原神ふれんず!   作:コトバノ

32 / 52


 感想評価、ありあとぉ!

 ところで冒険ランクもう59までいってるくせに、この前スメールで自キャラ溺死させた旅人いるってマ?

 ……マ、なんですよねぇ……ごめんタルタル……!尊い犠牲よ……!



第3話 万民堂 『ぱくりんちょ』

 

 

 

 

 

 「──っかぁぁ、お酒美味しぃぃぃぃぃっっ……!!!」

 

 お酒を一息に飲み干し、火照ってきた身体でしみじみと呟く。

 

 璃月のお酒は、ややクセがあるものの、しかしそこが気にならなければ、普通に美味しいお酒だ。どこか高級感すら窺える味わいで、常温でありながらも熱を含んでいる。

 

 手にある酒器はお猪口で、モンドでいつも使っていたジョッキとは比べものにならないほど小さいが、その分しっかりとお酒を味わうことができるというもの。

 

 徳利から新たにお酒をお猪口へ注ぎつつ、僕は再度、しみじみと呟いた。

 

 「万民堂、さいっこうっ……!!選んで正解だったねっ……!!」

 

▼▼▼

 

 ──万民堂。

 

 それは、璃月港の東部、チ虎岩にある商店街の一角に構える、超絶人気店だ。

 

 区分けとしては大衆食堂であり、璃月に住まう多くの人々がこの店の料理を求めて訪れる。

 

 提供されるのは、璃月で古くから親しまれている定番の璃菜月菜に精進料理、お酒、茶、果ては他国の料理までにも渡る。その多彩なメニューの中で看板メニューとなっているのは、辛さを活かした料理類だ。その美味しさは、ある人によれば、この国の神ですら目の前にすれば我慢できず食らいつくだろうとのこと。

 

 そして、万民堂系と呼ばれるこれらの料理全てをつくることができるのは、璃月においてたったの2人のみだ。

 

 1人は万民堂のオーナー、卯師匠。もう1人は──。

 

 「──あははっ、ユヅルさん、いい飲みっぷりだね!これ、注文の椒椒鶏と黒背スズキの唐辛子煮込み、水晶蝦だよ!あとアタシの新作オリジナル料理、水スライムの獸肉巻きも食べてみてね!」

 「おおっ、香菱ちゃん、ありがとうっ!待ってましたっ!いただきま……ん?スライムの獸肉巻き???」

 

 ──もう1人は、今、まさに。

 

 僕に料理を運んでくれているこの少女、香菱ちゃんである。

 

 彼女の風貌は、ボブカットの藍色の髪を後ろで乙姫風に編んだ活発な娘で、琥珀の眼はくりりっとしていて可愛いらしい。璃月様式の薄手の服からは、生腕生足が剥き出しとなっていて、少し眩しく感じられた。ナイス、生足……!

 

 そんな彼女は、先にも言った通りに万民堂系を極めた料理人だ。その腕前は、父である卯師匠を凌ぐほど。しかし彼女はそれに満足することなく、日々努力を重ねている。すべては飽くなき料理への探求心から。故に彼女は、これからも多くの料理をつくり続けるのだろう。

 

 ……けど、ゲテモノ料理をつくるのはやめてほしいなぁ……なに、スライムの獸肉巻きって。なんかヌメヌメしたゲル状のものが、ミディアムに焼かれた獸肉の中からこんにちはしてるんですけど。わけ分からん……。

 

 「やっぱり新しい料理を生み出すには、新しい食材を使うべきだと思うんだよね!」

 「いや、まぁ言いたいことは分かるけど……スラ、スライム……?」

 

 困惑しながら、テーブルの上を眺める。

 

 端に置かれた徳利にお猪口。隣には小さな木桶、その中には、えびのむき身が丸ごと餡として使われた点心が4つ並ぶ。その少し手前には、白い皿に乗った、鶏肉と唐辛子、胡椒の和え物。隣には、茶碗を赤々と満たす魚肉の唐辛子煮込み。そして1番手前に箸とともに置かれたのは、小皿にぽつねんと佇むミディアムの獸肉で巻かれたスライムくん……スライムくん……なんでぇ……?

 

 「それじゃあユヅルさんっ、食べてみて?」

 

 促され。

 

 恐る恐る箸を持ち、摘まんでみれば、お肉の柔っこい感触を凌駕するスライムのぶよぶよな感触が伝わってきて。

 

 え、きもきもきもきもきもきもなにコレなにコレきもまじムリなにコレ食べ物なの分かんない誰かたすてけ……!

