原神ふれんず!   作:コトバノ

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 アンケートもご協力あざ!みんな足が好きなんだなぁと思いました!わかるまん!


閑話 璃月港 『ははっ、相変わらずお前は面白いなぁ……』

 

 

 

 ほんわかと日が差す、のどかなお昼時。

 

 璃月の街に並ぶ料亭の1つで、僕は。

 

 

 

 「──はぁぁぁ……もうムリだ、疲れた……どうして別れることとなる相手と結婚なんてするんだ、意味が分からない……ユヅル、お前もそう思うだろう?」

 「うんうんそうだね、その通り……」

 「そうだろう!?本当にどうして別れるような相手と結婚をするんだ、もううんざりだ!私はこんな辛い目に遭うために法律家をしているのではないのに……!」

 「うんうんそうだね、その通り……」

 

 

 

 璃月イチの法律家である煙緋ちゃんから、延々と愚痴を聞かされていた──。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 ──はてさて、どうしてこんなことになってしまったのか。

 

 それは、道端をトボトボ歩いていた煙緋ちゃんを見かけ、知り合い発見!と考えなしに声をかけてしまったことが原因だった。

 

 振り向いてくれた煙緋ちゃんの顔色を窺うと、何やら悪そげで。

 

 少し心配になった僕は、「久しぶりに会ったんだし、お昼でも一緒にどう?もし悩みがあるなら僕が聞いてあげるよ、これでもモンドでは1番の相談屋だったし(他に相談屋がいなかったから)」と言ってみたところ、丁度良かったとかなんとか呟いた彼女にこの料亭に連れ込まれ。

 

 あまりにもスムーズだった行いに、わけも分からず目を白黒させていると、まだ注文しただけで料理も運ばれてきていない、お酒も出されてすらいないのに、酔っ払いのごとく怒涛の勢いで愚痴エピソードが吐き出され始める。

 

 なんでも今日の午前には、離婚の調停が仕事として入っていたらしく、しかもそれが揉めに揉めて、くたくたに疲れ切ってしまっているのだとか。

 

 それに対して、ようやく運ばれてきたご飯をつまみながら、簡単に相槌やら励ましやらの言葉をかけていると、更に愚痴エピソードがエスカレートし。

 

 かねてよりの鬱憤すらも吐き出し始めてしまったのだから、もう大変だ。

 

 止めどなく溢れる煙緋ちゃんの法律家をしていて辛かったこと、面倒だったことの小話が、料亭の1席を取り巻く。

 

 しかもその全てが早口で繰り出されるので、なんかもうヤバい。何がヤバいって僕に愚痴が吐き出されているのか、愚痴に僕が飛び込んでいるのか分からないくらいだ。どうせ飛び込むなら煙緋ちゃんの太ももに飛び込みたい。ってかこんなことを思っている僕もヤバい。とにかくヤバい。

 

 いよいよSAN値がピンチでニャル子りそうになった僕は、いよいよ口を挟んで、彼女を宥めることにした。

 

 「──それにだな、今回は子どもはいなかったから良かったものの、偶に子どもがいるのに離婚をしようとする人たちだっているんだ!この場合が私にとって1番最悪だ、調停は当然長引くしごたつく、どう足掻いたって子どもも不幸なことになる……どうしてきちんと相性の良い人と結ばれてくれないんだ……!」

 「ま、まぁまぁ、結婚ってのは合理的にするものじゃないからね……ビビっときた人とパッションでするもんだし」

 「む……けれどそのしわ寄せは私にやって来てしまうんだぞ……?何故私が被害を被らなければいけないんだ……辛い……もうやだ……」

 

 眉をハの字に、顎をテーブルに乗せ、遂には脱力し切った煙緋ちゃんが、溜め息交じり言う。

 

 おお……なんか煙緋ちゃん、幼児退行してる?ちょっと可愛い……じゃなかった、今はとりあえず宥めてあげないと……。

 

