はやては何かやることがあるらしく、八神家を連れて転送ポートで別れた。
残った俺たちは転送ポートを使い、地球に降り立つ。
どう考えても
しかし、まあ。
俺の居た世界ではないが、妙に感慨深い。
「まあ、そんなことは、どうでもいい」
「口に出して言うことじゃないと思いますよ?」
あまり気にすんな、スバル。
しかし、一面に広がる綺麗な青の湖に、緑輝く森。
その先にはコテージらしき物も見える。
………ここ、俺の地元とそっくりなんだが。
いや、俺の地元は山の中だったから当たり前っちゃあそうなんだが。
「へぇ……」
「ここが、なのはさん達の、故郷……」
「そうだよ。ミッドと殆ど変わらないでしょ?」
「空は青いし、太陽も一つだし。」
「山と水と。自然のにおいもそっくりです!」
「そうだな。人里に近づくとくっさい牛糞と肥溜めの臭いもするぞ」
「しないよ!?」
俺の地元はしたんだよ。
畑と酪農やっている家が多かったからな。
「秋になると稲が田んぼ一面に輝いてなぁ」
「ごめん、六禄君ってどこ出身なの?」
「神奈川の田舎」
東京まで電車一本で行ける田舎だけどな。
最寄り駅まで車で20分かかるけど。
「と言うか、ここは具体的にはどこでしょう?なんか、湖畔のコテージって感じですが」
「現地の住人の方がお持ちの別荘なんです。捜査員待機所としての使用を、快く許諾して頂けたですよ~っ」
「現地の方……ですか?」
湖畔のコテージ、転送ポートの設置を許せる、つまり金持ち。
ふむ。
「奢ってもらうか」
「何をですか?」
「スイーツ」
「私もお願いしたいです!」
スバル、いっそ素晴しいなお前は。
と、車が来たな。
「自動車? こっちの世界にもあるんだ」
「ティアナ、お前あとでコテージの裏来い」
「大きな声出すけど?」
「出せるとでも?」
「ティアも六禄さんも不穏な会話をしないで」
む、確かにそうだな。
お、丁度車が到着したか。
「なのはっ! フェイトっ!」
「アリサちゃん」
「アリサ」
「なによも~。ご無沙汰だったじゃない?」
「にゃははっ。ごめんごめん」
「いろいろ忙しくって」
「アタシだって忙しいわよ?大学生なんだから」
「アリサさ~んっ。こんにちわですっ!」
「リイン!久しぶりっ!」
「は~いですぅ~っ」
………女子たちの仲睦まじい姿を見るのはいい。
だが俺たちを蚊帳の外にするのはよしてくれ。
そして美人ぞろいだな。
「紹介するね。私となのは、はやての友達で、幼なじみ」
「『アリサ・バニングスです』。よろしくね」
「「「「宜しくお願いしますっ!」」」」
「俺は『水無月 六禄』。ちなみに今晩とか、どう?」
「お断りよ」
ククッ。
ガードの固い女は嫌いじゃないな。
どうやってベッドまで持っていこうか、なかなか燃えるじゃないか。
「六禄君。ナンパの前に、『サーチャー』を設置しに行くんだからね」
「りょーかい」
………『サーチャー』って何?
「こうして、こうして、こうです!」
「なるほどなるほど。ありがとうな、スバル」
「いえいえ」
あの後、遅れてやってきたはやてたちと合流してから、手分けして『サーチャー』とやらを設置に行った。
最後の一個をスバルに教えてもらいながら、『サーチャー』を設置する。
ちなみに、今ので俺のノルマは達成だ。
「でも、私でよかったんですか?ティアやなのはさんのほうが、私よりうまく教えれますよ?」
ん?
そんなことか?
