原神ふれんず!   作:コトバノ

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 感想評価ありがとう!助かるラスカル!
 
 書けたから投稿だっ!


第7話 璃月港 『ダーリンです!』

 

 

 

 

 

 ピンばあやと会えずに、僕がただお年寄りを助けてあげた良い人になった翌日。

 

 晴れ晴れとした空の下、僕は、荷物を持って小舟に乗り、沖へと出て。

 

 まったく反応のない竹竿と、揺らめく海面をぼけーっと眺めつつ、長閑に釣りを楽しんでいた。

 

 ……いやー、釣れないなー……全然ヒットしない。エサが悪いのだろうか……?分からない。なにぶん初心者だからな……まぁ、気長にいこう、気長に。

 

 そもそも、僕が釣りをしているのは、お魚が釣りたいからではない。いやまぁ釣ってみたくはあるが……主な目的は、暇潰しである。

 

 というのも、昨日、鍾離せんせーと話して得た情報と、ピンばあやを探していたときに耳にした情報から、僕はもうそろそろ蛍ちゃんたちが、璃月の街で動き出す頃だと考えたからだ。

 

 おそらくだけど、初日に僕と別れたあと、蛍ちゃんたちは絶雲の間で仙人と会い、千岩軍を追い払うくらいまでストーリーを進めたのではないだろうか。もしかしたら望舒旅館にまで行ってたのかも。

 

 で、昨日は、望舒旅館と琥牢山、奥蔵山をそれぞれ訪れ、仙人と対話。協力を取り付けるところまで……すなわち、第1章第1幕を終えたのではと思っている。

 

 蛍ちゃんは優秀だし、可愛い、腕もあるし、綺麗で、更にはワープも使える。多分、そのくらいのペースでストーリーを進められているだろう。

 

 そうすると、次始まるのは当然第1章第2幕なわけで。

 

 この第2幕で彼女は、北国銀行行って、瑠璃亭行って、チ虎岩行って、玉京台行って、港行って、万民堂行ってと、まぁ璃月の街を動く動く。あなた本当に千岩軍に追われてるの???ってレベルで動く。

 

 その動きに僕が関わると、ストーリーの流れが変わるかもだし、最悪璃月が滅びるので、なるべく彼女に会わないようにするのがベスト。

 

 本当は、最近会った璃月のキャラたちと話したりまた新しく探したりしたいところだが、その彼らの拠点は大体ストーリーに登場しちゃうし、本人も登場しちゃうことが多いので、僕はこんな璃月港の端っこで、釣りをしているしかないのである。ちょっと悲しい……ま、蛍ちゃんたちがさっさとストーリーを終えて、璃月の問題を解決してくれるのを待とう。モンドよりも、すぐに終わるはずだ。大丈夫大丈夫。

 

 それよりも僕は、その間にどう暇潰しをしているべきなのか考えた方が良さそうだ。

 

 昨日煙緋ちゃんから貰ったモラは、けっこー余っているが、前提として璃月の街ではあんま動けないので、商店街とかで物を買うことは少々難しそうだし……いっそ、璃月港を出るか?

 

 ……いや、すぐに魔物に襲われてやられそうだな。ミントだっ!と思って引っこ抜いたら、トリックフラワーでした!とかやっちゃいそうだし……初心者の頃、よくやんなかった?僕はやった。慣れてきた頃に、回収表示のちょっと上を押せば、本物のミントは摘めて、トリックフラワーは引っこ抜かないで済むのを覚えてからは、久しくやってないけど……。

 

 他にも……璃月にいる魔物でしょ?ヴィシャップとかもいるよね……ノックバックアルマジロ。あれに出くわしたら絶対僕死ぬわ。逃げようにも地面潜ってくるし……こわい。

 

 ふつーのスライムとかでも多分ヤバいだろうしな……大型には当然負けるとして、ちっこい方は……炎は熱くて触れないでしょ?氷も冷たくて触れないでしょ?草は潜られるでしょ?岩は多分硬いでしょ?雷はビリビリしてるでしょ?だとしたら……風と水、この2種くらいにしか勝てなさそうだね。そしてこの2種は大体大型のとよく一緒にいるので、結局負けるという……。

 

 宝盗団に襲われるかもしれないしなぁ……僕まだ会ったことないけど、どうなんだろう……ヤバいやつらなんかな……?うーむ……。……ってか、よくよく考えたら

僕、イノシシに会ってもやられるからなぁ……。やっぱり1人で璃月港を出るのは危険そう。

 

 ──とかなんとか考えていたときだった。

 

 

 

 「──あの、少しよろしいでしょうか?」

 

 

 

 柔らかく儚い声が、後ろから聞こえて。

 

 あれ、ここ、小舟の上だよね?と思いながら、慌てて振り向けば。

 

 小舟の縁、そこには、申し訳程度の薄布の向こうに身体の線がよく浮き出る黒タイツを纏い、胸や脚がムチムチぃ♡と強調されているドスケベ美女が立っていた。

 

 「ちっ、痴女だっっ!!!痴女がいるっっ!!!というかエっっっっロっっ!!!」

 「へっっ──!!??」

 

▼▼▼

 

 「──ンンっ、失礼。取り乱してしまいました……!」

 「い、いえ、気にしないでください……」

 

 所変わらず小舟の上。

 

