団子食えよ   作:一億年間ソロプレイ

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これから新しい章に突入だというのにとんだ蛇足&独自設定回ですな(焦り)


拠点開発編
謝罪する件


 

 最初にアイルーが食われたという点に、恐らく俺の魔素が関係している。

 名付けとは魔素を分け与え、彼らの魂の格を上げるもの。俺は名付けをアイルーたちにのみしていた。

 その時点のアイルーたちの魔素量を100とする。そしてリオレウスらの魔素量を50辺りとする。

 

 肉食なモンスターたちは、普通にケルビやガーグァといった草食動物たちを狩ってその日の食事としていた。これはゲーム内でも見た光景だ。ワールドなんかじゃ彼らの死体が突き止める痕跡にもなっている。

 モンスターは俺を襲わずとも、食生活としては至って普通だった。よく知られる弱肉強食の理において彼らは食われ、食われつつを繰り返す。

 

 しかし、今回は魔素量がそれを狂わせた。

 

 俺は、アイルーたちに自衛する手段を教えなかった。常に側にいて、森で散策しても彼ら(モンスター)たちが襲ってこなかったというのもある。

 今となれば魔法やら農具やらでも使って相手を叩きのめすという行為を教えてやればと後悔している。

 本来ならすばしっこく野生を生きられる筈の彼らアイルーは無抵抗、もしくは抵抗しても弱弱しく、簡単に食われた。

 …………いいや、俺がカールくんたちにあの場所を頼むなんてこと言わなければ、きっと彼らは土中にでも逃げて、俺が帰って来ればひょっこりと顔を見せてくれたのかもしれない。流石に希望的観測が過ぎるか……。

 

 ………………ここからが本題だ。

 

 アイルーたちが含んでいた魔素量は彼らが食用にしていたケルビたちよりも遥かに多く、それこそ何体か食えば進化出来るほどに魔素量を含んでいた。

 狩りやすさはケルビ以下で、栄養価(魔素量)が高いスーパーフード。

 そんな扱いになっていたのだろう。俺達人間だって、安くて美味しい食材があればそれを買う。

 より廉価で、より手間暇が無く、美味しいご飯が手に入るとしたなら、人間動物関係なく(誰だって)嬉しいから。

 

 だから……、咄嗟に思いついたのは島(小島含む)に住んでいるモンスターたちにも均等に魔素量を振り分けることだった。

 彼らの基礎魔力量50から、アイルーたちと同じ100に。そうすればアイルーたちが集中的に食われるということは無くなる。栄養価の部分を等分にした訳だ。

 かといって、そのままの状態で彼らは名付けを受け付けなかった。

 

誰が貴様のような弱者から名を受けるものか

 

 そう、念話で伝えられた。

 言外に力を示せと言われた。

 ならばと、俺は彼らを打ち倒すことを選んだ。

 

 モンスターたちは種族ごとにまとまって動いていたり、散らばって戦っていたりしていた。ドスジャギィが率いるジャギィの群れとか、レイギエナの群れとか、他にも群れ単位で戦闘に参加している奴等もいた。

 

 だとしても、()()()()()()()()()()()

 

 モン○ン風に言うなら捕獲をメインにして、名付けをし終わったら「一日は大人しくしているように」と命令を与えて、あの一番アイルーたちを喰ったリオレウスと戦う為のフィールド作りをした。

 誰か一匹でも倒して名付けして指令を与えれば、その種族はそのまま引いたから、戦闘は続ければ続けるほど楽にはなった。でも疲れはする。倒せば倒す程、名付けする暇を無くすほどに興奮したモンスターが襲い掛かってくる。だからその場を制圧し、死屍累々となった場でやっと名付けをして、他の場所に行って、また乱戦を繰り返して……。

 正直魔素量足りるかな、と思って魔法で魔素を生みだせないかなんて試行錯誤していたら出来上がったものがある。ユニークでもなんでもないスキルだが、使い勝手は非常に良かった。

 『魔素増殖炉』。何か(地面に転がる石とか、今日食べた物とか、一番効率良いのは()()だった)を燃やして魔素を作ってはその分をモンスターの名付けに回した。途中、変な所に魔素が流れたような気もするけど、気のせいだろうか。

 ともかくこのスキルが無ければ頓珍漢な思いつきも、リオレウスを倒すことも出来なかった。

 

 

 

 

 そうして迎えた翌日。俺は目の前にいる赤ん坊について悩むことになる。

 

 さてもびっくりなことに、戦いの後、ベイビーが三人生まれていたのを発見した。

 内側に俺の魔素っぽい力を感じたから、俺の子なのかもしれない……。

 それに、赤ん坊がいた場所は俺が皆の骨を埋めた、いわゆる皆の共同墓地の場だった。考えるとするなら、骨と俺の魔素が核融合してババーンと赤ん坊が生まれた……とか?