 「ほらほら煙緋ちゃん、これ食べて元気出して。杏仁豆腐だよ。君の好きな豆腐料理」

 「……手を動かすのすら億劫だ……」

 「えぇ……?じゃあ食べさせてあげるから。ほらあーん」

 「あーん……」

 

 しょうがなしに、木の匙で掬った杏仁豆腐を、力なく開けられた彼女の口元へ運ぶ。な、なんかちょっとイケナイ気持ちが芽生えそう……。

 

 そんな僕の感情などは露知らず、彼女はゆっくりとそれを咀嚼、ごくんと燕下する。

 

 「……どう?美味しい?」

 「……ああ、美味だ……もう一口くれ……」

 「甘えん坊さんじゃん可愛い……はい、あーん」

 「あーん……」

 

 差し出される杏仁豆腐を、次々ともきゅもきゅする煙緋ちゃん。

 

 そのいつもの凛とした姿とは違う、幼気な姿に僕は、自分の心が揺り動かされることを感じる。

 

 いったい何なのだろうか、沸き上がってくるこの気持ちは。胸が温かい、ポカポカしてくる。……ああそうか、分かった、この気持ちは、彼女を見ているだけで穏やかになれるこの気持ちは、きっと……。

 

 

 

 「……きっとこの気持ちは、父性……そっか、僕が煙緋ちゃんのパパだったんだ……!!」

 「い、いや、違うが……???私のお父様は、決してお前ではないはずだが……???」

 

 

 

 悟りに至った僕がカッと目を見開いて言うと、煙緋ちゃんが身体を起こして全力で否定してくる。あ、気力戻ったんだ。

 

 「まぁまぁ煙緋ちゃん、落ち着いて。……あっ、間違えた。ンンっ……落ち着きたまえ、煙緋」

 「父親っぽく振る舞おうとするのはやめてくれっ、愚痴ばかり溢してた私が悪かったから……!!」

 「ははっ、相変わらずお前は面白いなぁ……」

 「頼むユヅル、本当にやめてくれ……!!」

 

 全力でお父さんを遂行しようとする僕と、全力で僕がお父さんを遂行しようとするのを止めてくる煙緋ちゃん。

 

 暫しの押し問答が続くも、最終的に煙緋ちゃんが泣き出しそうになったので、仕方なく僕が折れることにする。残念……。

 

 「……改めて、すまなかったな、ユヅル。楽しい食事の時間に、愚痴など漏らしてしまって……」

 「え、ああ、うん……いや、別にいいけど……」

 

 一段落したところで、煙緋ちゃんからの謝罪。でも僕が最初に相談屋云々の話しちゃったことが原因だし……。

 

 「……っていうかさ、煙緋ちゃん。そもそも離婚調停とか親権の問題とかが憂鬱なら、そこら辺は担当しなきゃいいだけじゃないの?」

 

 愚痴を聞かされてたときから浮かんでいた疑問を投げかける。民事訴訟辺りはたしかに重要な分野だけど、彼女の頭なら、それ以外の分野の知識を貸すだけでも充分やっていけると思うのだが……。

 

 「そういうわけにもいくまい。私は万事精通を売りとする法律家だからな。あらゆる法を暗記し、必要としている人々の役に立たなければいけないのだ」

 「おお……めちゃくちゃいい娘だし偉い娘じゃん……光に焼かれそう……」

 「ふふっ、なんだそれは……」

 

 先までの重苦しい雰囲気から一転、和やかな雰囲気へ、正しい昼食の装いが戻ってくる。

 

 愚痴マシンガン少女もいないし甘えん坊幼児ちゃんもいない、拗らせ勘違いパパもいない……うん、正しい昼食の装いだね。いや、甘えん坊幼児ちゃんは全然いても良かったけど。

 

 「ま、辞められないなら辞められないでいいけど、あんまり溜め込みすぎないでよ?煙緋ちゃんの心が参っちんぐなんてことになっちゃったら、目も当てられないし。立場もあるだろうけど、僕なり何なり信用できる人に愚痴くらいなら吐いときな?」

