魔法混沌アニマルむろく   作:逸環

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フェイト視点からスタートです。


金と黒の兄弟。

『姉貴』って、どういうことなの?

私の頭の中を、グルグルとその単語が回る。

 

 

「貴方!そんな言葉でフェイトちゃんを動揺させようなんて!」

 

「いやいやいやいや。これはマジな話。あそこのリニアレールで兄貴が今頃バトってるはずだが、そいつもそうだぜ?」

 

 

そう言うと、彼はリニアレールの方を向き、

 

 

「っ!?……………ククッ!なんだ!なんだなんだなんだ!!あいつもいたのか!…と、アレじゃマズイな」

 

 

思いっきりの笑顔でこちらを向いて、

 

 

「お前らの相手をしているよりも、よっぽど面白いもんが転がっているんでな、あっちに行かせてもらうよ」

 

 

そのまま空中を蹴って行ってしまった。

 

彼は、ううん。

彼らはいったい、私の何なの?

 

 

 

 

 

 

 

 

~Side主人公~

 

 

結果的に言えば、俺の撃った弾丸はカインの左腕を引き千切っただけに終わった。

それもこれも、

 

 

「いやー、危ない危ない。『非殺傷』しないで魔法撃つって、お前本当に管理局員か?」

 

「はっ。俺は雇われの傭兵みたいなもんだよ」

 

 

こいつが急に空からやってきて、カインの右腕を引いたからだ。

まったく、余計なことを。

なのはたちは何をしてんだ?

 

しかしこいつ、カインに随分と似ているが、

 

 

「まあ、なんともお前らしいがな。『正晴』」

 

「?!」

 

 

何で、こいつが俺の前の名を?!

 

 

「あれ?俺が分からないのか?…ああ、そうか。今は顔が違ったな。ほれ、これでどうだ?」

 

 

そう言いながら、そいつが今まで角度上見えていなかった左頬を見せる。

 

て、その刺青は?!

 

 

「まさか?!いや、でも?!」

 

「お、とりあえず分かったみたいだな」

 

 

否定はしたいが、あの刺青に俺の前の名前を知っているという事実。

そこから判断すると、

 

 

「………久しぶりだな。『兄貴』」

 

「久しぶりだなぁ。あ、そうそう。今は『アベル・スカリエッティ』っていうから。こいつの双子の弟ね」

 

 

間違いなく、こいつは俺の前世の兄貴。

『柳田 真澄(ますみ)』だ。

 

「………何時死んだんだ?」

 

 

少なからず、俺の前世の期間中は生きていたはずだが。

 

 

「お前が死んだ翌日にな、(すみれ)ちゃん。ほら、幼馴染の。あの子がお前が死んだショックでふらふらしてて、トラックに轢かれそうになったんだよ」

 

「それを助けて死んだってか?」

 

 

なんか、俺と似た死因だな。

 

 

「あ、いや。それはお互いに無事だったんだが、そのトラックの荷物を固定するロープがちょうど切れて、崩れた鉄骨の下敷きになって死んだ」

 

 

………えぇー。

なんという不幸。

締まらないにも程がある。

 

 

「ちなみに菫ちゃんもこっちに来てるぞ?」

 

「結局死んじゃった?!てか来てんの?!」

 

「おう。鉄骨崩落に巻き込まれてな。今は『ナンバーズ』とかいうのの13番目」

 

 

締まらねえよおぉぉぉっっ!!

しかもなんで『ナンバーズ』入りしてんだよ!?

 

 

「まあ、そんなことは、どうでもいいだろう。そろそろ行かないと、こいつが死んじまう」

 

「ぐぅぅぅ………………っ」

 

 

痛みからか、呻き声を出すカイン。

どうやら、今は気絶しているようだ。

 

しかし、

 

 

「その死に掛けの理由は、お前だ」

 

「はあ?」

 

 

何を言ってんだこいつ?的な声だが、事実だ。

 

 

「俺は『バリアジャケット』越しなら胸骨と肋骨が折れて肺に刺さり、呼吸不全に追い込まれる程度にする予定だったんだ」

 

「いや、それ死ぬから」

 

 

大丈夫だ。

心臓潰れてなくて、刺さった肋骨がズレなければ。

 

 

「ま、そろそろ引かせてもらうのは本当だ」

 

「逃げれると思ってんのか?」

 

 

フランシスの銃口を奴の心臓、いや、カイン(・・・)の心臓に向ける。

 

 

「うおう。動けない奴を狙うとは、相変わらずだな。しかし、一度も俺に喧嘩で勝てなかったのに、よく言うな?」

 

「『柳田 正晴』が『柳田 真澄』に勝てなくても、『水無月 六禄』は『アベル・スカリエッティ』に勝てるかも分からんだろ?」

 

 

あいつが何の能力を引っさげているのかは分からないが、俺の命を一度に刈り取れるほどのものはまずない。

持久戦に持ち込めば、こっちに利はある………と、信じたい。

 

 

「ククッ!確かにその通りだな。だが、まあ、ここでおっぱじめたいのも山々だが、こいつをいい加減連れ帰らないといけないからな。いい加減帰らせてもらうよ。『レリック』はお前らにくれてやる」

 

 

その言葉の直後、

 

 

「【『スモーク・ディスチャージャー』】」

 

 

ボフゥッ!

 

 

という音とともに、大量の煙が奴の足元に発生した魔方陣から撒き散らされる。

本来ならばこのまま魔力弾を撃つところだが,

 

 

「意味はないか」

 

 

どうせすぐにその場を離れて、転移魔法か何かで逃げている。

 

 

「「六禄さーん!!」」

 

 

俺の分体に乗り、こっちに向かって来るエリオとキャロ。

どうやら、向こうも終わったみたいだな。

 

『レリック』も守りきったし、これで任務は成功だな。

あくまでも『ガジェットの全破壊とレリックの奪取』が目的だし。

 

 

「そんじゃあまあ、俺たちも帰るとするか」

 

「まだ『レリック』回収してませんよ?」

 

 

あ。

 

 

 

 

 




嵐のようにやりたい放題やって、嵐のように消えたアベル。
これが柳田家長男です。
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