガイア、ガガガイアぁぁぁぁ──!!」

 「大人しくしやがれ」

 「あぱんっ」

 

 それを無視して、にゅるりんっと足にまとわりつき叫んでいた僕は、冷気を浴びせられる。

 

 うっ、ちべたいっ……!……しまったしまった、窮地を脱した解放感から、つい、はっちゃけちゃったよ……。

 

 我に返った僕は、未だに伸ばしてくれていた彼の手を掴んで立ち上がり、まずと感謝を告げる。

 

 「──助けてくれてありがとうねっ、ガイア!感謝感謝っ!はっぴーすまいるっ!……でもガイア、ふざけてる場合じゃないよ!アビスの魔術師を倒さないと!あれ、めちゃつよだよ……!」

 「俺はまったくふざけていなかったけどな???……それと、アビス教団のヤツなら……」

 

 彼は一旦言葉を切ると、視線を動かす。つられて見やると、先ほどまであった氷の巨壁は見当たらず。形を変え、アビスの魔術師を包み閉じ込めた氷の球体が、そこにはあって。

 

 ……バ、バカな……!こんな短時間でアビスの魔術師をやっつけた、だと……!ゆ、有能すぎる……!だって、あのガイアだぞ?ガイ虐でお馴染みのガイアだぞ?…………ははーん……さてはこのガイア、偽者だな……?(迷推理)

 

 「──……しかしお前……どうしたってこんな所にいたんだ?もうとっくに避難誘導は終わっているはずだろう?」

 「え?ああ、なんかね、小さい子がお母さんとはぐれて、街中に取り残されちゃってるみたいなのよ。で、手が空いてんのが僕とかノエルちゃんとかエリンちゃんくらいだったから、駆り出されたんだよね」

 「ほー、そうだったのか……すまないなユヅル。どうやら巻き込んでしまったみたいで」

 

 うわっ、ガイアが殊勝に謝ってきたんだけど……違和感すご……。

 

 「……ん?……おいユヅル、それよりもお前、ケガをしているみたいだが……大丈夫か?」

 

 なっ、その上気遣いも……!?……あまりにもでき過ぎる……偽者説、濃厚になってきたな……。

 

 「……ユヅル?」

 「へっ!?……ああケガね、大丈夫大丈夫っ!飛んできた水の弾を避けるときに、テーブルに突っ込んで切っちゃっただけだから!……まぁ、ちょっと痛むけど」

 「そうか……だが、困ったな。俺はケガを治すのに向いていないんだ。──それに……アイツの相手も、まだ終わっていなかったようだしな」

 

 相も変わらずに、抑揚を押さえた口調で彼はそう告げる。

 

 ……む……?……偽者とかいう冗談は置いとくにして……今、ガイアの言ったアイツって、いったい……?

 

 そんな疑問を抱いたところで、ふと聞こえてくる、ピシッ、ピシリッ……といった音。

 

 なんぞやとキョロキョロと周辺を見回してその正体を探り──突き止める。

 

 それは、アビスの魔術師が捕らえられていた氷球に、ひびが入り、また広がっていく音だったようで。

 

 ……え???

 

 「──いやちょっ……えっ!?生きて……ま、まだやっつけてなかったの!?えっ!?」

 「フッ……なかなかどうして、やるみたいだな」

 

 彼はニヤリと、不敵に笑って言う……けどその台詞、つまりあれでしょ!?こいつは予想外だぜ……ってことでしょ!?何わろてんねんっ……!……や、待て待て、そんなことは後だ後。とにかく今は、そう今は──。

 

 「──い、急いで逃げねば……!」

 

 と、意気込むも。

 

 「いや、そうもいかないぜ。アイツらは特殊な移動方法を持っている。下手に逃げて、俺の手の届かないところで襲われでもしたら……な?」

 

 後は言わなくても分かるよなと、目で訴えかけてくるガイア。

 

 ……特殊な移動方法って……うっそ、ランランルーワープ、こっちのヤツらもできるんだ……!……いやまぁ、そりゃできるか……バリアが無かったから、無意識にそこら辺はできないものだと考えてたわ……。うぅ……じゃあ、あれか?逃げることもできずに、近くで戦いの余波を浴びてろってことか?……死んじゃうわ!パンピー舐めんなっ!いやまぁ逃げても襲われて死んじゃうかもしれないんだけどねっ!前門の死、後門の死!まさしく万事休す……!

 

 なんて具合に、1人ダダ焦りしてしていた時だった。

 

 

 

 「──どこにいらっしゃいますかユヅルさま──!!」

 

 

 

 ──背後の路地から。声が徐々に近づいて聞こえてくる。その声は、まるで鈴の音のように、軽やかで美しいもので。

 

 「……え、天使???」

 「いやノエルだろ」

 

 少しして、僕らの言葉通りに路地から、天使──もといノエルちゃんがひょこっと姿を現す。

 

 綺麗な銀の髪は随分と振り乱れており、相当急いで来たんだなということが見てとれるほどだった。

 

 「どこに──ユヅルさま!まぁ、ここにいらしたのですね……!……見つかってよかったです……!」

 

 こちらを確認した彼女は、安堵の声を漏らしながら、タタッと駆けよってくる。可愛い。

 

 「丁度良いところに来たな、ノエル」

 

 そこへガイアが声を掛ける。

 

