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めりくりぃっ!
何故、お酒を飲みたい気持ちはなくなることはないというとのに、お酒を飲むためのお金はドンドンなくなっていくのか……。
そんな世の不条理を憂い嘆きつつ、真っ昼間から僕は、酒場エンジェルズシェアへと向かっていた。
幾つかの路地を抜け、やがて見えてくる、モンド様式の2階建ての建物。
しかしどうしたことだろうか、いつもとは異なりその周辺には大きな人だかりができていて。
……えっ、特売!?ワンチャンこれ特売セールやってるのでは!?と、期待を胸に、雑踏をごぺんなさいねと掻き分けて進んでいけば、ぽっかり空いた中央に。
「──あれ、ガイアにバーバラちゃんじゃん!」
「ん?……ああ、ユヅルか」
「こんにちはっ、ユヅルさん!」
胡散臭げな美青年と、モンドのアイドルが立っていた。
珍しい組み合わせだなぁ……と思っていると、バーバラちゃんは僕へ、「ちょっと待ってて」と告げてから、周りの人だかりに。
「──それじゃあみんなっ!準備、お願いできるかな?」
呼びかけると、高音低音入り交じった力強い返事があがって、彼らはエンジェルズシェア内に入って行ったり、どこかへ駆けて行ったりと、めいめいに散らばっていく。
その統率の取れすぎた光景に、少々驚いていると、バーバラちゃんはくるりツインテールを靡かせこちらを見て。
「──お待たせ、ユヅルさん。改めて……あのときぶりだね!」
「あのとき……ああ、あのときね。たしかにそうだ」
言われて思い起こす。
あのときとは即ち、いつだかに僕が、ジンに今は亡き報酬(8割方をお酒に費やしたためもうない)を貰いに騎士団へ赴いた日のことを指しているのだろう。
そこで色々あった僕は、遅めの朝ご飯をジンと一緒に鹿狩りでとることとなり──そこで、バーバラちゃん突撃に遭う。
よく分からないけれども、どうやら僕がジンとそういう仲だと勘違いしていたみたいで、なんか修羅場みたいになったんだよね。ジンがなろう主で、僕とバーバラちゃんのハーレムのヒロイン2人が、彼女を取り合ってる的な。これは絶対僕を切ってジンとバーバラちゃんの純愛にした方が伸びますね……。
とまれ、ジンがバーバラちゃんの質問攻めをあたふたしつつも頑張って答え、なんとか誤解は解けて万事解決となったのだが……。
「──あのときのバーバラちゃん、面白かったなぁ……特に誤解が解けたとき。めちゃくちゃ顔真っ赤にしてて、可愛かったよ」
「ほー……随分と楽しそうなことがあったみたいだな」
「や、やめてよユヅルさんっ!早とちりしちゃったわたしが悪かったんだけど……!」
ガイアに教えてあげると、彼は唇の端を吊り上げニヤニヤ。バーバラちゃんはここでも顔を真っ赤にして、止めてくる。可愛い。
「とっ、というかっ、あれはユヅルさんも悪いと思うよ!紛らわしいことばかり言ってたし……!」
「えー……?ガイアガイア、僕そんなこと言ってた?」
「いや、俺が知ってるわけないだろう」
心当たり、ないなぁ……そもそもバーバラちゃんと話したことなんて、あんまりないし。
「ま、多分バーバラちゃんお得意の勘違いだろうし、それは置いといて」
「お、お得意じゃないよ……!?」
「──2人はなんでエンジェルズシェアに?」
最初の方から抱いていた疑問をぶつけると、ガイアが答えてくれる。
「今日はバーバラさまの公演が、エンジェルズシェアであってな。俺はその付き添いで来たんだ。バーバラさまはモンドのアイドルだからな、当然外に出るときには、護衛が必要なのさ」
「おお……バーバラちゃん、すごっ!VIPじゃん!」
「ガ、ガイアさんっ!嘘吐かないで!違うよユヅルさん、公演があるのは本当だけど、護衛の話なんて、まったくの嘘!途中で会っただけだからっ!もぉ……」
「ははっ、すまんすまん」
愉快げになされるガイアの説明に、慌て出すバーバラちゃん。
なんだ、護衛は嘘だったのか……。全然有り得そうな話だけどな……。しかし、エンジェルズシェアで公演……なるほど、さっきの人だかりはバーバラちゃんのファンたちで、公演の準備の手伝いをしてたわけね。
得心していると、バーバラちゃんが。
「……あっ、そろそろわたしも準備しないと……ごめんねユヅルさん!よかったら公演、見てってね!」
言って、最後にウインクを1つ残してエンジェルズシェアに入っていく。
その可愛らしい仕草にトキをムネメかせていると、肩を叩かれ振り返れば。
