年末に特番やってたドラマ『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』を見て漫画を読んでみたらどハマりして計19巻衝動買いしますた。前に感想で指摘されたペア長とかってこういう意味だったんすねぇ! まあ偶然にもアネゴがペア長みたいになってるのでヨシ! 階級は……ナオキです()
1/6 誤字修正しました。リア10爆発46兄貴、MAXIM兄貴、phodra兄貴、でぃせんと兄貴、オーレリア軍兄貴ご報告ありがとナス!
4/15 誤字修正しました。竜人機兄貴ありがとナス!
午前2時を過ぎて少しした旅館『ひなた』。
先程の騒動が嘘のように静かになった京都の山は、秋らしい虫の音やら動物の動く音やらが響く。
「まず前提としてお伝えしますが」
ここは女将、里見さんの部屋。
客室や廊下が大変な事(精一杯のオブラート)になっているためここに通された私と警部補は、出された緑茶を啜りながらそこから続くであろう言葉を待った。
:ドキドキ……
:ドキドキ……
:ヤヨイシキドキ……
:は?
:空気読め
:エや下
:お前を殺す
:デデン!
:ごめんて
───ちったあ黙って待てないんですかあなた方ぁ!!!
「佐倉さんも、三好さんも、既に人間ではありません」
「はぁ」
「はぁ」
:あ、絶対信じてないゾこの2人
───うるさいですね……ていうか変な空気になっちゃったじゃないですかどうしてくれるんですか
:ワイらに言うなや
:いや待て、なんでおまいらそんなに落ち着いてるんだ。今の割と重大発言だぞ
:そうか?
:めぐねえが人間辞めてるのはいつもの事だしなあ
───なんだか風評被害を受けてる気がする
:おま言う
:残念でもないし当然
:いや、女将の発言をよく聞けよ。めぐねえだけじゃなくてアネゴも人間じゃねえって言われてるんだぞ
:………
:………
:………
:あ、ホンマや⁉︎
:⁉︎
:えっえっ待ってどういう事
:(Ⅰ)<ミヨシは人間ではありませんので
:つまり、アネゴは人間じゃない……ってコト⁉︎
:だからそう言ってんだろタコ助!
ぎゃーぎゃーワーワーと掲示板がヒートアップし始めた為、掲示板の音声再生を切る。
「えーと、人間じゃないっていうのはどういう……」
警部補が心底困惑したような顔でそう聞いた。そりゃそうだ。いきなり「お前ら人間じゃねえ!!!!!!」(文字通り)なんて言われれば誰だって困惑する。
「わかりやすく言うと半妖って感じですね」
「はんよう」
「半妖」
「半分妖怪って書いて半妖?」
「そうですそうです」
「……いや、うん、まあ、なんとなくそんな予感はしてた」
「してたんですか⁉︎」
「そりゃあね。お盆投げてドローンのフレーム真っ二つとか日本酒6升飲み干すとか人間じゃないでしょ」
:冷静で草
:良かった、ワイの感性普通やった
:ところで日本酒5升半飲み干した女刑事がいるみたいですよ。
───ぎくっ
「いや、まあそりゃそうですけど……」
「まあそれはそれとして。里見さん、聞きたい事があるんですけど」
「何でしょうか?」
「多分私がこうなったの里見さんが原因ですよね」
警部補の突拍子もない発言に、里見さんは気まずそうに顔を逸らした。
えっ……え?
「え、あの、急に何を言い出すんですか警部補」
「オフィサーには温泉入ってた時に言ったね、ここに来てから随分怪我の治りが早くなったって」
「……そういえば言ってましたねそんな事」
:そうなん?
