「さて、サーチャーの様子を監視しつつ、お風呂済ませとこか」
「「「はいっ!」」」
ティアナ、スバル、キャロが嬉しそうに頷く。
しかし、分体を使って散策した結果、このコテージ付近に風呂はなかったが。
「そうすると……」
「やっぱり」
「あそこですかね?」
「あそこでしょう」
地元民たちが頷き合っているが、俺らはここら辺の土地勘はないぞ。
さっさと説明して欲しいんだが。
「さて。機動六課一同。着替えを準備して、銭湯準備!これより、市内のスーパー銭湯に向かいます」
「スーパー……」
「セントウ……?」
うん。
分かっていない人がたくさんいるね。
「でっかい風呂だと思ってれば、九割方OKだ」
「「「「へ~」」」」
さて、じゃあ行こうか。
「は~い。いらっしゃいませ~。海鳴スパラクーアへようこ………団体様ですかぁ~?」
「えっとぉ……大人13人、子供4人です」
「エリオと、キャロと……」
「私とアルフですっ」
「あの、ヴィータ副隊長は……」
「あたしは大人だ」
「ブフッ!」
「殺す!!」
ヴィータの大人発言に、思わず笑ってしまう。
いやいや。
なんとも微笑ましい。
「うりうり」
「頭を撫でるな!子ども扱いするなぁっ!」
すまんすまん。
「つい」
「ついじゃねぇよ!」
お前のそうやってムキになるところがまた、子供らしいのだが。
と、ん?
「広いお風呂だって。楽しみだね?エリオくんっ。」
「あ、うん。そうだね。スバルさん達と一緒に楽しんできて」
「……えっ?エリオくんは?」
「えっ!?ぼ、僕は、その、一応、男の子だし……」
「エリオ、どうしたー?」
「あ、六禄さん」
なんか、エリオとキャロがもめていた。
何があったんだ?
「いえ、その、キャロが一緒に女湯に入ろうって」
「いってらっしゃい」
「あれ?!」
そんなんお前人生経験積みに行って来いよ。
俺なんかもう違法か混浴しかできないんだから。
「でもほらっ。エリオ君あれ見て?」
「え?」
キャロが指差した張り紙には、
※女湯への男児入浴は、11歳以下のお子様のみでお願いします。
と書かれていた。
ふむ。
「エリオ、最終確認だ。今いくつだ?」
「………10歳です」
「諦めていって来い」
「そうそう。せっかくだし、一緒に入ろうよ?」
「フェイトさんっ!?」
ここでお母ちゃん参戦か。
本格的に退路がなくなってきたな。
「い、いやいやいやいやいやいや!!ああああのですね!それはやっぱり、スバルさんとか隊長達とか、アリサさん達もいますしっ!」
「別にあたしはかまわないけど?」
「って言うか、前から頭洗ってあげようか~とか言ってるじゃない?」
「あたしらも良いわよ?ね?」
「うんっ」
「いいんじゃない?仲良く入れば。」
「そうだよ。エリオと一緒にお風呂は、久しぶりだし……。入りたいなぁ」
退路完全になしだな。
「あ、あのっ。お気持ちは非常に……なんですが……ほ、ほらっ!そうなると六禄さんが一人になっちゃいますし!」
ほう。
俺をだしに使うか。
なるほど。
「エリオ」
「は、はい!?」
「人生経験だ。女湯行って来い」
「うわあぁぁぁぁぁんっっっ!!!」
あっという間に走り去り、男湯に駆け込むエリオ。
………どんだけ女湯に入りたくなかったんだ。
「人生経験って、どういうことなんや?女湯に入るだけやろ?」
はやてが俺にそんなことを訊いてくる。
「仮にあいつが今日お前たちの裸を見たとする。そして10年後。
「『ディアボリック』」
「正式に謝罪しよう」
女性相手に言うことじゃなかったよね。
で、脱衣所。
脱いだ服の置き場所とかをエリオに教えながら、着替えを進めていると、
ガラッ!
「エリオ君っ、六禄さん!」
「「………え?」」
タオルを巻いたキャロが、扉を開けて入ってきた。
………フェイトは置いてけぼりか。
あいつ、子供たちと風呂に入るの、めちゃくちゃ楽しみにしていたんだが。
いや、まあ、母親なんて、往々にしてそんなものだが。
なんとも憐れな。
しかし、こうして戯れている子供たちを見ると、どうしても口角が緩むな。
まあ、それも当たり前か。
「ほれ、二人とも。さっさと入るぞー」
「「はーい」」
~Sideフェイト~
「エリオ~………。キャロ~………」
「フェイトちゃん。子供っていうのは、意外と早く親離れするんやで」
「そんなこと言われてもおおぉぉぉぉ………」
二人とも~。
一緒に入ろうよぉぉぉぉ~~~。
子離れできないフェイトさんでした。