原神ふれんず!   作:コトバノ

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 できたから投稿だ!



第5話 璃月港 『今はただ、君に感謝をっ……!!』

 

 

 

 

 

 ──煙緋ちゃんイチオシだというお店で、愉悦さんよろしく熱々の麻婆豆腐に舌鼓を打ちながら。

 

 彼女の豆腐へのこだわりだったり、奇抜でおもしろい法律のお話だったりをしてもらって。

 

 やがて、楽しい時間は終わり、彼女は債権の相談の仕事に赴かなければいけないとのことで、僕らは今からお別れすることになっていた。

 

 「──すまないな、もう少しお前と喋っていたかったのだが……職務を放り出すわけにもいかないのでな」

 「僕ももっとお喋りしてたかったけど……お仕事ならしゃーないね!」

 「そう言ってもらえると助かるよ。……おお、そうだ、忘れるところだった。ユヅル、お前の財布を少し貸してくれるか?」

 

 気落ちする煙緋ちゃんに、気にするない気にするないと手をヒラヒラしていると、彼女が何やら頼み事をしてくる。

 

 「お財布……?別にいいけど、全然モラ入ってないよ?ほい」

 「お、おお、本当に全然モラが入っていないな……まぁ、それはいいとして……」

 

 巾着袋を渡すと、彼女はどこからか筆記具を取り出し、サラサラと何らかの文字を書いていく。

 

 「……よしっ、できたぞ」

 「んー?なになに、なんて書いたの?」

 「今お前の財布に書いたのは、私の名前と、連絡先だ。紙切れではすぐに失くしてしまいそうだし、手に書けば消えてしまうかもしれないからな。その点、財布ならば失くすことはないだろう?」

 

 言って、彼女はふふんと半目のドヤ顔を披露してくる。なんだこの娘、可愛いな……。好き(節操なし)

 

 「そうだ、ついでに私のお金も少し分けといてやろう。こんな量のモラでは、何も買えんからな」

 「え……!?いやいや、流石にそれは悪いって!」

 「なに、気にすることはないぞ?お前から貰ったこの花の価値に比べれば、微々たるものだからな」

 

 火魔女の花を見せてきて、彼女は私見を述べる。ま、まじで……!?聖遺物、ヤバくない……!?煙緋ちゃん、けっこーお金にがめつい娘なのに……そんな娘がお金を分けてくれるほどの価値って、えぇ……!?しかも、今後の助けにもなってくれるらしいし……聖遺物、お前がトップだよ。今はただ、君に感謝をっ……!!

 

 感動していると、自らのお財布からモラをチャラチャラリンと移し終えた彼女が、僕のお財布をこちらへ差し出してきて。

 

 「ほら、これで色々と買えるぞ」

 「お、おお……ありがとう!」

 

 礼を述べながらそれを受け取る。うーん気分はヒモだな……。

 

 「──さて、それでは私はそろそろ行くとしよう。最後に言っておくが、ユヅル。何かに困ったら、遠慮なく私を頼れよ?そのために名前と連絡先を書いたのだからな」

 「何から何までありがとう、煙緋ちゃん。是非そうさせてもらうよ。じゃ、またね」

 「うむ、また」

 

 

 

 ──そして煙緋ちゃんは、くるりと背を向け璃月を行く人の波に消えていき。

 

 その姿にばいばいっと軽く手を振ってから僕は、さてこれからどうしようかと思案し始める。

 

 棚ぼたでお金を貰っちゃえたからな……色々とやれることの幅が広がったのよね。うーん……取りあえず、さっきまでに引き続いて璃月をぷらぷらするとしよう。昨日はすぐに万民堂に向かって、それからの時間はほとんど皿洗いで潰れちゃったからね……まぁ全部自業自得なんだけど。

 

 方向性を定めた僕は、先の煙緋ちゃんに倣って目の前の大通りを流れる人の波に交ざる。

 

 ……うわっ、人、多っ……モンドだとスルスル進めるんだけどな……流石璃月、物流の中心国だけある。

 

 でも、こんだけ人いると、知り合いに会っても分かんなそうね……モンドは遠目からでもいけるのに。こんなんじゃ、身長が高めの人くらいの顔しか見えないわ。ほら、今向こうから来ているあの、黒い髪に琥珀の瞳をした寡黙そうなイケメンさんくらいしか……ん?んんっ!?

