なんか更に燃料投下されてて草。ありがとう、嬉しいよ……!
璃月港では、未だに暴風雨が猛威を振るっていた。
横殴りの雨が商店街の建物たちの壁に叩き付け、時折雷鳴も聞こえてくる。
ずぶ濡れになりながら、僕はその街中……というか、空中回廊を歩いていた。
目的は──渦の魔神オセルさんと、群玉閣に集っている蛍ちゃん+璃月大御所さんたちの戦いを望めるベストスポットを探すことである。
……いや、分かってるよ!?そりゃね、彼ら彼女らからしたら璃月の未来が懸かっている戦い、道楽目的でそれを鑑賞するなんて、あってはならないことだと僕も思うよ!?
けど……見たいじゃん!!だって璃月防衛戦って、総力戦みたいな雰囲気があって、めちゃくちゃ熱いんだもん!!しかも相手は大怪獣的なアレやぞ!?そら気になってまうがな!!
と、似非関西弁で言い訳しつつ、辺りをキョロキョロ。どの通路を進めばいいのか探る。
今そっち、北国銀行の方から来たわけで……多分こっちに行ったら商店街の方に行っちゃうはずなんだよね。僕が行きたいのは、オセルさんがいる海が望めるロケーションだから……あっちかな?
いくらか迷いつつ、空中回廊を進んでいく。ここ、マジで分かりにくいんだよな……ゲームでも、相当迷った記憶がある。北国銀行の行くときもそうだったし、プレイアブルキャラクターの男の娘坊っちゃまに会うために、この回廊沿いにあった書店?的なのを訪れるときもそうだった。あとデイリーとかでも、なんか舞台?的なのに訪れるのにも、けっこー苦労した記憶。
高低差がねー……マップだと分かんないから、戸惑っちゃうのよ。表示される目的地までの距離にも、高低差の有無とか出てこないし。
そんなことを考えているうちに、通路が開き、休憩所のようなスペースに出る。
椅子や机などが置かれ、寛げるようになっていた空間。今では水浸しになってしまっているその空間を取り囲む手すり、その遠く向こうに広がる海には。
5つの鎌首をもたげてこちらを睥睨する、巨大な海水を纏った蛇がいて。
………………え、ヤバぁ……こんなに離れてんのに、呼吸に困るくらいの威圧感あるんですけど……ちょっ……えぇ???
その強大すぎる姿、そして威圧感に畏怖の念を抱いた僕は、混乱のままに近くの椅子に座って、地面を見つめる。
いや……これ……無理では???璃月陣営、勝てないのでは???だってオセルさん、とんでもねぇ化物じゃん……でっかいし、首5個あるし、海水でできてるし、威圧感パないし……アレに立ち向かえる人とかいるの???
軽く絶望に陥りながら、もう1度ちらりと海に目をやると──オセルさんの近くの空が眩く輝き、次の瞬間には、幾条もの光がオセルさんの身体を貫いていく。痛みからか、オセルさんは首を大きく揺らして悶えていた。
あ、あれはおそらく帰終機による攻撃……!!ということは、あそこの小さな影が、群玉閣か!?ヤバっっ、マジでっ!?オセルさんと戦ってるの!?立ち向かえる人全然いたわっっ!!すごいっ、カッコいい!!
たしか群玉閣にいたのは、璃月港側から凝光さんに甘雨ちゃん、刻晴ちゃんに千岩軍の精鋭さんたちだったよね!
加えて仙人側から、黄金の毛並みを持つ鹿のような仙人の削月築陽真君と、黒と赤の毛並みを持つ鷺のような仙人の理水畳山真君、お喋りエンジニアおばさまで名の通る白と青の毛並みを持つ鷺のような仙人の留雲借風真君!
みんな大好きピンばあやに、プレイアブルキャラクターである夜叉の少年、魈さん!っくぅ、前半の仙人たち、漢字難しすぎるぜ!
そして最後に、我らが蛍ちゃんとパイモンちゃん……!!
