私の放った弾丸が、私の親友を傷つけようと牙を剥く。
誘導しようにも、膨大な魔力の負荷により、今の私ではたった一発の弾丸すら誘導できない。
最悪のパターンが、頭をよぎる。
ダメだ、それだけは。
スバルは私の、かけがえのない親友なんだ。
絶対に、それはいけない!
思わず、手が伸びる。
しかし、無常にも弾はそのままスバルへと向かい、
「出番だ鶏!ぶっ飛べ!!」
「コケエエェェェェエエェエェェェッッッ?!!」
突如飛来した鶏と衝突し、
……………………鶏?
「まったく、なんとも危なっかしいな。おい」
首に巻かれたネクタイを緩めながら、飄々とした態度でこちらにやってくるあいつ。
その姿は、どこかこの状況を楽しんでいるようにも見える。
「さて、お前ら。そこの金髪は、俺が先約だ」
っ!
「今私たちが倒すとこだから、あんたはガジェットたちを相手して!!」
今、金髪の相手をこいつに任せるということは、私の…、ランスターの弾丸が負けることを証明してしまうということ。
それだけは、絶対に………っ!
「金髪どころか、仲間を倒すとこだったのに、か?」
「っ!」
「ち、違うよ!今のもコンビネーションで!」
スバルが私を庇おうと、駆け寄ってくる。
一番大変な目にあったのは、あんたなのに………。
「スバルは黙ってろ」
そのスバルの言葉を切り捨て、言葉を続けるこいつ。
「俺はよく仲間とつるんで喧嘩してたからな、今のお前みたいになった奴が、その後どうなるのかを良く知っている」
「………どうなるっていうのよ」
嫌だ。
聞きたくない。
けれど、私の中の強気な部分が、それを聞いてしまう。
「敵も味方も見境がなくなって、しまいには死人を出す」
その時はたまたま殺さずに済んだが。
と、続ける彼の言葉が、私の胸に重く圧(の)し掛かる。
「ティ、ティア………?」
「っ!!」
ぱしんっ
と、私を心配して伸ばされたスバルの手をはたき、そのまま走り去る。
………私は、惨めだ…………………。
~Side主人公~
走り去ったティアナから視線を逸らし、カインの方に目を向ける。
そういえば、俺らが話していた間何のアクションも起こさなかったが、いったいなんで…………あれ?
「おい、カインはどこに行った?」
さっきまでいたはずのそこに、カインはいなかった。
「あ、六禄さんが来た時に、「まだ左腕が本調子じゃないから次の機会にする」って言って、仲間に召喚魔法で逃がしてもらったようです」
俺の疑問に、はきはきと答えるエリオ。
「………召喚魔法で?」
「召喚魔法で」
………追いかけられねぇ。
しかしあの左腕。
まだ本調子じゃないと言っていたらしいが、巻かれていた布といい、気になるな。
そんなことを考えていると、
「皆さん!大量のガジェットがこっちに!」
キャロが突然、大声を出す。
キャロが視認した方向を見ると、確かに大量のガジェットが向かってきていた。
て、あ。
「すまん、俺だ」
「「「は?」」」
来ている方向、数から考えると、
「あれ、俺がここに来るまでに無視したガジェットたちだ」
「「「ちょっとぉぉぉぉぉっっ?!」」」
どう考えても、俺が引っ張ってきたな。
だがお前ら。
特にスバルよ。
「文句を言うのは自由だが、あれを無視しないで真っ当に戦っていたら、スバルは今ごr「無視して来てくれて、ありがとうございました!!」よろしい」
人間、ちゃんと感謝できないといけないと思う。
しかし、あの数のガジェット。
いったいどうしたものか。
ん?
ああ、そういえば今練習中の技があったな。
あれにしよう。
「ジャンヌ、準備をしろ。
「【………了解しました。マスター】」
さて、『獣王の巣』のバリエーション。
その実験台になってくれ。
「分体結束500体。『原初の海』」
俺の足元から、混沌が広がった。
全国に何人いるかは分からないですが、鶏ファンの皆様。
また鶏に出番が訪れましたね!