「──君、バーバラさまとどういう関係だい?」
公演の小道具らしき物を持った金髪の青年が、話しかけてきて。
「え、誰……?ガイア知ってる?」
「いや、俺も知らないな……」
脇に立っているガイアに尋ねてみるも、正体は分からない。ほんとに誰かしらん?と思っていると、彼はふんっと鼻息を吐き。
「僕は『バーバラファンクラブ』の会長のアルバートさ!」
自ら正体を明かす。ふむふむアルバートさんね。『バーバラファンクラブ』会長の……ん?アルバート……?……あ。
「なんだ、バーバラちゃんの厄介オタクストーカーか」
「厄介オタクストーカー!?」
思い当たった名前を口にすると、驚くアルバート。でも驚くようなことじゃないでしょ。だって事実だし。
「へいガイア、この人捕まえていいよ。バーバラちゃんをストーキングして大聖堂付近をうろつくし、シスターの邪魔をするし、バーバラちゃんのためとか言って枯れ葉掃除を人に押し付けるし、自分の行動がバーバラちゃんの迷惑になってることに気付かない厄介さんだし」
「ほー……」
「ま、待ってくださいガイアさん!出鱈目だよ、この人の言っていることは!」
ので、ガイアにしょっぴいてもらうよう伝えると、アルバートは慌てて弁解しだす。
「た、たしかに大聖堂付近には行くけど……シスターさんには迷惑はかけてないよ!枯れ葉掃除はちゃんと自分でやってるから、むしろ感謝されてるし、バーバラさまに迷惑をかけるようなことだってしてないよ!」
あ、そうなんだ……へー……こっちのアルバートは、ゲームのアルバートよりちょっとマシなのか……。ゲームのアルバートは、なんかのイベントでは脅迫まがいのこともしてたからな……悪印象しかなかったんだよね……しまったしまった、ついゲームでのウザさを引き摺ってこっちに持ってきてしまったよ。いかんいかん。
「──ごめんガイア、やっぱり嘘、人違いだったわ」
「そうなのか?」
「うん。アルバートもごめんね?」
「いや、まぁ、分かってくれたならいいけど……と、それよりも君、結局バーバラさまとはどういう関係なんだい?」
「どういう関係……?そうだね、知り合いってところかな。それとも友達?まぁ、その辺りだよ」
「そ、そうか……ならいいや、これからもバーバラさまをよろしく頼むよ」
ほっと安堵の息を漏らして、アルバートは小道具をエンジェルズシェアへと運んでいく。それを見送っていると、ガイアがポツリと呟く。
「しかし、『バーバラファンクラブ』か……面白い組織があったもんだ」
「変なことになんないといいけどね……バーバラちゃんをさま付けで呼んでる人たちの集まりでしょ?どう考えてもヤバいよ……あんな年端もいかない娘をさま付けなんて……有り得ないよ」
それに対する不安を吐露していると、どうやら公演の準備が完了したようで、にわかに店内が賑やかになっていく。
ガイアと連れ立って僕も中に入れば、いつもと内装は違って、ファンシーな飾り付けがなされていた。
テーブルな椅子なども動かされ、奥の方にはステージのようなものもこさえられている。
そのステージに、昇っていく者が1人。
バーバラちゃんだ。
伴って静まっていく店内、そこにいる皆に向けてバーバラちゃんは大きく手を振り。
「──みんな、今日は集まってくれてありがとう!それじゃあ公演を始めるね!バーバラ、いっくよ~──!」
そして、公演が始まった。
▼▼▼
──店内が、ガヤガヤとざわめき出す。
公演は終わり、人々が公演の感想を話し合ったり、また公演の片付けやら酒場としての本営業が始まったからだ。
その中で、ガイアが僕に感想を告げてくる。
「──なかなか見事なものだったな、公演っていうのは。胸が熱くなるような気がするぜ。お前もそうは思わないか?ユヅル」
それに対して僕は。
「バーバラさまぁぁぁぁぁっっ!!!!うおおおおバーバラさまぁぁぁぁぁっっ!!!!バーバラさまぁぁぁぁぁっっ!!!!」
「おぉ……」
一切反応することなく、手を組み天井に向けて、バーバラさまへの思いの丈を叫んでいた。
なんて素晴らしい公演だったんだ……!!バーバラさまの可愛さ、美しさ、純真さ、優しさ……すべての魅力が余すことなく伝わってくる、神イベントだったよ……!むしろバーバラさまが神、崇めよ……!!
「こいつさっきまで、年端もいかない娘をさま付けなんてヤバいよ有り得ないよって言っていたはずだったんだがな……」
ガイアが何か言ってるが、無視だ無視……!今はバーバラさまを崇拝するのが先だ……!
