温泉編最終回と言ったな。あれは嘘だ。
2/14 誤字修正しました。水上 風月兄貴ご報告ありがとナス!
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「大崎部長と里見さんが囮になるので、牧さんは林の中からカルティストを狙撃して下さい。最悪ロケットランチャーを持った奴だけでもいいので。観測手として三好警部補が付きます」
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東京から詩文に旅行中に本件に巻き込まれた警視庁の刑事、佐倉部長は私にそういう役を任せた。ペア長の大崎部長もなぜかそれを快諾。
警察学校を出て間もないド新人にこんなクソ大事な役割を任せるのもアレだが、この先輩方はなぜ自分から弾の雨の中に突っ込むような真似をするんだ。もっと命を大事にしろよ!!!(迫真)
「自分の命より大事な物があるからじゃない?」
ふと、前を歩く警視庁の三好警部補がそんな事を言った。
「……もしかして口に出てました?」
「ガッツリ出てた。初々しいねえ」
「うぐっ……本職、自分の命より大事な物はないと思うんですが警部補はどうですか」
「私も自分の命が一番だと思う」
「えぇ……?」(困惑)
「『大事な物』なんて人それぞれさ。オフィサーとか大崎部長は自分の命より大事な物があるんだろうし、私や君は自分の命が一番大事。10人中10人が一緒なんて事ないんだから深く考えても無駄だよ無駄。十人十色って言うでしょ?」
「そういうもんですか?」
「そういうもんそういうもん。……うん、ここなんか良さげだね。ここにしようか」
三好警部補がそう言うと、私達2人は倒木の影にうつ伏せになった。
木々の先、距離にしておおよそ150m先には、白い外壁の2階建ての建物。ぱっと見は校舎か何かに見えないこともない。ここから見て建物の右端に入り口があり、その前に駐車場とロータリー。
……ロータリーの舗装面がやけに赤黒くなっているのだが、覚悟していた死屍累々という感じでもない。死体が一つもないのだ。どうなっている?
「……玄関あたりに引きずったような跡が大量についてる。多分死体はあの建物の中だろうね」
「あ……言われてみれば確かにそんな跡ありますね。でもなんでそんな事を?」
「そればっかりは本人達に聞いてみるしかないんじゃない? まあ……カルト教団っていうぐらいだし、地下で邪神を召喚する儀式でもしてたりして」
「どこのクトゥルフ神話ですかそれ」
89式小銃の二脚を広げ、弾倉を差し込みコッキングレバーを引く。セレクターレバーはまだ『ア』のまま。安全管理ヨシ!
「警部補は準備OKですか?」
「いつでもどうぞ」
三好警部補が、捨てられていた古いエロ本(先程の廃屋で見つけた)を丸めて筒状にして覗きながら言った。
「……本当にOKですかそれ」
「大人の事情で最近目が良くなったからこれで事足りるんだわ」
「なるほど(?)」
なんだかツッコむのも疲れてきたので、諦めてスマホを開き電話をかける。相手はもちろん突入班のペア長だ。
「……あ、大崎部長。援護班は準備完了しました。いつでもどうぞ」
《りょうかーい。まあ気楽に頼むよ》
「(軽いなあの人……)」
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1358:名無しの転生者
はい、よーいスタート。
警官4人と妖狐1人?1匹?でカルト教団をぶっ潰すRTA、はぁじまぁるよー!
めぐねえが作戦の開始を宣言した時点でタイマースタート、カルト教団ボスを逮捕もしくは無力化した瞬間にタイマーストップとします。
もちろんこんな条件で走る走者はいないので自動的に本RTAが世界記録です。やったぜ。
1359:名無しの転生者
なんか始まったんだが?
1360:名無しの転生者
転生者掲示板に現れてはスレ主の行動に実況をつけるだけの転生者だぞ
1361:名無しの転生者
なんか思考が読める系の特典だとかで普通に実況できるらしい
1362:名無しの転生者
そんな奴がいるのか……(困惑)
1363:名無しの転生者
もっと他の事に才能活かしてもろて
1364:変態糞戦車長
RTA実況兄貴オッスオッス、ベルリン撤退戦の時はお世話になったな
1365:名無しの転生者
拙者がエンダードラゴン討伐した時もおられたでござるな
1366:名無しの転生者
ワイが“彼の者”の股間バーナーで焼いた時もおったで
1367:名無しの転生者
はえ^〜、各所にいるんすねえRTA実況兄貴
1368:名無しの転生者
ここまで知名度あるんだったらコテハン付けたら?
