「すまないが、私も邪魔させてもらおう」
「………ああ、好きにせえ」
「…勝手にせえ」
「………私が来る前に何があった?そういえば、随分と浮かれた男とすれ違ったが」
………おっさん。
いい歳こいてはしゃいじゃって………。
借金の返済どころか高額のリターンを手に入れたおっさんに思いをはせていると、
「ああ、カイン。ここにいたのかい」
「おや、ドクターにウーノ。なぜここに?」
「君を探していたんだよ。まあ、正確には、
まさかのラスボスとエンカウントしてしまった。
しかも目当ては俺。
「どうも、初めましてだね?『水無月 六禄』…、いや、『柳田 正晴』君?」
………あのクソ兄貴め。
「こちらこそどーも、ドクター・『ジェイル・スカリエッティ』に『ウーノ』さん?それと『水無月 六禄』でいい。今はそっちが本名なんでね」
死んだ今、前世での名前はもはや俺の本名じゃない。
「………ワシらは席を外そうか」
「せやな」
スカリエッティたちが来たことで、席を外すおっさんたち。
あの二人が事務所に戻った後、指をつめるだけで済めばいいのだが………。
「ふむ。では、席も空いたことだし、私たちも座らせてもらおうか」
「そうですね、ドクター」
空いた席に二人が座り、これで卓が埋まる。
「さて、六禄君も私たちに聞きたいことがあるだろうが、ここは雀荘で、われわれが座っているのは麻雀卓だ。ここはひとつ、我々の誰かが負けるたびに、こちらの情報を一つ開示しようじゃないか。もちろん、六禄君が負けた場合は六課の情報を教えてもらうがね?」
ふむ、なるほど。
確かにこの場にふさわしい勝負だし、三対一の状況では通しやら何やらを考えても、奴らに分はある。
「いいね、乗った」
だが、その程度なら俺が負ける理由はない。
「じゃあ、始めよう」
スカリエッティの掛け声で、賽が振られる。
どうやら、今度の親は俺らしい。
…この手牌なら、そうだな
「ひとまず四萬」
当たり障りのない牌で、様子見といくか。
「ふむ。では私は
「すいません、ドクター。ロンです」
「ウウゥゥゥゥノォォォォォッッッ?!」
まさかの裏切りだなぁ、スカリエッティ。
というか、一日の内に二回も『人和』を見るとは………って、この手牌、『緑一色』じゃねえか!?
どんな強運?!
「何をしてくれるんだい!?ウーノ?!これじゃあ私が飛んで終了だし、なおかつさっきのやり取りが無に帰してしまうではないか?!」
「すいません。アガリ牌には黙っていられなかったので」
ギャンブラーの本能でも騒いだのか?
「………私なんか、何もしていないぞ」
「すいません。アガリ牌には黙っていられなかったので」
もうお前、その言葉で片付ける気満々だろ?
しかしカイン、残念だな、おい。
ま、とりあえず、
「情報開示、してもらおうか?」
「「「え?」」」
何を意外そうに言っているか。
「『お前たちの誰かが負けるたびに情報を開示する』。それが最初に提示されたルールだ。そしてスカリエッティ。お前、そこの
「………ま、まあ、そのとおりだが」
戸惑いながらも、そう答えるスカリエッティ。
だが、確かに認めたな?
「世紀の天才であるスカリエッティが、自分が出した条件を容易く反故にするのか?随分と安い天才もいたもんだなぁ?ええ?」
「…安い挑発だね?」
「だが、効果的だ。違うか?」
そこまで言うと、スカリエッティは観念したかのように両手を挙げ、
「実は先ほどとある荷物が手に入るところだったのが、手違いがおきてね。その回収に、ナンバーズの一人が向かっている」
………ああ!
今日がヴィヴィオの保護された日だったのか。
ようやく思い出した。
て、ナンバーズの一人?
原作では確かルーテシアだったはずだが。
「ルーテシアなら、親子で遊園地に行っている」
俺の様子を見てか、カインがそう言う。
しかし遊園地か。
今度はやてを誘っていくか。
「で、そいつの名前は?」
原作知識を持っている俺がそいつの名前を聞けば、どう来るのかが大体わかる。
「その娘は、ナンバーズの13番目として生まれた」
あ、こんなところでまたイレギュラーだよ。
最近、原作知識が役に立った記憶がないぞ。
「彼女の名前は『ヴァイオレット』。君も知っているはずだよ?何せ彼女は」
そこまで溜めると、にやりと笑うスカリエッティ。
そして、言った。
「君の幼馴染なんだからね」
「あ、菫のことなら兄貴からもう聞いてる」
「なんだって?!」
………落胆するスカリエッティを見て、何故か罪悪感が沸いた。
俺は悪くないのに。
唐突ですが、『IS』で一つ新作を書きました。
タイトルは『三解の顔無し』。
こちらのほうも、どうぞお楽しみください!