っはぁぁぁ、みんなカッコよすぎるわ……!!アレと相対できる勇気よ、素晴らしすぎる……!!僕とか絶対土下座くらいしかできないわ。いや、恐怖でそれすらできないかも?まぁ土下座したところで大して意味ないんだろうけど。
……あれ、でも待てよ?思い返してみたら、群玉閣には、璃月陣営の妨害にファデュイも乗り込んできていたはず……そう考えると、ファデュイの人たちも勇気すごいのでは?なんならオセルさんに背を向け璃月陣営に襲いかかるくらいだし……。
……い、いや、今はそんなことはどうでもいい!今僕がすべきなのは……そう、応援だっ!!応援は、人の心を勇気付け、力を与えてくれる……僕はそうプリキュアから学んだんだっ!!
いくぞ応援っ、うおおおおお蛍ちゃん頑張れぇぇぇっ!!ファデュイなんて蹴散らせっ、オセルさんやっつけてしまえっ!!ストーリーなんて、その可愛さでねじ曲げろぉっ!!他の人たちも頑張れぇぇぇぇっっ!!!
すると、びしょ濡れになりながらの僕の応援が通じたのか、群玉閣とおぼしき影から定期的に放たれる光の数、威力は、ともにドンドンと増していく。オセルさんの水の身体は穿たれ、また弾けてと、損耗していった。
す、すごっ……めちゃくちゃ大迫力なんだが……!?これもう映画でしょっ、ポップコーン、ポップコーン食べたい。味はもちろんバター醤油で。喉は絶対渇くだろうから、飲み物のコーラはLサイズね?そしてそのコーラを飲みすぎて、映画終盤の超いいところでトイレ行きたくなっちゃうまでがお約束……。
とかなんとかふざけたこと言ってる間に、戦いは激しさを増す。群玉閣から放たれる光は確実にオセルさんの身体を削るも、敵もさるもの、蛇の口を開け、巨大な水の弾をいくつも飛ばしてくる。視認はできないが、群玉閣の被害も甚大なものとなっているだろう。
やがて、群玉閣から定期的に放たれていた光が停まり──一際強い輝きをもつ光が3つ、放たれ集い、1つの眩い光線となってオセルさんを襲う。
数瞬の後、着弾、爆発が巻き起こる。海は荒れ狂い、大波が湧く。堪らずオセルさんは、海に首を沈め──しかし、倒し切るには足りない。すぐさまオセルさんは首を戻すと、天に向け。その5つの蛇の口から、水の球体が生み出され、集結、意趣返しのように1つの光線となって、空へと放たれ──流星群のようになって、群玉閣を襲い出す。群玉閣からは、いよいよ光が放たれることはなくなってしまった。
……うぼあぁぁ、マジかぁぁぁぁ……やっぱり、ダメだったのか……じゃあもう、群玉閣、落としちゃうのかな……?僕としては、群玉閣を落とさずに決着付けてほしかったんだけどなぁ……。
だって群玉閣って、凝光さんが幼き頃から裸足で璃月を駆け回り、必死に貯めたモラで造り上げた城なんだよ?それを璃月を守るためとはいえ、落とす決断をしなければいけないとか……凝光さん……。
しかして僕がここで嘆いたところで、彼女らの動きに影響が与えられるわけではなくて。
群玉閣は、高度を保ったまま、オセルさんの上空へと進んでいき──迸る黄金の光、群玉閣は首を構える海の蛇たちへと墜落していく。
暫しの静寂な時間を経て、海は白く染まり、大爆発が起こる。衝撃は璃月港にまで及び、建物がビリビリと震える。
全てが収まった後には、雨風は去りら分厚い雲々は立ち消え、陽光が差す。先程までの荒れ様は鳴りを潜め、海は、穏やかな顔を見せていた。
岩神ではなく、璃月の人々の手によって、璃月の平和は守られたのだった。
……うん……え、感動した……人ってやっぱりすごいんだ……泣きそう……。
生で目撃した神話のごとき光景に感じ入る。ほぉ……と感嘆の息を溢しながら、濡れぼそった髪をかきあげわしゃわしゃやって──声をかけられたのは、そのときだった。
「──ユヅル殿……まさかこんなところにいるとは」
「なんだい?鍾離先生の知り合い?」
「え?……わ、鍾離せんせーじゃん。それに……」
