原神ふれんず!   作:コトバノ

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 感想高評価ありがとうございます!

 おかげさまで、モチベーションは上がりますし、放浪者も引けました!!やったぜ!!

 けどファルザンがまだGETできていないので、引き続きお願いします!





閑話 エンジェルズシェア 『っくあ~~、効くぅ~~……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 顔馴染みである店前の売り子のお兄ちゃんに挨拶をしながらドアに手をかけ、そのまま開く。

 

 出迎えてくれるのは、いつも通りの酒の匂いと酔っ払いたちの騒ぎ声。その中を、バーテンダーの待つカウンターへと進んでいく。

 

 今日も今日とて、僕はエンジェルズシェアで酒盛りである。これで連続……そうだね、3日目くらい?あれ、4日目だったかな?酒飲みに昼夜は関係ないから、日にち感覚とかけっこー狂っちゃうんだよね。

 

 「──今日も来たのかユヅル……少しは控えたらどうだ?」

 「そんな酷いこと言わないでよチャールズ。それ、息するなって言っているようなもんだからね?」

 「君はまったく……はぁ。それで、注文は?」

 「うーん……今日は、そうだね──」

 

 チャールズと軽く談笑した後、酒瓶とジョッキ受け取った僕は、そこで少し周りを確認してみる。

 

 ……むむむ、今日は随分と人が多いね……1階には空いている席はなしか。とくると2階……どっか空いているといいんだけど……。

 

 そんな心配をしつつ、席々の間を通り抜け、階段を昇っていく。

 

 辿り着いた中央に四角く穴の開いたバルコニー型の2階は、しかし、見渡す限りは1階と同じく人でいっぱいのようで。

 

 うえぇー、困っちんぐ……今日に限っていつもの飲み友どもはいないみたいで、気安く相席やらもできないし……どーしよ。立ち飲みはあんまり好きじゃないし、1人飲みもあんまり好きじゃないのになー……。……ん?……よく考えたら、どうせここにいるのは全員酔っ払いなんだし、遠慮する必要なんてないのでは?……よしっ、そうと決まったらテキトーなグループに交ぜてもらおう。椅子も……まぁ、お行儀悪いけどテーブルに座らせてもらうやりなんなりすればいいや。

 

 方針を定めた僕は、立ち止まっていた階段前から一歩踏み出し──そのときだった。

 

 なんということでしょう、角度の問題で見えていなかった奥の2人用テーブル席。そこに座ってるのは、どうやらお1人様のようで。

 

 なーんだ、わざわざグループに交ぜてもらわなくても大丈夫そうだね……。

 

 「──ねぇーっ、そこの人ー!奥のテーブル席の人ー!相席してもいーいー!?」

 

 そちらへ歩を進めながら呼びかけると、こちらに背を向ける形で座っていたその人物は、肩ほどまであろう水色の髪を揺らしながら、ゆっくりと振り返る。

 

 酔っているからだろうか、頬はやや赤らみ、こちらを見据える琥珀の瞳はとろーんとしている。それによって、整った顔立ち故に綺麗という印象を受ける彼女は現在、可愛いという印象をも兼ね備えていた。

 

 やがて、彼女は口を開く。

 

 「──君……席を探しているのなら、他を当たることね。私と相席なんてしても、良いことなんてないわよ」

 

 桜色の唇から紡がれるのは、相席を拒むような言葉。けどそれは、ただ僕が相席するのが嫌というよりかは、もっと別の何かが理由のようで。

 

 「……?……ああ、なるほど、そうか君……さてはエウルアちゃんでしょ?」

 

 正体に思い至った僕がそう問いかければ、彼女は少し驚きながらも肯定の色を見せた。

 

 「ええ、そうよ。私はエウルア・ローレンス……西風騎士にして、かつてモンドを闇に陥れた罪人の末裔よ──」

 

▼▼▼

 

 ──エウルア・ローレンス。

 

