一般やられ役警官に転生した転生者の憂鬱   作:運輸省

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今回は掲示板パートが短めなので初投稿です。

10/24 誤字修正しました。kuzuchi兄貴ご報告ありがとナス!
10/29 誤字修正しました。六四兄貴ご報告ありがとナス!
11/18 誤字修正しました。板文 六鉢兄貴ご報告ありがとナス!
11/21 誤字修正しました。メイン弓兄貴ご報告ありがとナス!


【悲報】新人警官ワイ、監禁現場に遭遇も明らかに罠

1:一般モブ警察官

また知恵を貸してクレメンス

 

2:名無しの転生者

また、とは?

 

3:名無しの転生者

今宵もまた運の悪い転生者が‥‥

 

4:名無しの転生者

今日も他転生者の不幸話で飯がうまい

 

5:一般モブ警察官

相変わらず薄情ですねぇ‥‥

 

6:名無しの転生者

いや待て、なんかこの流れ前にも見たぞ‥?

 

7:名無しの転生者

どういうことだ>>6?

 

8:名無しの転生者

不幸系のスレって大体こんなんでは?

 

9:名無しの転生者

それな

 

10:>>6

ああ、あれか!思い出した、あんたツルハシめぐねえだろ!

 

11:名無しの転生者

ツルハシ???

 

12:一般モブ警察官

え、何その不名誉な呼び名‥(困惑)

確かに前立てたスレで強盗犯をツルハシで制圧したのはワイやけども‥‥

 

13:名無しの転生者

どういう事なの‥‥

 

14:名無しの転生者

【悲報】新人警官ワイ、勤務1日目で銀行強盗に遭遇

 

[URL]

 

説明されるより見たほうが早いからこっち見ろ(ダイマ)

 

15:名無しの転生者

どうして銀行強盗とツルハシが結びつくんですか???

 

16:名無しの転生者

なんでやろなぁ‥‥?

 

17:名無しの転生者

前スレからいるワイらもよく分からんわwww

 

18:名無しの転生者

>>12

前スレにいたスレ民は皆そう呼んでるぞ

 

 

 

 

 

俺含めてな!!!(マジキチスマイル)

 

19:一般モブ警察官

うわぁ ちょうなぐりたい このえがお

 

20:名無しの転生者

んで、イッチは今度は何に巻き込まれたんや?スレタイ見てもよう分からんのよ

 

21:一般モブ警察官

おっと失礼。状況がちょっと逼迫してるので手短に。

 

➀パトロールで山奥を巡回中

 

  _人人人人人人人_

➁ > 突然の銃声 <

   ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

➂銃声がした廃倉庫に突入←イマココ

 

22:名無しの転生者

3行でもよく分からない−114514点

 

23:名無しの転生者

どうして応援を待たずに突入したんですか?(現場猫)

 

24:一般モブ警察官

警察無線の受信の調子が悪くてですね‥‥

 

25:名無しの転生者

スレタイと照らし合わせるとアレか?廃倉庫に突入して監禁されてる人を見つけたはいいけど状況が明らかに罠っぽいって事か?

 

26:一般モブ警察官

Exactly(そのとおりでございます)

 

27:名無しの転生者

明らかに罠っぽいって何?

 

28:一般モブ警察官

障害物も何も無い倉庫のど真ん中にイスに拘束されてる女性がいるんですけど、その人を挟んで反対側、えーと、入り口のシャッターから入って1番奥の壁ですね、そこに足場があって、目隠しなのか布が掛けられてるんですけど、チラッと中を見た時に割れた窓から風が吹いてですね、布がぶわぁってなって、一瞬スコープがついたライフルを構えた人が見えたんですよ

 

29:名無しの転生者

思った以上に罠で草

 

30:名無しの転生者

明らかにその女性は餌ですねぇ‥‥

 

31:名無しの転生者

応援は期待できんのか?

 

32:一般モブ警察官

警察無線はさっき言った通りだし、ここ滅茶苦茶山奥なんで麓に知らせに行くにも時間がかかり過ぎるんでやりたくないんですよね。無線がイカれてるのは受信側だけなんでこちらの状況は伝えた上で応援も呼んだんですけど、やっぱ滅茶苦茶山奥なので‥‥

 

33:名無しの転生者

またにっちもさっちも行かない状態になってんねぇ‥‥

 

34:名無しの転生者

そういえばさ、イッチ前スレで東京っぽい大都市勤務じゃなかった?なんでそんな山奥におるん?