:アレやろ、めぐねえがスレから抜けてた時や
:ああ、ワイらが皆拗ねてめぐねえの胸の大きさ予想大会してた時か
:ほぼほぼスレ民の願望と化してたけどな
───そんな事してたんですか⁉︎
:ちなみに最有力はサラシソムリエが提唱した『E寄りのD』説だぞ
:後で正解教えて♡
───教えるわけないでしょう⁉︎
「ここの温泉の源泉は麓の温泉街と同じ物だからこれが原因とは考えにくいし、食材とかも最近は私が麓に里見さんの陸王を借りて買いに行ったのばっかり。じゃあ後に残るのは、受けるたびに不自然な眠気に襲われる里見さんのマッサージだけだろう?」
「な、なるほど……なるほど?」
:アネゴの推理が冴え渡っている……だと⁉︎
:(Ⅰ)<ミヨシは名探偵ですね
:これには後方保護者面のボ卿もニッコリ
「どうなんですか、里見さん。……というか、貴女、何者なんです?」
「……」
里見さんはため息を大きく1つつくと、緑茶をグイッと一気に飲み干した。
「……少し、昔話を聞いていただけますか」
「ええ、どうぞ」
───
──────
昔々、この国が『日本』と呼ばれるようになるもーっと昔。
今では『京都』と呼ばれるあたりで、人々から恐れられた化狐がおりました。
化狐はよく住処の山から降りては、人の姿に化けて住民を驚かせたり、夜中に大きな音を立てたりと、いつもくだらない悪戯ばかりしていました。
住民達は、
「悪戯ばっかで面倒だけど役人様に言っても信じてもらえんし」
「別に直接危険な訳でもねえしなあ」
「悪戯の後木の実とかくれるしな」
「あれうめえよな」
「後アイツが女に化けた姿
「分かる」
「それな」
「アレだけで麦飯2杯は食えるわ」
「無駄使いすんでねえ!」
「いってえ!」
と、諦めておりました。
佐倉さん、何ですその顔。別に恐れられてなくない? とか考えてるんじゃないでしょうね。……あ、図星ですか。
……続けますよ。
そんな折、その噂を聞きつけた旅の僧が山を訪れました。
まあその時代は他の土地から人がやってくるのは珍しかったものですから、化狐は嬉々として女の姿に化け、悪戯を仕掛けたんです。
夜の山に迷い込んだ僧の前に現れた小さな家、厚意で泊めてくれた美しい女、素朴ながらおいしいご飯。全て化狐が見せた幻です。
しかし、その僧は慈悲に満ちた目で言うんです。
「いや、これが全て化狐の悪戯というのが惜しい」
化狐は大層驚きました。何せ完璧だと思っていた悪戯が最初からバレていたんですから。
「私は今までさまざまな土地を回ってきてさまざまな人に触れてきたが、お前の優しさが一番嬉しかった。例えこれが全て幻でもな」
化狐は問います。私を退治しに来たのか? と。
「いや、別に退治しに来たわけではない。妖の身でありながら、人には危害を加えないばかりか木の実を置いていく変わった化狐がいると聞いてな、興味が湧いただけだ」
旅の僧はそれだけ言うと、世話になったな、と言って出て行こうとします。
化狐は思わず立ち上がり言いました。
待て。
「……なんだ?」
私も連れて行け。
「はあ?」
なんでそんなことを口走ったのか、化狐にも分かりませんでした。
最初から悪戯を見抜かれていて悔しかったとか、変わった風の僧に興味が湧いたとか、後付けでそれらしい理由は幾らでも付けられますが、その時はとにかくこの僧について行かなければ、という思いで一杯だったんです。
「いや、まあ私は構わないが。面白い物でもないぞ?」
いい。
「……そうか。ならば、好きにしろ」
そうさせてもらう。
化狐と僧の奇妙な旅は長いこと続きました。
歩いて、歩いて、たまに船に乗って、歩いて、歩いて、歩いて───
北は蝦夷の地、南は琉球まで行きました。
時には山賊に襲われたのを化狐が妖の力で返り討ちにしたり、時には悪霊に襲われたのを僧が「破ァ!」の一言だけで退治したり。
しかし、当たり前ですが化狐は妖、僧は人です。生きる時間が違いすぎます。
化狐にとってはあっという間……と言っても、人にとっては何十年という時間ですが。当時にしては随分長生きだったんじゃないですかね。
ちょうど、最初に出会った京都の山まで来た時に、ついに僧は倒れました。
恐らく死ぬだろう、2人は言葉に交わさずとも確信がありました。
化狐は問いました。
死ぬ前に何かしたい事があるかと。
「……もう随分前になるが、お前と初めて会った時のあの幻の家があったろう。あれがもう一度見たい」
お前に最初からバレていたあれをか。相変わらず変わった事を言うな、お前。
「変わっているのはお互い様だろう?」
違いない。
化狐は小さく笑うと、いつか見せた小さな家の幻を僧に見せます。
「ああ、これだ。最期にこれが見たかったのだ」
飯もいるか?
