魔法混沌アニマルむろく   作:逸環

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やっぱり前書きに書くことがなくなった12話です。


首都と音楽。

車を適当な駐車場に止め、『クラナガン』の雑踏をはやてと一緒に歩く。

 

 

「いい街だな」

 

「せやろ」

 

 

誇らしげなはやて。

まあ、この町を守っているのは、こいつらだしなあ。

 

 

「人に活気があって、金の循環もいい」

 

「結局お金かい!」

 

 

当たり前だろう。

社会という共同体の中で、金は重大なファクターだぞ。

 

 

「と、ん?」

 

 

あの看板は………。

 

 

「どうしたんや?」

 

「いや、楽器屋を見つけてな」

 

「楽器弾けるん?」

 

「弦楽器管楽器打楽器、何でもござれだ」

 

「それも?」

 

「女と話を合わせるため」

 

 

楽器、というか音楽は話のきっかけにしやすいんだよね。

しかも、音楽の趣味は人それぞれだから、それこそ深窓の令嬢系やギャル系、高飛車お嬢様系や堅物姫様系まで万能に話せるし。

 

 

「ま、一番得意なのはギターだな」

 

「予想通りやな」

 

 

どういう意味だ、こら。

 

 

「行ってみる?」

 

「いいのか?」

 

「今日は六禄君が行きたいとこに行くんや。私はその案内」

 

「それはありがたい」

 

 

二人で楽器店に入り、店内を物色する。

とりあえずギターのコーナーに行ってみるが、やはりと言うか何と言うか。

 

 

「地球のヤツよか、性能がいいのが多いな」

 

「まあ、技術力が抜きん出とるからなあ」

 

 

どれもこれも、地球で値の張るやつよりも音が良い。

と、これは。

 

 

「お、それが気に入ったんか?」

 

「まあな」

 

 

見てくれは『レスポール』みたいなんだが、音はそれよりも良さそうだ。

 

 

「すいませーん。これ弾いてみていいですか?」

 

「大丈夫ですよ」

 

 

適当に弦を調整し、店員からピックを借りる。

 

 

「なんて曲を弾くん?」

 

「………『ロックンロール』?」

 

「【………何で疑問系なんですか?】」

 

 

いや、だってなあ。

 

 

「音楽関係、特にロックは死んだ俺の爺さんに習ったんだが、その爺さんがよく言ってたんだがな」

 

「うん」

 

「『男がロックをしたけりゃあ、黙ってテメーの反骨精神(ロックンロール)を掻き鳴らせ』ってなあ!!」

 

 

瞬間、アンプを使っていないのに轟く爆音。

その音に陶酔し、思うが侭に弦にピックを叩きつける。

 

やっぱり良いね、この感覚は。

 

大体五分程度か。

ある程度満足するまで弾き、はやてに向く。

 

 

「どうよ?」

 

「すっごいやん!!なに今の!曲のテンポとか音程とかめちゃくちゃなのに、妙な安定感や一体感があって!んあぁぁっ!」

 

 

両手を包むように強く握り、顔を思いっきり近づけるはやて。

………なんか、凄く興奮しているな、こいつ。

 

 

「まあ、好評な様で良かった」

 

「ロックって、こういうことやったんやね!」

 

「『ロックンロール』の意味するところは、反骨精神だからな。下手糞でも、めちゃくちゃでも、思いの丈を叩きつけたらそれが『ロック』だ」

 

 

あれだよね。

人間死んでもロックな心を失っちゃいかんよ。

俺にロックを教えた爺さんは、婆ちゃんに死ぬまで頭が上がらなかったけど。

 

 

「で、店員さんこれ幾ら?」

 

「あ、買うんやね」

 

 

そりゃあね。

 

 

「12万円になります」

 

 

おぉっとぉ。

 

 

「俺、手持ち四万なんすけど」

 

 

買えねーよ。

 

 

「それなら六課の経費で立替たるわ。今日のやつも、またちゃんと増額したかったし」

 

「お、じゃあそんな感じで」

 

 

よかったよかった。

こいつを買えないってのは、結構惜しかったからな。

 

 

「カードでお願いします。あ、領収書は『管理局機動六課』で」

 

「分かりました」

 

 

サービスで変えの弦とケースをつけてもらい、店の外に出る。

店の中だと気付かなかったが、外はもう真っ暗だった。

 

 

「じゃ、帰ろっか」

 

「そうだな」

 

 

来た道を戻り、駐車場へと向かう。

 

 

「帰ったら、六禄君とジャンヌちゃんがうちに来たお祝いやな」

 

「お、そいつはいいね」

 

「【………ありがとうございます】」

 

 

はやての作る飯は美味いからな。

楽しみだ。

 

 

「そや。帰ったら、皆にも六禄君のギター聞かせたってえな」

 

「べつにいいぞ」

 

「やった!」

 

 

本当に嬉しそうに、左手でガッツポーズをするはやて。

さてさて、なにを弾いたものやら。

期待には応えないといけないな。

 

二人で並ぶ帰り道。

はやての右手と、俺の左手は繋がっていた。

 

 

 

 




女が絡めば、大体のことはできるようになる主人公。

というわけで、今回は甘い話を目指してみました。
………どういうわけだ?
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