夏油さんをお布団に寝かせて、スタンバイ。
「ここは……」
「夏油さん。起きたのね」
「君は? うわ、なんだこの翼!」
「私の事を覚えてないの? まさか記憶喪失? 名前は言える? 今がいつだかわかる?」
「あー。どなたですか? 私の名は夏油傑、今は……2005年の12月24日、いや、25日だったかな?」
「私は五条 選里。またの名をAFO。五条 悟の妻で貴方の上司よ。そして今は2015年……。やはり記憶喪失のようね」
「悟の奥さん!?? 10年後!?」
「そう。信じられないわよね。証拠は……テレビを見るのでも、街を見るのでも」
「悟は?」
「傑っ!!!!!」
めっちゃ必死な顔をして悟さんが飛び込んできた。ざまぁ。
「翼がお母さんが悪巧みしてるって。お前いい加減にしろよ!!」
「悟!? さ、悟も翼が生えてる!? 後、本当に大人になってる……!」
そして、夏油さんは警戒して、それに合わせて翼が広がった。
多分、呪霊出したな。
「悟のお嫁さんも嘘?」
「いや、それは本当」
「傑! 肌がいつにも増してツルツルしてる!? 線も細くなったような。まさか、まさか……やったのか!? やりやがったのか、選里!!!」
「だって、本人に頼まれたから」
「だからって! 許されるはずないだろ、こんな!」
「一応、上層部からの許可はずっと前からもらってたし」
「傑……!」
心配の現れか、翼で夏油さんを包んでしまい、夏油さんがワタワタする。必死じゃん。
「えっと、呪霊じゃなくて、選里さんに私の頼みで時間を戻された、って事でいいかな」
「そうよ。夏油さん、仕事任せられすぎてうつ病発症してね。非術師の声が聞こえない、猿に感じる、触れられるのが嫌、関わるの自体が嫌、とにかくひどい症状だったの」
「そ、れは。生活できるのかい?」
「できないから私に頼んだんでしょ。非術師の私が保護して、非術師だって無力じゃないんだって知っても、どうしても嫌悪感を消せなくて。辛いからって」
「君は、どうやって私の上司に? その、非術師なんだろう? 尚更私はいうこと聞きそうにないけど」
「私は、そうね。これが呪力由来じゃないの、わかるかしら?」
私は、手の内で物を生み出したり、風を起こしたりしてみる。
「ま、魔法使いなのかい!?」
「ぷっ かーわーいー! 言ったでしょ。AFOって。この力は個性って言ってね。夏油さんや悟さんの翼も私が譲渡した個性よ」
「譲渡出来るのかい!?」
「そ。だからね。非術師だから、呪力がないからって全部を否定するのはだーめ。目を逸らさず、ちゃんと認めて。他の何から目を逸らしてもいいから。私が許す」
「選里!! 何を」
悟さんはとても憤っている。ギュウゥッと傑さんを翼で包んで。それは、次に言う言葉をわかっているから。
「傑さんがこの10年でしてきたことをいうわ」
「嘘だ」
「傑」
「嘘だ!!」
夏油さんは電話を掛ける。つながるはずなんてない。
夏油さんの両親は、夏油さん自身が殺している。
「両親を殺して? 村人潰して? その後も呪詛師として散々暴れて? 今更、救われたいと貴方に縋ったって言うのか!」
「うん、そう」
「最低、じゃないか? そうだ最低だ! ありえない! なんで殺してくれなかったんだ、悟!! 記憶を失くしたからよし、なんてあるわけないだろ!!」
「まーでも、被害この程度で済んでよかったじゃない。特級術師だもの。もっと殺そうと思えば殺せたわ。上層部はもっと呪術師の子育てを真剣に考えるべきなのよ」
「子育て? 子育て!? 高校生にもなって!?? そんなの、許されない!!」
「あはは。まーね。でも、夏油さんは使えるし、私のものだから。私が許す。私が守る。安心なさい」
「誰より! 誰より、私が私のことを許せない!!!」
ぼろぼろと涙が溢れ、それを焦って拭く夏油さん。
「くそっ自分がやった事で泣くなんて許されない! 最低だ、最低だ、糞っ糞っ」
「泣きなさいよ」
「違うんだ! 思ったより両親の死がショックじゃなくて、私の中に確かに非術師を軽んじる所があって、それが許せなくて、自分が哀れで、この涙は汚い涙なんだ……! だから、泣いちゃだめなんだ」
「私の目には透明に見えるけど? まー、安心しなさい。私が育てなおしてあげるから! 何度でも何度でも何度でもね!」
夏油さんの顔が絶望に歪んだ。すぐに悟さんの翼に隠されたけど。
泣きじゃくる夏油さんを必死で慰める悟さん。
あれ、私、そういうのしてもらった事ない。
それにしても、本当に気にしなくてもいいと思うのよね。
特級術師だし、利用されまくる未来しか見えないもの。
私が消したのは本人の時間だけ。
犠牲者は戻ってこないし、周りの人だってもちろん覚えてる。
やった事を消したわけじゃない。
きっとこれからずっと責め立てられて、ずっと利用されて、意に沿わなければやり直し。
ね、罰されてないわけじゃないでしょ?
あっ 夏油さんの戸籍、私と五条さんの子供として移しておこ! 両親は必要でしょ。
今の夏油さん、子供だもの。
その後、私の元にこっそり訪ねてくる呪術師が増えた。
いや、あの。流石に育て直しの刑は軽率にはしませんて。
呪術師って本当にブラック……。ねぇ、直哉さん?
私は縛られて送りつけられた直哉さんに呼びかけた。
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AFO,呪専勧誘ルート先生世代
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悪の組織AFOと呪術界
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善の組織AFOと呪術界
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