一般やられ役警官に転生した転生者の憂鬱   作:運輸省

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ん、私とも初投稿するべき。


【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(7)

同時刻 取り調べ室周辺

 

 

ユリアは、自分の目を疑っていた。

 

 

どっせぇい!!!!!!!」

 

 

大の大人が宙を舞い、壁に叩きつけられて赤い花を咲かせる。

 

 

「う、撃て!撃てぇ!」

 

「なんで、っ、効いてない⁉︎」

 

 

銃弾は謎の力場に阻まれる。

 

 

よいしょぉ!!!」

 

「ギャアッ」

 

 

投げられたノートPCは音を置き去りにして、首を刎ねる。

 

 

 

 

地獄絵図。

 

 

 

 

この地獄絵図を、先ほどまで普通だった女刑事が作っているというのだからもう理解の範疇を超えている。意味がわからない。理解不能。

 

 

ふう、もういないかな

 

「っ、う、うん。ここ周辺の敵はいない、と思う」

 

 

突然、重苦しい雰囲気が霧散した。

 

 

「───よし、歩ける?」

 

「な、なんとか」

 

「……あー、今見た事は黙っててくれると助かるなぁ」

 

「(無言で頷く)」

 

「よろしい」

 

 

女刑事……三好警部補が絶命した敵に近づいた。

 

 

「君のとこの組織って本当に大きいんだねぇ。見てよこれ、みーんな公安警察官だ」

 

「……話には聞いたことがあった。色々な機関に長年潜り込ませてるスパイがいるって」

 

「潜り込ませるにしても多すぎでしょ、何人いるのこれ」

 

 

三好刑事が仕留めたスパイは、この取調室内とその周辺廊下だけで、ざっと数えて1個分隊はいるだろう。

 

絶命したスパイが持っていたAKS74Uを手に取り、マガジンも何本か拝借する。

 

 

「で、AKSとトカレフどっちがいい?」

 

「……もしかして私に言ってる?」

 

「君以外誰がいるのさ」

 

「いやあの、一応私容疑者……」

 

「君の組織は随分お堅いんだねぇ、ウチ(捜査一課)なら全然アリだよ」

 

「それ治安維持機関として大丈夫?」

 

 

心底呆れながらもトカレフを手に取る。

チャンバーチェック、弾薬はまだ残っている。この周辺で絶命したスパイが多い分、弾薬も豊富に鹵獲できた。

いや、ここは『押収できた』と言うべきか。

 

 

「それで、三好刑事。これからどうするの?」

 

「まずはオフィサーの安否を確認したいんだ。さっきから連絡が取れなくてね」

 

「ん、分かった」

 

 

オフィサー、というのは、三好刑事のバディであり、尚且つユリアのターゲットでもあった佐倉刑事の事だろう。まあ、バディの身を案じるのは不自然な事ではない。

 

ただ、疑問が一つ。

 

 

「……連絡なんていつ取ってた?」

 

 

三好刑事と取り調べ室で襲撃を受け、それを撃退、装備の押収、そして現在に至るまでの間、ユリアは一瞬たりとも三好刑事から目を離していなかった。当然だろう、以前日本刀の峰打ちをバカスカ打ってきた相手だ。行動の観察ぐらいはする。

 

しかし、その間に連絡を取ったような場面はなかったはずだ。

そもそも、スマホは取り出されていなかったし、三好刑事が無線のイヤホンやらヘッドセットやらを着用している様子もない。

 

その三好刑事は困ったような顔で振り向き、口を開いた。

 

 

「……さあ? 私は謎が多い女だからね」

 

 

 

───

──────

 

 

 

同時刻

警視庁周辺

 

 

《こちら側にターゲットは確認できない》

 

《了解、北側に回るぞ》

 

 

散々に暴れ回っているハインドのパイロットは、至る所から煙を上げる警視庁本部庁舎を眺めていた。

元より、この作戦においてハインドの役目というのはそれほど重要ではない。大雑把に言ってしまえば、初撃で通信塔をぶち壊して、あとはちまちまとやって来る警察官を機首下のGSh-30K*1で吹き飛ばすだけ。

 

懸念材料とすれば、警視庁が保有する“ゆりかもめ”とか名付けられたA-10と、日本空軍、いや航空自衛隊の戦闘機や陸上自衛隊の戦闘ヘリのスクランブルだが、話によれば『組織』が色々な方面から圧力をかけて出撃を遅らせているらしい。

 

警視庁内で直接戦闘するに至ったスパイ共には気の毒だが、ハインドにとってこれほど楽な仕事は無い。

いくら重武装で火力バカ揃いの警視庁でも、流石にMANPADS(携帯式地対空ミサイルシステム)は所有していないのは確認済み。

 

某北の熊さん国でヘリパイロットとしての経験を積んだ2人にとっては楽な仕事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条件さえ良ければ、の話だったのだが。

 

 

 

衝撃。

機体が大きく揺れ、コックピットの計器が一斉に鳴り響く。

 

 

《な、なんだ⁉︎》

 

《被弾した!被弾した!クソ、どこからだ!》

 

 

少なくとも未だ爆散していないという事は飛行に異常は無いらしい。当たりどころが良かったか。

しかし何に攻撃された?

こちらが知らない間にMANPADSを配備*2していた? それともRPG?

 

動揺で思考がまとまらない。

 

 

《クソクソクソ!一体なんで……》

 

 

状況を把握しようと周囲を見渡したパイロットの目に入ったのは、こちらに向かって飛んでくる白い何か。

 

 

《───まさかッ!》

 

 

その白い何か───固定翼式のUAVの胴体下には、円錐形の物体が無理やり括り付けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「再び命中!」

 

「いいぞ藤倉ァ!」

 

 

警視庁本部庁舎内。

ハインドのロケット弾攻撃によって壁に大穴が空いた捜査一課のオフィスで、間暮を始めとした捜査員達が数名はしゃいでいた。

 

その脇にはUAVと、押収品保管庫から引っ張り出してきたアメリカ製RPG-7、エアトロニックUSA GS-777。そしてワイヤーやらダクトテープやら。

 

訓練された読者諸氏ならもう分かるだろう。

 

UAVにRPGの弾頭を括り付けた、警視庁式簡易テレビ誘導ミサイル*3である。

 

 

「つーかアレで落ちねえのかよ、ハインド頑丈すぎねえか」

 

「直撃する直前に回避行動を取ってた。多分直撃しても被害が少ない場所にぶつけたな」

 

「チッ、ゲームみたいには行かねえか」

 

「そ、相当腕が立つパイロットだったんだな……」

 

「でもまあエンジンから黒煙吹いてましたし、もう来ないですよね?」

 

「アレでもう一回来たら俺もお手上げだから勘弁してもらいたいぜ。とにかく、周辺空域はクリアだ。佐倉を病院に運ぶぞ。藤倉、担架のそっち側持て。1、2、3!」

*1
30mmガスト式機関砲

*2
又は押収

*3
命名:間暮




実は当初の案ではUAVにC4を括り付けたBF式にしようとしてたり。
次回から警視庁のターンです。火力解放!
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