原神ふれんず!   作:コトバノ

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 おかげで頑張れる……!


第12話 群玉閣 『床にもいい素材、使ってる……』

 

 

 

 昨日の朝と同じように、僕は。

 

 渡り廊下にて、欄干に前のめりにもたれかかりながら。

 

 ずずずっとお茶を味わいつつ、お昼となって、活発な様子を見せる璃月の街を眺めていた。

 

 お茶、うめぇ……街、なんかちっこいのが動いてるのが見える……仕事、がんばれ……あと僕、いつ帰れるの……?えぇ……?

 

▼▼▼

 

 ──群玉閣にやって来てから、2日が過ぎ、迎えた3日目。

 

 僕は未だに、群玉閣を去れずにいた。

 

 昨日は刻晴ちゃんが帰ったあと、凝光さんの色仕掛けが始まって。しかし僕は、なんとかそれに屈しず、蛍ちゃんの情報を守り通すことに成功していた。……うん、成功してるの!!情報、守り通してるの!!すごくない!?

 

 いやー、決め手はうまいこと彼女の拘束から抜け出しての僕の必殺技、土下座ですね。かち割る勢いで頭、床に叩きつけてやったわ。僕の頭がかち割れるかと思った。床にもいい素材、使ってる……。

 

 まぁその痛い思いをしたおかげで、昨日は凝光さんが、僕から蛍ちゃんの情報を引き出すことを諦めてくれたので良かったです……いや、ほんとに。

 

 けど、帰してくれることはなかったので、大人しく一昨日に引き続いて群玉閣を観光することにして。

 

 その日の晩餐、凝光さんと楽しくお喋りしていると、甘雨ちゃんがやって来て、蛍ちゃんと接触したことを伝えてくる。

 

 やっぱり彼女たちは、協力者の鍾離せんせーと一緒に三杯酔を訪れたらしい。ちょっと一安心したのは秘密だ。ぶっちゃけ自信はあったけど確信はなかったからね……えがったえがった。

 

 で、それを聞いて僕は、じゃあお役御免では?と思い帰ろうとすると、凝光さんと甘雨ちゃんから、わんこそばもかくやの勢いでお酒をお酌されて始め──今日も、目が覚めたら、例の客室にいたという……。いやでも美人さんにお酌されたら断れないもん……仕方ないね。

 

 そいで、朝ごはん昼ごはんともに甘雨ちゃんと頂いて、現在。

 

 食後のお茶を、美景を眺めながらゴクゴクしてるのである。

 

 ふー……美味し。このまろやかさがいいのよね……。

 

 ……うーん、しかしだ。本当に僕、いつまで群玉閣に拘留されるんだ……?ストーリー最後では群玉閣が舞台にされるし、結局落ちちゃうから、そろそろ降りていたいんだけど……。

 

 ──そう。璃月のメインストーリー、そのクライマックスが織り成されるのは、ここ、群玉閣でだ。

 

 めちゃくちゃネタバレになるが……この璃月を巡る事件、それを仕掛けたのは、凝光さんの睨んだ通りファデュイだ。

 

 主犯は、序盤にて主人公の逃亡を手助けし、その後もちょくちょくと力を貸してくれていたファデュイのイケメンくん──財布……じゃなくて、タルタル……じゃなくてタルタリヤ。こいつがまぁやってくれちゃうですよね色々……。

 

 タルタリヤは終盤、黄金屋という大量にモラが貯蔵されている場にて、主人公と激突する。何故タルタリヤが黄金屋にいたのかといえば、それは彼が、岩神の遺骸が黄金屋に隠されているのを察知し、そこから神の心を奪い取るためだった。しかし神の心はなく、主人公が先取りしたと考え、戦うことを求めたのだ。

 

 接戦の末主人公はなんとか押し勝つも、タルタリヤは、岩神の遺骸が偽物であること、そして、岩神が死んでいないことに気付く。タルタリヤは岩神に姿を現してもらうために、最悪の切り札を放つ。

 

 禁忌滅却の札、そのレプリカ。

 

 パチモンではあるものの、その効果は非常に強力なものだ。かつて璃月近海に封印されていた太古の魔神──渦の魔神オセルを呼び出せるほどには。

 

