非術師ですので!   作:かりん2022

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渋谷事変でヒーロームーブ3(終)

「もう少し考えるべきだったか……」

 

 護衛を受ける1日目にして、もうすでに私は後悔していた。

 

「あの人、婚約者ってほんと?」

「違うし」

「でもキスされたから結婚するって」

「キスしたの?」

「しました」

「僕はせんりの物だからとも言ってたけど」

「まーそういう見方もある」

「援交?」

「ちゃうねん」

「何が違うの?」

「前、お坊ちゃんを悪い人から助けたら、それが原因で悪い人に目をつけられそうでさ。守ってあげるよって。それで護衛」

「大丈夫なの? それ」

「警察行ったら?」

「その時にロマンスしたんだ?」

「あの人も育ち良くない?」

「どさくさに紛れてつまみ食いはした。育ちはいい」

「「キャーっ」」

「うーん。想像以上に面倒臭いな……」

 

 しかし、メロンパン対策にはこうするしか……通信制の高校に転校って出来るかな?

 先生に相談してみよう。ついでに、個性を売って資金を得られないだろうか。

 

 早速先生に相談し、お昼に早退し、通信教育のパンフレットをもらって先生と合流する。

 

「五条さん。流石に5ヶ月これはあれですし申し訳ないので、対策を考えます」

「そうだね。僕もいくつか考えたよー。ミスター五条って言わないの?」

「今はヒーローモードじゃないので。まず」

 

 黒塗りの車が私の目の前に止まる。

 

「悟坊っちゃま! 何を考えておられるのですか! 五条 悟が高校の外でずっと立たされていると連絡が……!」

「……お家の人に話しました?」

「さぁー? 僕、携帯持ってないし」

「そりゃそうですね。私が用意します。違うんです、五条さんのおうちの方。オリジナルに話を聞いていただければと」

 

 ということで、呪専に五条さんが3人並ぶ事になった。

 五条さんが3人並んだ時点でお家の方は倒れられてしまった。

 

「やー。問題になるの早かったね」

「当たり前です。……一旦戻さないのですか?」

「一度作り出した物をこちらの都合で殴る蹴る折るして消すのはヒーローとしてはちょっと……。まあ、案外ちょっと大きな衝撃を与えただけで消えるかもしれませんが。その辺の加減は誰にもわからないんです。病弱な一個人として人権認めてあげてください」

「コピーにもダメージ許容量はわからないと?」

「コピーだよって言ってあげなきゃコピーであることすらわからないんですよ?」

 

 七海さんは頭を痛そうに抑える。

 

「それ、オリジナルにも言ってやって。人権のところ、特に」

「あっはっは。ウケる」

「あまりコピーいじめると刺されますよ、まじで」

「久慈君には命令権はないのですか?」

「ないです。彼らは何者にも縛られません。ただ少し弱くてちょっとの刺激で土塊に戻ってしまうだけです」

「厄介な……」

「それより選里、一日落ち着いて考えたんだけど、呪術師を認めてはくれるんだよね? せめて協力体制を結べないかな。それで、徐々に知ってくれればいいよ。真希だって見えないけど呪術師は出来てるんだし、君の意思一つだよ」

「それなんですけど、コピー2の五条さんを養うのと会社を作るので、ひとまず資金調達の為に個性のレンタルをしようかなと思って。口利きをお願いしてもいいですか?」

「今、五条さんを養うというパワーワードが聞こえましたが……」

「僕、婚約者と子供ぐらい養えるよ?」

「婚約者……?」

「もう2人も僕のコピー作ったし、僕もAFOの因子を受け入れたし、僕と同棲も決まってるし、キスもしたし! 婚約も同然でしょ。むしろ子供いるから結婚してるでしょ。責任とってよ」

 

 私は助けを求めるように五条家の人を見た。

 

「ささささささ、悟様にそのようなことを!?」

「いや、漫画じゃあるまいし、キスしたら結婚って……」

 

 五条家の人の視線が突き刺さる。ギギギ、と首を動かす。

 

「……まじで?」

「まさか悟様に手を出して責任を取らないと?」

「あっ こわい」

 

「「ママー♪」」

「はわわわわわわわ」

「嫌なの?」

「いや。名家は普通に尻込みしますが。あったばかりですし」

「じゃあ、これから知り合っていけばいいよ。堅苦しい事については全然心配しなくていいからさ。何より、その……君に手を差し伸べられて、思ったんだ。君の子が欲しいって。僕の遺伝子が、君を求めてる」

「あー。それはなんとなくわかります。でも私、非術師ですよ」

「だいじょーぶ。君との子は、絶対呪力持ちだよ♪」

 

 うーん。無個性との結婚するしかないなら、むしろ呪術師と結婚するのは、あり、かな……。

 

「五条家途絶えたら責任取れないんで、他に女作って貰えるなら……あと、ヒーロー活動を許してもらえるなら。それと、呪力なし個性持ちの子は私に任せて下さるなら。あ、個性は私の個々の異能の呼び名です」

「呪力なし個性なしの子はどうするの?」

「私にそれ言います? 個性はなかったら与えるからそれはあり得ませんよ。超再生でも予知能力でも」

「奥様っ!! 結婚式はいつ頃にしましょうか!!!」

 

 五条家の人変わり身はやっ

 

「じゃあ、気が変わらないうちに婚姻届だそっか♡」

「すぐに式のご用意を致します」

「あーでも、個性のレンタル? あれってキスするんでしょ? 生徒に個性はあげたいけど、浮気は嫌だなぁ」

「すみませんほんの出来心で必要ないのに唇奪いました」

 

 その言葉に、五条さんはキョトンとして、それからニヤニヤした。

 

「僕にはいつしてもいいけど、僕以外にはダメだよ?」

「はい……」

「じゃあ、市役所行こうか。その前に君の両親にご挨拶しなきゃね」

「あ、そうだ。結局君、個性? いくつあるの? 知りたい!」

「切り札を簡単に教えるわけには……ああ、じゃあこうしましょう。寝物語に一晩一つ教えます」

「えっ そんなあるの?」

「類似ありなら、夫婦円満でもネタ切れがないくらいには」

「呪専近くに奥様とのお住まいを用意させて戴きます。今日中! 今日中に!!」

「結婚しよ。すぐしよ。早くしよ」

 

 私はその日の内に人生の墓場に入った。

 両親説得されるの早すぎぃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お庭で、オムツをした凶暴な顔の女の子と悟さんが対峙している。

 

「ブッ殺す!!」

「ふふん、やってみなよ、華火」

「大・爆・殺!!」

 

 そして大爆発。修理するの私なんだけどなぁ。

 うーん。躾ってどうしたらいいんだろう。

 悟さんは穏やかに受け入れるタイプだし、私がしっかりしなくては。

 

「華火。あんまりオイタすると個性剥奪するわよ!」

「ピッ」

「選里。こんな小さい子を怖がらせるのは良くないよ」

「解せぬ」

 

 悟さんに隠れて、ベーッとする華火。あんた達殺し合いしてたんじゃないです?

 

「いや、素晴らしいね。素晴らしい可能性だ」

「メロンパンは帰って?」

 

 おかしいな。お茶を出した覚えもないのに、お茶を飲んでくつろいでいる。

 

「つれないなぁ。私だって君の事が大好きなのに。子供作ろう?」

「ふざけんなメロンパン!」

 

 悟さんとメロンパンの戦いが始まり、子供達は物おじせずに応援する。

 なんだかんだで、ヒーローにはなれなかったけど。

 こんな生活も、嫌いじゃない。

 

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