振り返れば、黒髪の美丈夫、鍾離せんせーがそこにはいて。更には、茶髪の同じく美丈夫も後ろに控えているのが見える。もしや彼は……。
「やぁ、君!俺はタルタリヤって言うんだ。突然だけど、誰か強いやつとか知ってたりしない?」
「うわぁ、この滲み出るサイコ感……間違いなくタルタリヤだ!すごい!」
手を軽く挙げ、そんな台詞を吐く彼に、僕はすさまじい確信を抱いた。
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チャラめの風貌で明るい茶髪に青の目を持ち、顔の一部を覆う仮面を付けている。身に纏うのは、グレーのジャケットにズボン、そして赤のマフラーだ。
本名をアヤックスといい、また対外的には基本タルタリヤと名乗っている彼もまた、プレイアブルキャラクターの1人だ。
水元素を操る戦闘狂で、飽くなき闘争心をもっており、常に強者との戦いを求めている。
そんな彼は、自身が、シニョーラと同じくファデュイの執行官を務める強者でもある。
<公子>の名も持ち、順位は第11位と最下位ではあるが、現在の蛍ちゃんと渡り合えるほどの実力を有している青年なのだ。
さてもそんな、ブラコンかつシスコンで、みんなの財布で、鳴き声は、「テウセル」か「トーニャ」か「俺が払うよ」な彼が、鍾離せんせーとここにいるということは……。
……うん、多分北国銀行に向かう途中ってことなんだろうね。ストーリーでオセルさんを倒した後、北国銀行に向かった主人公は、そこで彼らと会うことになっていたし。
……いやー、でもタルタリヤ……こいつほんまイケメンやなぁ……爽やかイケメン。壁ドンされたら堕ちる自信あるわ……。
「……とと、そうじゃなかった。えーと、タルタリヤ、僕はユヅルだよ。よろしくー。それと強いやつについては……まぁけっこー知ってるけど、向こうの迷惑になるだろうから言わないどくね」
「おいおい、つれないこと言うなよ。1人くらいならいいだろう?」
「えー……?そうだなー……じゃあ鍾離せんせーと戦えば?鬼強いでしょ?」
「それが鍾離先生は、まったく戦う気がないんだ。今回だって……ああいや、なんでもない」
ペラペラと喋っていたタルタリヤが、途中で口を閉ざす。ん?……あぁ、なるほど。
「タルタリヤ、僕、そっちの事情は知ってるから、あんま気にしなくてもいいよ?」
「……へぇ?そうなのかい?鍾離先生」
「ああ。彼は……物知りだからな」
「またまたー、鍾離せんせーの方が物知りでしょうに」
言いながら、鍾離せんせーの脇腹をつんつんとつつく。その一連よ様子を見ていたタルタリヤは、驚いたように目を丸くしていた。
「驚いたなぁ……随分と仲良しじゃないか。もしかしてユヅル、君をエサにしたら、鍾離せんせーは本気を出してくれたりするのかな?」
「急にキチガイ出してくるのやめてもらえる???とんでもないこと言わないでよ……」
「ハハッ、冗談だよ。流石の俺でもそんなことは……ハハハ」
「おい???最後まできちんと言い切ろう???不安しかないんだが???」
嗜めるも、彼は意味深に笑んだままで答えない。ふつーに怖くなった僕は、会話を断ち切って、さっさと退散することにした。
「……じゃあ僕、お腹も空いたしもう行くね?あと、鍾離せんせーシールドありがとう、マジで助かった。もう外していいよ」
「ああ、役に立ったのなら何よりだ」
「めちゃくちゃ役立ったよ。おかげで交渉も成功したもん」
「そうか……」
「うん。それじゃあタルタリヤ、バイバイ!鍾離せんせーも……おつかれさま!」
そうして僕は立ち上がると、2人に手を振り、その場を離れる。空中回廊を行き、やがて地上に降りた僕は。
とりあえずは朝ご飯でも頂こうかと、夜が明けにわかに活気づいてきた商店街を、歩き出したのだった。
……いや、その前に、どこかでタオル買って、身体拭いとこ……流石にこれは、濡れネズミ極め過ぎててヤバいわ。
多分次のお話で璃月編は終わり、連日投稿も終わりですっ!
まぁ明日投稿できるか分かんないけどねっ!!