「えっと。報告は以上かな?現場検証は調査班がやってくれるけど、みんなも協力してあげてね?しばらく待機してなにもないようなら、撤退だから」
「「「はい」」」
「あいよ」
「………はい」
ティアナの返事が、少し遅れる。
いつもは模範的に真っ先に返事をするんだが。
ふむ。
これだけで今の精神状態が計れるな。
ところで、ガジェットの大半は俺が喰ってしまったのだが、調査班的にはそこのところどうなのだろうか?
「おーい!ここら辺草の一本も生えてないけど、何があったんだー!?」
「喰ったー!」
「りょうかーい!………いや、待て待て!!?」
………後で調査班には顔を出しておこう。
ちょっとした責任感を感じる。
「それと、ティアナ……」
「っ!」
なのはに名前を呼ばれて、ティアナがビクッと身体を震わせる。
「ちょっと、私とお散歩しよっか?」
「………はい」
なのはに連れられて、森の方へと歩いていくティアナ。
スバルは、そんな2人を心配そうに見つめている。
「それじゃあ、私達は調査のお手伝い。ティアナなら大丈夫だよ、なのはも、ちょっと注意するだけだと思うから」
「あ、はい………」
「現場調査もお仕事の一つだし、勉強だよ。私は向こうにいるから、分からないことがあったら遠慮なく聞いてね?」
「「「はい」」」
「りょーかい」
フェイトの指示に従い、各々動き出す。
さて、ティアナのカバーは、なのはがやってくれるみたいだし、俺は現場検証といきますか。
と、その前に。
「スバル、ちょっと話がある」
「…はい」
こっちの方も、フォローしないといけないな。
なのはたちが行ったのとは、反対の方向の森へ、スバルを連れて行く。
「スバル。お前は悪くない」
「え?」
「あれは完全にティアナのミスだ。だから、お前が気にする必要はない」
俺が状況を見た限りではの話ではあるがな。
あの土壇場に丁度着いたとこだったが、それまでにも分体越しに状況は確認していた。
だから、こんなことが言える。
「………違います。あれは、本当に私が悪かったんです」
「あ?」
こいつは何を言っているんだ?
「お前は、あいつの指示を無視して行動したのか?」
「…ううん。でも、あれは私がティアに、無茶をさせちゃったせいで………」
………仲良しこよし、ね。
友情とはかくも美しきかりや。
とはよくも言ったもんだが、
「阿呆ぬかせ」
「え?」
「お前が命令違反を犯したんじゃないなら、それはお前のミスじゃない。自分の実力以上のことをしようとした、あいつのミスだろうが」
「でもっ!」
「今回は俺が来れたから良かったが、そうじゃなかったらお前、再起不能か最悪死んでたからな」
「…………………」
俯いて、黙るスバル。
噛み締めた唇からは、今にも血が零れそう。
…まったく。
「まあ、でも良かったよ」
「………え?」
さっきまでの否定の言葉から、一転した俺の台詞に顔を上げるスバル。
しかし、これは事実だ。
「お前が無事で良かったし、今回のこれであのバカも間違いに気付けたはずだ。後々取り返しがつかなくなる前に、こうなってむしろ良かっただろ?」
最悪になる前に、最悪になってしまう前に。
まだ間違ってしまっただけで済む、今の内に。
こうなって、こうなることができて良かった。
「………そう、ですよね」
「そうそう」
さっきまでの表情が一転し、笑顔になるスバル。
ちょっと違った考え方を教えただけで、現金な奴だ。
ただ、
「まあ、こんなことを言ったところで、あいつのミスがチャラになるわけじゃあないけどな」
「上げて落とした?!」
それが俺クオリティ。
しかし、原作だとこの後自主錬とか勝手にしちゃうし、スバル経由で釘は刺しておくか。
俺が言っても聞かないだろうし。
「あ、それとだスバル」
「なんですか?」
「この後だけどよ」
「はい?」
「……………いや」
ティアナに自主錬とか勝手にしないように、釘を刺してくれ。
そう言おうと思ったが、やっぱり止めておこう。
ああいうのは、一度痛い目を見ないと分からないタイプだからな。
ニ撃目はやり過ぎだから防ぐとして、一発くらいは、なのはのキツイのを喰らってもらうか。
「ちょっとこの後デートでも、って思ってな?」
「はいぃぃ?!」
耳元に顔を寄せ、ポソッと言うと良い反応が返ってきた。
ちょっと、そそられる。
「あれ?ダメ?」
「ダダダダダダメですよぉっ!!」
真っ赤になって、両手を顔の前でブンブンと振る仕草が、えらく可愛い。
「ククッ。冗談」
「えっ、ああ…、そう……、ですか」
「じゃないぞ」
「ええぇぇぇぇっっ?!」
ククッ。
上げて落とすだけだと思ったか。
もう一段階上げることだってあるさ。
ところで、冗談って言った時にちょっと残念そうな顔をされたけど、脈ありってことでいいのかな?
だが、まあ、
「ククッ!…やっぱ冗談」
「え?………そうですか」
しょんぼりとするスバル。
それを見て思わず撤回したくなるが、冗談にしておく。
じゃないと、慌てるスバルが可愛すぎて、襲ってしまうかもしれんからな。
さすがにそれは、取りかえしがつかな過ぎる。
ぺんぺん草も生えなくなる六禄クオリティ。
初心な子をからかうのって、楽しいですよね。
それに可愛いですし。