 一見すると、ただのスタイル抜群スーパー美人さんである彼女は、その実、西風騎士団の遊撃小隊隊長を務める凄腕さんだ。

 

 氷元素と大剣とを操り、踊るように敵を討つ。ゲームにおいては、物理と太ももにおいての最強格のキャラクターであり──また同時に、めちゃくちゃに重たい過去を持つキャラクターでもあった。

 

 というのも彼女は、先に自らで申した通りに罪人の末裔であるからだ。

 

 ローレンス家は、ジンの属するグンヒルド家や、ディルックの属するラグウィンド家と並ぶ名門貴族でありながら、その昔、己が欲のためにモンドを統治ないしは支配し、暗黒に包んだ。その過去の栄光故にローレンス家は、今尚儀礼品格を重視し他者を見下し、その過去の罪業故にローレンス家は、モンドの人々から敬遠されている。

 

 そのような家系に長女として産まれた彼女は、幼少期より、所作に礼儀、学問、ひいては料理や家事に至るまで、あらゆることに対する英才教育を、家のためにと、異常なほどの厳しさの下に施されてきた。自らの家は帰るべき場所、癒される場所でなければいけないはずだというに、彼女には気の休まる時間などほとんどなかっただろう。

 

 では、外に出ればというと、商店では物を売ってもらえず、飲食店では注文を雑に扱われ、何もしていなくても住民に絡まれと、悪意に晒されるという…………うん……地獄かな?……いや……うん……地獄だな。ほんと、エウルアちゃんが何したっていうねんマジで。そりゃさ、歴史に根差した偏見差別の意識は、簡単に変わることはないでしょうけどさ……でもこの娘、こんな美人なんだよ???しかも心根も、多少表現に歪みは出ているものの、めちゃくちゃにいい娘だし……むしろモンドの至宝でしょ、『天空のライアー』並みに丁重に扱うべきよ。というか扱えコラ。

 

 ──彼女のバックグラウンドを思い浮かべ、同情あるいは義憤の念を抱きながら、僕はいそいそと対面の席に着き。

 

 酒瓶の栓を開け、ジョッキにトクトクと注いでいると、向かい合う形となったエウルアちゃんが、ムッと眉を寄せ、少し険の籠もった声で咎めてくる。

 

 「……君、話聞いてた?それとも……見ない顔だし、もしかして知らないのかしら?ローレンス家は昔──」

 「はいはいあれね、モンドを支配しようとしたんだよね。大丈夫大丈夫、分かってる分かってる。でも僕はエウルアちゃんとお酒飲みたいから……大丈夫っ!」

 「何が大丈夫なのかしら……私なんかと喋っていると、周りから変な目で見られるわよ?」

 「エウルアちゃんのこと抜きで、もう既に変な目で見られてるから……問題ないよ!」

 「問題しかないじゃない……」

 

 呆れた様子で呟き、彼女は自らのグラスに入った酒をぐいと呷って。

 

 「……はぁ、もういいわ。君、名前は?」

 「ユヅルだよ。一般通過酒飲み異邦人やってます」

 「そう、ユヅルね?……この恨み、覚えておくから。覚悟しておくことね」

 

 そして、軽くこちらを睨んでの決め台詞。いただきましたっ、恨み覚え構文!ありがたやー、ありがたやー……!

 

 「……でも、私が罪人の末裔と知っていながら相席したいだなんて……君も随分と物好きなのね。周りから変な目で見られているのも納得だわ」

 「えー……そんなこと言い出したら、君と絡んでいる他の人たちも、物好きってことになっちゃうよ?」

 「構わないわ、だってその通りなんだもの。揃いも揃って、よくもまぁ罪人と関わろうなんて思うわね」

 

 やや厳しめの言葉を漏らすエウルアちゃん……けどその瞳は、優しく、穏やかで。

 

 ふーむ……これは……もわもわ香ってきますね……百合の匂い。幸せが訪れるときには、いつも百合の匂いがする……!待ってろよみんな!僕が絶対百合を見せてやるからな!

