Infinite Dendrogram 罪と禍いの獣たち   作:ペイルカイザー

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拙い文章ですがよろしくお願いします


【屍将軍】 ジョージ・ンザンビ

6月14日 AM06:30

 

今日も私は目を覚ます。目覚まし時計を止めて、顔を洗ってパパとママに朝の挨拶をする。朝ごはんを食べて、仕事場に向かうパパと一緒にママに行ってきますの挨拶をする。

私の名前は樺根・四季。今年で中学二年生。部活動は文芸同好会とテーブルゲーム愛好会。最近夢中なものはオンラインゲーム「Infinite Dendrogram」通称デンドロ。一年前に発売されたこのゲームは今は私がいちばん好きなゲーム。だってこのゲームはなりたい自分になれるゲーム。なりたい自分でいられるゲームなの。今日も部活が終わって家でご飯を食べたらログインする予定です。

え?今の自分じゃダメなのかって?ダメだよ。ダメダメ。だって私のなりたい私は、

 

とっても悪い子だもの

 

 

 

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Infinite Dendrogram内時間

6月14日 PM19:30

 

今日も私はデンドロにログインしました。ログインして降り立った場所はデンドロにある国の一つ、黄河帝国です。現実での中国っぽい雰囲気の国で龍の国とも呼ばれています。今私がいるのは黄河帝国の首都「龍都」近郊の草原。

そして今、デンドロの世界にいる私の名前はジョージ・ンザンビ。こことは違う別の国に所属するプレイヤー=マスターです。今日のファッションは黒いゴシック風ドレスの要所に装甲を追加した装備。手持ちの中でも逸品の部類に入ります。それに持っているアイテムの中では一番おしゃれです。

だって今日はデートですから♪

 

「お待たせしましたリオウさん。行きましょう。」

 

私の隣に立っている人が今日のお相手。リオウ・ハンさんです。背は私よりちょっぴり高い162cmほど。黒髪に蒼い眼をしたアジア人風の顔立ち。身につけているのはゆったりとした道着のような衣服、背中には2mほどの槍。ジョブは【戦騎王】という超級職です。彼はマスターではなくティアン。このデンドロの世界に生きる人々、NPCなのです。そして彼こそ、私の愛しい人。

 

「ふふん、今日はですね〜まずは中央ストリートにあるお茶屋さんでお茶をして〜その後は服屋さんでのショッピングにも付き合ってほしいです!」

「・・・・・・・・」

 

リオウさんは寡黙です。でもそこが素晴らしい魅力だと思います!今日は寝るまでリアルで三時間、こっちでは九時間は一緒にいられます。さっき言ったデート以外にも一緒に狩りに出かけたりクランのみんなのところにも顔を出したいのです。

 

「待てそこの女ぁ!」

「はい?」

 

そこにいたのは昔モンゴルなどにいた遊牧民族が着ていたような民族衣装を纏った女性。片手にはリオウさんが持つのと同じ意匠の槍。

 

「何故その方がここにいる!リオウ・ハン様は死んだはずだ!」

「あらら〜?もしかしてリオウさんの同族の方ですか?おかしいですね。私ったら、全員殺したと思ったのに。」

「質問に答えろ!」

 

・・・まったく、せっかくのデートが台無しですよ。

 

「リオウさん、お願いしますね?」

「御意・・・。」

「リオウ様⁉︎私です、ハリウです!あなたと同じ部族の、【大戦騎兵】ですよ!同じ年に生まれ、育ってきたではないですか!」

 

私の言葉を合図にリオウさんが女性へと攻撃を仕掛けます。女性も槍を構えて応戦しますが、リオウさんには劣ります。素人目にもわかる劣勢。その女性の言葉が届くことはありません。だってリオウさんは私のもの。私の言葉だけが届く。

 

「やっちゃえ、リオウさん。」

「貴っ様ああああああ!」

 

わぁ、よく凌いでますね。リオウさんは結構強いと思うんですけど。でも、

 

「ぐああああああっっっ!!」

「黄河元最速の超級職には勝てませんよ?」

 

決着は20合にも満たない槍撃の果てにリオウさんが勝ちました。当然ですね。私が認めた、私の最愛の人。それこそがリオウ・ハンさんですから。ハリウさんと名乗った女性は両腕を槍で吹き飛ばされています。

 

「貴様、リオウ様に何をした・・・!」

「しつこいですねえ。ただリオウさんには私の理想になってもらったんですよ。」

「・・・は?」

「私、死んだ人が好きなんです。愛してるんです。だからリオウさんを、」

 

話しながら腰から一振りの小太刀を抜く。黒に近いほどに濃い濃緑色をした刀身に刻まれた「八房」の二文字。これが私のエンブリオ。私自身の願いが形になった存在。

 

「これで刺したんです。【死軍行脚 ヤツフサ】これでHPを0にされたモンスターやティアンは、みんな私のモノになっちゃうんです。モンスターなら生前のステータスをそのまま。ティアンならジョブやスキルを持ったまま私のモノにできるんです。」

「そんな、ではリオウ様は死んでいるというのか!貴様はまさか、そのためだけに我が一族を滅ぼしたというのか!」

「そうですよ。だって、欲しかったんですもの」

 

そう、リオウさんは黄河の草原地帯に住む遊牧民族でハンと呼ばれる族長でした。偶然彼とクエストで知り合った私は彼が欲しくなってしまったんです。でも、そのためには彼を殺すしかありません。

だからモンスター大量発生クエストに彼と行きました。結果は彼も私も満身創痍。

その彼の心臓を、後ろからヤツフサで刺したんです。

後は彼が死んでもバレないように遊牧民族の方々には死んでもらったんですけど、まさか生き残りがいるとは思いませんでした。

 

「安心してくださいね。貴女は殺しませんよ?」

「くっ、殺せ!戦士の恥を晒すくらいならばここで死ぬ!」

「そう言わないでくださいよ〜。」

「そのとぉぉぉりっで〜すね〜」

 

あ、ヨゼフさんだ。この人は今日合流予定だった私が所属するクランのサブオーナーさんです。

 

「ンザンビ〜このティアンは貰ってもいいですかぁ〜?新しい交配実験用素体が欲しかったんです。」

「いいですよ。私この後デートなので。」

 

もう興味はない。この人はもう戦えないし私を追うこともできない。なら今日の予定を過ごそう。

 

「楽しみですね、リオウさん♪」

「・・・・・・(こくり)」

 

私は今日も彼と過ごす。私は異端なのでしょう。私は狂っているのでしょう。それでも私は、彼といたい。それが私、

 

【屍将軍】ジョージ・ンザンビなのだから

 

 




死霊指揮特化超級職【屍将軍】ジョージ・ンザンビ
エンブリオ:【死軍行脚 ヤツフサ】
TYPE:ルール・アームズ
ネクロフィリアの少女。いつからかはわからないが死体に魅入られるようになっていたところに「無限の自由」を謳うデンドロの話を聞き購入。デンドロで理想のティアンを見つけ自身の恋人にしている

戦騎系統超級職【戦騎王】リオウ・ハン
元々は黄河に住む遊牧民族でハンという長の座にあった人物。ンザンビが一目惚れし、ンザンビによって故意に引き起こされたモンスターの大量襲撃クエストによって、満身創痍の状態になったところで刺殺。現在はヤツフサの力で動く特殊なアンデッドモンスターとなっている

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