1369:底辺RTA走者(実況の姿)
これマジ?コテハン提案が出るの早過ぎだろ……
1370:名無しの転生者
>>1366
つーかさらっとEDF兄貴も久々の登場やな
1371:名無しの転生者
クソ忙しいからすぐROMるけどな。……ああもうまた出撃や、頑張れめぐねえ! ノシ
1372:名無しの転生者
ノシ
1373:名無しの転生者
じゃあの ノシ
1374:底辺RTA走者(実況の姿)
またの^〜
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「よし、じゃあやりましょうか」
「なんか作戦名とかはあるのかい?」
「作戦名ですか?そうですね……『ホイホイ作戦』なんてどうですか?」
「……それは顔を出した狂信者を牧さんが狙い撃つって意味のホイホイですよね?私達が飛んで火に入る夏の虫的な意味のホイホイじゃないですよね???」
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1375:底辺RTA走者(実況の姿)
む、めぐねえが作戦の開始を宣言したのでタイマースタート。
パトカーに大崎部長が乗り、パトカーの屋根の上に無銘の大太刀を携えたコヤーン(ケモ耳の姿)が乗ります。作戦としては大崎チームが囮となり、愚かにも釣られたカルティストをアネゴが見つけて牧巡査が撃ち抜く感じです。簡単だな!
1376:名無しの転生者
タンクデサント*1かな?
1377:名無しの転生者
タンクデサントコヤーンも突っ込みたいけどその前にめぐねえどこいった
1378:名無しの転生者
ん?ホンマや
1379:名無しの転生者
めぐねえは何するん?
1380:名無しの転生者
#サボるなめぐねえ
1381:名無しの転生者
#働けめぐねえ
1382:一般モブ警察官
ちゃんと働くから少し待ってなさい
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「準備はいいかい?里見さん」
大崎巡査部長は運転席の窓ガラスから顔を出して、パトカーの上に正座する里見に話しかけた。
その手にある無銘の大太刀は既に鞘から抜かれ、その刃紋が日を反射してギラリと輝いている。
「私はいつでも」
「……なんかごめんねえ、面倒な役柄押し付けちゃって」
「いえ、私に出来ることはこれぐらいですから」
「“これぐらい”で済ませるようなことじゃないと思うんだけど……まあいいか。よし、行くよぉ!」
大崎巡査部長の合図と同時にアクセルが踏み込まれ、V型6気筒ガソリンエンジンが唸る。回転するタイヤが地面を掴み、『京都府警』と車体横に印字されたパトカーが発進する。
次いで赤色警告灯が点灯。読者諸氏も聞き慣れているあのサイレン音が山中に鳴り響く。
高速で道路を進むパトカー。
すぐに教団の建物が見えて来た。
瞬間、建物からパッと閃光が瞬いた。
「ッ!!!」
キィンッと甲高い音が鳴る。
パトカーの上にいた里見が片膝立ちになり、その刀身長3mはあろう大太刀を振り抜いていた。
パトカーの後方に、真っ二つになった拳銃弾がコトリと転がる。
「ははは……本当に人間業じゃないや……げえっ⁉︎」
後ろを確認した大崎巡査部長が再び前を見ると、建物のありとあらゆる窓から白ずくめの格好をした教団構成員が拳銃やら短機関銃を構えているではないか。
ベテランの大崎巡査部長も流石に怯むが……
「そのまま進め!!!怯むな!!!」
パトカー上から、なんとも頼もしい声が聞こえて来た。
「なんか口調変わってるけどまあいいか!」
一斉に銃弾が放たれる。
しかし妖狐は怯まない。どう見ても細かい事に向いていなさそうな大太刀で、器用に大崎巡査部長と自分に当たりそうな銃弾だけを叩っ切っている。
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「1、2人分の銃弾なら切れるんですよね。だったら、飛んでくる全部の弾切ろうとしないで、里見さんと大崎部長に当たりそうな弾だけ切れば良いんですよ。そうすれば間に合うでしょう?大丈夫ですよ、素人が遠距離からばら撒く銃弾なんてそうそう当たりませんから」
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「簡単に言ってくれる……ッ!!!」
里見は、今は別行動しているあの桜色を心底恐ろしく思った。確かに切れるとは言った。言ったがそれを本当に信じて作戦に投入する奴があるか。