 

 「ほ、ほー……例えば、あれかな?アンバーとか、ですかね?」

 「あら、彼女を知ってるの?……ええ、そうよ。彼女も物好きの1人。それでいて、いつも自分勝手なのよ。私が騎士団に入った日も、私の宿舎を掃除してくれたり、私を連れて色んな所に見学に行ったり……まるで私が、妹に世話をされている姉みたいで、そんなのみっともないじゃない!……まったく、あのときの恨み、全部覚えているんだから」

 

 尋ねると、ものすごい勢いでまくし立てる彼女。しかしてその表情は柔らかく、声に刺々しさも感じられなくて。

 

 っくあ~~、効くぅ~~……!五臓六腑に染み渡るぅ~~……!やはり百合、百合は世界を救う……!24時間テレビはそろそろメインテーマに百合を入れるべきだと思いますね、はい。

 

 「うんうんそっかそっか……ちなみにアンバーは君のことを、特別扱いしてたよ。びっくりだよね。みんなに好かれているあのアンバーが、特別扱いをしているなんて……羨ましいなー、このこのー!」

 

 でもって僕は、より濃密な百合を求めて、テキトーなことを宣っていく。ここでいう特別云々は、ゲームでアンバーが、ローレンス家について話す際に、エウルアちゃんだけは礼儀にそこまで厳しくないことを称して言っていただけだけど……まぁ、百合が見れればいいので気にしなーい気にしなーい。

 

 「……そ、そう……アンバーが……ふんっ……覚えておく恨みが、また1つ増えたみたいね。いつかまとめて復讐してあげるんだから!」

 「きゃわわっ……ンンっ、ところでエウルアちゃん、どうかしたのかなっ?お顔赤いよ?」

 「……お酒のせいね。それかもしくは君の勘違いよ」

 

 言って彼女は、誤魔化すようにグラスを傾ける。けれどもその頬は、やはり酔いとは違う何かによって赤らんでいた。

 

 可愛いなー、もぉー……どうしてエウルアちゃんは、こんなに可愛いのかしら。ま、やっぱりアンバーの影響がでかいだろうね……純粋ちゃんと捻デレちゃんの組み合わせの相性が悪いことなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないもんね。……けど僕は、真面目ちゃんと捻デレちゃんの組み合わせも好きなので……うん、上手いこと誘導させてもらおう。

 

 「──話を戻すけど……エウルアちゃんからしたら、他にも……そうね、ジンとかも物好きってことなのかな?」

 「代理団長?当然じゃない、彼女と私の一族は宿敵同士なのよ?それなのに彼女は、私の実力を認めて騎士団に誘ってくれたうえに、チャンスも沢山くれた……相当な物好きだわ。ふんっ、彼女にもいつか、復讐してあげるんだから」

 

 再びつっけんどんに言い放つエウルアちゃん……けどやっぱり、言の音は優しく、頬も引き続きに赤らんでいて。

 

 っくあ~~、効くぅ~~……!五臓六腑に染み渡るぅ~~……!もはやこれ、テイワットにおける新しい元素反応『百合』でしょ!?効果は世界のみんなが笑顔になるというもの。完璧だねっ!百合いずラブ&ピース!!!

 

 「……けど君、アンバーともジンとも知り合いだなんて……随分と顔が広いのね。もしかして、騎士団の新入りなのかしら?」

 「うん?ははっ、まさかまさか、僕は真面目に働く気はないよ。2人は友達ってだけ。まぁ顔が広いってのは否定しないけどね」

 「……そう……」

 

 的外れな問いかけに笑って答えると、彼女は何故だか物憂げな雰囲気を漂わせ始める。……ど、どうしたんだろう……?何か地雷踏んじゃった……?

