感想評価ありありぃ!!嬉しいっ!!おかけで頑張れちゃう!!
「──もうダメっ、これ以上は話せないからっ!やめて離れてっ!」
群玉閣の一室。
凝光さんに至近距離で、小一時間ほど蛍ちゃんについてのあれこれを尋ねられていた僕は、我慢できなくなりとうとう叫んだ。
ダ、ダメだっ……!蛍ちゃんの不利益になるようなことは、なるべく言わないようにしてきたけど、これ以上はそうもいかないっ……!あと、近すぎる凝光さんにもそろそろ耐え切れない……!なんだこの人、色仕掛けうますぎか……!?いや、僕が弱すぎるのか……!?どっちでもいいから、とにかく離れてくれっ……!
「あら……他にも、千岩軍を退けた彼女の強さの秘密だったり、そもそも彼女がどこから来たのかだったりも知りたいのだけれど……」
「無理ですっ!!言えませんっ!!言うくらいなら舌噛んで死ぬっ!!」
「ふふっ、それは困るわね。……ええ、なら仕方ないわ。彼女の情報については、ここら辺で諦めるとしましょう」
小さく笑いを溢して言うと、彼女は、僕の股の間に置いていた膝を戻し、握っていた手も外して、離れる。
その動きに伴って、僕も一息吐く。
はぁぁ……つ、疲れた……!いや、まじで疲れた……!心が、疲弊している……!でも、とってもいい経験ができたので嬉しくもある……!なんてったって、顎クイ、されてしまったのだから……!うふふ、モンドでのリベンジ成功だね……!
「それであと、彼女が現れるだろう場所については……」
「え?……ああ、それなら多分、『三杯酔』ってお店を夜方に訪れるはずだよ。だから張り込んでいればその内会えると思う。まぁ、甘雨ちゃんに手紙かなんか持たせて、群玉閣に招待しなよ。蛍ちゃん……というか一緒にいる子が、喜んで行きたがるだろうから」
原作でもそうしてたし、と考えながら、自席に戻った凝光さんへ、アドバイスを送る。というか、僕が教えなかったら彼女、どうやって蛍ちゃんたちを見つけるつもりだったんだろう?もしかして甘雨ちゃんに丸投げ?そして甘雨ちゃんは僅かな手がかりを求めて璃月を駆け回る?ひぃ、ブラック上司や……!甘雨ちゃんはワーカーホリックだから、問題ないのだろうけど……!
「そうね、そうさせてもらうわ。さて……最後に考えなければいけないのは、あなたの処遇ね」
「……処遇……?え、く、口封じに殺される的な話ですか……?」
「ふふっ、まさか。あなたは充分私に協力してくれたわ。ともすれば、恩人とも呼べる人。そんな人を、無下にするわけないでしょう?」
「凝光さん……!」
よ、よかった……!まじでずっとこの人漠然と怖いから、ワンチャン殺されるかもって考えてたけど……ほ、本当によかった……!最悪聖遺物全貢ぎ土下座しなければならないところだったもん……!
ほっと胸を撫で下ろしていると、彼女は顎に手を当て、つつと言葉を紡いでいく。
「それにあなたには、千岩軍に追跡させた負い目もあるわ。礼儀も行き届いていなかった。璃月七星としてあるまじき行いだわ……」
お、おお……そんな気にすることじゃないと思うけど……上に立つ者の責務ってやつだろうか?大変だなぁ……僕には関係ないけど。高見の見物ならぬ低見の見物ってね。
「これらを加味したうえで、ユヅルさん。あなたを正式に、ここ──群玉閣へと招待させてもらうわ」
そんなことを考えていると、彼女から繰り出されるトンデモ発言。ぐ、群玉閣に正式に招待だって……!?
「い、いいんすか!?ここって、あれじゃないでしょ!?限られたVIPしか入れない格式高いとこで、機密もいっぱい眠っているという……!」
「あら……随分と詳しいのね?」
「いや、そりゃ群玉閣お洒落だしカッコいいし浪漫だもん、調べちゃうでしょ!」
「ふふっ、嬉しいことを言ってくれるわね……」
前のめり気味で群玉閣への思いをアピールすれば、凝光さんは口元に手を当てコロコロと上品に笑う。やだお綺麗……!
「でも、気にすることはないわ。私の誠意のしるしだもの。受け取ってもらえるかしら?」
「ぜ、是非っ!!」
「そう、喜んでもらえて何よりだわ。お供には……とりあえず甘雨をつけておこうかしら。多少は気心が知れているでしょう?」
「そうだね……問題があるとしたら、甘雨ちゃんが恥ずかしさに耐えられるかどうかってくらいだ」
「なら問題ないわね。彼女もそろそろ戻ってくる頃でしょうし……それまで待っててちょうだい」
「うぃっす!!」
元気よく返事をする。群玉閣観光……楽しみだ……!用が済んだら捕まるか、追い出されるかと考えてたから、反動でめっさ嬉しい……!僕、派手な建物とか好きだからね、ワクワクするよ……!