「あるのか?ならば頂こう」
繰り返しになりますが、全て化狐の幻です。なのに、僧はとても楽しそうに、嬉しそうに、それらを楽しみました。
「お前、これからどうするんだ?」
僧が皺だらけの喉を震わせながら、蚊の鳴くような声で聞いてきます。
お前が死んだらか? ……多分お前と会う前の暮らしに戻ると思う。
「だろうな。お前はそういう奴だ」
心を改めなくて残念か?
「妖が心を改めたところで妖の身というのは変わらんさ。それに、お前が心を改めているのが想像できん」
こいつめ、食ってやろうか。
「それはいいな。お前に食われるなら本望だ。尤も、この皮と骨だけの老体を食えたらの話だがな」
出汁を取って鍋にしてやるさ。
「そりゃあいい……なあ、前々から言おうと思っていたんだが」
なんだ?
「改心しろとまでは言わないが、商売、そうだな、旅籠所*1でもやったらどうだ」
どうした急に。
「いや、これからお前が悪戯を再開すれば、恐らく幕府の役人共がお前の事を退治しに来るだろう。お前なかなか料理の腕はいいから、そうすればいい」
お前らしくもないよく分からん理由だな。本音は?
「お前が俺以外に退治されるのは我慢ならない」
クッ……ハハハハハ!!!
言えたじゃないか、それでいいんだよそれで。
そうだな、お前の最後の願いだ、聞いてやろう。
「そいつは良かった」
僧は満足そうな顔をして目を閉じ、そして二度と目を開けることはありませんでした。
───
──────
「───その化狐が営む旅籠、今風の言葉で言えば旅館ですね。数百年以上経った今でもまだ残っているそうですよ」
「ここですよね」
「……そしてその旅館には、その当時と姿の変わらない女将が」
「里見さんのことですよね」
「オフィサー、雰囲気、雰囲気」
「……いやまあまさにその通りなんですけど。こんな感じに」ドロンッ
「うわあ里見さんも急に狐にならないで⁉︎」
:展開下手くそか?
:狂乱ピンクに雰囲気なんて分かるはずがないんだよなぁ
:これ転生者のワイらとめぐねえはいいけどアネゴとかやばいのでは?
:多分やばいな
:具体的に言うと?
:多分正気度*2が2ぐらいは下がる
:まあこれぐらいならそんなもんか(クトゥルフ並感)
:なんだウチの嫁に比べりゃ50分の1じゃねえか
:ちょっとSAN値がイカれてるスレ民がいらっしゃいますね……
:ちょっとどころじゃないんだよなぁ
:>>564の嫁は邪神か何か?
まんま狐の姿になった里見さんが、コヤーンと一鳴き。
ドロン。
「あ、戻った」
「なんでオフィサーはそんなに落ち着いていられるんだ……(困惑)」
「あの状態だと人の言葉喋れないんですよ。それで、三好さんの今の状態についてですね」
「あ、はい。とりあえず警部補は人間辞めたって事でいいんですよね」
「ええ。人間辞めさせちゃいました☆」
「他人の人生に関わる事そんな軽く言わないでくれませんか???」
閑話休題。
「まあ結論から言いますと、三好さんが半妖になっちゃったのは確かに私のマッサージが原因です」
「あ、やっぱりそうだったんですね」
「なんでそんな事したんですかぁ……」
:アネゴ割とショック受けてて草
:(Ⅰ)<落ち込むミヨシも可愛いですね
「いえ、別にそういう意図があったわけじゃないんですよ。ただ、三好さんの左腕の銃創の具合が酷いものだったので治そうと思ったんです。で、試しに妖力を乗せながらマッサージしたら案外効果があった物ですから、調子に乗って続けていたらちょーっと魂の形が、こう、ね?」
「草」
「ね? じゃないんですよ!!! オフィサーも草生やすな!!!」
:つまりあれか? 事故ってことか?