 

 その、おおよそ料理とは思えない感触に恐れをなした僕は、箸でソレを摘まんだまま、許しを請うべく香菱ちゃんに視線を送れば。

 

 彼女はキラキラと目を輝かせて、僕が料理の感想を述べるのを待っていて。

 

 ……え、断りづら……めっちゃ待ってる、ちょー期待して待ってる……可愛い……えぇ……。

 

 そして僕は、摘まんだスライムの獸肉巻きと香菱ちゃんの顔とを、数度見比べた後、覚悟を決めると。

 

 …………んあぁぁぁぁぁぁぇぇえええいっっっ、ままよぉぉっっっ!!!!

 

 箸で摘まんだソレを、一思いに口に放り込んだ。

 

 

 

 ぱくりんちょ。

 

 もぐもぐもぐもぐ……。

 

 

 

 「──ぎぃぃぃやぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあぁぁぁあぁぁッッッッ!!!!」

 

 なにコレ苦い辛い酸っぱいねちょねちょしてる爽やか仄かに甘い肉汁溢れ出るしょっぱい臭いキモいキショい総評してめちゃくちゃ不味いぃぃッッッッ!!!!

 

 「いっけない、失敗だっ!ご、ごめんなさいユヅルさん、大丈夫っ!?」

 

 料理を食べた反応とは到底思えない悲鳴をあげながらもがいていると、心配する素振りを見せる香菱ちゃん。けど僕が苦しんでいる原因、君だぞっ……!!

 

 「ほらこれ、口直しのジュースだよ!これは大丈夫だからっ!」

 

 慌てながら言って、彼女は、僕の口元へグラスをあてがい何かを注ぎ込んでくる。

 

 ぐあぁぁあぁ……あれ?まろやかで甘くて美味しい……。あ、お口治ってきた……。

 

 「ユ、ユヅルさん大丈夫……?ほんとにごめんね……?」

 「づあぁ……うん、いやまぁ、いいけど……いややっぱよくないわ、めちゃマズだったし……先に自分で味見しときな?」

 「うぅ、ごめんなさい……」

 

 軽く注意すると、しゅんと香菱ちゃんは落ち込み反省する。反省できるのはいい娘だね……僕は反省すらしないから。後悔はするけど反省はしないし改善もしない、それが僕。うーん、クズ……。

 

 「まぁ、面白い体験ができたって考えるからもういいよ。……それより本命のお料理の方をね、いただきたいと思うのですが……香菱ちゃん、解説的なの、お願いできるかな?」

 

 切り替えて尋ねると、彼女は。

 

 ぐっと両の手でガッツポーズをとり。

 

 「うんっ、それなら任せて!」

 

 自信満々に告げてくれて。

 

 彼女の説明のもと、いざや璃月の美酒美食に舌鼓を打つ最上のひとときが始まった。

 

▼▼▼

 

 ──そうして、万民堂で料理を味わうこと暫く。

 

 テーブルの傍に立つ香菱ちゃんの解説は、いつしか雑談へとシフトしていた。

 

 「──へー、ユヅルさんはモンドから来たんだー……実はアタシもこの前、モンドに行ってたんだよ!清泉町での料理対決、楽しかったなぁ……!」

 「料理対決……伝説任務のやつじゃん、そんなことしてたんだ……じゃあ蛍ちゃんとパイモンちゃんに会った?」

 「2人を知ってるの?うん、会ったよ。彼女がつくった翠玉福袋、すごくよかったんだから!」

 「いいね、食べてみたい……いやマジで」

 

 残り少なになってきた黒背スズキの唐辛子煮込みをかき込みつつ、相槌を打つ。

 

 蛍ちゃんの手料理羨ましいなぁ……いつだか行ったピクニックの料理も鹿狩りのものだったし、どうにかして食べてみたい。お金、お金積めばつくってくれるかしら……?(くそ野郎の発想)

 

 ……しっかし伝説任務的なのがもう進んでるとは思わなかった……うん、やっぱり細かい時間軸が難解だね。原作でもメインストーリーとは別枠で進んでたから、分かんないのもしょうがないっちゃしょうがないけど……それで変な事件に巻き込まれでもしたら、眼も当てられないもん。

 

 そんなことを考えつつ、空になった茶碗を既に食べ終わっていた椒椒鶏の皿に積み、ラスト1個の水晶蝦を頬張る。うーん、うみゃっしゃぁ。

 

 よく噛み嚥下した僕は、最後に徳利からお猪口に注いだお酒を飲み干し──完食、手を合わせる。

 

 「──ふぅ、ごちそうさまっ!めっちゃくちゃ美味しかったよ!」

 「えへへ、ありがとう!」

 

 告げると、彼女は照れ笑いを浮かべながら、後頭部を掻く。可愛い……!