「あの二人に教えてもらうより、お前に教えてもらう方が気が楽なんだよ」
「ああ~」
そりの合わないティアナより、本職だからガチ過ぎるなのはより、スバルに教えてもらうほうがずっと気が楽だからな。
「ティアー、こっちは終わったよ~」
「俺も終ったぞ」
「あたしもこれで終わりね。なのはさん、サーチャーはこれで全部ですか?」
「えーっと……うん、サーチャーの設置はこれで全部。リイン、大丈夫だよね?」
「はいです。サーチャーの設置、完了ですよー」
しかしまあ、不可視魔法とはなんとも便利な。
使用用途が、悪用する方向にしか思いつかない自分に自己嫌悪するが。
いや、監視カメラに使えば、窃盗犯逮捕に一役かうな。
見えないから油断させられるし。
「結構時間かかりましたねえ。もう暗くなってきてますよ」
「あ、本当だ」
スバルとティアナがそう言うが、確かにそうだな。
どうりでさっきまでに比べて身体の調子がいいわけだ。
日が沈むと元気になる。
さすが吸血鬼ボディ。
ただ、必然的に不眠症になるのが困る。
「【ロングアーチからスターズとライトニングへ】」
と、通信が入ったな。
この声ははやてか?
「【さっき、協会本部から新情報が届きました。ロストロギアの所有者が判明。運搬中に紛失したとのことで、事件性はないそうや。本体の性質も、逃走のみで攻撃性は無し。ただし、大変に高価なものなので、できれば無傷で捕らえて欲しいとのこと。まぁ、気ぃ抜かずにしっかりやろ】」
………ほう?
大変に高価だと?
「六禄さん?なんでそんなに真っ黒な笑顔なんですか?」
「スバル。世の中には気にすべきことと、そうでないこと。そして見て良いものと悪いものがあるんだぞ?」
「………はい」
しかし、逃走する古代の遺物って。
お前ら誰でもいいからツッコめよ。
このままだと、まともな感覚でツッコミを入れるのが俺しかいなくなるぞ。
「じゃあ、ひと段落ついたし一旦待機所に戻ろうか」
「ですです。晩御飯の時間ですよ~」
「やった!ご飯っ!!」
飯と聞いて喜ぶスバル。
いったい、あの細い体のどこにあんだけの飯が入り、そして何故太らないのだろうか。
ちなみに、
「…………………」
さっきからスバルの腹をガチ睨みしているティアナの目が、真面目に怖いんだが。
「ライトニング。そっちはどう?」
「【こちらライトニング。こっちも一段落付いたから待機所に戻るよ。ロングアーチ、何か買って帰ろうか?】」
「【こちらロングアーチ。ありがたいことに、夕食は民間協力者の皆さんが用意してくれるそうや】」
「【うん、了解。じゃあ、スターズのみんなを車で拾って帰るね】」
「ありがと、フェイト隊長」
どうやら話はついたようだな。
「う~ん。でも手ぶらで帰るのも何かな~?」
なのはが何か呟き、携帯を取り出して電話をする。
………そういえば、俺の携帯壊れっぱなしだったな。
ミッドだとジャンヌの通信機能で事足りたし。
「あ、お母さん?なのはです」
「「「……へ?」」」
「にゃはは、うん。お仕事で近くまで来てて。……そうなの、うん。ほんとにすぐ近く。でね?現場のみんなに」
………………親かよ。
とりあえず今日の業務は終了したようなもんだが、それでも出張任務中に親に連絡入れやがったよ、こいつ。
いや、待てよ?
確かこいつの実家は………、
「さて、ちょっと寄り道」
「はいです~」
「隊長、今の電話って……?」
「私の実家だよ。うち、喫茶店なの」
「「えええ~っ!?」」
「喫茶翠屋。お洒落でおいしいお店ですよ~」
「ケーキは美味いか?」
「ケーキだけじゃなくて、シュークリームやクッキーもあるの」
「行くぞスバル!なのはの奢りだ!好きに食え!」
「おぉ~!!」
「ちょっとぉっ?!」
なのはの抗議が聞こえるが、そんなものは、どうでもいい。
金持ちを見たら財布とみなし、女を見たら色々考える主人公。