:簡単に言うとそうだな
:事故で妖怪にされるアネゴェ……
:めぐねえ草生やすな
:アネゴ草とか分かるんか……
「大丈夫ですよ警部補。ちょっと力が強くなっただけですから」
「こンのオフィサーめええええ! 他人事だと思って!!!」
「いひゃいいひゃいいひゃい」
「……いや、そうだよ。オフィサーは? さっき里見さんオフィサーも人間じゃないって言ってましたよね⁉︎」
「あー、それなんですが、私もよく分からないんですよ」
「はあ?」
「お二人が打たれた『魂剥離薬』ってあったじゃないですか。あれって簡単に言うと、『魂を身体から剥がせば意識戻らないよね』っていう睡眠薬なんです」
「睡眠薬……睡眠薬?」
「……ず、随分とまあ、ゴリ押しでオカルティックな睡眠薬ですね」
「この『魂』というのは一般的な形の物……まあつまりは人間や動物なんかを指しているので、世間で『架空の存在とされている』ものは当てはまらないんですよ。妖怪や付喪神がそうですね」
「私もそれに当てはまる、と」
「そういう事です」
そこまで言った警部補と里見さんの視線が私に集まる。
「この理論で行くと佐倉さんは『架空の存在とされているもの』になるわけなんですが……」
「どうなの?」
「……えーと、ですね──────」
───
──────
「…………武器を持ったカルト教団の構成員12人を銃器使用とはいえ無傷で制圧……噂には聞いてましたがやりますねぇ佐倉刑事」
翌朝、通報を受けて駆けつけた京都府警の若い女性警察官は開口一番そう言い放った。
:ほんによ
:他人に言われるとめぐねえやべえ事してんな
:何言ってんだいつもの事だろ
:そうだったわ
:狭い階段だったってのも大きいな。横方向に逃げられない
:さりげなく構成員の半分ぐらい股間撃ち抜かれてて草生えた
:もはやそれぐらいの急所特攻じゃワイらも動じないからな
「一応警告はしたんですよ?」
「いや、それはまあ女将さんからも聞いてるんで良いんですよ。しっかし、こんな時にカルトとはタイミングの悪い……」
「同時多発テロ……未遂? でしたっけ。デカい事件が起こったってのは夕べ通報した時に聞いたんですけど」
「ええ。なんで未遂で済んだのかまだ捜査中なんでなんとも言えないんですけど」
万和3年11月上旬。
伊馬出川(いまでがわ)駅と円田(まるた)町駅間を走行中だった京都市営地下鉄鴉馬(からすま)線車内で銃乱射未遂、その直後に京都府庁前、京都市役所前で銃撃未遂事件が発生した。
後年、『京都市内同時多発テロ未遂事件』と呼ばれる、偶然と人々の勇気が合わさった世界的にも稀な程大規模な未遂事件である。
まあその事件については機会があったら語るとして。
「……いや、申し訳ないです。昨日の通報が来た時点で人が出払ってて」
「過ぎた事は仕方ないですよ。結果論ですけど3人とも無事ですし。これから特捜*3設置で忙しいんでしょう?」
「本当ですよもう嫌んなっちゃう……」
きっとこれから眠れない日々が続くのだろう女性警察官の無事を祈りつつ今後の事を聞いてみる。
「そのカルト教団……えーと、『ウアジェトの目』でしたっけ。そこのガサ入れはいつ頃になるんです?」
「あ、テロの方の特捜設置前にカタを付けようって事でもう先輩方が行ってるんです。すごい速さで令状下りたんでびっくりしましたよぉ」
:だからやけに人員が少なかったんすねぇ^〜
:にしてもカルト教団か。オ○ムを思い出すなぁ
:あったなぁ……万和日本だとどうなん? やっぱ変な布教(文字通り)アニメとかあるんか?
───こっちだとオウ○聞いた事ないんですよね───
《至急至急‼︎詩文交通6から詩文、京都本部‼︎》
「ッ⁉︎」
「至急報⁉︎」
女性警察官の無線から聞こえてきたのは、聞くだけでも胃がキュッと締め付けられるような感覚に陥るとめぐねえの中で話題の至急報であった。
《た、対象の建物より発砲有り、署員複数名が負傷!至急119及び応援を要請……やっべ伏せろぉ!!!》
ズズン……
無線が途中で途切れたと思ったその瞬間、空気が震え、木に止まっていたのだろう鳥が一斉に飛び立った。
爆発か?