 

35:一般モブ警察官

あー、まあちょっとゴタゴタがありましてね、地方に異動になったんですよ。階級は上がったんですけど

 

36:名無しの転生者

えっ、勤務1日目で大捕物をした大型新人を左遷ですか⁉︎

 

37:名無しの転生者

大捕物(急所特攻)

 

38:一般モブ警察官

なんかその大捕物が問題になったみたいでですね‥‥

 

39:名無しの転生者

あっ(察し)

 

40:名無しの転生者

当たり前だよなぁ?

 

41:名無しの転生者

まあ、うん、ツルハシだもんね、ぐしゃり(直喩)だものね。少なくとも警官がする事じゃないよね。

 

42:名無しの転生者

今過去スレ見てきたゾ‥‥ツルハシめぐねえ怖い‥‥怖くない?

 

43:一般モブ警察官

正当防衛なのでセーフ

 

44:名無しの転生者

アウトだったから左遷されたんやろなぁ‥‥

 

45:一般モブ警察官

ええいうるさいうるさい!そんな事はどうだっていいんですよ、今はこの事態をどうにかしないといけないんですよ

 

46:名無しの転生者

どうにかって言ってもなぁ

 

47:名無しの転生者

応援が到着すれば済む話なのでは‥‥?

 

48:名無しの転生者

とりあえずイッチの今の装備とか見しちくり〜^

 

49:一般モブ警察官

おかのした!

 

拳銃:S&W M29(4インチモデル)

パトロールライフル*1:AR-15

その他:特殊警棒、手錠、テーザーガン

 

50:名無しの転生者

あれ?拳銃変えたんや

 

51:名無しの転生者

ホンマや、前は確かSIGのP320だったよな?

 

52:一般モブ警察官

拳銃の腕が絶望的すぎてあまりにも当たらないので、まぐれ当たりした時に1発で犯人を無力化できるように.44マグナムのリボルバーを購入しました!!!!!!

 

53:名無しの転生者

選定理由がダサ過ぎる‥‥

 

54:名無しの転生者

その拳銃射撃の腕はどうにかならんかったんか?

 

55:一般モブ警察官

的のど真ん中に狙いを定めた状態で固定されたリボルバーを撃ったら外れたんですよ?警視庁の射撃教官はとうの昔に匙を投げました。

 

56:名無しの転生者

 

57:名無しの転生者

 

58:名無しの転生者

 

59:名無しの転生者

それはもはや呪いなのでは?

 

60:一般モブ警察官

ワンチャンある

 

 

 

 

───

──────

 

 

その事件は、〇〇県警本部に匿名で送られてきた110番から始まった。

 

 

「はい、こちら110番です。事件ですか?事故ですか?」

《今から言うアドレスにアクセスしろ》

「‥はい?」

《今から言うURLにアクセスしろ。さもなければ死人が出るぞ。URLは───》

 

 

『死人が出る』というなんとも物騒な文言に、係員が慌ててURLをメモする。電話はそれだけ言うと切れてしまったのだが、係員はこれを上司に報告。

情報保護の観点から念のため県警本部のネットワークから外されたパソコンを使いアクセスする。

 

 

それは、どうやら動画ファイルのようだった。

 

 

動画を再生する。

 

 

何やら廃倉庫の中のような場所を映しているが、どうも薄暗く、詳しい場所は分からない。

 

数秒後、パッと照明が点灯した。

 

画面中央に、照明に照らされる椅子。

そして、そこに両手足を拘束された女性。猿轡と目隠しもされているようだった。

突然の映像に警察官らは動揺を隠せない。

 

 

『レディーーース、アンド、ジェントルメン。ごきげんよう、県警諸君』

 

 

画面右側から仰々しい身振り手振りと共に登場したのは、黒の燕尾服にシルクハット、そして白の仮面というなんとも気味の悪い人物。ボイスチェンジャーでも使用しているのか、声から性別を断定する事は難しそうだ。