 「……いいのか?だが、流石にそれは迷惑では……」

 「いいっていいって、煙緋ちゃんからはこの前お金まで貰っちゃってるんだし」

 「……いや、あれはお前がくれたあの花への対価の一部なだけであって、そういう意図があったわけではなくてだな……」

 

 テキトーな理由を付けるも、変なところでそれを律儀な内容で拒む煙緋ちゃん。なんで……?ワカチコ精神で行こうや……。ちっちゃいこと、気にすんな……。

 

 「えー……じゃ、あれだ、さっきのお金のくだりはなしにして、友だちだから迷惑かけていいってことにしよう」

 「む……それならまぁ、筋は通っている……のか?友人にはあまり迷惑をかけない方が良いような気もするが……」

 「迷惑をかけられても笑って許せる仲ってことだよ」

 「ああ、なるほど……」

 

 屁理屈をこね回して、なんとか彼女を納得させる。煙緋ちゃん、なまじっか頭が良い分理屈屋だからね……。

 

 「……うむ、ではユヅル。悪いが、もしまた鬱屈とした気分になったら、頼らせてもらうぞ?」

 「ふふん、ドンとこーい……って、しまったっ、喋り続けてた所為で料理冷めちゃってるっ!」

 

 にっこり笑って彼女の言葉に頷き、その流れで料理から湯気が消えていることに気付く。

 

 失策だっ、僕、ご飯は温かいものの方が好きなのに……!冷たくていい料理はアイス類とサラダ類と冷奴と冷しゃぶと冷やし中華とそう麺と蕎麦とビシソワーズとって言ってて思ったけどけっこーあるな!冷たい料理もいいのかもね!でも今テーブルの上に並んでるのは温かい方が美味しい料理なのよ!う、うぅ……!!

 

 呻きを上げて悔いていると、対面に座る、同じく熱々嗜好の煙緋ちゃんが。

 

 「そうしょぼくれた顔をするな、ユヅル。どれ、私に任せてみろ」

 

 言って、そのキレイな手をテーブルに並ぶ料理の上に翳すと。

 

 瞬間、熱波のようなものが吹き荒れる。だが、驚き声を上げる間もなく、その熱波は霧散する。そして気付けば卓上の料理たちからは──白い湯気が立ち昇っていて。

 

 「……えっ、ちょっ……えぇっ!?あっ、温めたのっ!?煙緋ちゃんもしかして元素力で温めたのっ!?」

 「うむ。お前も知っているだろうが、私は料理は温かい方が好きだからな。この技を覚えたんだ」

 

 慌てて尋ねれば、ふふんと不遜な笑みを浮かべて、煙緋ちゃんがドヤる。可愛い……!あんど無駄遣いっ……!元素力の圧倒的無駄遣いっ……!!でも正直めちゃくちゃ羨ましいよその能力……!!

 

 「……くっ……煙緋ちゃんめ……!というか、もうレンジちゃんと呼ぶべきか……!なんて羨ましい能力を……!」

 「レンジちゃん…???」

 「こりゃもう一家に1人煙緋ちゃんだな……是非ともウチにも来てほしい……」

 「……ん!?ま、待ってくれ、それはどういう……!も、もしや、よ、嫁にという意味か……?」

 「あ、こうしている間に折角温めてもらったご飯が冷めちゃうかも……いけないいけない、いただきます」

 「ユ、ユヅル!?お、おい、聞いているのか!?」

 

 パチンと手を合わせて、箸を取る。見るからにほっかほかそうな料理たちに目移りをしながら、一口一口つまんでいく。お、美味しい……!温かくてトロトロだこのお肉……!こっちのお芋はホクホク……!

 

 そして僕は、その後も何やらよく分かんないことを問いかけてくる煙緋ちゃんをテキトーにあしらいつつ、夢中で料理をいただき続けたのだった。

 

 んんんっ、やっぱり璃月の料理、サイコーっっ!!

 

 






 物事に合理性を求める煙緋は、考えなしのユヅルに翻弄されまくるという運命だったり……。

 いつになるか分かんないけど、次は刻晴かな?でも新しいキャラのロリキョンシーも出したい……まぁ予定は未定ということで!ほな!


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