 クソデカボイスで最低なことを言ってしまったことを、痴女……じゃなくて、美女に釈明すると、彼女は顔を赤らめてそれを受け取ってくれる。ほっ、よかった……。

 

 ……しかし、この娘って……。

 

 ぱたぱたと手で顔を扇いで、顔の火照りを冷ましている彼女を眺める。

 

 長い水色の髪、ぴょこんと飛び出るは、天辺のアホ毛と2本の赤と黒入り交じる角。

 

 垂れ目がちの瞳は、夕焼けのような色をしていて神秘的だ。

 

 首もとには、小さな金の鐘を付けており、また先も言った通りに申し訳程度の薄布と黒タイツを身に纏っている。

 

 ……うん、もしかしなくてもこの娘って……。

 

 「……え、えっと、自己紹介がまだでしたね……私は甘雨、月海亭の秘書をしています」

 

 と、顔色を戻して自らの正体を明かす彼女。

 

 おお、やっぱり甘雨ちゃんか……まぁ、こんな目立った特徴の娘はなかなかいないしね、うん、想像通り。けど、甘雨ちゃんがいったい僕に、何の用だろうか……?

 

 甘雨。

 

 やはりてやはり、彼女もプレイアブルキャラクターの1人だ。

 

 氷元素と弓を扱い、敵を片付けていく。特に重撃のダメージがつよつよで、最早スキルも元素爆発もいらないのでは?とすら思うレベル。

 

 同時に彼女は、頭の角から分かるように仙人だ。今は岩王帝君の命で、璃月の街にて人々と共存しているが、その実力は折り紙つき。なにせ御年数千歳だからね。そりゃ鍛えられるよ。……おい、ババアとか言うな。可愛いんだからいいだろ。

 

 また彼女は、先に言っていた通り月海亭の秘書だ。月海亭とは、玉京台の中心に位置しており、璃月七星が議論を交わす場だ。そこの秘書ということは即ち、璃月七星の秘書であるということ。つまり彼女はめちゃくちゃ偉くてエロくて多忙な娘なわけなのだが……。

 

 「それで……用件を話す前に、あなたのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

 「名前?あー……あ!ダーリンです!」

 「ダ、ダーリンさんですか……?わ、分かりました。それでは……その、ダーリンさん。私は今回、一時的に天権──凝光様の特使として、あなたの元に参りました」

 「へー……」

 

 あかん、ふざけてたら僕が甘雨ちゃんの恋人になっちゃったまま進んで何も頭に入ってこない……なんで信じちゃうの?名前がダーリンとか有り得るわけないのに……変なところで純粋だなぁ……。面白いから訂正しないけど。

 

 「ダーリンさん。あなたは……迎仙儀式で起きたことを知っていますか?」

 

 内心で笑いを噛み殺していると、そう尋ねられる。

 

 でもでも待って、迎仙儀式とな?ははーん……。

 

 「もしかして、甘雨ちゃんはあれかな?僕が玉京台から逃げ出した不審者だと思ってる?残念だけど、その件はもう終わってるんだよね……千岩軍から聞いてない?煙緋ちゃんがさ、弁護してくれたこと」

 「いえ、聞き及んでおります。その上で、あなたの元へとやって来ました」

 

 ……ん?僕が煙緋ちゃんのヒモ(拡大解釈)だと知ってるのに、来ただと……?なんでや……?……あ、もしかしてお詫び?お詫びですかね?おっしゃおっしゃ、そしたらその豊満な身体で詫びてもらおうかのぉ……!ぐへっ、ぐへへっ……!

 

 「どうやら、千岩軍とは連絡の行き違いがあったみたいでして……端的に言いますと、私たちは、ダーリンさんを玉京台から逃げ……そして、絶雲の間から帰ってきた者だとは考えていません」

 「ぐへへっ、そうでしょうそうでしょう!アリバイありますからね、僕にはっ!」

 「はい。ですが……絶雲の間から帰ってきた者と何かしらの関係がある人物だと考えております」

 「ぐへ……え???」

 

 薄汚れた思考が、さっぱり消えていく。流れ込んでくるのは、彼女の言葉──要約するに、僕を蛍ちゃんと関係がある人物だと睨んでいるというもの。そして今、蛍ちゃんは千岩軍や璃月七星から追われてるわけで……そこに現れた僕=情報を持ってる者。ふむふむ……えっ、まずくね???

 

 ど、どうしよう、関係ないってしらを切るか……?というか、どこで繋がりあるってバレたんだ……?いったい…………あ……も、もしかして、入国するとき一緒にいたからか?え、もしかしてそういうこと?うっそ……千岩軍おまっ……優秀かよっっ!!

 

 「ダーリンさん……あなたを空中宮殿──群玉閣へと案内します。あなたにも……彼女たちにも、悪いようには致しませんので、是非とも素直に従っていただけると幸いです」

 

 もたらされる甘雨ちゃんの宣告。

 

 璃月でも有数の実力者である彼女の前から逃げるなど到底できるはずもなく。

 

 しらを切ろうにも、どこまで内情が知られているかも分からない。

 

 僕は、大人しく甘雨ちゃんについていくしか、なかったのだった。

 

 ……えっ、僕これ大丈夫なのか???け、消されたりしないよね???ええっ???

 

 






 甘雨は絶対耳年増。だってそもそも年増だもんね!
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