その人物は続ける。

 

 

『今日もお勤めご苦労。相変わらず忙しいかな?ああ、わざわざ110番に連絡を入れた事については謝ろう。何せ、君達にとっても緊急事態だろうと思ってね。まあ、手短に用件を話すよ』

 

 

仮面の男は一度区切ると、女性の顎に指を当て、クイッと上げた。目隠し越しでも女性の悲痛な顔が見て取れる。

 

 

『三好 絵里。警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査一係の警部補だ。彼女と僕はちょっとした因縁があってねぇ、少しお話をしたくて、こうしてここに招待した訳なんだよ。あ、確認を取りたいなら今するといい。彼女、恐らく有給を使ってると思うからね』

 

 

慌てて警視庁に確認を取ると、確かに、同部署の三好 絵里警部補は1週間前から有給を取っており、しかも連絡が取れない状態だと言う。

 

 

『確認したかな?で、だ。お話はもう終わったんだが‥‥これで彼女を殺すんじゃァつまらない。そうだろう?』

 

『ンっ‥‥‥ンーッ!!!』

 

『おーおー、あんなに犯されたというのに元気な事だ』

 

 

唐突な銃声。

椅子に拘束されても尚暴れる三好警部補の足元に弾痕が見える。仮面の人物の手には拳銃。

状況からして、彼女を黙らせるために撃ったのだろう。

 

 

『まあ、そういうわけで、少しゲームをしよう。ルールは簡単。吾輩は、彼女をここに放置する。君らは彼女を見つける。ただそれだけだ。制限時間は3日。それまでに彼女を見つけることができなければ──────彼女の殺害生配信を某有名動画サイトで行おうと思う』

『ンゥ‥‥‥』

 

『本当なら警視庁に送るべきなんだろうが、ちょっと〇〇県警にも因縁‥‥いや、これ因縁なのかな?まあいいや。君達も少し関係あるんだ。ぜひ、賞品目指して頑張ってくれたまえ!!!では───』

 

 

仮面の人物がカメラの後ろに回り、照明が切れる。映像もそのまま終わる──────かと思いきや、再び照明が点いた。

 

 

 

 

「‥‥‥これ、サイレンの音か?」

 

 

映像を見ていた警官の内1人がそう呟いた。

画面の中、かなり遠くだが、パトカーのサイレンの音が聞こえて来る。

 

 

『は、ははは、どうやら、県警の中にはとびきり宝探しが上手い者がいるようだ。これは歓迎しなくては!』

 

 

男が、カメラの死角からライフルのような物を手に取ったところで映像は終わった。

 

 

 

「映像の撮影日時は」

「15分前です」

「ついさっきじゃねえかよ‥‥あ、いや待て、おい!直近で銃声の通報を受け取ったPCはいるか!!!」

「えと、通報というわけではないんですが、先程佐江12が『廃倉庫から銃声がしたため突入する』と‥‥」

「あー、突入したのか‥‥」

「止めたんですが、どうも佐江12の無線の受信機能が故障しているようで‥‥応援を要請されたので付近の佐江3と佐江11を急行させました」

「到着まで何分かかる?」

「山奥でかなり道が入り組んでいるので恐らく数時間はかかるかと‥‥」

「今から銃対を送るにもさらに数時間か‥‥背に腹はかえられん、銃対を派遣しろ。大至急だ」

 

 

県警の苦悩は続く───

 

 

───

──────

 

 

「どうしますかねぇ‥‥」

 

 

ライフル───HK417を構える仮面の人物は困っていた。

宝探しゲームを開始した直後にやってきた不運?な警官を葬る準備は整ったのだが、いつまで経ってもその警官がやって来ないのである。

監視カメラの映像を見ると、通用口から入ってすぐのところでうろちょろする、桜色の髪の一部を後ろで纏めた女性警官*2

見ただけで分かる、明らかに何かを警戒している動きだ。

 

 

───まさか、こちらの存在がバレた?

