非術師ですので!   作:かりん2022

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いかにして私が爆殺からヒーローを志したか

「ってことで、自分の子供や。華火言うんや」

「爆殺しゅゆ!」

 

 舐められてはいけない。手の中の小石を次はお前だとばかりに爆発もさせた。

 目の前には、双子の女の子が肩を寄せ合って震えていた。

 華火、初めてのか弱い人間との邂逅である。

 

「……」

 

「もうらいじょーぶ! わちゃしがきた!」

 

 華火は小さな胸を叩いた。

 たとえ、異世界にあったのは祖母の代でも、脈々とヒーローの血は久慈家に受け継がれているのである。

 強きは爆殺。弱きを助く。それは、華火の魂なのだ。

 

「何が大丈夫なんだよ」

「無辜の民の敵は爆殺しゅゆ!」

「誰が民だ」

「じゃあ、ヒーロー?」

「……そうだな。ヒーローか。私は妹のヒーローでありたいとは思ってるが」

「お姉ちゃん」

 

 それは、華火にはストンと落ちる言葉だった。

 その意思はとても尊い物である。ヒーローとなるのなら、自分も協力は惜しまない。

 ヒーローであるならば、自分はたとえ無個性だろうと差別しない。ともに切磋琢磨しよう。

 それを華火風に言うとこうなる。 

  

「爆殺しゅゆ!」

「なんでだよ」

 

 悲しいかな。弟よりもガッツリ言葉の遅い華火の頭には、爆殺とヒーローのことしか詰まってなかった。

 華火は初日から「灯」の訓練に参加していた。

 華火は不満であった。灯はいわば二軍である。禪院家が悪いのではない。弱き自分が悪いのだ。

 

「爆殺しゅゆ!」

「呪力もろくに練れんのが何言うてるんや。立ち会いやなく訓練からや」

「基礎は大事」

「せやな。わかっとるやん」

 

 夕方まで訓練をして、ご飯を食べて。おねむの時間である。

 ご飯は不味かったが、粗食が軍を強くする、という母の薫陶を聞いていた為、華火が文句を言うことはなかった。華火は正座して、携帯を出した。

 

「華火、電話するの?」

「ママに電話しゅゆ。お話の時間」

「そっか。そりゃそうだな」

「私も聞いていいかしら」

「いい」

 

『皆、初日はどうだった? 貴方達なら乗り越えられたと信じているわ。だって貴方達は、おばあちゃんの孫だもの』

「華火、妹分ができた」

「私らの方が年上なんだけど」

「華火、姉貴分ができた」

『友達ができたよ』

『巣を作りました』

『そう、皆頑張ったわね。お母さんはとっても誇らしいわ。じゃあ、今日のお話しよ。今日のお話は、大爆殺神ダイナマイトについてよ』

「爆殺しゅゆ! しゅゆ!」

『そう、華火の大好きなヒーローの名前ね』

「ヒーロー!?」

「物騒な名前ね。アニメか何か?」

『大爆殺神ダイナマイトは、その学生時代、強い力と心を持っていたから、ヴィランに狙われて攫われたの。その時、ヴィランは愚かにもこう思っていたわ。ダイナマイトは、ヴィランに寝返ると』

「爆殺しゅゆ!!」

『華火と同じ個性でしょ? 従うわけがないじゃん。死んだって折れない』

『絶対ありえません』

『そう、そうよ。大爆殺神ダイナマイトは確かに乱暴だったけれど、その胸に燃える正義の炎は、決して誰にもかき消すことはできないの。何故なら、大爆殺神ダイナマイトはヒーローだから。でも、大爆殺神ダイナマイトにも落ち度はあるわ。それは、一度とはいえヴィランに敗れたと言うこと。ヒーローは決して破れてはならないの。もちろん、ヒーローだって、人間よ。ヒーローにも心の弱さはあり、純粋に能力の弱さがあって、限界がある。それでも、ヒーローは決して負けてはならないの。そこで、今日の問題を出すわ。強大なヴィランが襲ってきた時、貴方達ならどうするか。しっかり考えてちょうだい』

 

 

 

『そう、力を振るっていいのは呪霊とヴィラン、それに志を同じくするヒーローに対してだけよ。それでは最後にプラスウルトラ!』

「プラスウルトラ!」

『『プラスウルトラ!』』

 

 ヒーローの授業である。真希と真依は一体どんな教育をしているのかと宇宙を背負ったが、この授業で華火のことはわかった気がした。なんだかすごくズレた教育ではあるが、情操教育もしていると言うのなら不満はない。

 

「お前、ヒーローなら真依の事爆殺すんなよな。真依はヒーローでもヴィランでもねーぞ」

「わかった」

 

 その日から、なんとなく真依と真希もお話を一緒に聞くようになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、宇宙は途方に暮れていた。

 

「4級術師に1級呪霊をぶつける鬼畜がいるらしい。やはり私は命を狙われているのか……」

「全然余裕じゃん。今までが等級違いだっつの」

「そうでもないですよ。あくまでも呪力は四級くらいしかないから、ブラックホールに呪霊溜めすぎると何が起こるかわからないし。一度掃除したい……」

「ブラックホールの中身あるのかい?」

「一応吸う時に分解するのだけど、さっき言ったように呪力はないから殺せないのよ。中身はホワイトホールで出せるし、一度綺麗にしちゃいたいよね。なんか影響あっても嫌だし」

「私、手伝おうか? 掃除。呪霊を集めて来てくれるなら助かる」

「仕方ねーな。俺も手伝ってやるよ」

 

 そういうわけで私は馬車馬のごとく働かされはじめていた。

 

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