「バーバラさまぁぁぁぁぁっっ!!!!バーバラさ──」
「バ、バーバラさまは恥ずかしいからやめてほしいな……」
「──まっ!!??」
すると、背後から声がして。
しゅぱんっと振り向けば、そこにはバーバラさまの姿があり。
「バーバラさま……!なんて神々しい……!」
「やだ、ちょっとどうしちゃったのユヅルさん?さっきみたく、普通に接してよ」
「そんなっ、畏れ多い……!」
僕の対応に、困ったように眉を下げるバーバラさま……けど、バーバラさまにあんな失礼な対応をするなんて……。
お互いに困っていると──すぱんっと頭に衝撃が走る。痛たっ、なんだこれ叩かれた……?
「落ち着けユヅル、正気に戻れ」
頭を押さえていると、聞こえてくるガイアの台詞。どうやら彼がやったらしい。やーね、暴力的な人って……でも助かった、公演のファンタスティックさに呑まれていたよ……危ない危ない。
「ごめんごめん、バーバラちゃん。ちょっとどうかしてたわ……ガイア、ありがと」
お礼を告げると、気にするなと片手を挙げるガイア。何よ、かっこいいじゃない……。
「──それで、ユヅルさん。わたしの公演、どうだったかな?楽しんでもらえた?」
「もっちろん!!ちょー楽しかったよ!!歌は綺麗でダンスは可愛い、演出も凝ってて、もう大満足だよ!!最高だった!!」
「ほんとっ!?よかったぁ……!えへへっ……」
感想を求めてくるバーバラちゃん。それに返していると、はにかみ笑いを漏らして彼女は喜ぶ。可愛い……!
「……あ、でもちょっと気になったことがあったんだよね」
「え、な、何かな!?」
そういえばと僕が溢すと、すごい食い付きを彼女が見せてくる。おお、ど、貪欲ですね……!
「いや、大したことじゃないんだけど……アイドルって、基本恋愛ソングを歌うもんだと思ってたからさ。でもバーバラちゃんはそうじゃないんだなーって思って」
「恋愛ソング……実は一応、考えてはあるんだけど……そういった経験とかはないし、表現とかも詳しくないから、まだ人前で歌えるレベルじゃないんだよね……」
と、彼女は苦笑い。けど、恋愛ソング、恋愛ソングかー……ふーむ……あっ、いいこと思い付いた。
「──じゃあさじゃあさ、バーバラちゃん!ジンに色々協力してもらってつくったらどう!?」
「え、ええっ!?ジ、ジン……団長に!?」
「いぇーす!ジンはああ見えて恋愛小説好きだから、そういう表現とか描写とかに詳しいよ!教えてもらいな!」
そんな提案をしてみる。
バーバラちゃんの勘違いとはいえ、心労はかけちゃったみたいだしね。それにジンにはお世話になっている。お詫びと感謝代わりに、姉妹団欒の機会を提供してあげようじゃないか!
「ジン団長は、今日は1日中執務室にいる予定だ。今騎士団に行けば、絶対に会えるはずだぜ」
そいつはいい案だなと、ガイアも援護射撃を放ってくれる。
受けてバーバラちゃんは、頬を染め髪をくしくし弄って、少し期待の様相を見せ──けれどここまで言い募っても、バーバラちゃんはいじらしく言う。
「で、でも、お仕事の邪魔しちゃ悪いよ……うん、やっぱり遠慮しといた方が──」
「いやいや気にすることないよバーバラちゃん!もう僕が何度もジンの仕事の邪魔をしているけど、彼女、全然怒ったりしないから!大丈夫大丈夫!」
「……ユ、ユヅルさんはもう少し気にした方がいいと思うな……」
──呆れた顔をして、僕を眺めてから。
暫くして彼女は、そこまでいうなら……と、エンジェルズシェアを出て行き、どこかへと向かっていく。
その足取りが非常に軽やかだったのは……まぁ、言うまでもないだろう。
そして僕は、ガイアと共に、良いことをしたほっこり気分に浸りながら、酒盛りを始めたのだった。
うーん、今日もお酒が美味いっ!!!
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──翌日。
騎士団本部の執務室にて、妹に歌を歌ってもらえた自慢をするモンスターが出没したとか……。
きゃーーーーーっ!!!!
ごめ、やっぱり閑話は1話だけ!
流れ来てるから次から璃月行っちゃうわ!
璃月完全に入る前にもっと閑話いるー?いるとしたら、誰と絡む?
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バーバラぁぁぁぁぁ!!!!
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いつもお世話になっております、我らが炎神
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アンバーーーーーーー!!!!
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断罪の皇女さま
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ドドコどこ~
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おっぱいナーフシスター
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いらないぜっ!
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璃月のあとで……