 

 

そんな考えが頭をよぎるがそんな筈はないとすぐに否定する。警察無線であの映像の存在は知られているだろうが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あの警官のせいで映像を確認する時間がなかったのは痛いが、まあしょうがない。

それに、()()()()()()()()()()()()()()()。何度も確認したのだ、それは間違いない。

ならば、あの警官は何を警戒しているのだろうか?

うーんわからない*3

 

そんな事を考えていると、遂に警官が動いた。警官が監視カメラの死角に消えた数分後、正面のシャッターが上がり始めた。

 

 

「ようやくですかっと。さァ、私を愉しませて下さい‥‥!」

 

 

HK417のスコープを覗く。

布に自然に開いた穴から覗いているため、こちらからは見えるが、向こうからは見えない。最高のポジションだ*4

 

シャッターが上がりきり、光が差し込む。

 

その光を背に、今まさに、三好警部補のヒーローとならんとする警官が─────────

 

 

「あ?」

 

 

警官じゃない。

 

そこにあったのは、麻の袋の塊。

いや、頂点に見えている赤と白のガラス質の物は、パトランプか。ならば、あれはパトカー?

 

 

謎のパトカーに唖然としていると、その謎のパトカーがのろのろと前進し出したではないか。

 

 

「───ッ、まさか‥‥!」

 

 

発砲。

7.62mm弾の重い銃声が倉庫内に響く。

 

 

ボスン

 

 

その弾丸がパトカーを貫く事はなく、()()()()()()()()()だけ。その穴から弱々しく流れ出るのは、

 

 

()‥‥ああ、ああ、そうか、なるほど、『土嚢』か。はは、ははは、はははははは!!!最初からバレていたという事かァ!!!」

 

 

発砲

 

 

発砲

 

 

発砲

 

 

放たれた弾丸は、またもくぐもった音と共に砂を舞わせるだけ。

その返礼かは知らないが、パリンとガラスが割れる音の直後、土嚢と土嚢の間、パトカーで言うならフロントガラスの辺りから、ニュッと、銃身が顔を覗かせた。

 

 

「おっとぉ⁉︎」

 

 

仮面の男は慌てて横に飛ぶ。

瞬間、HK417のそれよりも甲高い発砲音。

ボッ、ボッといくつか穴開きになった布。背後の壁に火花が散り、弾痕が空く。

 

 

「5.56mm、なるほど、パトロールライフルというやつか。相手にとって不足は無し、こいつは重畳!」

 

 

7.62mmを防ぐ防御力、5.56mmライフルの火力。それはまさに、即席装甲車。

 

そのパトカー(即席装甲車の姿)は遂に三好警部補の隣まで進み、停車した。

即座にドアが開き、手が伸びて三好警部補を椅子ごとパトカーの中に引き摺り込んだ。

あ、椅子も地面に固定しておけばよかったか、と仮面の男が後悔したのは内緒である。

 

5.56mmライフルの射撃が止んだため、お返しに7.62mmをお送りする。

 

カチッカチッ

 

 

「おっと、私としたことが」

 

 

つい夢中になり、弾数を数えるのをわすれていた。落ち着いて脇に置いてあった弾倉を手に取り、慣れた手つきで空になった物と交換する。

 

 

「ふむ、このまま撃ち続けても面白くない、どうせ

向こうはこの後後進するだろうし、脇に回ってみるか」

 

 

あの土嚢の積み様では視界なぞ0だろう。脇に周り、タイヤを撃ち抜いてしまえば土嚢の重量でたちまち即席装甲車は立ち往生、あとは好きに調理するだけだ。

ああ楽しみだ、と、身をかがめた状態で足場の階段に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

唸るエンジン音と、タイヤが激しく回る音。

 

 

「おや?」

 

 

何事かと思い、布に近づく───が、

 

 

「(まあ、恐らく後進するのにエンジンをふかしているのだろう、急がねば逃げられてしまうな)」

 

 

気を取り直し、状況を確認する事なく階段へと再び足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この思い込みが、仮面の人物の運命を決めた。

 

 

 

 

 

 

なぜならば、そのエンジン音は遠ざかるのではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()

仮面の人物は、自身の耳を疑った。

 

数瞬後、ガシャンと金属音、そして激しい揺れ、たちまち足場が傾き──────

 

 

 

 

───

──────

 

 

「Foo↑」

 

