流れを考えてたらちょっと期間空いちゃった……感想、評価ありがとうございます!がんばる!
さても月日は流れ……というほど時間は経っていないが、まぁモンドの問題が片付いて暫く。
色々あって、騎士団の執務室に入り浸ることを許された(許されてない)僕は、ふかふかのソファに寝転び、デスクに座るジンの、何故いるんだという視線を無視しながら本を読んでいた。
なお、読んでいるのはリサちゃんにお薦めされた恋愛小説です。とってもキュンキュンするわ……!なるほどジンも嵌まるわけだね。読み終わったらジンにも読ませてあげよう。
「……いや、あの……ユヅル?」
思い付いていると、おずおずとジンが呼びかけてきて。
「ん?どったの?……ああ、この本読みたいの?ダメだよジン、まだ僕読んでるから。でも読み終わったら貸してあげるね。最近仕入れた本だから、ジンも読んだことない恋愛小説だよ」
「そ、そうなのか……ふむ……いや違う、そうではなく」
優しく諭してあげると、彼女は1度ソワソワした後、すぐさま取り繕って。
「君は近頃、よくここに入り浸っているが……その、いつまで続けるつもりなのだろうか?いくら数ヶ月先の仕事までは終わらせられているとはいえ、こうも来られては、滞るものも出てきてしまうのだが……」
「え、大変じゃん……。でもこの部屋、めちゃくちゃ居心地いいんだよね。室温はちょーどよく、ソファはふかふか、日差しもきちんと入ってくる……文句なしなんだよなぁ……。……あ、ジンが別の部屋で仕事すれば、僕出て行かなくてもいいのでは?」
「ここは執務室なのだが……???」
閃いたっ!と提案すると、彼女は、嘆息して、デスクを立ち上がり、僕のいる方まで寄ってきて。
「──……あまり手荒な真似はしたくないのだが……こうなったら、力尽くで……」
「ちょっ、ちょっとジン……?何を言って……──ちょっ、やめっ、やめろぉ!手首を掴むな脇腹を触るなセクハラだぞぉっ!」
「ひ、人聞きの悪いことを言わないでくれっ……!こ、こらっ、暴れるなっ……!」
追い払うべく僕の身体を持ち上げようと、あちらこちらをいやらしい手つきで(勘違い)いじくり回してくるジン。
その力の強さにちょっとビビりながらも、必死の抵抗をしていると。
「──おーっす、ジン団──うわっ、な、なんだこの状況っ!」
「ダメだよパイモン、ちゃんとノックを──えっ……!?ふ、2人ともっ、何してるのっ……!?」
「「あ」」
──突然、2人は最強(可愛さが)でお馴染みの、パイモンちゃんと蛍ちゃんが、部屋に入ってきてしまい。
その彼女たちは、片や動揺をし、片や頬を赤らめていて。
……ふむ……密室、ソファの上の僕、覆い被さるようになっているジン、もみ合ったためにお互いに汗を少しかき、顔は上気している……なるほどなるほど。端から見るとこれ、完璧にイケナイ場面ですね。
そんな結論に達した僕は、同じ考えに至っただろうジンと、顔を見合わせ。
全力での弁解を始めた。
「「──こ、これは違うんだ2人ともっっ──!!」」
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「──そ、それで……君たちは、いったいどうしてここに来たのだろうか?」
デスクに座したジンが、少し頬を赤らめたままに、取り直して言う。
その正面に、パイモンちゃんとともに構える蛍ちゃんが、放たれた問いに対して口を開いた。……あ、ちなみに僕は現在、彼女たちの横の絨毯の上に正座しています。自分勝手に振る舞って、仕事の邪魔をするのはよくないよって怒られましてね……ふふっ、仰る通り。
「──わたしたちは、これから璃月に向かおうと思ってるの。モンドでできることは、もう粗方終わったから」
「だけどオイラたち、ジン団長たちにはお世話になっただろ?だから璃月に向かう前に、挨拶をしとこうと思ったんだ!」
「そうだったのか……!だが、栄誉騎士、パイモン。お世話になったのはこちらの方だ。君たちのおかげで、我々はモンドの自由を守ることができた。本当に……ありがとう」
言ってジンは、ひどく優しげな微笑みを蛍ちゃんたちに送る。
送られた彼女たちはというと、えへへと照れたようにはにかんだ。可愛い……!
……けど蛍ちゃんたち、璃月に行っちゃうのか……寂しくなるな……あまりの寂しさに、夜通し泣きまくりそう。涙が尽きるまで泣きまくりそう。水分補給のためのお酒、今の内に準備しとこ。ついては、日程を確認しておかねば。
「蛍ちゃん蛍ちゃん、ちなみにだけど、出発はいつかな?」
「これからだよ」
「これから……決まってないってこと?」
「違うよ。これから──つまり、今から向かうの」
「あ、今からなんだー。そっかそっか……って今から!?」
驚きに叫んでしまう。今からって……アグレッシブだな蛍ちゃんたち!ってか今は朝方とはいえ、もう結構な時間だと思うんだけど……夜には着けるのかしら?野宿とかしないよね?し、心配だ……原作だとしてたし……。
不安に駆られていると、そんな僕を見て、パイモンちゃんがふふんっと笑って。
「おいおいユヅル、忘れたのか?オイラたちは、ワープポイントを使えるんだぜ?」
「あっ……あぁーっ、そうだった……!」
言われて思い出す。
そういえばそうだよ、彼女たちはワープポイントを使えるから、時間は気にしなくていいんだったわ……!