期待に胸を躍らせて、そわそわ甘雨ちゃんが帰って来るのを椅子に座って待っていると。
「──た、ただいま戻りました……」
少しして、その彼女が帰って来る。顔色、声音ともに落ち着いており、先のことはそこまで引き摺ってはいないようだった。
「よっ、待ってましたっ!甘雨ちゃん、案内!案内してっ!」
「え、ええっ?えっと……」
ので、手をぱんぱん叩き、ぴゅーぴゅー指笛まで吹いて歓迎する。これなら遠慮はいらなそうだね……!フルスロットルで観光だ!
「甘雨、新しい仕事よ。彼に群玉閣を案内してあげなさい」
「凝光様……それは、彼を招待した、ということでしょうか?」
「ええ、そうよ。丁重にもてなしなさい」
「畏まりました」
戸惑っていた甘雨ちゃんは、凝光さんから詳しいことを聞いた後、僕へと向き直り。
「──それでは、ダーリ……ユヅルさん。群玉閣を案内させていただきますね?」
「今ダーリンさんって言いかけたよね?ねぇねぇ言いかけたよね?」
「い、言いかけてません……」
「甘雨ちゃん顔真っ赤じゃん、可愛いなぁ……じゃあ行こっかハニー、エスコートよろしく!」
「か、からかわないでください……!」
──かくして、群玉閣観光ツアーが始まった。
▼▼▼
──やばいっ、群玉閣めちゃくちゃスゴい……!!ちょー楽しい……!
それが、群玉閣の内部を甘雨ちゃんと共に見て回った僕の感想だった。
まず2列螺旋状に連なった階段。なんだそれ、デザイン天才か???階段の終わる所に意味不明に水が敷かれているのも好き。お洒落だ……!
それを昇っていけば辿り着く階層、迎えてくれるお高そうな品々の置かれた部屋の数々だ。輝石に壺に、華に盆栽、陶器に絵画、掛け軸、絨毯……。パなかったわ……なんか高い物見ると心安らぐよね……僕のイチオシは金屏風。まばゆい……!
行きはさして楽しめなかった内装内観をじっくり堪能して、今度は外へ。
群玉閣の外観を、様々な角度から眺めまくる。
下から見上げると、威圧感あっていいわね……!でも、引きで見てもそれはそれで厳かでいい……!……あ、左右に伸びてる渡り廊下、あそこも行ってみたい……今度掛け合ってみよ。あとは……そうだ!
思い付いた僕は、その場でくるりと転換して、視線を群玉閣から眼下の景色へ。
視界には、岩肌の灰色に、屋根や木の葉の緑、同じく屋根の朱色に、木の葉の紅、黄金、港の桟橋の茶色がモザイクのように映る。
よーし、言っちゃうぞー!
「──ククク……見ろ!!人がゴミのようだ!!はっはっはっはっ!!」
「ユ、ユヅルさん……?」
……っかー、決まったー!ムスカ大佐、ムスカ大佐だ!た、楽しい……!やりたかったんだよこれ……!
終始傍に控えていた甘雨ちゃんが、えっ???って顔をしてるけど……それも気にならないね!だって今の僕はムスカ大佐だから!ラピュタは滅びぬ……!滅びぬのだ!!
「次は……そうだね、ラピュタの雷をかますか……!インドラ、インドラだ……!」
「ユヅルさん……?あの、よく分かりませんが、そろそろ昼食の時間ですので……」
「あ、そうなの?そっかお昼の…えっ、お昼まで頂けちゃうの!?」
「は、はい。一流の料理人が、腕によりをかけてつくったものを用意してあります」
「い、至れり尽くせり……!」
凝光さんのO☆MO☆TE☆NA☆SHIに慄いていると、先に進んでいた甘雨ちゃんに群玉閣の中へ戻るよう更に促される。お昼か……どれくらい美味しいのだろうか?香菱ちゃんの料理に負けず劣らずのレベルだとしたら……おはだけしちゃうかもしれないね。しないけど。
……とと、戻るまでに。
「──甘雨ちゃん甘雨ちゃん!ちょっと……!」
先に進んでいた所に控えていた甘雨ちゃんを呼び寄せる。受けて甘雨ちゃんは、すたたっと駆けて来る。
「ユヅルさん、どうかされましたか?」
「したいことがあって……手、出して?」
「こう、でしょうか?」
スッと差し出される白く細い手。
僕はそれを、ぎゅっと握り、彼女の横に並んで。
「あ、あの、ユヅルさん……!?」
「ン、ンンっ……!よしっ、いくぞ……バルス!!」
「バ……え???」
滅びの呪文を唱えた。
もちろん何も起こらなかった。
……さて、それじゃあお昼ご飯の時間だね!何が出るのかな!?楽しみだ!
「──甘雨ちゃん、何つっ立ってんの?早く行こうよ」
「は、はい!す、すみませ……こ、これは私が悪いのでしょうか……???」
群玉閣、まじでオサレで好き……!