 

無惨にも崩れ落ちる足場を見て、素っ裸の女性を小脇に抱えた私こと佐倉 恵はガッツポーズした。

 

 

:やったぜ。 投稿者:変態糞警官

:すっげえ綺麗に決まりましたね‥‥

:パトカー君がまた犠牲になっておられるぞ

:草

 

 

なんて事はない。

パトカーに土嚢を鬼のように括り付けて、映画『ヒート』よろしくフロントガラスを蹴破って土嚢の間にAR-15を突っ込み制圧射撃(盲打ち)、拘束された女性の横で停車して女性を椅子ごと中に引き摺り入れ、拘束を解く。

そして、アクセルを思い切り踏み込んでアクセルにレンガを置いて固定。

女性を抱えて飛び降り、無人となったパトカー(過積載)は足場に突っ込み足場は倒壊、犯人もそれに巻き込む。

 

物騒な思考回路のスレ民と、物騒な思考回路*5の私の頭脳が導き出した最適解だ。

 

 

しかし、ここで油断したり「やったか⁉︎」なんて使い古された死亡フラグを建てるのはやられ役のする事。

散々映画で悪党に最初にやられる警察官を見てきた私は違───

 

 

シィッ!!!

 

「ファッ⁉︎」

 

 

土煙の中から、白い仮面の燕尾服が突っ込んできた。

何か煌めくブツを突き出してきたので、反射的に持っていたAR-15で防ぐ。

 

 

:おっぶえ⁉︎

:めぐねえはファッ⁉︎とか言わない

:今のレイピアか?

 

 

───ちょっと黙って!

 

 

:さーせんwww

:さーせんwww

:さーせんwww

 

 

───お姉さんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!!!

 

 

スレ民に後で絶対にやり返す事を誓いながら、レイピアの切先が生えたAR-15を慌てて離す。

 

 

「ふふふ、これはこれは。映像で見るよりもさらに見目麗しいお嬢さんじゃないか」

 

 

声をかけてきた人物を今一度観察する。

ひび割れた白い仮面。

煤だらけであちこちが破けた黒の燕尾服。

そして、キラリと光るレイピア。昔SA○でASN姉貴が使ってたのを見たから間違いない、あれはレイピアだ。

 

 

「なんですかアナタ、そんな愉快犯みたいな格好して」

「そういうお嬢さんこそ、そんな野暮ったい制服なんて似合いませんよ?今からでもパーティードレスに着替えたら宜しいのでは?」

「生憎これが1番のドレスなモノでして」

 

 

:でもせっかくめぐねえの顔なんだし色々コスプレしてほしいよな

:分かる

:みーくんのガーター着せようぜ!(提案)

:天才か?

:ここに天才がいた

 

 

マジで腹立ってきた。

 

 

「オフィサー!そいつには気をつけろ!そいつの剣は───」

「シッ!!!」

「おっぶえ⁉︎」

 

 

助け出した女性が何かを言い切る前に、白仮面がレイピアを突き出す。

腰に差していた特殊警棒を抜き、力の限りレイピアを受け流す。

しかし避けきれず、レイピアがこめかみを掠めた。

いってぇ!!!

 

 

「おっと、失礼。その見目麗しいお顔に傷をつけるつもりはなかったのですが」

「‥ッ、武器を抜いてる時点で説得力無いんですが‥‥」

「ははは、申し訳ない。どうしても貴女と楽しみたい物でッ!!!」

「何を───ッ⁉︎」

 

 

唐突に始まるラッシュ。

半分ぐらいは警棒で弾いたと思うが、左腕と脇腹にいいのを貰った。かすり傷もいくつか。

痛いんだよおおおおおおおおおおおお!!!!!(マジギレ)

 

 

:なんだこの殺陣⁉︎(驚愕)

:めぐねえの警棒捌きもやべえけどそれ以上にレイピアがやべえ!軌跡が見えねえぞ⁉︎

:てかめぐねえにひでが乗り移ってて草

:ひでしね

:めぐねえには生きてて欲しいけどひでしね

 

 

「オフィサー!!!」

 

 

女性が悲痛な叫びをあげる。

ところでオフィサーって呼ぶって事は貴女警察関係者なの????*6

 

 

「三好警部補、貴女とは後でまたじっくりお話しますから。今は彼女とやり合いたいのですよ」

「私はっ‥‥勘弁願いたいモノですけど‥‥っ」

 

 

警部補⁉︎

 

 

:警部補ォ⁉︎

:階級2、3つ上で草

:どうして警部補が真っ裸で誘拐されてるんすか‥?