 主人公はその魔神による被害が璃月に及ぶのを恐れ、璃月七星や千岩軍、仙人といった璃月陣営と群玉閣にて合流し、防衛戦に挑む……とまぁ、そんな流れなんだけど、この渦の魔神オセルさんがバカ強いのよね……。で、苦肉の策として凝光さんは、群玉閣を落とすことを決める。決めちゃうのよ……結果、オセルさんを封印することには成功するんだけども……。まぁ、そういうわけで、巻き込まれたくない僕は、早めに群玉閣を降りたいのである。

 

 でも、どーすればいいのかなー……なんで降ろしてくれないか分からない限り、僕は群玉閣に囚われ続けちゃうわけだし。

 

 蛍ちゃんの情報……もまぁ、欲しいんだろうけど……もう繋がりは出来たわけだし、彼女が群玉閣に来たところで聞けば……あぁ、そういうことか。これ……僕、人質的な、エサ的なあれだな?蛍ちゃんが絶対に群玉閣に来てもらうための。なーるほど……蛍ちゃんは優しいしいい娘やから、自惚れちっくだけど、多分僕が群玉閣にいると聞いたら、必ず来てくれるはず。凝光さん、やっぱ策士だな……これで蛍ちゃん来なかったら、僕、赤っ恥どころじゃないけど。

 

 とはいえ、そういう腹積もりなら……蛍ちゃんが来てくれれば、そこでようやく群玉閣とおさらばできるって感じかな?

 

 凝光さんの、全てとは言えずとも大まかな意図がようやく、ほんとにようやく分かった僕は、お茶を一気に飲み干すと、甘雨ちゃんを探し出し──2列連なった螺旋階段の踊り場で彼女の姿を見つけたので、それとなく尋ねてみる。

 

 すると彼女は、明言はしないものの、その通りと答えてくれて。

 

 おお……!なんか他にも隠してそうだけど、まぁいい……!これで降りられることが分かった……!

 

 と、降りられる目処がついたことを喜んでいると──何やら、上階の方がにわかに騒がしくなる。うん……?

 

 「なんだろう……何かあったのかな?甘雨ちゃん、心当たりある?」

 「いえ、これといって……ですが、もしかしたら……」

 「もしかしたら?」

 「件の彼女が……来たのかもしれません」

 「ほ、蛍ちゃんが……!?」

 

 ま、まじか……早いな……!でもたしかに、昨日で三杯酔に辿り着いてたのなら、もう第2幕は終わらせてたってことだし……ってあれ?今、第3幕ってことは……よくよく考えたら、クライマックスに突入するの、もう今日じゃね???

 

 「──お、降り、降りなければ……!群玉閣を降りなければ……!甘雨ちゃん、降ろしてっ!僕を地上へ……!」

 「え、えぇっ……!?きゅ、急にどうしたんですか?」

 「は、早くっ……!僕を地上へっ……!」

 「ち、近いですユヅルさんっ……!」

 

 ──焦燥に駆られ、甘雨ちゃんの肩を掴み懇願していたときだった。

 

 「──あら……」

 「あ!ユヅルじゃないか!」

 「ほんとにいたんだ……って、何してるの……?」

 

 凝光さんを先頭に階段を下ってくる、何日かぶりかのパイモンちゃんと蛍ちゃんと出くわす。

 

 ぐ、ぐあぁぁぁっ……!!か、可愛さにっ……!!殺られるっ……!!

 

 と、僕がぷりてぃな2人の登場に意識が持ってかれている合間にも、彼女たちは歩を進めていたようで。

 

 気付けば凝光さんたちは、僕と甘雨ちゃんのいる踊り場にまで来ていた。

 

 そして蛍ちゃんは、無言のままこちらへ寄ってくると、甘雨ちゃんの肩から僕の手を外す。

 

 おっと、たしかにいつまでも女の子の肩を掴んでいるのはよくないですよね……すみません。

 

 ……ん?女の、子……?……や、やめておこう……考えるのは色々まずそうだ。とりま今は……そーね、挨拶を返しとくとしよう。

 

 「──久しぶりだね、蛍ちゃん、パイモンちゃん。元気してた?」

 「うん、久しぶり。元気……まぁ元気といえば元気だけど……ちょっと疲れてるかも」

 「旅人に同感だぜ……ここ数日、オイラたち、働いてばかりだからな……」

 

 だろうね……主人公、お疲れさまです……。

 

 「ユヅルの方は、どうだったんだ?」

 「僕の方?ちょーいい思いしてたね……あ、そうだった、腹切って詫びないといけないんだった」

 「ユヅル!?いきなり何言ってるんだ!?」

 「落ち着いてユヅル……何があったか知らないけれど、わたしたちはユヅルに傷ついてほしくなんかないよ?」

 

 あ、好きぃ……やさ、優しい……こんないい娘、他におりゅ?おらん。世界よ、蛍ちゃんを推せっ……!!