この無理やりさを見ていると、どうにも数百年前のあの僧を思い出す。
ああ、
「ははは……本当に」
本当に、
「人というものはこうも面白い!!!」
そこには、数百年ぶりに本性を現した妖の姿があった。
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「やっぱりおかしいですって色々と!!!」
「こんなの東京じゃ日常茶飯事だけどねえ。ほうら撃った撃った。選り取り見取りだぞぉ。2階、左から3番目の窓。RPG」
「うわあロケランも出てきた……!!!」
援護班……というか、牧巡査も頑張っている。
三好警部補が目標を指定し、牧巡査が撃つ。その繰り返しだ。
セレクターを『タ』に合わせた89式小銃が吠える。
「正しい見だし、正しい引きつけ、正しい頬つけ、コトリと落ちるように……」
学生時代に見たアニメの台詞を諳んじながら、引き金を引く。
放たれた89式5.56mm普通弾は、殆どは外壁を散らすか壁紙に穴を開けるだけだが、それでも何発かは構成員に命中している。
今命中した弾はどうもRPG-7の弾頭部分に当たったのか、瞬間、建物の2階の一部が文字通り吹き飛んだ。
爆風と衝撃波が周囲を襲う。
余談だが、たった今爆発したのはサーモバリック弾頭*2の為、吹っ飛んだ部屋の中にいたRPG班は漏れなく全滅した。悲しいね。
「ひぇっ、もう辞めてやる……辞めてやるぞぉ……!」
弾倉を交換しながら、牧巡査はそんな事を考えていた。
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「撃て!撃て!あの化狐諸共贄の一部にしてやるんだ!」
構成員を指揮するリーダーは、自らもTT-33を盲撃ちしながら声を張り上げた。
「クソ!なぜ殺せない⁉︎さっきより人数はずっと少ないんだぞ!」
「化狐だ!あいつ弾を切ってやがる!しかも林の中にスナイパーもいる!顔を出すとやられるぞ!」
「はあ⁉︎小賢しい真似を……うぉ⁉︎」
ズズン…と建物が大きく揺れた。
「なんだぁ!何があった⁉︎」
「2階だ!2階で爆発があったんだ!」
「…… あっ!RPG班か⁉︎」
「……らしいな、応答がない」
「RPG班がやられましたぁ!」
携帯を持った構成員がそう言うのと、青ざめた顔をした構成員が部屋に飛び込んできたのは同時だった。
「クソ!気張れよお前らぁ!
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チュインッ
「わっぷ⁉︎」
「やっば、こっち来て!」
何か教団側で動きがあったのか、急に三好ら援護班の方に銃弾が飛び交い始めた。89式小銃の目の前に着弾した9mm弾が土を散らし、三好が慌てて牧巡査を倒木の陰に引っ張り込む。
狙いをつけているわけではないようだが、いかんせん飛んでくる弾の数がヤバい。あちらこちらで銃弾が掠めたり着弾する音がする。これは下手に顔を出せば被弾の危険も増すだろう。
牧巡査の精神もついに限界を迎えたのか、三好の胸の中で泣きじゃくり始めた。
「うぐっ…ひぐっ…おかあちゃぁぁん……」
「ああクソ、援護班より大崎部長!犯人からの銃撃多数によりこれ以上の援護は厳しい!ていうか牧巡査が精神的にヤバい!」
《あ、ホント?困ったなぁ、こっちも里見さんの刀がそろそろポッキリ逝きそうでさ、僕も肩撃たれたし、パトカーは確実に廃車───あ、うん、お帰り里見さん。えーとね、たった今里見さんの大太刀真っ二つになっちゃった。どうしようね?》
どうしようねっておい……と呆れていると、建物の方から拳銃や短機関銃とは違う重い銃声が複数発。
同時に、馬鹿みたいな規模の銃撃もピタリと止んだ。
「………」
《……えーと、今のは佐倉さんのライフルの音だね。作戦通りって奴かな?》
数秒してまた拳銃や短機関銃の銃声コンサートが始まったが、今度は銃弾が飛んでこない。
「いや、“失敗”だこれ……」
佐倉から預かっているM29の残弾を確認。うん、十分にある。多分どうにかなるだろう。
「どうどう、泣き止め泣き止め20代。……ちょっと建物の方行ってくるからここで隠れてな。できる?」
「(無言の首肯)」
「ようしいい子だ」
三好は牧巡査の頭をポンポンと撫でると、木に隠れつつ建物の方向へと進軍を始めた。
どうやって終わらせよう……()
あっ、活動報告の方で質問募集してるんでオナシャス!