スレ立ての数日前、12月のある日のことである。
ここ最近連勤の続いていた警視庁捜査一課は、事件もある程度落ち着いてきた為*1、交代で捜査員に1日の休日を与える事にした。
その日休日の番が回ってきたのは我らがめぐねえこと、佐倉恵巡査部長。
とは言ったものの、たった1日ではプチ旅行も出来ないし、そもそもめぐねえ自体京都での休暇から帰ってきたばかりである。勿論一課長にもそう言ったのだが、
「いいから休め」
と言われてしまえば取り付く島もない。
しょうがないので、目的もなく都内をプラプラと散歩する事にした。
いつだったか購入したスポーツウェアに身を包み、帽子をかぶって顔の下半分はネックウォーマー。東京の冬は寒いのだ。
「歩き過ぎましたねこれ……」
人というのは無心になると意外と歩けるもので、気づけばどこか人気のない高架下までやってきていた。ちなみにだが、京都の時のように何かあってからでは遅いので、最近手に入れたSA80A2を背負い紐付きのガンケースに入れて背負って歩いている。行軍訓練か何か?
高架下にぎゅうぎゅう詰めになっている小さな飲み屋街は、揃って『準備中』の札を掲げている。時刻は14:00を回ったあたり。昼飯を軽く済ませたせいで小腹が空いてきた。
「どこか食べる場所は……」
気分はすっかり孤独のグ○メ。うぉおん。
なにかないかと見回しながら歩いていると、在来線の駅前に出た。14:00台でもまあまあ人がいる。
ふと、とある人物が目についた。
背中まで伸びた銀髪に、整った顔立ち。黒のロングコートにワンポイントで赤いマフラー。側にはやたらでかいスーツケース。明らかに外国人であろう姿の女性が、駅正面の周辺地図の前で唸っていた。
「……何アレぇ……?」
少なくとも何か困っている様子。非番ではあるが、腐っても警察官の端くれ。手助けするぐらいはいいだろう、という事で、声をかける事にした。
「あー……Excuse me. Are you looking for something ? 」(失礼ですが、何かお探しですか?)
「? ……How can I get to this address?」(この住所の場所に行くにはどうすればいいんでしょうか?)
女性はロシア訛りの英語でそう言ってメモを見せてきた。そこにはとある住所が書かれている。ここに行きたいという事だろうか。
……それなら駅前の周辺マップを見たって分かるわけがない。
というか、この住所、とても見覚えがある。
警視庁の女性寮だ。めぐねえの住処でもある。
「んー……??????????」
「?」
「あー、What are you doing here?」(ここに行って何をするおつもりで?)
「I want to go see my friend who lives here.」(ここに住んでいる友人に会いに行きたいんです)
それを聞いためぐねえは非常に悩んだ。
実を言うと、寮内に一般人を招くのは規則的に非常にグレーな行為……というかほぼ黒に近い。このご時世、警察官に色仕掛けを仕掛けて機密情報を抜こうという輩はとても多いのである。もちろん流血沙汰になる事もしばしばなのだが。(万和日本並感)
「I think it's okay if you and your friends just meet……」(会うだけなら大丈夫だと思いますけど……)
「Could you tell me the name of that friend? Because I will confirm.」(その友達の名前教えて頂けます?確認するんで)
「……Are you perhaps a police officer?」(……もしかして警察の方ですか?)
「I'm off duty now.」(今は非番ですけどね)
ぴしり、と女性の顔が固まる。
はて、何かまずい事でもあっただろうか。
「What's happen?」(どうかしました?)
「……That person is Megumi Sakura, a detective in the First Investigative Division.」(サクラ メグミという名前の、捜査一課の刑事なのですが)
ぴしり。今度はめぐねえが固まる番である。
「me?」(私ですか?)
「え?」
「え、日本語……」
「あっ」
───
──────
ずっと駅前で押し問答していてもしょうがないので、近くの喫茶店まで移動する事にした。
先頭を歩くのがめぐねえ、その数歩後ろに女性が付いている。
既に駅前からは離れ、高架線沿いの人気のない道を2人歩いている。
「……あの」
先程、どうも日本語が話せるらしい事が判明した女性が口を開いた。
「どうかしましたか?あ、お店まではあと数分ぐらいで着きますけど」
「……
「え?」
背後から刃物を抜く音。
そこからはもう勘であった。
背後を確認しないまま、上段後ろ回し蹴り。
運動靴の踵が何かを弾いた。路上を金属質の何かが転がる音。それを確認する暇はない。
「うわ嘘当たった。なんですかいきなり危ないなぁ⁉︎」
「…チィッ!」
女性が半歩下がり懐からサプレッサー付きの自動拳銃を取り出す。
めぐねえは逆に懐に飛び込み拳銃を握る手を掴んだ。
くぐもった音と共に足元のアスファルトが飛び散る!
「あ、ぶ、ないって言ってるでしょう⁉︎」
「ッ!」
拳銃のスライドを掴み、こう、うまいことしてスライドを取り外す!え?どうやったか?MGS3のザ・ボスをまねたんだよ!試したのは初めてだけども!