:あー、これは爆発ですね間違いない
:なんか煙上がってるけどもしかしなくてもアレ?
───煙ですか?
見上げてみると、旅館ひなたからさらに山の上の方で黒い煙が上がっているのが見えた。
うわあ派手にいってるぞぉ。
「うわぁ……」
「えーと、現場はもしかして?」
「あそこ、です。多分」
「牧君、私達も応援行くよ?」
「あっハイ!!!」
旅館の中から、牧と呼ばれた女性警察官のペア長*4であろう壮年の男性警察官が出てきた。
そしてその後ろには、なぜか私のガンケースを背負った三好警部補と、なぜか妙にデカい日本刀を腰に携えた里見さんが付いてきている。
:刀身が余りにも長いので恐らく大太刀*5だと思われ
:あれ刀身だけで数mない?
:転生特典完璧目測ワイ氏、刀身の長さだけで3m30cmあると見て無事戦慄
:なんて限定的な転生特典なんだ……
───大太刀⁉︎ 3m⁉︎
:なんで女将そんなん持って……あっそうだこいつ妖怪だったじゃん
:Q.どうして化狐が大太刀を使うんですか?
:A.理由なんて知らないがそっちの方がロマンがあるだろ
:わかる
:それならしょうがないな
:ロマンは全てに優先されるからな
:えぇ……(困惑)
三好警部補からガンケースを受け取り、その流れで5人全員がパトカーに乗り込む。
ペア長の男性警察官が運転席、女性警察官が助手席。後部座席に左から順に私、里見さん、三好警部補の順で座る。
男性警察官が全員のシートベルトを確認して急発進。
無線を聞く限りでは、応援で一番に到着するのは私達になりそうである。
「詩文交番より詩文。これより現場に急行する。どうぞ」
《詩文了解。詩文より応援に向かう各局、警ら小銃の使用を許可。繰り返す、警ら小銃の使用を許可。以上詩文》
「大崎部長、あの、百歩譲って警視庁のお2人はまだ分かるんですけどなぜ旅館の方も?しかも馬鹿でかい日本刀……ああもう邪魔だなこれ」
「すぐに取り出せるのがこれしかなくてですね……」
「そういう話じゃ……えっ?こ、これ使う気満々なんですか?」
「牧君は赴任したばっかだから知らないだろうけど、里見さんだから大丈夫大丈夫。ハハハ」
「どういう『大丈夫』なんですかそれぇ⁉︎」
詩文交番は旅館ひなたがある区域の担当なのか、大崎と呼ばれたペア長の男性警察官と里見さんは顔見知りらしい。
素人が見ただけでも銃刀法違反と分かるガチの大太刀を見ても動じないあたり、妖怪とかそのあたりの事情は警察に結構話しているのだろうか。だとしたら意外。
というか大太刀デカすぎて車内ギリギリじゃん、鞘がさっきから牧さんの頭にガツガツ当たってるよすげえ痛そう。
「詩文交番から詩文交通6、そちらの状況を知らされたし。どうぞ」
牧巡査が何度か無線を使用するが、返答が返ってくる様子はない。
「詩文交番から現場の各局! そちらの状況を知らされたし! どうぞ!」
:多分全滅やろなぁ……
:あっおい待てぃ、どこぞの狂乱ピンクみたいに無線が故障してるだけかも知らんから全滅と決めつけるのは時期尚早ゾ
───ダレノコトダロウナー(すっとぼけ)
「東京のお2人さん、これこのまま行ってもいいと思う? 銃撃事件に関しては最近だとそちらの方が経験豊富だし」
「ここらの地理詳しくないからなんとも言えないけど、とりあえず犯人らの目の前にサイレン鳴らしながら堂々と突っ込むのは悪手だね。それでウチの奴らが何人も蜂の巣になってる」
「うーん、登場の仕方どうこうの前にどうせ教団は自動小銃とかロケット砲とか使ってくるので*6こっちの火力だと押し負けると思うんですよ。京都府警ってパトロールライフル何使ってるんです?」
「89式小銃のセミオートモデル。30発弾倉。使うのはこの牧君。お2人は?立派なガンケースだけど」
「私が私物のmini-14、三好警部補は私の私物のM29です」
「というかそもそもなんで旅行先に銃を持ってきてるのかは聞かない方がいい感じ?」
「理由とかないので聞かないで貰えると非常に助かります」
「アッハイ」
:ワイらが持ってけってゴネただけだからな
:結果としてカルトを一時的に撃退できたわけだからヨシ!
