残っているんじゃない。
怖いから忘れたかったけど、こびり付いているんだ。
「『スターライト…」
「最初っからクライマックスかよ!!?」
前回の教訓を生かしてか、いきなり必殺技をぶちかまそうとするなのは。
あれをくらうのは不味すぎる。
前回は一発で済んだが、二発目、三発目となると話は別だ。
身体的ダメージは回復しても、意識を刈り取られかねない。
しょうがない。
「『ワイルドハント』!!」
弾幕を作って、奴の目を逸らす。
そして一気にこの場から離れて、分体で押し包む。
そのはずだったのに、
「ブレイカー』!!!!」
「なにぃっ?!」
作った弾幕が即座に掻き消され、砲撃はそのまま俺に直進してくる。
逃げ切るだけの時間はない。
『混濁の壁』は?
ダメだ。
あれは『十二の試練』の効果範囲を広げて守るもの。
その無効化できる威力、即ちAランクオーバーの一撃に対しては時間稼ぎにもならない。
一発撃った後のタイムラグを狙うか?
それもダメだ。
距離を詰めるにしても、魔法を撃つにしても、その間に収束を終えられてしまう。
どうすればいい、どうすればいい、どうすればいい!
「あ」
とても簡単な方法が、あったじゃないか。
~Sideなのは~
何も知らないくせに!
何も知らないくせに!!
何も知らないくせに!!!
私が撃墜された時のように、あの子たちにはなって欲しくはなかったから!
だから頑張ったのに!
教えてきたのに!
それを何も知らないで!
勝手なことばかり言って!
許さない!
通用するのは、『スターライトブレイカー』クラスしかないのは分かっている。
だから、最初から全力全開なの!
そして、私の方が正しいってことを分からせてあげるの!!
そう思って放った、私の全力全開の『スターライトブレイカー』。
なのに……、なんで………、
「なんでダメージを受けてないの?!」
噴煙が晴れて姿が現れた彼は、フラつくことなくその足で立っていたの。
~Side主人公~
ふむ。
『星を軽くぶっ壊す』をくらっても無事だということは、俺の目論見は成功したということか。
俺の目論見は単純明快。
今の肉体でダメージを受けるならば、より強固な身体になればいいだけのこと。
『武装999』。
『獣王の巣』の、ある意味では『創世の土』以上のとっておき。
自らの内に内包する全ての因子をかき集め、自らの肉体を変化し強化する、正しく化物じみた能力。
それを『星を軽くぶっ壊す』の衝突する寸前に発動し、耐える。
ひたすら耐える。
そして噴煙に紛れて『武装999』を解除。
俺がしたのは、これだけのこと。
後は噴煙が晴れた時に、正直若干フラつく足を押さえ込み、しっかりと立って余裕を見せる。
これだけでなのはの動揺が誘えるからな。
さて、ここからは俺が攻める番だ。
「さあ、
そう言うと同時に分体を数体飛ばして、俺も走る。
「こんな鳥たちなんか!」
あっという間に形成された魔力弾が分体たちを撃ち抜くが、やはりランクAはないらしい。
勢いは削がれるものの、どれも問題なく跳び続けている。
「だったら!『バインド』!」
魔法の発動と同時に、俺の分体たちが全てバインドに捕らわれ身動きがとれなくなる。
なるほど。
「確かに良い手だ」
だが、それも、
「俺以外が相手だったらの話だがな」
「っ?!」
『バインド』によってその場から動けない分体たちを足場にして、一気になのはに詰め寄る。
分体たちが飛んでいる状態では、何気にアンバランスで難しかったりするが、これならばその問題は解決される。
ジャンヌの保存機能から鉄パイプを取り出し、両手に握る。
魔力を収束する時間なんて、与えない。
「ッ!『アクセルシューター』!!」
タイムラグなく出せる魔法で、俺と距離をとろうとするなのは。
それを避け、飛行して逃げるなのはとの距離を、鉄パイプの間合いまで詰めきる。
「オラァッ!!」
大上段に振りかぶったそれを振り下ろし、なのはに叩きつける。
が、
「『アクセルシューター』!!」
「うぉっ?!」
魔力弾に弾かれ、鉄パイプが手から離れる。
それを見たなのはの顔が笑みに変わり、急速に魔力が収束される。
「まあ、どっちにしろ俺の勝ちだがな」
ゴリッ
「ッ!!」
俺の左手に握られたフランシス。
その銃口がなのはの腹部に当てられているのを見て、その顔が驚愕に様変わりする。
「地面に堕ちて、その頭を冷やせ」
「【『ゴールデンハインド・バスター』!!!】」
零距離で撃たれたそれは、俺の魔力色が黒なのにも関わらず、黄金に輝きながらなのはを飲み込み、
「………まったく」
意識を失ったなのはの身体は、俺の腕の中に納まった。
さて、ひと段落着いた所で、問題が一つ浮上する。
「飛行魔法どうしよう」
ここは高所。
飛行魔法が使えない俺は、ただ重力に任せて落ちるだけ。
「アアアアアァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!!!????」
地面に落ちる直前、ソニックフォームで駆けつけたフェイトに無事助けられた。
その時、フェイトが女神に見えたのは内緒だ。
六禄、落下型ヒロインに。