 

 「……いやー、それにしても……ここら一帯、なんか随分と人の気配がなくなってきたよね……やっぱりみんな迎仙儀式を見に行ってるのかな?」

 

 彼女から視線を外し、辺りを見回した僕は、さっきまでとを比べて質問する。

 

 店内は昼時を過ぎてたために元々客はまばらだったが、外の通りなどは僕が訪れたときとは打って変わっての静けさだ。なんなら店じまいをしている所すら見受けられる始末。

 

 「多分そうだと思うよ。岩王帝君はアタシたち璃月人を守り導いてくれる存在だから、毎年この時間帯は、み~んな岩王帝君に会おうと玉京台に向かっちゃうの」

 「なるほどね……」

 「まあでも、わざわざ玉京台まで行かなくても、ここから岩王帝君の姿を見ることはできるんだけどね」 

 

 と、言って。

 

 香菱ちゃんは付いてくるようジェスチャーをして、店の外へ。

 

 僕も席を立って外へ出れば、彼女はおそらく玉京台の方と思われる空を見上げ指し。

 

 「あそこら辺から、岩王帝君はいつも降臨を──あ!」

 「わっ」

 

 そのときだった。

 

 今の今まで雲1つなく青を見せていた空、そこに雲の渦が巻き起こっていく。

 

 そこへ地上から、金の光が渦の中央へと差し込んでいき──それをつたうように、雲の渦は下降していく。

 

 しかしその途中で、雲の色は濁り始め、ナニか巨大なものが落下して。

 

 やがて光も渦も消えるが、空は暗く染まったまま、それ以降変わることはなかった。

 

 ……あ、モラクスさん死んだっぽ。

 

 小並感を抱いていると、同じく空を眺めていた香菱ちゃんが。

 

 「……何かあったのかな……?いつもはこんなんじゃなかったはずなのに……」

 

 不安げにそう呟く。

 

 ただまぁ僕がそれに関して言えることは、色んな理由でない……というか僕としては、むしろ蛍ちゃんたちの方が心配です。玉京台にいるだろうあの娘たちは、この後逃げ出そうとして、千岩軍の人に追われることとなってしまうからだ。一応彼女たちの逃走を手助けしてくれる人も、いるにはいるので大丈夫だろうとは思うけど……ま、僕が心配したところで詮なきことか。とりあえず今は……お会計でも済ましておこう。

 

 そう考えた僕は、荷物をガサゴソ……。発見した巾着を覗き込み。

 

 一度目を擦ってから、再度覗き込み。

 

 一旦巾着の緒を締めてから、また開き、覗き込んで。

 

 ……ふむふむ、なるほど……。

 

 「……香菱ちゃん、お会計なんだけど……」

 「え、ああっ、そうだった、まだ貰ってなかったね!えっと、料理の値段は──」

 「いやいや香菱ちゃん、教えてもらわなくても大丈夫、どうせ払えないから」

 「どうせ払えないの!?」

 「うん。見てこれ僕のお財布、全然モラない」

 「ほんとだ、全然ない……!」

 「そういうわけなので、香菱ちゃんさん……お皿洗い、させてくださいっ……!!」

 「潔いね、ユヅルさん……!」

 

 

 

 ──そんなこんなで、僕は。

 

 璃月が岩王帝君暗殺で騒がしくなる中、まったく無関係に、万民堂にて、夕方から夜にかけてのお皿洗いに勤しむことなったのだった。

 

 れっつらごー!!うぉっしゅ・ざ・でぃっしゅ!

 

 ……なんかうぉっしゅ・ざ・でぃっしゅ!って、ぼっち・ざ・ろっく!みたいだね。

 

 後藤さんってチ○ポ、デカイのね!!!(存在しないはずの名言)

 

▼▼▼

 

 

 ──そして、明くる朝。

 

 璃月港をぷらぷら散歩していた僕は、なぜか。

 

 槍をお持ちになった千岩軍の兵士さん数名に、囲まれていた。

 

 ……なるほどぉ……さてはこれ、蛍ちゃんと間違えられての冤罪ってところですかね?

 

 ふふっ……それもう既にモンドで1回やってるんだがぁぁっっ!!??

 

 

 

 

 

 






 というわけで、万民堂でした!

 北国銀行を求めてた人はめんごっ!でも宝箱の存在ふつーに忘れてたの……。その内行かせるから許してちょ!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。