 

 「……っとと、もうちょい喋っていたいところだけど……凝光さん、2人に用があるんだもんね?」

 「ええ。尤も私は、あなたたちが旧交を温めるのを待つくらいなら構わないけれど……」

 「いやいや、凝光さんの時間を取るわけにはいかないよ」

 

 我に返った僕は、ここら辺で切り上げようと話を進める。ストーリーの進行も遅らせるわけにはいかないからね。

 

 「じゃあ、凝光さん。そろそろ僕、群玉閣を降りてもいいよね?」

 「もちろんよ。けど、お礼をまだしていなかったわね」

 「お礼?あー……今度会うまでに考えとくよ」

 「あら……随分大きいお返しになりそうだわ」

 

 軽快に言葉を交わしていく。よし、いい雰囲気だ……!

 

 「なんだ?ユヅル、もう帰っちゃうのか?」

 「折角再会できたのに……もう少し待っててくれてもいいんだよ?」

 

 待ちまぁぁぁぁっっすっっっ──じゃない!!!危ない危ない、2人の寂しそうな顔に引っ張られてた……!

 

 「あはは、ごめんね2人とも。群玉閣はめちゃくちゃ楽しい場所だし、君たちとももっと喋っていたいところだけど……そうね、流石に地上が恋しくなってきたから」

 「そっか……」

 「……なら、仕方ないね……」

 「うん……じゃあ2人ともバイバイ、頑張ってね。凝光さんと甘雨ちゃんも、またね」

 

 手を振ってお別れを告げる。気持ちはもっと蛍ちゃんたちといたかったが……璃月を滅ぼすわけにもいかないしね。

 

 彼女たちがめいめいに別れの言葉を返してくる中、1人甘雨ちゃんが出てくる。どうやらお見送りをしてくれるらしい。

 

 僕は蛍ちゃんたちに背を向けて、彼女と階段を昇り始めた。

 

 「──甘雨ちゃん、実際に2人に会ってどうだった?めちゃくちゃ可愛かったでしょ?」

 「かわ……はい、そうですね。可愛らしい方々でした。それに旅人は……とても強そうでした。絶雲の間から帰ったのも、納得できます」

 「おお、そういうの分かるんだ……」

 「一応これでも……いえ、なんでも──」

 「──一応これでも仙人だから?」

 

 口ごもる甘雨ちゃんに、ちょっと追及してみる。すると彼女は慌て出して。

 

 「き、気付いていたんですか……!?」

 「そりゃ立派な角あるし……触ってもいい?先っちょ、先っちょだけだから……!」

 「だ、だめです……!」

 

 だめかぁ……なんか触覚あるんだっけか?残念……つやつやすべすべで、触り心地良さそうなのに……。

  

 少し気落ちしていると、やがて群玉閣の出口に到着する。扉を開ければ、広がる青い空と白い雲。

 

 この景色ともお別れかぁ……と名残惜しく感じつつ、甘雨ちゃんに、群玉閣を離れるための場所へと連れられ。

 

 「──それではユヅルさん……ここで、お別れです」

 「だね……次会うのは、いつになることやら」

 「どうでしょう……でも、あなたとならば……そう遠くない内に、会える気がします」

 「……え、口説いてる?フラグ立てて再登場する系のヒロイン?」

 「くどっ……!?ち、違いますよっ!!」

 「あはは、じゃあまたね」

 「……はぁ……はい、またお会いしましょう」

 

 

 

 ──和やかな雰囲気で、甘雨ちゃんへと別れを告げて。

 

 僕は、群玉閣を後にした。

 

 

 

 






 甘雨は街の人に、角を髪飾りで通してるらしい……流石に無理があるのでは???
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