:なんでやろなぁ‥‥?

:可哀想は抜けない

:可哀想は抜ける

:あ゛?

:あ゛?

:やめろやめろ

 

 

あ、タンマ、割とシャレにならないぐらい痛い。左腕力入んねえし脇腹の血は止まんねえしよォ!止まれよ!(逆オルガ)

 

 

「‥‥‥うーん、もっと頑張って下さいよお嬢さん。私は楽しみたいのです。私をもっと楽しませて下さい?」

「な、んでそんな、事する必要があるん、ですか?」

「──────そうですかぁ、では」

 

 

白仮面の纏う空気が変わった。

飄々とした軽い空気から、ズン、と重い空気に。

 

あ、マズ───

 

 

「さっさと死ね」

 

 

 

───

──────

 

 

 

一言で言うならば、オフィサーの背中から、奴のレイピアが生えた。

 

 

「う、ぐふ、ぉ」

「あァ、いい香りだぁ‥‥そう思いませんか、お嬢さん」

「───」

「む、もう声も出せませんか。なんと呆気ない」

 

 

立ちあがろうとするが、足に力が入らない。

なぜだ、なぜ私は動けない。

なぜこんな大事な時に私は呑気に見ているだけなんだ!!!

 

 

「くそッ‥‥クソ!」

「三好警部補、少しお待ち下さいね。もうちょっとこの余韻に浸っていたいので。人が死ぬ時の少しずつ冷たくなっていく体って良くないです?‥‥あ、良くない。そう‥‥」

 

 

オフィサーの体から力が抜ける。

あ、ああ、ダメだ、頼む、やめてくれ‥‥

 

 

「んーッ、たまらない!!どんな娯楽よりもやっぱりこの感覚が1番ですねぇ!ああ、ああ、貴女が1番にやってきてくれてよかった、お嬢さん、ここ数年で1番の快楽だァ‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?」

 

 

奴の素っ頓狂な声。

見ると、オフィサーの左腕が奴の首に巻かれている。

まるでオフィサーから奴を抱き寄せる様な格好。

というか抱き寄せた。レイピアが、さらに深く突き刺さる。

 

 

「おやおや、何か欲しいのですかお嬢さん。何をご所望で?口付けですか?それとも愛撫?ああ、もし処女を持ったままだというのなら、せっかくですから私が頂きましょうか?どうせすぐに死ぬ運命───」

「──────」

「ん?」

 

 

オフィサーが、青くなった唇を震わしながら開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

La victoire est à moi(調子に乗んな)*7

 

 

 

 

オフィサーの右手にはいつの間にか、リボルバーが握られていた。

 

 

 

44.マグナムが吠えた。

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛⁉︎」

 

 

股下に押し付けられたS&W M29から放たれた44口径弾は、白仮面の股間をそれはもう、それはもうぐちゃぐちゃに破壊し、貫通した。うわぁ‥‥

 

白仮面が声にならない叫びをあげ、佐倉巡査長の体を突き飛ばす。佐倉巡査長は倒れ込み、遂に意識を失った。

しかし、その顔はとても晴れやかであった。

 

 

「ばっ、ヒュー、おま、ばっかやろおおおお‥‥‥!!!どこを撃ってるこのクソアマァ‥‥‥ッ!!!」

 

 

股間からボタボタとこぼれ落ちる血とナニかを抑える白仮面は激昂した。

もはや快楽などどうでもいい。

殺す。

殺してやる。

無惨に、残酷に。

レイピアで腹掻っ捌いて五臓六腑を引き摺り出してやる。

 

普通ならば十分致命傷になり得る怪我も、激しく溢れ出る殺意の前にはなんの問題にもならない。

 

 

佐倉巡査長の腹に刺さったままのレイピアを思い切り抜き去り、両手で逆手に持つ。

 

 

「フーッ‥フーッ‥死に晒せェ!!!」

 

 

思い切りレイピアを振り上げた。

 

 

 

 

 

 

ダァン!!!

