一般やられ役警官に転生した転生者の憂鬱   作:運輸省

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動いてないのに暑くて干からびそうなので初投稿です。令和ちゃんもうちょっと気温抑えれない?


【朗報】銀髪美人とお茶してきたわwww(9)

「いやあ、ごめんね女将さん。わざわざこっちまで来てもらっちゃって」

 

「いえいえ。旅館ひなたも暇してますし、あと、前から気になっていた事もありますから」

 

 

アジト正面入口に繋がるひび割れたアスファルトの道路を、2人の女が歩いていた。

1人は機動隊の乱闘服や防護装備に身を包んだ三好。

もう1人は、和服をたすき掛けでまとめた京都弁混じりの女性。

以前、京都で色々あった際に世話になった旅館女将、里見たまである。

 

そして、2人とも腰に刀を提げている。より正確に言えば、三好は九五式軍刀*1。里見は無銘の太刀*2

 

 

「それで、私達は何をすればいいのでしょう?」

 

「えっとね、めちゃくちゃに引っ掻き回せばいいんだよ」

 

「すごく分かりやすい指示ですね」

 

「ね」

 

 

まるで日常の一幕のように歩く2人。

 

しかし、忘れてはならないがここは強制捜査()の最前線。2人の前方には1個小隊規模の防衛部隊。ただまあ、既に照準を終えているZU-23-2の射手は困惑しきっているのだが。

 

 

「リーダー、おいリーダー。撃っていいのかアレ?」

 

《ちょっと待てバカ。おい偵察!もっと詳しい情報はねえのか⁉︎監視カメラが爆撃で死んでて指揮所からじゃ確認できねえ!》

 

《へいへい、ちょいとお待ちを……さっきも言ったけどよ、まず和服を着た女が1人。で、その隣に機動隊の乱闘服を着たポリ公が1人。どっちも腰に刀を差してる。和服女の刀の方がでけえな。んで、ポリ公の方はショルダーバッグを担いでる》

 

《そういうんじゃねえよ、顔だ顔。人相は?》

 

《顔ぉ? 顔っつってもよぉ……あ? ああ、ありゃポリ公の方女だな。防護ベストで分かり辛えが胸が出てる》

 

《お前な……い、いや待て、ポリ公の方の髪色は? まさかピンクじゃないよな?》

 

《何言ってんだ、黒だよ黒》

 

《あぁ良かった……ターミネーター(めぐねえ)じゃねえか》

 

《お、ヘルメット脱いだ。*3ポリ公の方は黒のショート……じゃねえか、ウルフカットってやつだな。この前雑誌で見たぞ。ひぇー、すっげえ美人だぜ。ああいう女がいいなぁ俺ァ》

 

《…………なんつった今》

 

《え? いや、ああいう女が嫁に欲しいなって》

 

ちげえよバカ!その前だ!》

 

《えぇ……『黒のショートじゃなくてウルフカット』?》

 

《黒のウルフカット……おい、双眼鏡最大倍率でポリ公の方の“目の色”見えっか》

 

《目の色ぉ? なんなんだよさっきから一体……ああ、すげえなコレ。見えたわ。珍しいな、水色だ》

 

《……偵察、いい事教えてやる。そりゃあな、シアンっていう色なんだぜ。最悪だクソが!!!全隊撃ち方用意!!

 

「えっ」

 

《はっ? どうしたリーダー》

 

《どうしたじゃねえ馬鹿野郎!偵察はとっととそこ放棄して帰ってこい!防衛部隊は指示が聞こえなかったか⁉︎死にてえのか!アイツは化け物だ!》

 

 

その時である。

偶然か必然かは知らないが、ZU-23-2の射手は見た。

 

照準器の中のポリ公と和服女が、すらり、と、刀を抜くのを。

 

 

ぞくり

 

 

背中が凍りつくほどの殺気。防衛部隊全員の動きが一瞬止まる。

 

 

その一瞬こそが、命取りとなった。

 

 

前方でどん、という少し大きな音と砂煙が2つ。

引き金は引けなかった、体が間に合わなかったから。

 

次の瞬間、真横から声。

 

 

私、これでも結構怒ってるんだよ?

 

 

振り向けば、ピックアップトラックの荷台から降りるポリ公と、23mm曳光徹甲弾が満載された弾薬箱の上にちょこんと置かれたスト◯ングゼロのロング缶。開いたフタから煙が出ている。

 

え、何これは……(困惑)

 

なんて思っていたらそのロング缶が突然火を吹いた。

 

 

「!!!!!!???????」

 

 

慌ててZU-23-2の射手席から飛び退く。

 

 

火柱。

 

 

ロング缶の中にぎゅうぎゅうに詰められた酸化鉄とアルミニウムの混合粉が、火をつけられたマグネシウムリボンによって発火。アルミニウムが酸化鉄を還元しながら、およそ2200℃の高温を発生させた。

 

一般的に言われる『テルミット反応』である。

 

当然、そんな高温にアルミ缶が耐えられるわけがない。

アルミ缶は数秒もしないうちに溶解し、2200℃の行き着く先は、弾薬箱のその先。

 

 

満載の、23mm機関砲弾。

 

 

 

 

 

 

この時、ZU-23-2を載せたTOYOTA製のピックアップトラックは防衛部隊の陣形の中でも最前列に位置していた。

それが、ロング缶炎上からの23mm機関砲弾に誘爆して大爆発。あっちこっちに車体の破片やら燃焼物やら暴発した弾頭やらを撒き散らす事態に。

 

入り口側の退路は、燃え盛るピックアップトラックと2人の化け物によって潰れた。

 

では後方は?

 

無理だ、上からの指示は『時間稼ぎ』。この組織において時間稼ぎとは“お前の命を犠牲にして時間を作れ”と同義である。

 

 

前門の化け物、後門のパワハラ幹部。

 

 

今ここに、防衛部隊の運命は決した。

*1
私物

*2
拾い物(数百年前)

*3
三好「やっぱこれ暑いや」




次で銀髪美女編は最終回になると思います。なれ(懇願)
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