やったぜ!(ヤケクソ)
「嘘でしょ……このッ!!!」
「いや武器持ちすぎじゃないですか常識を考えろ常識を!」
女性が次に抜いてきたのは大柄なコンバットナイフ。それを逆手に構え、にじり……にじりと近づいてくる。
対するこちらは?
「何がナイフですかCQCですか、こちとらWW1の塹壕戦で1番人を殺した武器ですよ……!」
昨日ホームセンターで買った車載用折り畳み式鋼スコップである。新潟のメーカーだぞ!オラッ、メイドインジャパンをまんじりともせず受け入れろっ!
「一番人を殺したのは大砲」
「正論はNG……でも、ひとまずはタイムアップみたいですね?」
「何?……ああクソ」
割と近くから響いてくる複数のパトカーのサイレン。どうやら近隣住民が通報したらしい。女性は懐にナイフをしまい、いそいそと退散する気のようだ。まあそれを追うつもりはない。疲れたし今非番だし。あとあの人他に何隠し持ってるか分かんないし。
「私の勝ち!
何で負けたか、明日まで考えといてください。
そしたら何かが見えてくるはずです。
ほな、いただきます」(HND並感)
まあ煽るけど。
「次こそ殺す……!」
「えっ次も来るんですか⁉︎」
答えを待たず、女性はその場から去って行った。
───
──────
128:一般モブ警察官
───っていう事があったんですよ。何日か前に。
129:名無しの転生者
おうタイトル詐欺やめーや
130:名無しの転生者
喫茶店行けてねえじゃねえか!!
131:一般モブ警察官
だって《【悲報】一般刑事ワイ、殺し屋に襲われる》とかやってもいつも通りだと思われるでしょ
132:名無しの転生者
それはそう
133:名無しの転生者
だって万和日本だし……
134:名無しの転生者
実際いつも通りではないのか
135:一般モブ警察官
いや違いますけど
136:変態糞戦車長
どこがや?
137:名無しの転生者
あっ、ドイツ復興中のⅡ号兄貴オッスオッス
138:変態糞戦車長
おっす
139:一般モブ警察官
お疲れ様です。アレですよ。初めてなんですよ、私個人を狙われるのって。
140:名無しの転生者
というと……?(池沼)
141:名無しの転生者
ああ、今までの犯罪は『一般人』か『警察』を狙った犯行なのか。
142:一般モブ警察官
ご明察。私……佐倉恵の命を主目的として狙われた事って実は今までなかったんですよね
143:名無しの転生者
方々から恨みを買ってそうではあるのにな
144:一般モブ警察官
ほんそれ
145:名無しの転生者
自覚はあるのか……(困惑)
146:一般通過現人神
そういうわけで情報を調べてきたよ
147:名無しの転生者
(I)<ミヨシは頑張り屋さんですね
148:名無しの転生者
昼飯中邪神に体の主導権取られてるアネゴじゃないか!
149:一般通過現人神
誠に遺憾である
150:外なる神
ごめんて
151:名無しの転生者
この神ラフだなぁ……
152:名無しの転生者
のじゃロリ要素どこ……ここ……?
153:外なる神
そっちがいいならそちらの喋り方で話すがの?
154:名無しの転生者
ありがとうございます!一生ついていきます!
155:名無しの転生者
信者増えたやん草
156:一般通過現人神
例の現場に落ちてたマチェットについてなんだけど
157:一般モブ警察官
ああ、私が蹴りで弾いたやつですか
158:一般通過現人神
そうそれ
159:名無しの転生者
マジでめぐねえ多芸だよなぁ……
160:名無しの転生者
ノールック上段後ろ回し蹴りで殺意マシマシのマチェットを弾くか……
161:名無しの転生者
オラわくわくすっぞ!
162:名無しの転生者
うわでた
163:名無しの転生者
悟空もよう見とる
164:一般通過現人神
アレね、組対の人が見覚えあるっていうから聞いてきたんだよ
165:名無しの転生者
組対?
166:名無しの転生者
組織犯罪対策部。要は暴力団とかの組織犯罪やら違法物品の取り締まりなんかをやってる部署やね。相棒で「ヒマかっ?」って言ってる人が所属してるのもそこの五課。
167:名無しの転生者
はえーサンガツ
168:一般通過現人神
曰く───
───
──────
「俺も噂程度でしか聞いた事ないけどさ。東京の地下には巨大な地下犯罪組織があるんだと。で、そこで飼ってる殺し屋連中が使う武器ってのは、どこかしらにこういう意匠が施されてるらしい……いや、三好ちゃんよ。こりゃちょっと大仕事になるかもしんねえぞ」
──────
───
らしいよ?
169:名無しの転生者
意匠って、このボロボロのシェパードがナイフ咥えてるやつ?
170:名無しの転生者
だねぇ
171:名無しの転生者
……なんというか、アレだな。縁起悪いな。これ持ってる側から見ると。
172:名無しの転生者
なんでボロボロにしたんやろなぁ……
めぐねえ
買ったばかりの運動靴の踵の部分がすっぱり切れててガン萎え
殺し屋
何あの女……怖……
通報した近所のおばちゃん
あの女の人、“できる”人ね……!(壮大に何も始まらない)