 

 「──えっ、あれって鍾離せんせーでは?」

 

▼▼▼

 

 鍾離。

 

 原神というゲームにおいて彼は、最硬を誇るキャラクターだ。

 

 基本的には槍などの長柄武器で立ち回るが、彼の本質は、スキルを用いたシールド役。そしてそのバリア性能は、異常なほどの硬さを有している。

 

 その硬さは、ある程度の育成は当然必要だが、その段階を通過すれば、大抵の敵キャラの攻撃をシールドで防ぐことができるレベルだ。なんならフィールドボスの攻撃すら防げるので、あまり多用しすぎるとプレイが下手になるとも言われていた。

 

 ただ、火力は☆5キャラとしては、少々低めであったりもしたので、キャラとしてのバランスは取れてたっちゃ取れてたとも言える。でも天丼隕石頑張ればけっこーダメージ出るけどね。

 

 またキャラ設定として、彼はその博識さを買われて、璃月の葬儀屋、往生堂の客卿をしていたりもした。なお、客卿はかくけいと読み、他国の者でありながらその国の要人に仕えている者を指す言葉である。うふふ、ググったから知ってるの……。まぁ、ぶっちゃけヒモみたいなもんだと考えてもらってもいい。今の僕と一緒だねっ。

 

 さてもそんな彼の容姿は、毛先にかけて茶色の見える黒髪に、キリリっとした眉、琥珀の瞳、黒がベースのコートのような重厚な衣装を纏っており、優雅な印象を持っているというもの。

 

 そして、その彼の特徴に酷似した人物が人混みの向こうに見えていたので、思わず名前を漏らしてしまったのだが……。

 

 はたしてそれが聞こえたのか、ふいと彼の視線がこちらへ送られ。

 

 同時に、歩もこちらへと進められる。

 

 人の流れを妨げることなく、いつの間にか僕の前に現れた彼は、自らの顎に手をやり。

 

 「──ふむ。俺の名を呼んだだろうか?」

 

 尋ねてきて。

 

 「まぁ、呼んだといえば呼んだけど……というか、鍾離せんせーご本人で合ってる?」

 「ああ、俺が鍾離だ。往生堂の客卿をしている。お前は?」

 「旅人……というか観光客やってるユヅルです。よろしく!」

 

 自己紹介すると、そうかとおもむろに頷く鍾離せんせー。その動きに合わせて、耳飾りも揺れる。優雅……かっきょいい……。

 

 「それで、ユヅル殿。俺に何か用だろうか?」

 「用……ってほどでもないね。いや、ただ有名人を見かけたからつい名前言っちゃっただけで。あ、でもでも待って、ちょっと1回足を軽く開いて腕組みしてみてもらえる?」

 「……?こうか?」

 

 頼んでみると、彼は僕の言った通りに仁王立ちをしてくれる。それを少し下から見上げれば……うおおおおお生の天丼ポーズだぁっ!!!カッコいいっ!!!石になっちゃうっ!!!

