傑が学校に通うのは、奇しくも交流会と同じ日だった。
「ということで、僕の息子になった五条 傑くんです。皆、仲良くしてあげてね」
「知ってる。未来の特級呪詛師だろ」
「あ、あの。今度こそ……ううん。ちゃんと罪を償っていくつもりだから、見ていて欲しい」
「一応、級は特級なんだけど。呪霊は強くても、今の傑は経験がないからね。しばらく、僕や君らとの合同任務で両極端な級の依頼をこなしていく事になる。後、折れた実績があるから、週一でメンタルケアと夜9時から朝6時までは絶対に睡眠時間とするようお達しを受けてる」
「よ、よろしくお願いします」
「子供か」
「なんだかずりーな」
「シャケ!」
「メンタルケアは申請すれば誰でも受けられるよ。担当は僕の奥さんの選里。乙骨は初めてかな?」
「よろしくね。おねーさんが優しく♡ ケアしちゃうわよ」
「じゃあいいわ」
「個性をくれるって聞きました。 僕はちょっと興味あります」
「やめとけ。個性はバカ高いし、呪詛師100人強を建物ごと一瞬で消してヘラヘラしてる女だぞ。使う個性によって性格豹変するって話も聞いた」
「やっぱりいいです」
「おかか!」
「何それ、僕知らない」
悟はちょっとびっくりする。露骨に顔を逸らして選里は口笛を吹いた。
「個性色々隠してるからな、AFO」
「もしかして、最近圧力緩いのって」
「何するかわからない点ではAFOの方が怖いからな。結構仲良いと思ってた夏油相手でもそれだろ」
「まあ、ね。傑はちょっと見通しが甘かったよね」
次頑張ろう、と頭を撫でられて傑は複雑そうな顔をする。
なお、ちょっと早めに集合場所に来ている。
傑が一緒にいるからだ。傑は真面目なのだ。
「組手は傑一年生時点でかなり強かったからね。参考になると思うよ。呪霊操術は、ちょっとラインナップ変わってて戸惑うだろうけど」
「大丈夫。だいぶすり合わせできてきたし、索敵くらいだったらどうにかなるよ」
そこで、楽厳寺学長が学生を連れて現れる。他の学年もやってきた。
「たまには時間を守るようだの。感心感心」
「悟、まさか先生になったのにサボってるのかい?」
「まさか。僕は至って真面目だよ。学長こそ、ボケ……」
傑の眼差しと、傑の前だぞ何考えてんだああん? という選里の視線が突き刺さる。
「学長は、ちょっと思い違いをしただけだよね。ボケないように体に気をつけてね」
「!??」
「悟、立派な先生になったんだね。すごく穏やかになった。本当に大人になったんだ」
「もっと褒めていいんだよ、傑」
学長が驚きのあまり硬直する。
「五条 傑。お主は交流会を免除されておる。教師の手伝いをしてくれんか」
「は、はい!」
「ああ? 何を企んで」「悟? もしかして、すごく仲悪かったりするのか? ちゃんと仲良くやれてる?」
「当たり前だろ。僕こう見えても大人だしね」
「……」
「……」
「では、案内してもらおうかの、五条 傑」
「はい! こっちです」
「待ってよ、傑!」
そうして、学長と悟、傑が歩き去る。
真希がつぶやいた。
「お前、傑を悟と上層部の潤滑油にするつもりか」
「上司の役に立てるんだもの。大喜びでしょ。大体、初めにこっちを舐めて恭順するって言ったり腹を見せてきたのは夏油さんよ? そんなの食うに決まってるじゃない」
「こわ。呪詛師討伐依頼、最近結構受けてるって聞いたぞ」
「呪詛師なら殺していいってのは呪術師の肩書き便利よね。どうせ呪術師にされるんなら、毒を喰らえば皿までっていうでしょ」
「選里って、呪術界をどうしてぇの」
「利用できるなら利用するし、邪魔になるならどうにかするわよ。でも目的にはなりえないわね。何度でも言うけど私に呪力はないのよ。呪術界なんて所詮他人事よ」
「あ、あの!」
「なあに。秤くん」
「個性で闘技場なんてアイデアを考えたんですけど!」
「あら、楽しそう。興味あるわ。あっそうそう。真希ちゃん。直哉さんね。10年間私の指揮下において禪院家はノータッチなら育てなおししてあげるって伝えて。もちろん、報酬は別よ」
「は、ざまぁ」
「来年だけど、宿儺の器が入学することになると思うわ。それに合わせて、受胎九相図を3人全員受肉させたいの。欲しい特級呪霊もいるし、お口添えして欲しいってのが報酬」
「呪術界に興味ねーんじゃねーのかよ」
「だからよ。私に干渉できそうな芽は監視して、味方につけて、場合によっては潰さなきゃでしょ」
「ほんっとこえーおんな」
そして、時間に間に合わなくなると選里は駆けて行った。
なお、呪詛師100人斬りの個性についてしつこく聞かれたのは言うまでもない。
「ねー! 教えて教えて教えて!」
「しつこいわね。悟さんの蒼と同じだってば。単なる小型ブラックホール」
「は……?」
「地球大丈夫なの? それ」
「大丈夫よ、傑、私、暴走させないので」
「世界滅ぼせる個性はいくつ持っておるのかな?」
「み、みなさん! 試合、ちゃんと見てないと……あ、決着つきました」
「やだ、見てなかったわ。もう一回やってもらえないかしら。無理?」
学生たちには悪い事をした。
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