検証作業が完了し、六課隊舎に戻れたのはもう日が落ちてしまう頃だった。
「皆お疲れ様。それじゃ、今日の午後の訓練はお休みね」
むしろ、これでするようならお前は鬼だ。
「明日に備えて、ご飯食べて、お風呂でも入って、ゆっくりしてね」
「「「「はい!」」」」
「りょーかい」
さて、八神家と合流して、とっとと帰るとしますか。
………あれ?
そういえば、何で俺がフォワードと一緒に行動してたんだ?
俺は別にフォワードでもないし、あいつらと一緒に動く必要はなかったはずなんだが。
まあ、そんなことは、どうでもいい。
とりあえず駐車場に行って、あいつらを待ちますか。
「あ、六禄君や」
「なんだ、そっちが先か」
駐車場に着くと、既にはやてが待っていた。
と、ん?
「他の奴らは?」
ベルカの騎士たちが見当たらないが、いったいどこに?
「シグナムはトレーニングルームで一汗かいてからで、ヴィータは新人たちの戦闘データをまとめてから。シャマルは医務室の夜勤勤務やから、先に帰ってくれやと」
「あらら」
て、あれ?
「ザフィーラは?」
狼モードで着いてきていたはずだが。
「………フェイトちゃんの使い魔のアルフと、デートに行くんやって。爆発せえ!!」
「なにぃっ?!」
まさかの事実にも程があるだろう!?
あの寡黙で堅物なザフィーラが、実は彼女持ち?!
「自分たちは狼なのに、たびたび犬と言われるっていうお互い共通の悩みが、仲良くなる切欠やったらしい」
「恋って何があるか分からない!」
でも、共通の悩みって割とよくある切欠だよね。
セオリー通りっちゃあセオリー通り。
「スカリエッティの件が一段落着いたら、結婚する気らしいで」
「そこまで話が進んでたのか?!」
結婚までのカウントダウンが始まってただと?!
あの畜生!
家じゃあそんな素振りすらなかったぞ!
「てなわけで、私らだけ先に帰ります」
「りょーかいです」
車に乗り込み、発車する。
俺はミッドでの免許がないため、運転ができないからはやての運転になる。
ただ、一つ言いたい。
「この車、運転する必要あるのか?」
「気にしたらダメやで」
GPS誘導で、目的地まで自動で運転してくれるコンピューター制御の車を、マニュアルで乗るはやて。
正直、何でこの車を買ったのかと小一時間問い詰めたい。
「あ、夕飯の買い物せな」
「おい、俺の疑問はスルーか」
「六禄君は何がええ?」
「ティラミス」
「デザートやないか」
窓に片肘をつき、窓の外を流れる景色を見ながら答える。
答えについては、甘いものが好きだからしょうがない。
「おかずは何がいいんや?」
「本屋に行って自分で選ぶ」
「誰が夜のおかずの話をしてるんや?!」
俺。
何気に顔が紅くなっているはやてを横目で見るが、めちゃくちゃ可愛い。
俺が吸血鬼になっていなかったら、告ってたな。
今の俺じゃあ、それはしちゃあいけない。
どっちもが、最終的に幸せになれない。
「今晩の、夕飯のおかずや!」
「お前が作ってくれるんなら、肉じゃががいい」
「………なんか引っかかる言い方やな。なら、私以外なら?」
そんなもの、決まっている。
「お前の家にいる間は、お前が作ってくれたもの以外は食いたくない」
「え?」
「だから、その問いに対する回答はない」
はやての方を、全力で見ないように窓の外を見続ける。
ああ、ガラにもなく本気で言ったせいで、顔が熱くなってきた。
だから今は、頬杖を着いて外だけを見る。
ふと、ウィンドウに映ったはやてを見ると、運転をコンピューターに任せて俯いていた。
その頬を、真っ赤にして緩ませながら。
今までとは毛色が違いましたが、どうでしたでしょうか?