するのは鉄錆の味だけ。
「久しぶりだな、菫」
「あはは!本当だね!」
中学時代から一向に変わらないその姿。
成長が見られないその姿。
『Fate/Apocrypha』のフランケンシュタインに似ていると、俺自身が評したその姿。
「相変わらずお前はチビっこいな」
「ん~、成長期らしい成長期がなかったからね。第二次性徴はあったけど」
「それは知ってる」
お前に初潮が来た時は、うちで赤飯を炊いただろうが。
何故か俺が炊かされたけど。
「む、六禄さん?その方と…お知り合いなんですか?」
「まさかの幼馴染だ」
「そうなんだよ!ぶいぶい」
俺と菫の関係を聞いてきたエリオに、真相を告げる。
何故か両手にピースで無い胸を張る菫は放置だ。
「お、幼馴染さんなんですか?!」
「え?でも…、ええ?!」
ひたすら驚くエリオとキャロ。
うん。
お前たちのその反応は正しい。
なにせこいつ、
「なかなかイカした
「え、そう?あはは!まーくんに褒められちゃった!」
菫の両こめかみから出ている二本の電極。
その存在が菫が『人』ではなく、『メアリー・シェリー』作、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』ではただ怪物と呼称される存在だが、時の経過とともに怪物そのものを指す言葉となったそれ、『フランケンシュタイン』なっていることを示していた。
それと、決して褒めてはいない。
しかし、まさかと思うが、
「お前、死体でこっちに来たな?」
「うん。私が死んだ時にね、ほら、私のパパってお金を借りてたでしょう?そのかたにパパが私の死体を売っちゃったの」
「ほう」
それはまたなんとも。
おじさん良い人だったんだが、金は人を変えるか。
だが、それが何の関係がある?
「で、その死体が神様の手に渡って「チョイ待て」なに?」
今、明らかにおかしな点があった。
「え?神の手に渡って?」
「うん。なんか死体を売られるって、神様的には凄く可哀想なことなんだって。だから死体を回収して、他の世界に送ることでどーこーとか言ってたよ?」
「どーこーの部分!」
そこが一番大事だろうがあぁっ!!
お前、高校の時には県下一の高校に行って、そこで一位だっただろう!?
なんでそんな大事なことを覚えてないの!?
「まあ、そんなことはどうでもいいでしょ?」
「よくねえよ!?」
「で、それでこの世界に私の死体が持ち込まれたわけなんだけど、埋葬されるはずだった私の死体はドクターのラボにいつの間にやら紛れ込んで、晴れて『フランケンシュタインの怪物』が完成したというわけなのです!」
…なぜだ。
なぜあのマッドは菫の死体を
ぶっちゃけただの死体だっただろうに。
…頭が痛い。
マッドは所詮
「ところでまーくん」
「なんだ?菫」
ふと、菫が俺に問いかけてくる。
てか、まーくんは止めい。
この歳になって、こっ恥ずかしい。
「その子たち、何?」
「ッッ?!」
ゾクゥッ
と、背筋が凍る。
言葉を発した瞬間、菫の眼から光が消えたことに。
その言葉が、今まで聴いたことが無いほど冷たいことに。
「…す………菫?」
おずおずと、雰囲気の変わった菫に話しかける。
「二人もいるけど、まさかまーくんの子供じゃないよね?もしそうだとしたら奥さんもいるってことなのかな?あ、でもまーくんのことだから、妊娠させたことには責任は持つし認知はするけど、結婚なんてしないよね。でもそれだと二人とも、まーくんが私の知らない薄汚い泥棒猫で雌豚を孕ませて、その腹から産まれてきたってことになっちゃうよね?ってことは半分はアバズレビッチの血じゃん。そんなのいらないよね?うん、殺しちゃおう。私とまーくんの愛の邪魔だもんね」
「いや、二人とも俺の子供じゃねぇよ!?落ち着け!!」
ハイライトの無い眼でいきなり恐ろしいことを言い出した菫に、ひとまず
「え?違うの?」
「よく見ろ!こいつらが俺のガキだったら、俺がいくつのときに産まれてんだよ!!」
「あ、そっかー」
「そうですよ!」
「私たちは水無月さんのお仕事仲間です!」
必死だな。
エリオにキャロよ。
まあ、あの恐怖に晒されたんだから当然か。
「じゃあ、まーくん」
「なんだ?」
「私と結婚しよ?」
「いや、お前とは無理だわ」
「なんで!?」
いや、だって、なあ、
「俺はお前のこt「別に結婚もしていないし、そっちの子たちは関係ないんだよね?じゃあ、私と結婚できるよね?なんでしてくれないの?私のことが嫌いなの?そんなことはないよね?結婚してくれるよね?約束したもんね?子供は何人が良いかなぁ?あ、そうか。私は死体だからまーくんの子供は産めないね。ごめんね、まーくん。でもでも、二人で愛し合えたらそれでいいよね?てゆーか良いって言え。そうだ、子供ができない代わりにペットを飼おうか?犬がいいかな?猫がいいかな?あ、でもまーくんの一番のペットは私だからね?お嫁さんでペットって、男の子は好きなんでしょ?さっそく明日から、ううん、今から私がご飯を作ってあげるね?まーくんの好きなから揚げだって、ハンバーグだって作ってあげる。そうそう。まーくんはお酒も好きだったから、お酒に合う物も作ってあげる。さ、今から教会に行こう?それとも、まーくんは仏教徒だったからお寺がいいかな?まあ、結婚できるならどこでもいいよね?さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ」…………………」
…言葉を続けるタイミングを失ってしまった。
まあ、とりあえず、
「いいか二人とも、これが病んでるくらいデレている状態、通称『ヤンデレ』だ」
「「そんなことを言っている余裕があるんですか?!」」
阿呆どもめ。
余裕が無いから、現実逃避気味に言っているんだろうが。
前世で三回ほど女に刺されたことがあったが、まさか菫までこうなるとは。
ま、求婚なんてされても、俺の答えは決まっているが。
「惚れている女がいるんだ。断る」
生まれてからも、死んでからも初めてのこの気持ちには嘘は吐けないなぁ。
「ア、アハハハハハハハハハハッッッ!!分かったよ、まーくん!まーくんがその淫乱ドグサレに縛られているなら!!」
すっ
と、菫の手がかざされる。
その掌に見えたそれは、
プシッ!
パシュッ!
俺の身体に当たり、四散したそれは、
「………『茨の十字』?そしてさっきの鮮血の濁流。…てぇことは」
「まーくんを殺して、この『ナンバーズ番外』、『
「『エンバーミング』の『人造人間』か!」
「まーくんの愛は、私にだけ向いていればいいんだよ?」
最長台詞はヤンデレがもぎ取っていきました。
しかし、ヤンデレの台詞は難しいけど、書いていて楽しいのはなぜなんだろうか。