 

 

 

 

 

重く、腹の底から響く銃声が、倉庫の埃っぽい空気を再び震わせた。

白仮面が割れ、眉間に風穴が空く。

 

口をパクパクさせ、何が起こったか分からない様子の白仮面は、薄れゆく視界の中、

 

 

銃口から煙の揺蕩うM29をこちらに向けた、三好警部補を見た。

 

 

 

───

──────

 

白仮面が倒れた。

首筋に指を当て、死亡を確認する。

 

咄嗟に、オフィサーが落とした44マグナムを拾って撃ったがまさか眉間に当たるとは思っていなかった。ざまあみろと言ってやりたい気分だ。ケッ。

そんな事を考えながら、急いでオフィサーの元へ駆け寄る。

 

 

「オフィサー、オフィサー、大丈夫か」

 

 

返事がない。

腹部は赤く染まり、未だに流れ出る血が、オフィサーの周囲に赤い池を作り出している。

目は虚で、瞳孔が開きかけていた。

ああクソ、と1つ毒づいて、腹部の傷を上から押さえる。

効果があるかは知らないが、今この状況ではこれが精一杯だ。

オフィサーの肩の無線を引っ張る。

 

 

「本部、本部、犯人は射殺なるも警官が1名重傷。救急隊を要請する。繰り返す、救急隊を要請する。」

 

 

応答はない。何度か繰り返すが、結果は同じだった。無線の故障?そんなバカな。そんな状態でたった1人で銃を持った犯人のいる廃墟に突入するアホがいるものか。*8

その間にも血の池はどんどん大きくなっていく。

 

 

「頼むから、頼むから死んでくれるなよオフィサー‥‥!まだアンタの名前すら聞いてないんだぞ‥‥ッ!!」

 

 

心臓音が、弱く、小さくなっていく。

命が消えていく。

 

 

「ああクソ!!!死ぬな!死ぬんじゃない!オフィサー!目を閉じるな!オフィサー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入り組んだ山道を全速力で突っ走ってきた佐江11が倉庫に到着したのは、それから1分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

:いやぁ‥‥正直死んだと思ったんですよ。

 

 

:それな

:感覚共有切れたからなぁ

:意識飛ぶと感覚共有も切れるんすね‥‥転生者また1つ賢くなった

 

 

警察病院のベッドの上で病院着に身を包んだ私は、お見舞いのりんご*9の皮を剥きながらスレ民と脳内で会話していた。

 

出血多量で心肺停止意識不明の重体に陥った私は、事前に要請していた応援として急行してきた佐江11によって麓の病院───はどうも間に合わなかったようで、途中の村落にあった小さな診療所に麓の病院の医師と機材が集結。そこで緊急手術を受けてどうにか一命を取り留めた、との事らしい。今は容態が安定したため、街の方の警察病院に転院している。

 

正直輪廻転生(2回目)は覚悟していたので、目が覚めた時は思わず「知らない天井‥」などと口走ってしまった。初めて入院する病院だったから知らないのは当然なのだが。

 

 

 

因みにだが、今しているスレ民との会話、実は声に出していない。あまりにもやることが無いので、いつぞやのEDF兄貴が言っていた脳内入力の練習がてら、声に出さずに掲示板に書き込んでいる。

 

これが意外と便利で、現実で会話しながら掲示板でも会話ができるのだ。その分頭が死ぬほど疲れるが。

 

 

 

 

「やあオフィサー。体の調子はどうだ?ん、リンゴを剥いていたのか」

 

 

そう言いながら病室に入ってきたのは、スーツ姿のボーイッシュな女性。今回の事件の被害者、三好 絵里警部補である。彼女も一緒に入院したのだが、私と違い大きな怪我もなく検査入院の数日だけで退院したようだ。それからは、ちょくちょくこうしてお見舞いに来てくれている。

因みにだが、ついさっき見舞いに来た同僚から聞いた話だとどうも警視庁捜査一課の刑事らしい。めちゃくちゃエリートで草も生えないの。

 

 

「ああ、警部補。おかげさまで。お1つどうですか?」

「いいのか?じゃあ遠慮なく」

 

 

三好警部補は一言そういうと、椅子を引っ張り出してベッドの隣に座った。切ったりんごを1つ渡す。

 

 

:あぁ^〜、アネゴはたまらねえぜ!!!