正座しながら想起していると、僕の前にパイモンちゃんがゆらっと現れ、腕組みドヤ顔で見下ろしてくる。可愛い。
「へへっ、羨ましいだろ!」
「ちょっとガチめに羨ましいかも……!ちょーお手軽じゃんっ、僕も使いたいっ!そして色んな国のキャラと会って話したい……!」
と、少し嫉んでいる僕の前に、今度は蛍ちゃんが、後ろ手を組み上半身をやや傾けて、覗き込むかたちで顔を現し。
「……どうせだったら、ユヅルも一緒に来る?」
そう、尋ねてきて。……ん?尋ねてきて……?な、何を……?いや、どう考えても璃月に一緒に来るかって聞いてんだろうけど……え、待って待って混乱してる。これに「うん」って答えたら、璃月に行けちゃうってこと?お、お手軽……!お手軽やす子……!
……え、マジでどうする……?い、いいの?璃月、行っちゃっていいの?や、それは璃月行きたいよ?モンドとは別枠で見事な景観を誇っているし、料理も刺激的でまた美味の筈。璃月は大きな港を持っていて、物流の中心でもあるから、面白そうなものもいっぱいあるだろうし、ワンチャン原作キャラともお話できる……あれ、これ行くしかないのでは?
……いや、待て待て、軽率に判断すべきではない。蛍ちゃんたちとともに璃月に行くということは、ストーリーに巻き込まれるかもしれないということなのだから。
原神のストーリーの第1章……それは、璃月を舞台としたお話だ。兄を拐った神の手がかりを探し求め、成り行きでモンドの問題を解決した主人公たちは、そこで、岩神モラクスと会うことができる催事──迎仙儀式が、璃月にて近々行われることを知る。
モンドを治める風神バルバトスは、兄を拐った神ではなかったが、璃月を治める岩神モラクスはもしかしたら──。
そんな思惑のもとに、一行は璃月を目指し──そして、終わりと始まりを巡る、大事件に巻き込まれていく……といった感じの内容なのだが……何がヤバいって、璃月は大国だからこその闇が深いってことだ。
璃月を実質的に統治・運営しているトップの7人、璃月七星には、平気で暗躍、謀略などの黒い手を使うだろう年齢不詳の美人さんがいるし、またストーリーにはファデュイもガッツリ絡んでくる。璃月七星の彼女、ファデュイともに、目的のためなら手段を選ばない節がややあるので、ちょー危険だ。
仙人たちのことも放っておけないだろう。主人公たちが協力を求めることとなる彼らは、璃月のどこかに住まう、人知を超えた存在。人ならざる身であり、長齢、かつ強大な力を有していることから、人の常識が通じないことはざらにあるだろう。
もしストーリーに巻き込まれると、当然これらのヤベーやつらと関わらないといけなくなってくるわけで、そうなると……ね?命がいくつあっても足りなくなっちゃうのである。
こういった部分が懸念材料となって、行きたい気持ちを押し止めているのである。
どうしよう……?えー……?
依然正座を続けつつ、うんうん唸って考え込んでいると、視界の端のジンが、意見を口にする。
「──……差し出がましいようだが、ユヅル。私は璃月に行ってみた方が良いと思う」
「え、そう……?理由は何かな……?」
首を傾げ問うと、彼女は真剣な顔つきで。
「君の記憶のためだ」
と、言ってきて。
…………記憶???……え、なんの話……?この娘ったらまったく──あ。
「──君は、記憶喪失で囁きの森付近の丘を彷徨っていたところを、アンバーに連れられてモンドを訪れた。ここまでの長い間を滞在してくれるほど、モンドのことを気に入ってくれているのは、非常に喜ばしいことではあるが……やはり記憶を取り戻す取り組みもしてみるべきではないかと思うのだ」
「……あ、あー……ね?それ、ね?うんうんそれな、ほんそれ」
テキトーに合わせつつ、僕は心中で叫び出す。
ああああそういやそんな嘘設定あったなぁぁぁぁぁっっ!!!???いやっ、全部が嘘とか設定じゃあないけどもっ!!元居た世界での記憶の一部はたしかに失くしているし!!でもやっぱ、こっちの世界での記憶はそもそも存在してないからなぁ……!璃月行っても記憶戻らないのよジン……!真面目に考えてくれたのにごめん……!ほんとごめん……!
……けど、うん……まぁ、あれだよね。この流れがつくられている以上、璃月に行かない選択肢はもうなさそう。断るのも変だし。蛍ちゃんとパイモンちゃんも、沈痛そうな面持ちでこっちを見てるし。でもごめん、嘘設定だから気に病む必要ないの……。
内心で謝り倒しつつ、僕は。
「──……うん……じゃ、じゃあ、蛍ちゃんたちがいいなら同行させてもらおうかな?いや、記憶は僕、別にそこまで気にしてないから、戻らなくても、本当に戻らなくてもいいんだけど……それに璃月に行っても記憶が戻るとは思わないけど……うん、観光9、記憶1くらいの感覚で、行かせてもらいますねっ、はいっ!」
執務室にいるみんなに、予防線を張りまくりながら、璃月に向かう旨を告げたのだった。
……まぁ璃月行ったあとに、すぐに蛍ちゃんたちと別れれば、ストーリーに巻き込まれる心配はいらないでしょう!(フラグ)モンドの騎士団みたく、璃月を守ってる千岩軍に捕まることも、ないでしょう!(フラグ)
行くぞっ、璃月!(逝きますユヅル)
そういや閑話、いくつか書くって言ってたんですけど、どうしましょう……書くとしたら2話くらいかな?
アンケート、おね♡