 それか、カールくんたちが生まれ変わったとか。……転生するんだったら人数分のベイビーが生まれてこないとおかしいもんな。ははは。

 

 日差しが目を焼いているのでそろそろ起きよう。体は微塵も動かす気力が湧かないけど。

 目を開けると俺の腕に一人の赤ん坊、傍にアイルー……シャルくんたちと赤ん坊二人がくっついて寝ていた。毛布……と思ったけどそれすら燃やされて無いんだよな。

 

 そうだな。俺の家も田畑も燃やされて無くなった。全部無に帰った。

 

 ――だが、まだ森自体が燃やされた訳ではない。あの森には今でも稲の原種があるから、そこから種籾を貰ってこよう。野菜もなんだって全てが残っている。……植物に関しては俺のスキルも使えるんだろうが、如何せんありがたみが無い。

 まぁ何よりも当面の間雨風をしのぐ家が必要。アイルーたちのメンタルケアに、赤ん坊の世話を十全に出来る環境を整えなければ。……そういや、最近琵琶法師いないな。こういう時にこそ口出ししてくれればいいのに。

 

 やることはたくさんある。目下、家の復興と、田畑の復興……。でもまぁ、水田に関しては土台を整えるだけにしておくか。もう収穫期は過ぎてるんだから土は休ませないと。

 じゃあ畑を先に作ろう。今から育てられるもの……、仕方ない、裏技だけど片っ端から実の成っている野菜、果物類を採取して強制的に育てよう。一先ず、彼らが食うに困らない様にする。

 

 ……起きたはいいものの、態勢とか疲労とかで起き続けるのも辛いわこれ。ごめんやっぱもっかい寝る。

 その後に……。なによりも最初やっておかなければならないことを……。

 

 

 

「この度は俺の至らぬ点があった故に、このような事態を引き起こしてしまい申し訳ございませんでした」

 

 俺もなんとか起きた。シャルくんたちも起きた。ベイビーも起きた。

 

 ――そして俺は皆の前で土下座をした。

 

「にゃ……にゃっ!?」

「イナヴェル様顔をお上げください! いえそう言うのもおこがましい位なのですが!」

「そうですそうです!」「なにを謝ろうというのです!」

「イナヴェル様、なにもわりゅくないよ……?」

 

「そうです…………! …………あ、あれ。俺、()()……?」

 

 アイルーたち、メラルーたち……そして、何よりも驚いたのはその()()()()()()()……あさぎという名を付けた雄の翔蟲だった。

 

「――それこそが、俺の過ちだ」

 

 一体どういうこと? という目が俺を見つめる。辛い、責められてる、怖い。でも説明しなきゃちゃんと罵ってくれない……。

 

「……俺は、君達のような姿をした種族を知っていた。だから、アイルー、メラルー、翔蟲と種族名を無意識に付けていた。――君達からは野生の頃よりあった危機意識が薄れ、……なにより翔蟲は発していただろう言葉(念話)を発せなくなった。言い訳がましいが、俺は翔蟲が声なんて出す筈がないって思っていたからだ。そんな浅ましい考えが君達の名付けに、遠因ながらも作用してしまった。翔蟲たちから声を奪った」

 

 ――名付けというのは、ある程度親の望みが入るという。

 

 ヴェルダが教えてくれた話の一つにそういうものがあった。聞いた当時はへー、だなんてクソみたいな態度で聞き流していたが、とんでもなく重要なことだった。

 俺は()()()()()()()()()()が喋っていることなんて――、そう、まったく知らなかった。

 リオレウスが『念話』を使って喋る、コミュニケーションを取るだなんてことも考えてもいなかった。森にいた、他の翔蟲たちが『念話』を使用して逃げているのが見えていなければ今も……。

