魔法混沌アニマルむろく   作:逸環

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吸血鬼と吸血鬼のお話。


月下の月。

夜のコテージで行われるバーベキュー。

そこは正しく、

 

 

「ちょっとスバル!あんたさっきからお肉食べ過ぎっ!」

 

「え~だってぇ~……ってあぁぁぁ!ね、狙ってたお肉がぁぁぁ……」

 

「ふっ、甘いでぇスバル。バーベキューの網の上は常に戦場や!周囲を警戒し、尚かつ自分の領分をしっかり守る。それがバーベキューの基本中の基本やな」

 

「了解ですっ!八神部隊長!」

 

「ヴィータ。お前も少し食べすぎだぞ?……っ!?貴様っ!私の焼いていた肉を全て取りおって!」

 

「ハッ、あめぇんだよシグナム。はやても言ってただろ?バーベキューの網の上は常に戦場だってな」

 

 

戦場だった。

阿呆みたく食べるスバルとヴィータ、更に負けず嫌いのシグナムとポンポコなはやてが同じテーブルに座ってしまったのだから、必然と言えば必然だが。

 

ちなみにだが、俺のテーブルにはなのはにアリサ、さっき会ったばかりの『月村 すずか』、エリオにキャロ、フリードに俺。

それと美由希と、『エイミィ・ハラオウン』、そしてシャマル。それとフェイトの使い魔であるアルフ。

実に平和的なメンバーだな。

 

なのはの兄貴?

ケーキ食ってすぐに『翠屋』出たから、会ってないけど?

 

だがしかし、そこで暴れてる奴らに言いたい。

バーべキューってな、もっと和気藹々(わきあいあい)とするもんだからな?

 

てか、お前ら、

 

 

「飯食ってる時に争う馬鹿共は、全員石抱き三時間にすんぞ!!」

 

「「「「「すいませんでした!!!」」」」」

 

 

一斉に頭を下げる面々。

それでいいんだよ。

 

 

「フェイトさん、石抱きって何ですか?」

 

「んー?ちょっと私も分かんないなぁ。なのはは?」

 

「??????」

 

「あ、うん。分からないんだね」

 

 

お前たちはそのままでいてくれ。

あそこの分かってしまった奴らの様にはならないでくれ。

 

 

「エリオ、こっちもう焼けてるよ」

 

「あ、ありがとうございます。フェイトさん」

 

「はい、フリード」

 

「キュクル~」

 

 

しかしこの三人、こうして見ると、

 

 

「………普通に母子家庭?」

 

 

間違ってはいない気はする。

 

 

「あの」

 

「ん?」

 

 

後ろから声をかけられ振り向くと、そこにはすずかがいた。

いったい、何の用だ?

 

 

「………ここでは話しにくいことですから、少し離れた所で」

 

「あいよ」

 

 

喧騒から離れ、自分たちの声が聞こえないところまで連れ歩く。

つき合わせたすずかの顔は、何かを決意している顔だった。

 

 

「………貴方を噛んだ吸血鬼について、お話があるんです」

 

「ああ?」

 

「私は、…いえ、『月村家』は『夜の一族』と呼ばれる、吸血鬼の中でもトップに位置する家系です」

 

「ほう」

 

「そんな私たちの監督不行き届きで、貴方のように吸血鬼になってしまった人が出てしまいました」

 

「いや、それはしょうがないだろう。結局個々人の問題なんだから」

 

 

あんたらに罪はないぞ。

元からないけど。

 

 

「そんなことはありません!」

 

「耳がぁっ!?」

 

 

至近距離で大声を出されると、マジで辛いんだよね。

 

 

「私たちが悪いんです!私たちが…貴方の人生を狂わせてしまった………」

 

 

………あー、うん。

なるほど。

 

 

「何をトチ狂ったこと言ってんだ?」

 

「………え?」

 

 

随分とおかしなことを言うな。

 

 

「俺の人生は、どこも狂っちゃいねえぞ」

 

「そんなはz「俺の人生の課程において、命題は常に一つ」え?」

 

「『生きる意味を見出す』。その過程において何があろうとも、そんなことは、どうでもいい」

 

 

そのために俺は、態々転生までして生きているんだ。

 

 

「だから、お前が気に病むことは何一つない」

 

「………でも」

 

 

それだと気が済まない、か。

そっちには完全に非はないが、転生に関することは黙っていたほうがいいし。

 

そうだな。

 

 

「じゃ、ま、これでいい」

 

「………はい?」

 

 

すずかに差し出したもの、それは、

 

 

「一杯酌をしてくれれば、それでいい」

 

 

席を離れる時に持ってきた、ビールとグラス。

 

 

「美人が酌をしてくれるんなら、俺はそれで満足だ」

 

「………はいっ。喜んでっ」

 

 

空の月も上々、隣の月は美人。

今夜はまったくもって酒が美味い。

 

 

 

 




感じる必要のない責任を、何も知らないゆえに背負ってしまうすずかと、言えないがゆえに背負わせてしまった主人公でした。
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