 「ガ、ガイアさま!?どうしてここに……?前線で戦っていらっしゃるはずでは……?それに、あの奥の氷の球体はいったい……?」

 「細かい話は後だ。ノエル、とりあえずお前に任務をやろう。俺がアレの相手をする間、お前はユヅルを護衛しろ。ああ、ついでに頭のケガも治療してやっといてくれ」

 「は、はい、かしこまりました!」

 

 いっぺんに入り込んできた情報の多さにノエルちゃんは戸惑い、しかしガイアから任務を仰せつかった途端、二つ返事。

 

 社畜適性あり過ぎでは……?と慄く僕をよそに、傍に来たノエルちゃんと入れ替わる形で、ガイアはダッと地面を踏みしめ勢いよく飛び出す。その手にはいつの間にか剣がにぎられている。

 

 ほぼ同じタイミングで氷の球体が砕け、中よりアビスの魔術師が生身を現し──突っ込んできたガイアの横薙ぎの剣に、咄嗟に構えた杖ごと吹き飛ばされる。お強い……!

 

 ほんの一瞬の間に起きたド迫力の立ち合い。それに魅入られていた僕の視界に突如ノエルちゃんの顔がドアップで映り。

 

 「すぐに治療をいたしませんと!動かないでくださいね?」

 

 言うや否や、彼女は左手で僕の頬をガッと掴んで固定し、また右手を傷口と思われる位置に置く。

 

 い、いきなり何!?近っ、ちょっと近いって!心の準備がまだ、うわ睫毛長いし瞳もキレイだし何これほんと待って待って待って……!

 

 心中でテンパっていると、その右手が──緑に淡く光り出す。

 

 伴って、傷口の部分が何やら暖かくなっていく感覚。

 

 「うぇっ、何これ!?」

 「傷を癒しているんです。わたくしでは少し時間がかかってしまいますが……必ず治してみせますのでご安心ください」

 

 癒し……あっ、もしかして回復ってことかな……?たしかにノエルちゃんは原作でもそんなことができてたし……。

 

 ──原神というゲームにおいて、数多いるプレイアブルキャラは、大きく4つの区分に当てはめられる。

 

 メインアタッカー、サブアタッカー、ヒーラー、サポーターだ。

 

 そしてノエルというキャラは、その全ての役割を1人でこなすことができる、万能キャラなのである!

 

 ……まぁ、サポーター(シールド枠)としてならともかく、他の3役として運用するには厳しい育成が必要になってくるから、万能ノエルなんて使う人はあまり居なかったけどね。

 

 ただその中で、深い愛をもって苦難に取り組んだバカどもを、敬意を込めてノエラーと呼んだりもした。……や、まじであの人たち凄すぎ。バフなしエクスカリバー初段で一撃20000ダメージいくってどういうこと???

 

 「──終わりました!どうでしょうかユヅルさま、痛みなどは……」

 

 思い出し感心していると、僕の頭から手を離してのノエルちゃんがお声がけ。

 

 さすさす頭をいじってみれば、なるほどたしかに傷が癒えているようだった。

 

 「大丈夫、痛みもないよ。すっかり治ってるみたいだ。すごい……ありがとうノエルちゃん」

 「いえ、お気になさらないでください」

 

 礼を告げると、微笑んで返してくれるノエルちゃん。優しい……好き……って、あれ?

 

 「そういえばガイアは?いづこへいづこへ?」

 「ガイアさまは……音が聞こえてきますし、おそらく向こうかと」

 

 尋ねると、ノエルちゃんが示すのはずっと先、街を囲む城壁方面。言われてみれば、その通りに音が聞こえてくる気も。

 

 ……でも……えー……?この短時間で?あそこまで?……やっぱりもしかして、ガイアって有能?うーん……解釈不一致ですね。解釈一致でもあるけど。これが矛盾する乙女心ってやつかしら。複雑怪奇……。

 

 「……どういたしましょうか……わたくし達も追いかけますか?」

 「うっ、頭がまだ痛む気がしてくるような気がしてくる……!」

 「ほ、本当ですか!?」

 「本当のような気がするような気がしてくる……!」

 

 いきなりやって来たノエルちゃんからのキラーパス……!勘弁してくださいな、もう限界よ……。

 

 「……というか、あれだよノエルちゃん。追いかけたところで、多分ガイアからしたら足手纏いだよ」

 「うっ……やはりそうでしょうか……」

 「ちょっ、そんな顔しないで……!紙一重、紙一重で足手纏いね!紙一重!」

 

 なんとかやり過ごそうと紡いだ僕の言葉に、眉を下げ、もの悲しげな表情を浮かべてしまったノエルちゃんを必死に宥める。ごめんて……!

 

 「……仕方ありませんね。今のわたくしでは力不足なのは確かですし……はい。ここでガイアさまの帰りをお待ちしましょう」

 

 すると、それが功を奏したのか、彼女の口から立ち直った前向きな発言が発される。

 

 よしよし助かった、これでやっと一息つける。もうくたくたですわ……。

 

 「──じゃあ、エンジェルズシェアも近くにあることだし、パーっとお酒を飲んで、時間を潰そっか!」

 「ユヅルさま?広場でお酒は控えると仰いましたよね?」

 「はい仰いました。ごめんなさい……」

 

 

 

 ……迂闊に発言なんてするもんじゃないね!ちくしょうお酒飲みたい!でもノエルちゃんが可愛怖いからがーまんっ!あとガイア、頑張れ!

 

 

 

 

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