 

 ……俺はモンスターたちをゲームの延長線上に考えていた。彼らの動きは常に一定で、変わらぬものだと思っていた。

 

 でも実際は違う。リオレウス……というか、魔物全般はヴェルダから『魔物は念話を用いて名前という識別子を用いずに個人を判断し、コミュニケーションを取っている』という話がある。リオレウスのみならず他のモンスターも俺が知らないだけで『念話』を使って話している。ゲームの中とはまた違った環境で彼らは生きている。

 そう、そうだ。まったく違うのだ……。プログラムの中の世界と、現実みたいなファンタジーの世界では人の動きだって変わる。誰もが誰も同じ動きをする訳じゃない。だというのに俺は「翔蟲は喋らない」という決めつけで彼らから言葉を奪った。

 

 この一連の事実をまとめて彼らに伝えたが、一向に反応が無い。窺うように片目でちらりと覗くとふるふると羽を震わせてあさぎくんがやってきた。

 

「イナヴェル様、我らに頭を下げずとも良いのです。これは俺達が引き起こしたことでもあるのです。何があってもイナヴェル様が守ってくれる、襲われても大丈夫だと……」

「そうニャ! イナヴェル様だけじゃない! あたしらも悪いニャ!」

「ううううう……! 」

 

 いや、泣いてくれるな。俺を(なじ)れ。(ののし)れ。「この駄竜が!」と頭を蹴ってくれたっていいんだ。

 その為と、俺なりの誠意を込めての土下座なのだ。頼む、どうか与えてくれ。

 

 なおも頭を擦りつけていると「うああぁ……」という声が聞こえてきた。赤ん坊だ。

 思わず顔を上げてしまった。

 切ない声を上げる赤ん坊は泣いていた。ひっきりなしに口を動かし、時折口に指を咥えては泣き続けていた。

 突然の鳴き声にシャルくんたちが毛を逆立てて警戒した。シャーっ! という威嚇音に反応してか、じーっと俺の土下座を見ていた赤ん坊二人の顔が動く……。

 

(……あ、これって泣く……)

 

「「「ぁぁぁぁぁあああぁぁぁああぁぁ!!!!!」」」

 

 クソデカい泣き声の三重奏が辺りに響き渡る。その泣き声に感応してまた他の赤ん坊もおんなじくらいに声を張り上げて泣く。み、耳が……キィンって……うあっ……。

 

「にゃ、にゃんですかこのヒトの幼体はぁ!」「我らとてこのように大きな声は上げませんぞ!?」

「にゅえあぁあぁ……」「おーよしよし!お前まで悲しくなっちゃったか?だ、大丈夫だ。うん」

 

 ……阿鼻叫喚って、こういうことを言うのか。

 

 しっかし……、いつまでもこんな風にさせてていい訳じゃぁ……ないよな。

 力いっぱい泣く赤ん坊ズを見つめる。しれっとシャルくんたちは俺を盾にして、赤ん坊の様子を窺いつつも距離を取っていた。

 大抵赤ん坊が泣くのって、腹が減ったとか、漏らしたとか、そういうのだよな……。漏らした方についてはそれらしい臭いがしないから……。

 

「ご飯が欲しい、とかか? そういや、昨日から何も食べていないよな……」

 

 ぐぅうぅ……。と答えるようにシャルくんや赤ん坊の腹からも返事がした。

 

 せやな、いつも食べてたのに突然二日抜きともなれば腹空かせてるよな。こんなことにすら気付けない俺ってホントに馬鹿……。

 調達しようにも……、赤ん坊がそれまで待てるかという話か。……いや、ミルク? ミルクなんてどこで調達すればいいんだ……。ぐずぐずに煮込んだおかゆくらいしか用意できねーぞ……?

 

「仕方ない……」

 

 出番だぞ『栽培者(ソダテルモノ)』ォ……!

 




▽――から、だを……つ、……っ……
▽――もとよ……、おま、……の……む、よう、な……キル、では、なかったが……
▽――そうだ、な……

▽――――儂は、儂の考えでお前を支えよう

※アンケート結果。あっ、ふーん……(察し)
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