(Ⅰ)<ミヨシは可愛いですね

:ボ卿は帰ってもろて

:ボーイッシュ女刑事すこ

:わかる

:そのボーイッシュなアネゴがボロボロになるまで乱暴されてたとか興奮する

 

:は?

:は?

:だから喧嘩すんじゃねえてめえらァ!

 

 

この反応から分かるように、スレ民はこのボーイッシュ系女刑事をいたく気に入った。『アネゴ』と呼び親しんでいる。‥‥一部で再び性癖戦争が勃発しているが、これ以上触れると面倒なのでノータッチにしておく。

 

 

「あれから変わりはないか?」

「ええ。同僚もちょくちょくお見舞いに来てくれますし。強いて言うなら知らない間にまた階級が上がってたぐらいですかねぇ」

「それは変わりある内に入るんじゃないか‥‥‥?とりあえず昇進おめでとう」

「ん、ありがとうございます、どうもご丁寧に」

 

 

そう、まだ警察官になってから1ヶ月も経っていないのに巡査部長である。

一応『類稀なる勤務努力による特例昇進』という建前らしいが、目の前でりんごをはぐはぐしているボーイッシュ豊乳系吊り目女刑事*10曰く、「本庁の刑事が誘拐されたとか警察の威信に関わるって言ってさ、オフィサーを昇進させて黙っておいてもらうって刑事部長が話してたよHAHAHA」との事。わろてる場合か。

 

 

「あ、そうそう。伝えることがあったんだった」

「?」

 

 

三好警部補はそう言うと、鞄から1枚のA4サイズの書類を取り出した。

その書類の題名は、『配置転換辞令』。‥‥‥ん?

 

 

「オフィサー、そこにある通り君は来月から、新設される強行犯捜査四係に異動になる。これから一緒に頑張ろうな」

「‥‥‥‥はい?」

 

 

猛暑が厳しい、ある夏の日のことだった。

 

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

          配置転換辞令

 

佐倉 恵 巡査長

 

 

 

 万和3年9月1日付をもって、〇〇県警地域課勤務を解き、新設される警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査四係勤務を命ずる。

 

 

 

 万和(ばんな)3年8月8日

 

           〇〇県警本部長 〇〇 △□

           警視庁刑事部長 △○ ×○

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

 

───

──────

 

 

【警視庁警察官誘拐及び暴行事件】

 

犯人:1名(射殺)

被害:警察官

    負傷2名(内1名は重傷)

   車両

    PC 全損1台

経過:犯人は被害者を電話で現場となった倉庫に呼び出し、背後から襲いかかり拘束、監禁。この間、被害者は犯人から性的被害・暴行を受けた。被害者が1週間の有給を取得していたため事件の発覚が遅れた。

 

 被害者を黙らせる為に拳銃を足下に発砲した際の銃声を近くをパトロール中であった佐倉 恵巡査長が察知し現場に急行。犯人と銃撃戦になり、犯人は死亡。佐倉巡査長は重傷を負った。

 

 犯人は以前、被害者の三好 絵里警部補に対しストーカー行為を行いその場で現行犯逮捕されており、被害者に対し一方的な憎悪を抱いていた。これが動機と思われるが、犯人が死亡したため真実は定かではない。

 

 

──────

───

 

 

*1
パトロール隊に配備されているライフル。アメリカとかだとM4/M16系統が多いとか。めぐねえの勤務する県警ではアーマライト社のAR-15を採用

*2
つまりめぐねえ。可愛い

*3

*4
※布が風に煽られた場合を除く

*5
自覚あり

*6
米国で巡査の事をOfficerと呼んだりする

*7
(この命は)あげません‼︎(日本総大将)

*8
ギクッ

*9
山形県産。ンゴー

*10
増える性癖




感想とかって貰えると嬉しいよね(チラッ)
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