 

 「おお……鍾ンクス、ありがとうございました。堪能できたよ……!」

 「ふむ……よく分からないが、それなら良かった。他には何かあるか?」

 「他はー……とと、その前に鍾離せんせー。そっちは時間大丈夫なの?何か予定とか、あったりしない?」

 

 思い出したと聞いてみる。よくよく考えたら、彼、ガッツリとストーリーに登場するからな……すなわちそこそこに忙しい身なのである。僕とは大違いだ。

 

 「すぐにはないな。今外を歩いているのも、往生堂に戻るところだっただけだ」

 「あ、そーなの?じゃあ道中ででいいから、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど……」

 「構わないぞ」

 

 快諾してくれる鍾離せんせー。いい人や……!と思いつつ、2人で往生堂へと歩き出す。

 

 「それで、俺は何をすればいい?」

 「えっとね、鑑定?してほしいものがあって……これこれ」

 

 流れる人を避けながら、自らの荷物をまさぐり、赤い細布──聖遺物『武人のバンダナ』を取り出す。

 

 「これは……」

 「聖遺物って言ってね。触れると誰かの意志や記憶を見ることができるお宝なんだ。あと、なんか強くもなれる」

 

 簡潔な説明を加えながら、彼に渡す。

 

 いやぁ、さっきの煙緋ちゃんの聖遺物への反応が、想像の遥か上過ぎて……気になり出しちゃったのよね。鍾離せんせー、博識だから、大まかには教えてくれるんじゃないかな……?

 

 でれれれんっ……でれれれんっ……でれれれっ、でれれれっ、でーれぇー……と、バンダナを擦り眺める鍾離せんせーの見識を待っていると。

 

 「──凄まじいな……これほどの力を秘めた代物は、そうそうお目にかかれるものではない」

 「おおっ、ちょー高評価……ちな、お値段をつけるとしたら、どのくらい?」

 「値段か?そうだな……ふむ……土地を買えるほどの価値は有しているだろうな」

 「……りありぃー……?」

 

 ……えっ、と、土地……?土地って……トチ……?……やば、衝撃的すぎて頭働かないんだけど。トチ狂いなう。え、マジでそんなお値段なの?やばぁ……ってか僕、そんな代物、あと10個くらい持ってるんだけど……おそ、襲われたりしない?怖い……バッグパック、なんか重く感じてきた……。

 

 怖々としながら辺りをちらちら窺っていると。

 

 「……どうかしたのだろうか?顔色が悪いようだが……」

 「いや、小心者たますぃーが騒ぎ出しちゃって……」

 

 尋ねてきた鍾離せんせーに答えつつ、返却されたバンダナをバッグパックに丁寧に仕舞う。……というか、土地買えるほど高価なものを、こんなとこに仕舞ってていいのか???

 

 そうこうしている内に、1つの璃月様式の建物に辿り着く。目印たる木の対話板もあるし、おそらくここが往生堂だろう。そしてその建物の入り口、2本の赤柱の奥にある扉の前には、腕組みをした1人の少女が立っていた。

 

 梅の花枝が付いた黒帽に、黒の道着は、剥き出しの白い足との対比が艶かしい。ダークブラウンの長髪を後ろで2つに分けた彼女は、花のような瞳孔を持つ赤い眼をキョロキョロと動かし──こちらを見つけ。

 

 大きく手を振って、呼びかけてくる。

 

 「──あーっ!鍾離さん、やーっと帰ってきた!何してたのー?」

 「すまない堂主殿。少し所用があってな」

 

 それに鍾離せんせーは簡単に返すと、彼女を手で示し僕を見やって。

 

 「紹介しよう、ユヅル殿。こちらが俺の雇い主である──」

 「──往生堂の77代目堂主、胡桃だよ!ばぁーっ……!」

 

 すると彼女は、鍾離せんせーの紹介を遮り、瞳を爛々と輝かせ手をわきわきさせながら、悪戯っぽく自らの名を明かしたのだった。

 

 

 

 ……まぁでも正直僕、生足ガン見してたから全然聞いてなかったけどねっっ!!!だってこんな素晴らしいものに、気を取られないわけなくないっっ!!??生足、ふぁんたすてぃっく!!!

 

 

 

 

 

 






 なんか璃月の娘、生足出しすぎでは???

 
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