魔法混沌アニマルむろく   作:逸環

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魔王といえば、小学校のときに聞いた『シューベルト』の『魔王』のバリトンボイスが今でも耳にこびり付いています。
残っているんじゃない。
怖いから忘れたかったけど、こびり付いているんだ。


魔王。

「『スターライト…」

 

「最初っからクライマックスかよ!!?」

 

 

前回の教訓を生かしてか、いきなり必殺技をぶちかまそうとするなのは。

あれをくらうのは不味すぎる。

前回は一発で済んだが、二発目、三発目となると話は別だ。

身体的ダメージは回復しても、意識を刈り取られかねない。

 

しょうがない。

 

 

「『ワイルドハント』!!」

 

 

弾幕を作って、奴の目を逸らす。

そして一気にこの場から離れて、分体で押し包む。

 

そのはずだったのに、

 

 

「ブレイカー』!!!!」

 

「なにぃっ?!」

 

 

作った弾幕が即座に掻き消され、砲撃はそのまま俺に直進してくる。

逃げ切るだけの時間はない。

『混濁の壁』は?

 

ダメだ。

あれは『十二の試練』の効果範囲を広げて守るもの。

その無効化できる威力、即ちAランクオーバーの一撃に対しては時間稼ぎにもならない。

 

一発撃った後のタイムラグを狙うか?

 

それもダメだ。

地上(ここ)となのはまでの距離が開きすぎている。

距離を詰めるにしても、魔法を撃つにしても、その間に収束を終えられてしまう。

 

どうすればいい、どうすればいい、どうすればいい!

 

 

「あ」

 

 

とても簡単な方法が、あったじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

~Sideなのは~

 

 

何も知らないくせに!

何も知らないくせに!!

何も知らないくせに!!!

 

私が撃墜された時のように、あの子たちにはなって欲しくはなかったから!

だから頑張ったのに!

教えてきたのに!

 

それを何も知らないで!

勝手なことばかり言って!

 

許さない!

 

通用するのは、『スターライトブレイカー』クラスしかないのは分かっている。

だから、最初から全力全開なの!

 

そして、私の方が正しいってことを分からせてあげるの!!

 

そう思って放った、私の全力全開の『スターライトブレイカー』。

 

なのに……、なんで………、

 

 

「なんでダメージを受けてないの?!」

 

 

噴煙が晴れて姿が現れた彼は、フラつくことなくその足で立っていたの。

 

 

 

 

~Side主人公~

 

 

ふむ。

『星を軽くぶっ壊す』をくらっても無事だということは、俺の目論見は成功したということか。

俺の目論見は単純明快。

今の肉体でダメージを受けるならば、より強固な身体になればいいだけのこと。

 

『武装999』。

『獣王の巣』の、ある意味では『創世の土』以上のとっておき。

自らの内に内包する全ての因子をかき集め、自らの肉体を変化し強化する、正しく化物じみた能力。

それを『星を軽くぶっ壊す』の衝突する寸前に発動し、耐える。

ひたすら耐える。

そして噴煙に紛れて『武装999』を解除。

 

俺がしたのは、これだけのこと。

後は噴煙が晴れた時に、正直若干フラつく足を押さえ込み、しっかりと立って余裕を見せる。

これだけでなのはの動揺が誘えるからな。

 

さて、ここからは俺が攻める番だ。

 

 

「さあ、(つぶ)しあおう。『高町 なのは』」

 

 

そう言うと同時に分体を数体飛ばして、俺も走る。

 

 

「こんな鳥たちなんか!」

 

 

あっという間に形成された魔力弾が分体たちを撃ち抜くが、やはりランクAはないらしい。

勢いは削がれるものの、どれも問題なく跳び続けている。

 

 

「だったら!『バインド』!」

 

 

魔法の発動と同時に、俺の分体たちが全てバインドに捕らわれ身動きがとれなくなる。

なるほど。

 

 

「確かに良い手だ」

 

 

だが、それも、

 

 

「俺以外が相手だったらの話だがな」

 

「っ?!」

 

 

『バインド』によってその場から動けない分体たちを足場にして、一気になのはに詰め寄る。

分体たちが飛んでいる状態では、何気にアンバランスで難しかったりするが、これならばその問題は解決される。

ジャンヌの保存機能から鉄パイプを取り出し、両手に握る。

魔力を収束する時間なんて、与えない。

 

 

「ッ!『アクセルシューター』!!」

 

 

タイムラグなく出せる魔法で、俺と距離をとろうとするなのは。

それを避け、飛行して逃げるなのはとの距離を、鉄パイプの間合いまで詰めきる。

 

 

「オラァッ!!」

 

 

大上段に振りかぶったそれを振り下ろし、なのはに叩きつける。

が、

 

 

「『アクセルシューター』!!」

 

「うぉっ?!」

 

 

魔力弾に弾かれ、鉄パイプが手から離れる。

それを見たなのはの顔が笑みに変わり、急速に魔力が収束される。

 

 

「まあ、どっちにしろ俺の勝ちだがな」

 

 

ゴリッ

 

 

「ッ!!」

 

 

俺の左手に握られたフランシス。

その銃口がなのはの腹部に当てられているのを見て、その顔が驚愕に様変わりする。

 

 

「地面に堕ちて、その頭を冷やせ」

 

「【『ゴールデンハインド・バスター』!!!】」

 

 

零距離で撃たれたそれは、俺の魔力色が黒なのにも関わらず、黄金に輝きながらなのはを飲み込み、

 

 

「………まったく」

 

 

意識を失ったなのはの身体は、俺の腕の中に納まった。

さて、ひと段落着いた所で、問題が一つ浮上する。

 

 

「飛行魔法どうしよう」

 

 

ここは高所。

飛行魔法が使えない俺は、ただ重力に任せて落ちるだけ。

 

 

「アアアアアァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!!!????」

 

 

地面に落ちる直前、ソニックフォームで駆けつけたフェイトに無事助けられた。

その時、フェイトが女神に見えたのは内緒だ。

 

 

 

 

 




六禄、落下型ヒロインに。
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