 

 訝しんでいると、すぐさまその地雷は明かされる。

 

 「……異邦人ってことは、モンドからすれば、君は私と同じ外来者ってことよね。なのに君は、私と違ってみんなに歓迎されているのね」

 「ん、んー……」

 

 地雷そこかぁー……いやまぁ経験が経験だし、顔が広いすなわち友達が多い人ってのは、彼女からすれば妬ましい存在というか、やるせなくさせる存在だもんね……。

 

 「……いや、でもさ、僕とエウルアちゃんじゃあ前提条件が違うじゃん。僕はモンドではゼロからのスタートだったけど、エウルアちゃんは、言っちゃえばマイナスからのスタートだったわけだし……」

 「……そうね」

 

 なんとかフォローしようと試みるも、反応はイマイチ……もう一声といったところだろうか。……ぬぅ、ちょっとめんどくさいぞエウルアちゃん。でもそこも可愛いんだよねー……困ったものだ。うーん……とにかく……とりあえずは、色々と言い連ねてなんとかしてみよう。

 

 「──それにほら、エウルアちゃんが言う物好きさんたちは、きちんと君のことを理解してるでしょ?分かる人には分かるんだよ、君の魅力は。他の人たちがまだ気付いていないだけ」

 「そういうものなのかしら……?」

 「そういうものなのさ。もうね、みんなが君の魅力に気付き始めたら、きっと大変なことになること間違いなしよ。だってエウルアちゃんは強いし、美人だし、多芸だし、料理は上手らしいし、それでいて可愛いし、優しいし──何よりえっちだし!」

 「君???」

 「胸は大きいしウエストはほっそいし、何より足っ、特に太ももっ!とても素晴らしい!今はローレンス家フィルターが邪魔してるけど、それもその内無くなるわけで、その時はもう絶対君の取り合いで暴動起こるって!こんな魅力に溢れてる娘、そうそういないもんっ!やったねエウルアちゃん!パーリーだ!……ところで今僕凄いこと言ってない???」

 「言ってるわね」

 「やっぱり!後半からもう脊髄で喋ってたから、自分でも何言ってるか分かってなかったんだよね!あはははは!」

 「……」

 「あはははは……」

 「……」

 「はは……」

 「……」

 「──ごめんなさいっっ!!!」 

 

 テーブルに頭を叩き付けての謝罪。酒瓶やジョッキの跳ねる音が響く。

 

 うぼあぁ、しくじったぁぁぁっ……!!!何セクハラかましてんだ僕はぁぁぁぁっ……!しかもこのタイミングでって……!愚かっ……愚かすぎるでしょ……!!酔ってたからか?酔ってたからか?……いや、シンプル僕がバカなだけだ!!

 

 後悔に打ちひしがれていると──頭上から、つまりはエウルアちゃんから溜め息が聞こえ。

 

 「まったく……信じられないわ。レディにあんなことを言うなんて……。君も貴族の礼儀作法を──……というよりも、人としての礼儀作法を学ぶべきね」

 「返す言葉もございません……!!!」

 

 ほんとにその通りよ……ド正論すぎてちょっと笑えてくる。いや笑えないわ。

 

 「……はぁ、もういいわ」

 

 と、エウルアちゃんから、そんな言葉がもたらされ。

 

 「えっ……いやいやダメでしょ、こんなノンデリカシーバカ野郎はきっちり懲らしめないと」

 「自分で言うのね……でも、大丈夫よ。当然タダで許す気はないもの」

 「お、おお……えっ、ど、どんな罰ですかね……?」

 

 顔を上げ、自分で言っておきながらもちょっと脅えながら、下されるジャッジメントを待っていると。

 

 彼女は頬杖をついたままに小首を傾げ。

 

 「そうね……今夜は私が飽きるまで、お酒に付き合う……っていうのはどうかしら?」

 

 ひどく可愛らしい笑みと共に、そんな罰ともいえない罰を告げてきて。

 

 僕の返事には当然──否やはなく。

 

 

 

 楽しい晩酌は、まだまだ始まったばかりだった。

 

 

 

 

 





 
 次は蛍か猫耳バーテンダー……どっちだろ?わたしも分からん
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