───ぐうの音も出ねえ
「セミオートライフルが2丁に拳銃が、えーと、牧君と私と三好警部補が使う3丁。うーん、火力不足だねぇ……おや?」
グネグネと曲がりくねる山道をサイレンぶち鳴らしながら走っていると、目の前のカーブで白黒の軽バンが事故っていた。車体横には『京都府警』とあり、バックドアから廃屋に突っ込んでいる。
その傍らには警察官やスーツ姿の刑事が複数人横たわっている。
「牧君、救急要請して。御三方は手当ての手伝いを」
パトカーが停車し、全員が慌てて降車した。
───
──────
side:三好警部補
奇跡的に軽傷だった警察官の話はこうだ。
「突然だった。玄関をノックした警部が吹っ飛ばされたんだ。多分12ゲージのショットガン。そいつが銃眼みてえな穴からひょっこり銃口を覗かせてやがる。呆然としてたらありとあらゆる窓から拳銃やらショットガン、サブマシンガンを構えた構成員が\コンニチワ!/だ。俺とここにいる奴らはすぐ近くにコイツ(軽バンパトカー)があったからこれを盾にできたが、大半はそのまま蜂の巣だ。あとは近くでうめいてた奴らできる限り引っ掴んでパトに突っ込んで全力で後退ってわけだ。おかげで事故ったけどな……ああクソ」
「じゃあ、せ、生存者は」
「銃弾を目で見て避けれる奴しか生き残れねえよあんなん」
「ピェ…」
「牧君、気を確かに」
とすると、私たちはこれからほぼ単独で銃を持ったカルティストが籠城する建物に行かなきゃダメらしい。先遣隊(京都府警捜査一課)は壊滅、追加の応援は無線を聞く限り時間がかかりそう、圧倒的な人数差と───
「……火力が足りないねえ」
生存者の治療を終えた大崎部長が深刻そうな顔で言った。
そう、火力差。これが一番痛い。
いっその事汎用機関銃でも有れば全て解決するのだ。
弾幕はパワー。火力 is God。古事記にもそう書いてある。
「女将さん、なんかこう、妖怪的なスピリチュアルパワーとそのクソデカ大太刀で銃弾叩っ切れない?」
「妖怪をなんだと思ってるんですか三好さん……1、2人ぐらいならできますけど」
「1、2人ぐらいならできるのか……(戦慄)」
「いや、あの、皆さん? 素直に銃器対策部隊の到着を待った方がいいと思うのですがそれは。あと妖怪ってどういう」
「牧くぅん、それじゃああのカルティストのボスが逃げちゃうじゃあないか」(満面の笑み)
「うわあそうだこういう人だった……」
なんだか知らないが大崎部長は『ウアジェトの目』の教祖にご執心の様子だ。理由はきっと聞かない方がよかったりするのだろう。
「
「大崎さん、あの、もうその辺で……///」
すげえ俗物的な理由……(困惑)
「でも大崎部長、実際どうするんだ? アタシらも銃撃事案は慣れっこだけどさ、流石に無策に突っ込むのは勘弁願いたいよ」
「うーん、なんかいい案ない?」
「頼むよ現場指揮官……まあ、こういう時はオフィサーに聞けばなんとかなるんだ。なあオフィサー?」
私は、先ほどから事故った軽バンパトカーの周囲でぶつぶつ言いながら彷徨いているオフィサーに声をかけた。
振り返ったオフィサーは笑顔でこちらに歩み寄ると、牧巡査の両肩に手を置いた。牧巡査の体がビクンと跳ねる。
そして一言。
「牧さん、目と小銃の腕はいい方ですか?」
「……はい?」
温泉編は次でドンパチ・フィナーレになりそうな気がする(予想) なれ(懇願)
活動報告で質問も受け付けてるのでそちらの方もオナシャス!